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Duarte, A. G.*; 堅田 元喜; 星加 康智*; Hossain, M.*; Kreuzwieser, J.*; Arneth, A.*; Ruehr, N. K.*
Journal of Plant Physiology, 205, p.57 - 66, 2016/10
被引用回数:33 パーセンタイル:82.62(Plant Sciences)世界規模で増加が予測されている熱波などの極端気象は、生態系の水・炭素循環に大きな影響を及ぼす。気温上昇によって森林樹木は熱ストレスにさらされる可能性があるが、これに対する森林生態系の長期的な応答は未解明である。本研究では、大規模温室における複数回の熱波処理によってベイマツの光合成特性と水収支がどのような影響を受けるかを調べた。樹木の光合成カルボキシル効率はほとんど影響を受けないが、光飽和環境での電子伝達速度および光合成速度は大きく低下し、その影響は最後の熱波処理の6週間後まで継続した。また、熱による蒸散速度、最小気孔コンダクタンス、および夜間気孔コンダクタンスの抑制も同様に継続していた。気孔コンダクタンスモデルを用いた解析により、気孔の閉鎖やクチクラワックスの変化などの葉の形態変化が引き起こされたことがわかった。これらの結果は、ベイマツが熱ストレスに対して光合成性能を低下させる代わりに水分の消費を抑えるように応答することを示しており、熱波によって長期的な樹木成長が阻害される可能性が示唆された。
星加 康智*; 堅田 元喜; 出牛 真*; 渡辺 誠*; 小池 孝良*; Paoletti, E.*
Scientific Reports (Internet), 5, p.9871_1 - 9871_8, 2015/05
被引用回数:83 パーセンタイル:93.27(Multidisciplinary Sciences)対流圏オゾンは、森林の光合成活動を阻害するとともに、気孔開閉機能にも影響を与える。高オゾン濃度環境では気孔開閉の応答の遅れ(気孔鈍化)が誘発され、樹木の炭素獲得や蒸散に伴う水消費が変化するが、この影響は現在森林のオゾン影響評価に使われているモデルには全く考慮されていない。本研究では、精緻な多層陸面モデルと全球大気化学モデルを組み合わせたシミュレーションによって、気孔鈍化が及ぼす北半球スケールの森林の炭素獲得と蒸散への影響を評価する。気孔鈍化をシミュレートするために、個葉スケールでの最小気孔コンダクタンスに基づく新しいパラメタリゼーションを提案する。気孔鈍化プロセスを考慮することによって、森林による炭素吸収量が減少するとともに蒸散が促進され、結果的に水利用効率が大幅に低下することを明らかにした。これらの知見は過去の実験や野外観測から得られた結果と一致しており、特に東アジアなどの高オゾン濃度地域では、森林生態系の炭素・水バランスを予測する上で気孔鈍化による影響を考慮する必要がある。
星加 康智*; 渡辺 誠*; 堅田 元喜; De Marco, A.*; 出牛 真*; Carriero, G.*; 小池 孝良*; Paoletti, E.*
no journal, ,
対流圏オゾンは、気孔を通じて樹木に吸収され植物葉の被害を引き起こす。この影響を評価するためには気孔コンダクタンスのモデル化が必要である。本研究では、オゾン上昇下での気孔コンダクタンスモデリングに関する我々の最近の研究を報告する。まず、我々は世界中の森林樹木種へのJarvis型のモデルのパラメータをレビューし、夜明け前水ポテンシャルに対する気孔コンダクタンスの応答と最適温度が生長条件によって変化することを示した。次に、オゾン影響を含めた気孔コンダクタンスの最適モデルを、ブナを対象にしたオゾンFACE実験の結果を用いて試験し、モデルが夏季のオゾンによる気孔閉鎖を説明できることを示した。しかしながら、夏から秋にかけての気孔コンダクタンスへのオゾン影響は説明できず、オゾンに対する気孔閉鎖の鈍化プロセスの影響が示唆された。そこで、最終的にこの鈍化プロセスによる植物の炭素獲得と蒸散への影響を、北半球の温帯落葉樹林での詳細な多層地表面モデルと全球大気化学モデルを組み合わせたシミュレーションによって調べた。その結果、オゾンの鈍化は炭素獲得と蒸散に著しい影響をおよぼすことが示された。
堅田 元喜; 星加 康智*
no journal, ,
