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論文

Relationship between fault transmissivity, flow dimensions and effective hydraulic conductivity in siliceous mudstone of the Wakkanai Formation around the Horonobe Underground Research Laboratory in Japan

尾崎 裕介; 石井 英一

Geoenergy (Internet), 2(1), p.geoenergy2023-056_1 - geoenergy2023-056_11, 2024/12

本研究では、幌延深地層研究センターにおける約10年間の研究坑道の掘削時の坑内への湧水データおよびHDB-6孔で観測された水圧変化を再現解析することで、幌延深地層研究センター周辺における稚内層内部における有効透水係数を推定した。求めた有効透水係数をLandau-Lifshitz-Matheronの式により断層の透水量係数や断層における流れの次元と定量的に関連付けた。これらの結果、稚内層における有効透水係数は、透水量係数のダクタリティインデックスに対する依存性と透水量係数の次元への依存性の双方を考慮した場合に推定される透水量係数と整合的であることが示された。

論文

Modelling transport pathways of faults with low hydraulic connectivity in mudstones with low swelling capacity

大野 宏和; 石井 英一; 武田 匡樹

Geoenergy (Internet), 2(1), p.geoenergy2023-047_1 - geoenergy2023-047_10, 2024/12

Faults in some deep mudstones have poor hydraulic connectivity owing to high normal stress on the fault planes. Designing a method for modeling solute transport pathways in such faults/fractures using available data is a critical issue vis-a-vis the safety assessment of radioactive waste disposal. In this study, faults in deep siliceous mudstones with low swelling capacity are investigated using cross-hole hydraulic and tracer tests between two boreholes. These results indicate that transport pathways in faults with low hydraulic connectivity can be modeled using a highly tortuous 1D pipe flow path.

論文

Transmissivity prediction of the Excavation Damaged Zone fracture around the gallery at 500 m at the Horonobe Underground Research Laboratory

青柳 和平; 尾崎 裕介; 田村 友識; 石井 英一

Proceedings of 4th International Conference on Coupled Processes in Fractured Geological Media; Observation, Modeling, and Application (CouFrac2024) (Internet), 10 Pages, 2024/11

高レベル放射性廃棄物の地層処分では、処分場建設時に空洞周辺に生じる掘削損傷領域が放射性核種の選択的移行経路になりうることから、掘削損傷領域の評価が重要となる。過去の研究では、割れ目に作用する平均有効応力を引張強度で除した、Ductility Index(DI)というパラメータにより透水性を評価できる可能性があることが示されている。本研究では、幌延深地層研究センターの350m調査坑道を対象として坑道周辺のDIの分布を検討することで、掘削損傷領域の透水量係数を予測した結果、水理試験により得られた結果を内包する予測結果を得た。さらに、これから建設が予定されている500m調査坑道を対象としてDIに基づき掘削損傷領域の透水量係数を予測した。結果として、500m調査坑道では、350m調査坑道と比較して掘削損傷領域に生じる割れ目の透水量係数が1桁程度小さいことが確認された。これは、深度500mは、深度350mと比較して地圧状態が高いことにより割れ目が閉塞されやすいことを反映したものであると考えられる。

論文

Biofilm formation on excavation damaged zone fractures in deep neogene sedimentary rock

廣田 明成*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 宮川 和也; 佐久間 圭佑; 尾崎 裕介; 石井 英一; 鈴木 庸平*

