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報告書

高速炉用改良SUS316鋼燃料被覆管の高温ナトリウム環境下における腐食挙動・機械的強度特性

今川 裕也; 豊田 晃大; 鬼澤 高志; 加藤 章一

JAEA-Data/Code 2024-010, 90 Pages, 2024/11

JAEA-Data-Code-2024-010.pdf:5.41MB

これまでに国内ではナトリウム中材料試験技術の確立やナトリウム環境効果評価法の確立を目的に、高温ナトリウム環境下における高速炉用構造材料及び燃料被覆管材の研究開発が進められてきた。高速炉用燃料被覆管は一般の構造材料と異なり、通常運転時でも高速増殖原型炉「もんじゅ」の場合、高温部で675$$^{circ}$$C程度となり、かつ約0.5mmの薄肉細管材であるために、ナトリウム接液面の腐食減肉や組成変化などの高温ナトリウム環境に起因した材料特性への影響を受けやすくなる。このため、高温ナトリウム環境下における燃料被覆管の腐食挙動や強度特性の評価が重要である。本報告では、今後の研究活動や知見・経験の集約化などに反映することを目的に、高速炉用に開発された改良SUS316鋼燃料被覆管の高温ナトリウム環境下における腐食挙動や機械的強度特性に関して、これまでに得られている試験研究の知見を整理した。

論文

Creep deformation and rupture behavior of 9Cr-ODS steel cladding tube at high temperatures from 700$$^{circ}$$C to 1000$$^{circ}$$C

今川 裕也; 橋立 竜太; 宮澤 健; 鬼澤 高志; 大塚 智史; 矢野 康英; 丹野 敬嗣; 皆藤 威二; 大沼 正人*; 光原 昌寿*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 61(6), p.762 - 777, 2024/06

 被引用回数:2 パーセンタイル:65.72(Nuclear Science & Technology)

日本原子力研究開発機構は、ナトリウム冷却高速炉(SFR)の燃料被覆管材料として9Cr-ODS鋼の開発を進めている。これまでの研究で、650$$^{circ}$$Cから850$$^{circ}$$Cを対象にクリープ破断式が策定されている。本研究では、700$$^{circ}$$Cから1000$$^{circ}$$Cでのクリープ強度評価を目的とし、クリープ試験を実施した。クリープ試験には内圧クリープ試験法と開発中のリングクリープ試験法の2種類の試験方法を使用し、リングクリープ試験方法の妥当性の検証も合わせて実施した。その結果、9Cr-ODS鋼は母相の相変態による強度変化がほとんど起こらず、700$$^{circ}$$Cから1000$$^{circ}$$Cまでを対象に一つの式でクリープ破断傾向を表せることが明らかとなった。リングクリープ試験方法の妥当性検証では、解析により試験片への応力集中の影響を明らかにした。初期応力が高いと塑性変形が起こり、早期破断に至る可能性がある。これらの検討の結果は、今後、中性子照射した9Cr-ODS鋼のクリープ試験の実施と評価をする際に不可欠である。

論文

Formulation of high-temperature strength equation of 9Cr-ODS tempered martensitic steels using the Larson-Miller parameter and life-fraction rule for rupture life assessment in steady-state, transient, and accident conditions of fast reactor fuel

宮澤 健; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 橋立 竜太; 矢野 康英; 皆藤 威二; 大塚 智史; 光原 昌寿*; 外山 健*; 大沼 正人*; et al.

Journal of Nuclear Materials, 593, p.155008_1 - 155008_16, 2024/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

This paper discusses the applicability of J.L. Straalsund et al.'s technique for combining the Larson-Miller parameter (LMP) and life-fraction rule to form a single high-temperature strength equation for 9Cr- oxide-dispersion-strengthened (ODS) tempered martensitic steels (TMS). It uses the extensive dataset on creep rupture, tensile, and temperature-transient-to-burst tests of 9Cr-ODS TMS cladding tubes in the $$alpha$$-phase, $$alpha$$/$$gamma$$-duplex, $$gamma$$-phase matrices, which are accumulated by the Japan Atomic Energy Agency so far. The technique is adequately applicable to 9Cr-ODS TMS cladding tubes. A single high-temperature strength equation expressing the mechanical strength in different deformation and rupture modes (creep, tensile, temperature-transient-to-burst) is derived for 9Cr-ODS TMS cladding tubes. This equation can predict the rupture life of the cladding tubes under various stresses and temperatures over time. The applicable range of the high-temperature strength equation is specified in this study and the upper limit temperature for the equation is found to be 1200$$^{circ}$$C. At temperatures higher than 1200$$^{circ}$$C, the coarsening and aggregation of nanosized oxide particles and the $$gamma$$ to $$delta$$ phase transformation are reported in previous studies. The high-temperature strength equation can be well applied to the creep and tensile strength in the $$alpha$$-phase matrix, the creep strength in the $$gamma$$-phase matrix and the temperature-transient-to-burst strength in both phases except for the low equivalent stress (43 MPa) at temperatures exceeding 1050$$^{circ}$$C. The mechanism of the notable consistency between creep and tensile strength in the $$alpha$$-phase matrix is discussed by analyzing the high-temperature deformation data in the light of existing deformation models.