産業発展に伴う微小粒子状物質等による環境汚染問題を背景に、国内での大気沈着の観測研究や数値モデル研究が進められているが、観測研究者とモデル研究者(以下、モデラーとする)がお互いの考えを理解し、研究を進めていくことは十分になされているとは言い難い。モデラーと観測研究者の間には研究スタイルに大きな相違があり、その違いを理解することは両者の相互発展において必要不可欠である。本発表では、発表者が行ってきた観測-モデル間の共同研究活動の一部を紹介する。はじめに、ドイツの針葉樹林での葉に付着した粒子の洗浄観測を実施し、観測に必要な脱イオン水や採取ボトルの数量を決定するために発表者の地表面モデルを活用した事例を示す。次に、北海道のFree-Airオゾン暴露実験サイトの測定結果を発表者の地表面モデルに反映する際に問題となった個葉レベルの観測データからモデルで仮定している森林群落レベルまで拡張するまでのプロセスを紹介する。これらの経験を参考にしながら、今後、観測研究者とモデラーの連携を深めながら相互に発展していくための道筋を考える。
堅田 元喜; 星加 康智*
no journal, ,
対流圏オゾンは、森林樹木の光合成活動を阻害するとともに気孔開閉機能に影響を与える。高オゾン濃度下では、気孔応答の鈍化が誘発され、樹木の炭素獲得や蒸散に伴う水消費が変化することがわかっているが、この影響は森林のオゾン影響の評価に使われているモデルには全く考慮されていない。本研究では、オゾン交換過程を考慮した多層陸面モデルと全球大気化学モデルを組み合わせたシミュレーションによって、気孔応答の鈍化がおよぼす北半球スケールの森林の炭素獲得量と蒸散量への影響を評価する。気孔応答の鈍化過程は、北海道のFree-Airオゾン暴露実験サイトで得られた個葉レベルのガス交換測定データを用いて、最小気孔コンダクタンスに基づいてモデル化して多層陸面モデルに取り込むことで、個葉から群落へとスケーリングアップした。数値計算の結果、気孔応答の鈍化により森林の炭素獲得の減少と蒸散の促進が同時に起こり、水利用効率が大幅に低下することを明らかにした。この結果は、過去の暴露チャンバー実験や野外観測から得られている知見と一致した。気孔応答の鈍化による水利用効率の低下は、特に東アジアの高オゾン濃度地域で著しいことが明らかになった。
堅田 元喜; 星加 康智*
no journal, ,
対流圏オゾンは、森林樹木の光合成活動を阻害するとともに、森林微気象の変化に対する気孔応答の鈍化を誘発し、森林の水・炭素循環に影響を与える。この影響は、現在の陸面モデルには考慮されていない。本研究では、オゾンによる気孔応答の鈍化を考慮した多層陸面モデルと全球化学輸送モデルを組み合わせて、北半球の温帯落葉樹林へのオゾンによる影響を調べた。この陸面モデルには、森林キャノピーの濡れ状態に応じたオゾンの吸収と、それに伴うカルボキシル化速度と気孔コンダクタンスの変化が考慮されている。シミュレーションの結果、高オゾン濃度地域では、気孔応答の鈍化により森林の光合成活動の低下と蒸散の促進が同時に起こり、水利用効率が大幅に低下することが明らかになった。一方、年間の降水頻度が高い地域では、オゾンによる森林への影響は小さく、オゾンによる森林影響が濡れ期間にも依存することがわかった。今後、アジアで年間降雨日数が減少するという予測もあり、これによる濡れ期間の短縮によって大気汚染下での気孔応答の鈍化と光合成の低下が進み、森林生態系の水・炭素循環が変化する可能性がある。
星加 康智*; 堅田 元喜; 渡辺 誠*; 出牛 真*; 小池 孝良*; Paoletti, E.*
no journal, ,
対流圏オゾンは、気孔を通じて森林樹木に侵入し、気孔応答の鈍化を引き起こし、森林の水・炭素収支を変化させる。本発表では、気孔応答の鈍化に関する我々の実験的・数値的研究の現状を報告する。開放系オゾン暴露実験では、オゾンによって光強度の変化に対する気孔の応答が遅れること、飽差(VPD)や気孔の閉鎖を誘発するアブシシン酸(ABA)に対する気孔応答の感度が低下すること、そして、夜間の気孔コンダクタンスが増加することを発見した。さらに、これらの効果を最小気孔コンダクタンスという一つのパラメータとして光合成-気孔モデルに考慮できることを明らかにした。この実験結果を詳細な多層地表面モデルに反映し、全球大気化学モデルを組み合わせた数値シミュレーションを行い、北半球の温帯落葉樹林の炭素獲得と蒸散に気孔応答の鈍化が及ぼす影響を調べた。その結果、オゾンによる気孔応答の鈍化によって、森林の水利用効率が著しく低下することを明らかにした。この水利用効率の大幅な低下は、既往の実験研究の結果とも整合性があり、気孔応答の鈍化が森林の水・炭素収支に影響を及ぼしていることが示唆された。