Microbial Ecology, 87, p.132_1 - 132_15, 2024/10

深部の地下坑道は、鉱山や放射性廃棄物の地層処分のような工学的利用に加え、地下生命圏へのアクセスにおいても有用である。掘削損傷領域(EDZ)に人工的に形成した割れ目のネットワークは、物質の移行経路となると共に、空間と栄養を微生物に提供する場となる可能性がある。本研究では、幌延深地層研究所の深度350m坑道において掘削されたボーリング孔と検層結果を用いて、EDZ割れ目上の微生物バイオフィルムを調査した。顕微鏡観察と赤外分光分析により、EDZの高透水性割れ目表面に微生物が密集してバイオフィルムを形成していることを確認した。16S rRNA遺伝子配列分析の結果、微生物はGammaproteobacteria綱の好気性メタン資化細菌が優占した。好気性メタン資化細菌と同一種のゲノム配列は、幌延深地層研究所での先行研究で取得されており、活性酸素種からO$$_{2}$$を生成するcatalaseやsuperoxide dismutase、およびNOからN$$_{2}$$とO$$_{2}$$を発生する可能性のあるnitric oxide reductaseの遺伝子を有することがゲノム解析により明らかとなった。これらの結果から、EDZ割れ目における微生物のO$$_{2}$$生成が示唆され、地下微生物の生息に有利な環境であると結論される。

論文

Constant-head step-injection tests using a conventional straddle-sliding-packer system for investigating the shear capabilities of minor faults

石井 英一

Rock Mechanics and Rock Engineering, 57(10), p.8861 - 8878, 2024/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、処分場の母岩中に存在し得る小規模な断層のせん断コンプライアンスを調べることは、それらの断層が廃棄体の熱的影響によって弾性的にずれて廃棄体に損傷を与える可能性があることから重要である。本研究は、小規模な断層のせん断コンプライアンスを調べるための手法として、スライド式ダブルパッカーを用いた定圧段階注水試験の適用性を検討するために、本方法を珪質泥岩中の二つの隣接する小規模な断層に適用した(厚さ数センチの断層角礫を伴う断層Aと厚さ数ミリ以下の断層角礫を伴う断層B)。試験の結果、断層Aはせん断コンプライアンスが高いのに対し、断層Bは未固結な断層岩を伴うにもかかわらず低いせん断コンプライアンスを有することが分かった。断層Aは区間圧が4.1から4.3MPaまで上昇すると15-66mmの弾性的なせん断変位が発生し、せん断コンプライアンスは10$$^{1}$$ mm/MPa以上であった。一方で、断層Bは粘着力を有しており、区間圧を4.0から6.0MPaまで増加させてもせん断変位が検出されず、せん断コンプライアンスは10$$^{-1}$$ mm/MPa以下であった。本研究で推定されたせん断コンプライアンスは既報の室内実験の結果と整合し、今回適用した手法が小規模な断層のせん断コンプライアンスを調べるのに利用できることが確認できた。

論文

原位置トレーサー試験による堆積岩中の掘削損傷領域内の移流分散評価

武田 匡樹; 石井 英一

原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(1), p.3 - 10, 2024/06

高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全評価では、処分坑道やアクセス坑道における掘削損傷領域内の核種移行特性の把握が重要な課題となる。岩盤中の核種移行特性を評価する上でトレーサー試験が有効であるものの、堆積岩中の掘削損傷領域を対象としたトレーサー試験の事例は著者らの知る限りではない。著者らは幌延深地層研究センターの地下施設において珪質泥岩中の掘削損傷領域の割れ目を対象とした孔間トレーサー試験を実施し、縦方向分散長の評価を行った。トレーサー試験データに基づき、一次元移流分散解析を行った結果、破過曲線を概ね再現でき、4.2mの試験スケールに対し縦方向分散長として0.12mが導出された。これは、試験スケールの100分の1$$sim$$10分の1に相当し、天然の割れ目や岩盤基質部で経験的に知られる試験スケールと縦方向分散長との関係と同様であった。今回の試験により、天然の割れ目や岩盤基質部と同様な移流分散効果を堆積岩中の掘削損傷領域内でも想定できると考えられた。また、従来の原位置トレーサー試験手法により堆積岩中の掘削損傷領域内の移流分散効果を評価できることが確認できた。

論文

Evaluation of temporal changes in fracture transmissivity in an excavation damaged zone after backfilling a gallery excavated in mudstone