報告書

FBR金属材料試験実施要領書(2023年度改訂版)

今川 裕也; 豊田 晃大; 鬼澤 高志; 加藤 章一

JAEA-Testing 2023-004, 76 Pages, 2024/03

JAEA-Testing-2023-004.pdf:2.08MB

本要領書は、高速炉の高温構造設計技術開発の一環として実施している大気中、アルゴン中及びナトリウム中材料試験の実施方法や得られたデータの整理方法についてとりまとめたものである。本報は、1977年に発行された「FBR金属材料試験実施要領書[PNC TN241 77-03]」および2001年に発行された「FBR金属材料試験実施要領書(改訂版)(マニュアル) [JNC TN9520 2001-001]」に日本産業規格(JIS)における試験法の改訂を反映するとともに、国内学会における材料試験法標準である日本機械学会(JSME)の推奨常温/高温引張試験方法や日本材料学会(JSMS)の高温低サイクル疲労試験法標準も参考にしながら作成した。

論文

改良9Cr-1Mo鋼における550$$^{circ}$$Cの最適疲労破損式の1$$times$$10$$^{11}$$サイクルまでの適用性検証

豊田 晃大; 今川 裕也; 鬼澤 高志; 加藤 章一; 古谷 佳之*

日本機械学会論文集(インターネット), 89(928), p.23-00206_1 - 23-00206_15, 2023/12

高速炉を設計するためには、構造材料の1$$times$$10$$^{9}$$サイクルまでの高サイクル疲労を考慮する必要がある。1$$times$$10$$^{9}$$サイクルでの高サイクル疲労を評価するためには、1$$times$$10$$^{11}$$サイクルまで適用可能な疲労曲線を作成する必要がある。本研究では、高速炉構造材料の候補材料である改良9Cr-1Mo鋼の高サイクル疲労評価手法を開発するため、ひずみ制御条件下での高サイクル疲労試験を実施するとともに、超音波疲労試験を実施した。試験結果に基づき、最適疲労曲線を拡張し、日本機械学会の最適疲労曲線が1$$times$$10$$^{11}$$サイクルまで適用可能であることを確認した。

論文

High-temperature creep properties of 9Cr-ODS tempered martensitic steel and quantitative correlation with its nanometer-scale structure

大塚 智史; 静川 裕太; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 橋立 竜太; 矢野 康英; 鬼澤 高志; 皆藤 威二; 大沼 正人*; 光原 昌寿*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 60(3), p.288 - 298, 2023/03

 被引用回数:4 パーセンタイル:63.92(Nuclear Science & Technology)

原子力機構では、ナトリウム冷却高速炉(SFR)用燃料被覆管材料として9Cr-酸化物分散強化型(ODS)鋼の開発を進めている。燃料被覆管材料にとって、クリープ特性は重要特性の一つである。よって、SFRに9Cr-ODS鋼を導入するためには、9Cr-ODS鋼の炉内クリープ強度の信頼性高い予測評価が不可欠である。本研究では、700$$^{circ}$$Cでの9Cr-ODS鋼のクリープ強度とナノ組織の定量的相関性について調査を行った。また、9Cr-ODS鋼照射材のナノ組織解析に基づく炉内クリープ特性予測の可能性について議論を行った。9Cr-ODS鋼の700$$^{circ}$$Cでのクリープ破断寿命は、そのナノ組織と密接な相関を有することがわかった。9Cr-ODS鋼のクリープ破断寿命とナノ組織の相関を既存のクリープモデルに基づき解析し、両者をつなぐ相関式を示した。本相関式の信頼性を高めるためには、9Cr-ODS鋼の2次クリープ速度の応力指数と酸化物分散状態の関係を明らかにする必要がある。

