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論文

Screw dislocation-spherical void interactions in fcc metals and their dependence on stacking fault energy

早川 頌*; 土井原 康平*; 沖田 泰良*; 板倉 充洋; 愛知 正温*; 鈴木 克幸*

Journal of Materials Science, 54(17), p.11509 - 11525, 2019/09

We performed molecular dynamics simulations to evaluate the effects of stacking fault energy (SFE) on interactions between a screw dislocation and spherical voids in face-centered cubic (fcc) metals. It was observed that the frequency of the cross-slips is a critical factor affecting the interaction, with primarily three different interaction morphologies being observed: (1) the two partial dislocations detach from the void independently with a time lag, (2) the two partial dislocations detach from the void almost simultaneously on a single slip plane, and (3) the two partial dislocations detach from the void almost simultaneously while involving more than one cross-slip and a jog formation. The magnitude of the critical resolved shear stress (CRSS) increases in the order mentioned above. The CRSS values for interaction morphology (2), which was observed most frequently in this study, were in good agreement with those predicted analytically by adjusting the parameters dependent on the SFE. Based on the obtained results, we discussed the applicability of the analytical model for void hardening in fcc metals. The results of this work contribute significantly to the modeling of mechanical property degradation in irradiated metals.

論文

First-principles calculation of mechanical properties of simulated debris Zr$$_x$$U$$_{1-x}$$O$$_2$$

板倉 充洋; 中村 博樹; 北垣 徹; 星野 貴紀; 町田 昌彦

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.915 - 921, 2019/09

福島第一原子力発電所の炉内にある燃料デブリの機械的特性を明らかにするため、模擬デブリである二酸化ウラン・二酸化ジルコニウム溶融物についてその弾性定数と破壊靭性を第一原理計算で評価し、二酸化ジルコニウムの割合の影響を調べ、模擬デブリを用いた実験結果と比較を行った。その結果、実験で観測されている、二酸化ジルコニウム割合の増加に伴う急激な破壊靭性の増加は、二酸化ジルコニウムの複数の相の混在によるものと考えられるという結論を得た。

報告書

福島における放射性セシウムの環境動態研究の現状(平成30年度版)

長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.

JAEA-Research 2019-002, 235 Pages, 2019/08

JAEA-Research-2019-002.pdf:21.04MB

2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出され、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌等が生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することに対する懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。原子力機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。

論文

Atomistic simulations for the effects of stacking fault energy on defect formations by displacement cascades in FCC metals under Poisson's deformation

早川 頌*; 沖田 泰良*; 板倉 充洋; 川畑 友弥*; 鈴木 克幸*

Journal of Materials Science, 54(16), p.11096 - 11110, 2019/08

We performed molecular dynamics simulations of displacement cascades in FCC metals under Poisson's deformation using interatomic potentials differing in stacking fault energy (SFE), in order to investigate the effect of tensile strain on the SFE dependence of defect formation processes. There was no clear SFE dependence of the number of residual defects and the size distribution of defect clusters under both no strain and the applied strain, while the strain enhanced the defect formation to a certain extent. We also observed that the strain affected the formations of self-interstitial atom (SIA) clusters depending on their size and the Burgers vector. These results were consistent with the analysis based on the defect formation energies. Meanwhile, the number of SIA perfect loops was higher at lower SFE under both no strain and the applied strain, leading to an increase in the ratio of glissile SIA clusters with a decrease in SFE. Further, the absolute number of SIA perfect loops was increased by the applied strain, while the SFE dependence of the number of SIA perfect loops was not affected. These findings were associated with the difference in formation energy between an SIA perfect loop and an SIA Frank loop. The insights extracted from this study significantly contribute to the modeling of microstructural evolution in nuclear materials under irradiation, especially for low SFE metals such as austenitic stainless steels.

論文

水素分配制御によるアルミニウム合金の力学特性最適化

戸田 裕之*; 山口 正剛; 松田 健二*; 清水 一行*; 平山 恭介*; Su, H.*; 藤原 比呂*; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; et al.

鉄と鋼, 105(2), p.240 - 253, 2019/02

 パーセンタイル:100(Metallurgy & Metallurgical Engineering)

本レビューでは、高強度アルミニウム合金の水素脆化に関する研究活動、特に様々なトラップサイトでの水素トラップとそれによる水素脆化への影響に焦点を当てて報告する。高亜鉛濃度Al-Zn-Mg合金において、高分解能TEM法による析出物のナノ構造及び界面構造の分析や、高分解能X線マイクロトモグラフィー技術による詳細な破壊マイクロメカニズムとマイクロ構造-破壊特性関係の調査がなされ、さらに、ごく最近実現された超高分解能X線顕微鏡により特徴的な局部的変形、亀裂の発生・成長が観察されている。また、第一原理シミュレーションによる数々の水素トラップサイトのトラップエネルギー導出を元に、変形・破壊中の水素再分配が解析された。水素の再分配と3つの異なるミクロ機構による水素脆化との間の関係を論じ、水素脆化が起こるための現実的な条件を説明する。

論文

First-principles calculation of multiple hydrogen segregation along aluminum grain boundaries

山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 都留 智仁; 松田 健二*; 戸田 裕之*

Computational Materials Science, 156, p.368 - 375, 2019/01

 被引用回数:1 パーセンタイル:15.49(Materials Science, Multidisciplinary)

金属の応力腐食割れメカニズム解明を目的として、アルミニウム結晶粒界に対する水素偏析の影響を第一原理計算により調べた。水素の溶解度が高い場合には、高エネルギー粒界には水素の偏析が可能であることが分かった。またアルミニウム粒界には水素が大量に偏析可能であり、それとともに粒界が膨張することで電子密度が低下していき、その結果粒界の凝集エネルギーが大きく低下することが分かった。