青柳 和平; 石井 英一

Environmental Earth Sciences, 83(3), p.98_1 - 98_15, 2024/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)

高レベル放射性廃棄物の地層処分において、坑道掘削損傷領域の透水性の経時変化の予測が、掘削損傷領域内部の割れ目を介した放射性核種の移行特性の評価の信頼性向上において重要となる。特に人工バリア定置後の緩衝材の膨潤圧発生に伴う割れ目の透水性の変化を検討することを目的として、幌延深地層研究センターにおいて実施している実規模の人工バリア性能確認試験領域付近で4年間透水試験を実施した。試験の結果、透水性は時間とともに低下し、膨潤から4年経過した時点で、試験開始時よりも透水性が41%に低下することが確認された。さらに、Barton-Bandisのモデルを適用することにより、膨潤圧の変化に伴う透水性の低下挙動を定量的に再現することができた。割れ目の閉塞の妥当性については、人工バリア性能確認試験実施領域で実施した弾性波トモグラフィ調査において、特に底盤部分の弾性波速度の増大が見られたことから確認することができた。これらの結果から、人工バリアの膨潤に伴う掘削損傷割れ目の閉塞について、実証することができた。また、地層処分事業において、廃棄体定置後の緩衝材の膨潤による掘削損傷割れ目の透水性の事前予測に際してBarton-Bandisモデルの適用可能性が示された。

論文

Paleohydrogeology of the Horonobe area, Northern Hokkaido, Japan; Groundwater flow conditions during glacial and postglacial periods estimated from chemical and isotopic data for fracture and pore water

望月 陽人; 石井 英一

Applied Geochemistry, 155, p.105737_1 - 105737_15, 2023/08

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)

氷期と間氷期の地下水流動の違いを理解することは、将来的な気候変動が地下水流動に与える影響を予測するうえで重要である。本研究では、幌延地域の亀裂性泥岩における最終氷期と後氷期の地下水流動の違いを、亀裂水と間隙水の安定同位体比($$delta$$D、$$delta$$$$^{18}$$O)、Cl$$^{-}$$濃度と放射性炭素($$^{14}$$C)年代測定を組み合わせることにより評価した。亀裂水と間隙水の安定同位体比から、涵養域に最も近いボーリング孔の28$$sim$$250mの地下水は現在と類似した気候で涵養した天水から構成されており、亀裂水の同位体組成が周辺のマトリクス中の間隙水と比べてより天水に近い値を示した。この天水は後氷期に涵養したものであることが、$$^{14}$$C年代から示唆された。同ボーリング孔のより深い深度や、その他の孔の調査深度では、地下水が氷期の天水と化石海水からなることが同位体組成から示され、亀裂水はマトリクス中の間隙水と同様の組成を示した。$$^{14}$$C年代測定から、天水の浸透は最終氷期またはそれ以前に生じたと推測された。以上の結果は、後氷期に涵養した天水が浅部を流動しており、一方、最終氷期に涵養した天水は深部にとどまっていることを示唆する。このことは、調査地域の谷が最終氷期には現在よりも最大で約50 m深かったという地表物理探査および地質調査の結果と整合的であり、谷が深かったために最終氷期には下向きの動水勾配が増加したと考えられる。地下水の安定同位体比と化学組成、および$$^{14}$$C年代測定を組み合わせる方法は、亀裂性岩盤における最終氷期と後氷期の地下水流動の違いを評価するうえで有用である。

論文

Geochemical modeling of cation exchange reactions in Horonobe mudstone from Northern Hokkaido, Japan

阿部 健康; 飯田 芳久; 笹本 広; 石井 英一

Proceedings of Water-Rock Interaction (WRI-17)/ Applied Isotope Geochemistry (AIG-14), 6 Pages, 2023/08