報告書

9Cr-ODS鋼被覆管の引張・クリープ特性評価について

矢野 康英; 橋立 竜太; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 加藤 章一; 鬼澤 高志; 伊藤 主税; 上羽 智之; 大塚 智史; 皆藤 威二

JAEA-Data/Code 2021-015, 64 Pages, 2022/01

JAEA-Data-Code-2021-015.pdf:2.6MB

安全性・経済性に優れ、放射性廃棄物の減容化・有害度の低減に貢献する高速増殖炉サイクルシステムの実用化の観点から、燃料の高燃焼度化が求められており、これに対応した被覆管材料の開発が必要不可欠である。この高燃焼度達成のための被覆管材料には、耐照射スエリング性能及び高温強度特性に優れた酸化物分散強化(Oxide Dispersion Strengthened; ODS)フェライト鋼の研究開発を実施している。ODSフェライト鋼を燃料被覆管として適用するためには、材料強度基準整備が重要であり、そのためのクリープ強度データ等の各種強度データ取得を実施している。本研究では、材料強度基準整備に資することを目的に、これまで得られた知見・検討結果に基づき、9Cr-ODS鋼被覆管の引張強度とクリープ強度特性について評価を行った。9Cr-ODS鋼は相変態温度を持つことから、母相の相状態が変化しない850$$^{circ}$$C以下と事故時を想定したそれ以上の温度域に分けて評価を行った。

報告書

第30回ふげん廃止措置技術専門委員会資料集

忽那 秀樹; 香田 有哉; 今川 康弘

JAEA-Review 2014-045, 38 Pages, 2015/01

JAEA-Review-2014-045.pdf:67.33MB

原子炉廃止措置研究開発センター(以下「ふげん」という。)は、廃止措置技術開発を計画・実施するにあたり、「ふげん」を国内外に開かれた技術開発の場及び福井県が目指すエネルギー研究開発拠点化計画における研究開発拠点として十分に活用するとともに、当該技術開発で得られる成果を有効に活用することを目的として、原子力機構内外の有識者で構成される「ふげん廃止措置技術専門委員会」を設置している。本稿は、平成26年9月19日に開催した第30回ふげん廃止措置技術専門委員会において報告した"廃止措置の状況"、"タービン系設備の解体撤去工事における実績データの評価及び今後の計画"及び"重水搬出作業の完遂"について、資料集としてまとめたものである。

口頭

9Cr-ODS鋼高温強度特性へのLMP-Life fraction法の適用性評価

宮澤 健; 丹野 敬嗣; 今川 裕也; 橋立 竜太; 矢野 康英; 大塚 智史; 皆藤 威二; 光原 昌寿*; 中島 英治*; 大沼 正人*; et al.

no journal, , 

高速炉用9Cr-ODS鋼燃料被覆管の実用化に向けた強度基準整備を進めている。温度と時間を統一的に表す指標であるLarson-Millerパラメータ(LMP)と累積損傷則(Life fraction法)を用いて、変形・破壊モードが異なる各種強度データを統一評価する手法が提案されている(以下、LMP-Life fraction法と呼ぶ)。この評価手法を用いて、炉内で想定される応力・温度変動条件での9Cr-ODS鋼の破断強度を単一式で表せる可能性がある。本研究では、9Cr-ODS鋼のクリープ試験データ、引張試験データ及び急速加熱バースト試験データを用いて、事故時を含む広い温度範囲でLMP-Life fraction法の9Cr-ODS鋼への適用性を評価した。

口頭

改良9Cr-1Mo鋼の高温多軸クリープ疲労寿命評価; ヒステリシスエネルギーを考慮した数式化による寿命整理の検討

小川 文男*; 今川 裕也; 橋立 竜太; 若井 隆純; 旭吉 雅健*; 伊藤 隆基*

no journal, , 

550$$^{circ}$$Cにて改良9Cr-1Mo鋼の引張・ねじりの多軸クリープ疲労試験を行った。ひずみ速度,保持時間依存性に関して特異性が見られ、最大応力と応力緩和の度合いに寿命が支配されることを明らかにした。ヒステリシスエネルギーを算出するとともに、非比例負荷の影響を考慮した寿命整理を行った。具体的にはヒステリシスの発現機構を検討し、硬化指数と緩和応力を考慮したエネルギー定式化を行った。寿命評価についてはこれまでに係数2.9と2.2で整理できているが、本研究ではまず係数2で整理できることを目標に検討を進めた。