埋設処分における地下水質の時空間的変遷評価では、地下水の混合や水-岩石相互作用を考慮したモデルが必要となる。堆積岩環境の地下水質を対象とした場合、評価上重要な水-岩石相互作用は陽イオン交換反応と考えられる。本研究では、パイロットボーリングが実施される概要調査段階における陽イオン交換反応の評価を想定し、陽イオン交換選択係数をactive fraction modelに従った地球化学計算に基づき推定する手法を検討する。さらに本手法の実環境での適用性を確認するために、幌延泥岩(稚内層及び声問層)を対象に交換性陽イオン組成の測定値と本手法による推定値との比較検討を行った。稚内層及び声問層の交換性陽イオン組成を測定し、得られた組成の変動範囲についてactive fraction modelを使って評価を行った。本評価に必要なパラメータの設定値は、先行研究で報告されているスメクタイトの2成分系陽イオン交換等温線及びCECのpH依存性に基づいて推定し、帯水層土壌に比べNaに親和的な選択係数を得た。推定したパラメータ設定を用いて、幌延で得られている化石海水・古天水の組成と平衡な交換性陽イオン組成を計算した結果、稚内層の交換性陽イオン組成の測定結果(交換性Naに富む組成)と整合した。また化石海水に比べてpHが高くNaイオンに乏しい現海水と平衡な交換性陽イオン組成を計算した結果、溶液の組成関係に反して化石海水よりも交換性Naに富む組成が得られた。このように溶液組成と反比例する交換性陽イオン組成の変化を解釈する上では、pHと全陽イオン濃度の変化が重要であることをベンチマーク計算により確認した。

論文

Effects of flow dimension in faulted or fractured rock on natural reductions of inflow during excavation; A Case study of the Horonobe Underground Research Laboratory site, Japan

石井 英一

Hydrogeology Journal, 31(4), p.893 - 911, 2023/06

 被引用回数:2 パーセンタイル:0.00(Geosciences, Multidisciplinary)

断層や割れ目が発達する岩盤において坑道掘削を行う際にはプレグラウトを行っていても顕著な湧水に遭遇することがある。そのような場合、湧水抑制のためにポストグラウトが必要となる場合があるが、場の条件によっては湧水量の自然低下に頼る方法も効率的な坑道掘削に有効である。水圧の拡散方程式に基づくと、岩盤中の流れの次元が3であると、湧水箇所からの湧水量は発生後もほとんど低下しないが、次元が1であると、発生後の10日間で発生一日目の湧水量の1/3以下まで、100日以上で1/10以下まで低下し得る。したがって、流れの次元が低い場合は自然低下の利用も有効な湧水対策となり得る。しかしながら、流れの次元と湧水量の変化との関係は実際の坑道掘削現場において十分に検証されていない。筆者は幌延の地下研究施設建設時において、断層や割れ目が発達する堆積岩を掘削中に遭遇した顕著な湧水箇所(6つ)の湧水量変化を解析し、それらの箇所の流れの次元が坑道掘削前に行ったボーリング調査における透水試験の結果と整合することを明らかにした。地下施設の湧水はプレグラウトや脱ガスなどによる坑道沿いのスキン効果や遠方の境界条件の影響を受けるが、湧水発生後の数日から数週間における相対的な湧水量の変化は流れの次元に強く従うことが今回の結果から分かった。事前のボーリング調査、あるいは湧水発生直後(数日程度)の湧水量変化に基づいて場の流れの次元を特定し、それに基づいて湧水量の自然低下量を見積もることは効率的な掘削を行う上で有益である。

論文

Verification of the existing hydrogeological model using hydraulic pressure monitoring data during long-term drainage from the Horonobe URL and prediction of the hydraulic response to new excavation of up to a 500-m depth

尾崎 裕介; 石井 英一

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 8 Pages, 2023/05

本研究では、幌延深地層研究センターで観測されている長期観測モニタリングデータの再現解析を実施し、既存の研究で推定されている透水構造の再現解析を行った。既存研究では、1年分間のみのデータを再現解析することにより透水構造を推定したが、本研究では14年間のデータを再現解析することにより既存研究で推定された透水構造の検証を行った。本研究で実施した解析により、既存研究で推定した透水構造の妥当性が検証された。