口頭

ひずみエネルギーによる改良9Cr-1Mo鋼の高温多軸クリープ疲労寿命評価; 最大応力履歴と応力緩和が寿命整理に及ぼす影響

小川 文男*; 今川 裕也; 橋立 竜太; 旭吉 雅健*; 伊藤 隆基*

no journal, , 

近年、環境保護の要望が高くなっていることから火力プラントにおける起動及び停止間隔の短時間化が進められている。高速増殖炉においても、運転環境(温度,ナトリウム環境)をより厳しくすることが検討されている。改良9Cr-1Mo鋼は高温における機械的性質に優れていることから火力プラント、高速増殖炉などで使用されている。実機では、複雑な応力状態でのクリープ疲労型で使用されることから、単軸状態に比べてより損傷を受ける可能性があるため、多軸クリープ疲労寿命を測定するとともに、寿命評価法を確立する必要がある。本研究では550$$^{circ}$$C大気中にて軸・ねじりの多軸クリープ疲労試験を行い、特性データを蓄積するとともに寿命評価を行った。結果については後述するが、ひずみ速度、保持時間依存性に従来とは異なる特異性が見られた。次に応力とひずみのヒステリシスループ面積に対応するひずみエネルギーを算出して寿命評価を行うとともに、同エネルギーの理論化を行い、実寿命と理論寿命の比較を行った。具体的には、比例負荷の試験で観察された特異なひずみ速度、保持時間依存性及び多軸状態を包括して評価可能な、新しいひずみエネルギーによる寿命評価法を検討した。

口頭

ODS鋼被覆管の超高温クリープ特性評価

今川 裕也; 橋立 竜太; 鬼澤 高志; 加藤 章一; 大塚 智史; 大沼 正人*; 中島 英治*; 外山 健*

no journal, , 

次世代ナトリウム冷却高速炉では、熱的安定性に優れたナノサイズの酸化物粒子を均一分散することで高温$$sim$$超高温での強度を高めた酸化物分散強化型(ODS)鋼を燃料被覆管材料として適用することで安全性の向上が期待されている。本報告では、ODS鋼の異常過渡時の高温から事故時の超高温を含む温度域での組織構造と機械的特性の相関を解明するための基礎データを取得するため、高温$$sim$$超高温での周方向クリープ試験及び評価を行った結果を報告する。

口頭

Development of the material strength standard of 316FR steel and modified 9Cr-1Mo steel for next-generation fast reactor in Japan

鬼澤 高志; 豊田 晃大; 今川 裕也; 岡島 智史; 安藤 勝訓

no journal, , 

日本原子力研究開発機構(JAEA)では、安全性と経済性を高い次元で両立させた高速炉を実現するために、高速炉設計に必要な材料強度基準の開発を進めている。JAEAはこれまでに取得したデータ及びその評価結果に基づいて材料強度基準を策定し、日本機械学会規格発電用設備規格第2編高速炉規格に規格化している。本論文では、日本機械学会規格に規格化した材料強度基準の概要と、今後の改定に向けた検討状況について述べる。

口頭

改良9Cr-1Mo鋼の高温引張特性に対する熱時効効果

豊田 晃大; 今川 裕也; 鬼澤 高志

no journal, , 

改良9Cr-1Mo鋼は、高速炉の蒸気発生器用材料として開発された、良好な引張強度とクリープ強度を有する焼き戻しマルテンサイト鋼である。次世代高速炉の設計条件において、改良9Cr-1Mo鋼は550$$^{circ}$$Cで50万時間の使用が想定されている。本研究では、改良9Cr-1Mo鋼の550$$^{circ}$$C、50万時間における熱時効効果を評価することを目的として、最長約20万時間の長時間熱時効材を用いた引張試験を実施した。

口頭

中実丸棒微小試験片を用いた疲労試験技術の開発

今川 裕也; 豊田 晃大; 鬼澤 高志

no journal, , 

日本原子力研究開発機構では次世代高速炉用構造材料である316FR鋼と改良9Cr-1Mo鋼の材料強度基準の開発に取り組んでおり、これらの材料の溶接部強度評価法の開発も進めている。本発表では、溶接部強度評価法の開発に資する溶接熱影響部の疲労特性を取得するための、微小試験片を用いた疲労試験技術の開発を実施した結果を報告する。

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