論文

地下深部の岩盤における地下水の流れの有無を水の安定同位体比から判別する

望月 陽人; 石井 英一

Isotope News, (784), p.23 - 27, 2022/12

Isotope News誌の「Tracer」欄において、亀裂を通じた地下水の流れの有無を水の安定同位体比を利用して判別する方法に関する論文(Mochizuki and Ishii, 2022, https://doi.org/10.1007/s10040-022-02466-9)を紹介するものである。

論文

Constant-head step injection tests to quantify the stress dependence of fracture transmissivity in an excavation damaged zone; A Case study from the Horonobe Underground Research Laboratory

石井 英一

International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences, 159, p.105229_1 - 105229_17, 2022/11

 被引用回数:5 パーセンタイル:53.51(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の処分場では、坑道/処分孔沿いの掘削損傷領域(EDZ)の亀裂の透水量係数が処分場閉鎖後、亀裂表面の粘土膨潤による自己シーリングや埋め戻し材/緩衝材の膨潤による有効垂直応力の増加によって低下し得る。亀裂の透水量係数の応力依存性に関する水理力学連成モデルは閉鎖後の亀裂の透水量係数の変化を見積もるのに役立つが、そのモデルの適用性をそのサイトにおける原位置試験により確認する必要がある。定圧段階注水試験はその確認試験方法として有効であると期待できるが、EDZに対する適用性はまだよく分かっていない。この適用性を調べるために、本研究は膨潤性に乏しい泥岩中に建設された幌延の地下研究施設の単一の引張性EDZ亀裂を対象に注水試験を行った。さらに、同亀裂の透水量係数の応力依存性を定量化するために、バートンバンディスの亀裂閉塞モデルが採用された。注水中、亀裂の水理開口幅は徐々に増加し、その変化はモデルのフィッティングによりよく再現できた。同モデルは垂直応力が必要だが、これもフィッティングにより適切に推定できた。したがって、定圧段階注水試験と同モデルの組み合わせは、少なくとも、自己シーリングに乏しく、引張性のEDZ亀裂に対しては、EDZ亀裂の透水量係数の応力依存性を定量/検証するのに有効と考えられる。

論文

Effect of fault activation on the hydraulic connectivity of faults in mudstone

大野 宏和; 石井 英一

Geomechanics for Energy and the Environment, 31, p.100317_1 - 100317_9, 2022/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:59.00(Energy & Fuels)

An injection test and repeated packer tests were performed for a fault in siliceous mudstone in order to activate the fault and to investigate the change in hydraulic connectivity of the fault before and after the fault activation. The injection test successfully induced a remarkable dilational-shear failure within the fault. Pressure changes measured by the repeated packer tests were analyzed before and after the failure, where the log-log plots of pressure derivatives changed after the failure from an upward-trend indicating a limited extent of flow-paths to a horizontal trend suggesting well-connected flow-paths. After the borehole had been open for six weeks, the pressure derivatives were restored to an upward trend. This reversible change in pressure derivatives means that the hydraulic connectivity of the fault temporarily increased during and just after the injection but fault activation did not irreversibly affect the initially low hydraulic connectivity of the fault. This transition in the hydraulic connectivity of the fault is also consisted with the variation of fluid pressure monitored at a neighboring observation hole. We propose that analyzing the pressure derivatives obtained by repeated packer tests before and after the injection in a single borehole is effective to assess the sensitivity of hydraulic disconnectivity of faults to fault activation, which is crucial information for safety assessment of radioactive waste disposal.

論文

Variation in fault hydraulic connectivity with depth in mudstone; An Analysis of poroelastic hydraulic response to excavation in the Horonobe URL

尾崎 裕介; 石井 英一; 菅原 健太郎*

Geomechanics for Energy and the Environment, 31, p.100311_1 - 100311_13, 2022/09

 被引用回数:4 パーセンタイル:42.62(Energy & Fuels)

本研究では、稚内層内部における水理力学的な亀裂の連結性を評価するために、幌延深地層研究センターにおける坑道掘削時の水圧応答データの解析を行った。解析対象とした観測データは、水理力学連成挙動であるMandel-Cryer効果の影響を顕著に受けており、この影響を考慮した水圧応答データの解析を行うために水理力学連成挙動を考慮した数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果に基づいて有効透水係数を推定したところ、有効透水係数は深度400mから深度500mにかけて徐々に低下し、深度500m以深では健岩部相当の低透水性を有することが示された。また、解析解に基づいて観測データを分類したところ、稚内層内部において水理学的特性が異なる領域が存在することが示された。これらの結果より、水理学的亀裂の連結性は稚内層において、深度が深くなるにつれて急激に変化するのではなく数十メートルの幅で徐々に変化していることが示された。

報告書

幌延深地層研究計画における深層ボーリング孔および浅層ボーリング孔を利用した長期水圧・水位観測

本多 典久; 出井 俊太郎; 石井 英一

JAEA-Data/Code 2022-002, 37 Pages, 2022/06

JAEA-Data-Code-2022-002.pdf:2.85MB
JAEA-Data-Code-2022-002-appendix(CD-ROM).zip:5.68MB

幌延深地層研究計画においては、地下施設周辺のボーリング孔に設置した水圧モニタリング装置を用いて地下施設建設が水圧に及ぼす影響を観測している。本報では、水圧観測開始から2021年3月までにHDB-1$$sim$$11孔及び換気立坑先行ボーリング(PB-V01孔)において取得された地下水間隙水圧観測結果と浅層ボーリング7地点の地下水位観測結果を取りまとめた。

論文

Assessment of the level of activity of advective transport through fractures and faults in marine deposits by comparison between stable isotope compositions of fracture and pore waters

望月 陽人; 石井 英一

Hydrogeology Journal, 30(3), p.813 - 827, 2022/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:42.62(Geosciences, Multidisciplinary)

断層や割れ目を通じた移流の程度を評価することは、放射性廃棄物の地層処分を進めるうえで必要不可欠である。本研究では、幌延地域に掘削された4本のボーリング孔から取得された亀裂中の水と間隙水とで安定同位体比($$delta$$D、$$delta$$$$^{18}$$O)を比較することにより、亀裂を通じた天水の移流が生じているか否かを評価した。2本のボーリング孔の浅い領域では、間隙水に比べて亀裂水のほうがより天水に近い同位体比を示した。一方、これらのボーリング孔のより深い領域と、残り2本のボーリング孔のすべての試料採取深度では、亀裂水と間隙水の同位体比は類似していた。これらの結果から、天水の移流は、天水による化石海水の希釈が進んでいる浅い領域でのみ生じていることが示唆される。この解釈は、同位体比の値やトリチウムの分布とも整合的であり、現在の天水の混入は移流が生じている浅い領域のみに限定される。浅い領域と深い領域とで移流の程度が異なるのは、海水準の変化に伴う氷期と間氷期での動水勾配の違いによるものと考えられる。割れ目の水理学的な連結性が高くても、海水準が大規模に低下し動水勾配が上昇するようなことがない限りは、割れ目を通じた移流は生じないままであることが示唆される。

論文

Resin-injection testing and measurement of the shear displacement and aperture of excavation-damaged-zone fractures; A Case study of mudstone at the Horonobe Underground Research Laboratory, Japan

青柳 和平; 石井 英一; Chen, Y.*; 石田 毅*

Rock Mechanics and Rock Engineering, 55(4), p.1855 - 1869, 2022/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:42.62(Engineering, Geological)

高レベル放射性廃棄物の安全評価では廃棄体から地下水に漏洩した放射性核種の長期的な移動を評価するために、処分場の坑道掘削により坑道周辺に形成される掘削損傷領域割れ目の長期定な透水性を推定する必要がある。本研究は幌延深地層研究センターの地下坑道において、掘削損傷領域割れ目のせん断誘発膨張が同割れ目の開口幅に与える影響を定量的に調べるために、同割れ目を予め樹脂注入より固化した状態で掘削・採取し、観察した。これまで、掘削損傷領域割れ目のせん断変位を詳細に計測した事例はなかったが、せん断誘発膨張が割れ目開口に与える影響を理解することは、坑道埋め戻し後の割れ目の長期的な透水性を評価する上で重要である。樹脂により固化された割れ目の拡大写真を用いて、割れ目のラフネス、せん断変位、および開口幅を詳細に計測した結果、せん断変位量と開口幅に相関性は認められず、割れ目形成後のせん断膨張は有意に生じていないことが示された。この結果は既存の経験則を用いたシミュレーションでも再現でき、深度350mのやや高い垂直応力がせん断誘発膨張を抑制していることが考えられた。垂直応力が大きく低下しない限りは、仮に割れ目がせん断しても、割れ目の開口幅が有意に増加する可能性は低いと考えられる。坑道埋め戻し後の掘削損傷領域割れ目のせん断膨張の可能性を検討する上で、原位置における樹脂注入試験と詳細な割れ目観察は有効な手法であることを示した。

論文

北海道幌延町に分布する鮮新統から中新統の珪質岩に含まれる有機物の堆積過程の検討

村岡 亜美*; 千代延 俊*; 荒戸 裕之*; Martizzi, P.*; 石井 英一

石油技術協会誌(CD-ROM), 87(1), p.86 - 88, 2022/00

原子力機構幌延深地層研究センターで掘削されたHDB-11坑井で認められた稚内層珪質泥岩と声問層珪藻質泥岩は、生物擾乱が顕著な塊状泥岩を主体としノジュールを挟在する。これら層準の石油根源岩能力を検討した結果、全体を通じてTOCは平均1.21%、最大値1.70%で良好な根源岩であることを示した。また、タイプIIのケロジェンを代表する海洋の一次生産者である藻類プランクトンによる有機物の供給が全層準を通じて認められるとともに、陸域からのタイプIIIケロジェンと砕屑物の供給により有機物が保存された可能性を指摘した。

論文

The Highest potential transmissivities of fractures in fault zones; Reference values based on laboratory and in situ hydro-mechanical experimental data

石井 英一

Engineering Geology, 294, p.106369_1 - 106369_12, 2021/12

 被引用回数:11 パーセンタイル:65.31(Engineering, Geological)

既存の水理力学連成モデルに基づくと、割れ目の透水量係数(T)は、割れ目のラフネス($$JRC$$$$_{rm 0}$$),初期開口幅($$E$$$$_{rm 0}$$),有効垂直応力、そして岩石の引張強度と関連付けることができ、$$E$$$$_{rm 0}$$はせん断膨張により増加し得る。先行研究により、国内外の6つのサイトのボーリング調査によりフローアノマリとして検出された断層帯中の割れ目のTが平均有効応力を岩石の引張強度で除した値(DI)と一様に相関することが示された。このTのDI依存性が同連成モデルに基づく割れ目の開閉現象で説明できれば、これらのTはあるDI条件下でせん断膨張により上昇し得るTの最大値を表すことになる。本研究はこの可能性を検証するため、上記の割れ目のTと岩石の引張強度、および想定される$$JRC$$$$_{rm 0}$$と有効垂直応力から割れ目の$$E$$$$_{rm 0}$$を推定した。そしてこの$$E$$$$_{rm 0}$$を基に、割れ目の有効垂直応力のみを変化させた場合のTの変化をシミュレートした。その結果、そのTの変化は上記のDI依存性をよく再現した。今回得られた結果は、断層帯の再活動や隆起を想定した場合、どの程度、断層の透水性が上昇し得るかを推定するのに役立つ。

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