論文

アルミニウムのポア内表面における水素解離吸着と表面エネルギー低下

山口 正剛; 都留 智仁; 海老原 健一; 板倉 充洋

軽金属, 68(11), p.588 - 595, 2018/11

アルミニウム合金中の水素が力学特性に与える影響を把握するには、水素の存在状態を理解することが必要である。そのため、アルミニウム中のポア内表面における水素解離吸着とそれによる表面エネルギー低下について、統計熱力学的取り扱いとともに、第一原理計算や実験データを参考にした具体的な数値データを示した。理想気体からのずれも取り入れた。実験的には不明な解離吸着エネルギーが0.0-0.1eV/atomHの範囲とすると、室温で圧力100MPaの高圧水素ガスに対して、表面吸着占有率は0.08-0.8程度、表面エネルギー低下は1-13%程度になるという見積り結果となった。

論文

数値シミュレーションによるアルミニウムの水素昇温脱離曲線の解釈

海老原 健一; 山口 正剛; 都留 智仁; 板倉 充洋

軽金属, 68(11), p.596 - 602, 2018/11

水素脆化は応力腐食割れの原因の1つとして考えられている。鉄鋼材料と同様に高強度アルミニウム合金の開発では水素脆化は重大な問題となっている。アルミニウム合金における水素脆化の研究は鉄鋼材料における水素脆化機構の解明に示唆を与えると考えられる。水素脆性を理解するためには、合金中の水素トラップ状態を知ることは避けられず、それは水素の熱脱離分析法を用いて同定することができる。本研究では、円筒状試料および板状試料について報告されたアルミニウム中の水素の熱脱離スペクトルを数値シミュレーションし、それらに含まれる脱離ピークをトラップサイト濃度およびトラップエネルギーに基づいて解釈した。その結果、最低温度側の脱離ピークは粒界から生じることが明らかとなり、他の脱離ピークは報告された解釈が合理的であることが確認された。さらに、試料を加熱する過程で転位や空孔のトラップサイト濃度が変化する可能性を示す結果を得た。この結果は、鉄鋼材料において昇温脱離曲線から水素トラップ状態を解釈する上で有意な示唆を与えるものである。

論文

Effects of stacking fault energies on formation of irradiation-induced defects at various temperatures in face-centred cubic metals

中西 大貴*; 川畑 友弥*; 土井原 康平*; 沖田 泰良*; 板倉 充洋; 鈴木 克幸*

Philosophical Magazine, 98(33), p.3034 - 3047, 2018/09

 被引用回数:1 パーセンタイル:100(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉内部で使用されるオーステナイト鋼は積層欠陥エネルギーが低いことで知られ、そのため積層欠陥を伴う照射欠陥クラスタが大きくなることが予想される。この傾向を定量評価するため、FCC金属のモデルポテンシャルにおいて積層欠陥エネルギーだけを変化させたものを用い照射欠陥生成の分子動力学シミュレーションを様々な温度において実行し、生成した照射欠陥クラスタの種類と数を調べた。その結果移動可能な格子間原子クラスタの生成数が積層欠陥エネルギーとともに大きく変化することが見出された。

論文

First-principles study of hydrogen segregation at the MgZn$$_{2}$$ precipitate in Al-Mg-Zn alloys

都留 智仁; 山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋; 椎原 良典*; 松田 健二*; 戸田 裕之*

Computational Materials Science, 148, p.301 - 306, 2018/06

 被引用回数:3 パーセンタイル:28.59(Materials Science, Multidisciplinary)

高強度の7000番台アルミニウム合金の水素脆化はAl合金の実用における重要な問題と考えられてきた。しかし、近年の観察技術の発展にもかかわらず、Al合金中の水素の挙動を実験的に捉えることは非常に困難である。本研究では7000番台の特徴であるMgZn$$_{2}$$析出物に着目して、析出物内部及びAl-析出物界面における水素偏析を第一原理計算を用いて体系的に検討した。零点エネルギーを考慮したトラップエネルギー解析により、MgZn$$_{2}$$の内部には9つの格子間サイトが存在することが確認されたものの、Alの四面体サイトより不安定であることから析出物内部への偏析は生じないことがわかった。一方、Al-析出物界面の安定なサイトではトラップエネルギーが-0.3eVと非常に大きいことがわかった。これはAl中の粒界などのトラップサイトより大きく、Al-析出物界面がAl合金中の優先的な偏析サイトになることを示唆している。

論文

Interactions between clusters of self-interstitial atoms via a conservative climb in BCC-Fe

早川 頌*; 沖田 泰良*; 板倉 充洋; 愛知 正温*; 鈴木 克幸*

Philosophical Magazine, 98(25), p.2311 - 2325, 2018/06

 パーセンタイル:100(Materials Science, Multidisciplinary)

BCC鉄における格子間原子クラスタは容易方向へのすべり運動とは別に垂直方向への保存的上昇運動を行い、これにより三次元的な運動を行う。この拡散の三次元性は転位への吸収確率に大きく影響し、材料のスエリングなどの照射劣化挙動を左右する。この保存的上昇運動を分子動力学計算とモンテカルロ計算を組み合わせた手法で解析し、移動障壁エネルギーを評価したところ、従来の弾性理論により予想されていた値よりはるかに大きい値が得られた。

論文

Atomic simulations to evaluate effects of stacking fault energy on interactions between edge dislocation and spherical void in face-centred cubic metals

土井原 康平*; 沖田 泰良*; 板倉 充洋; 愛知 正温*; 鈴木 克幸*

Philosophical Magazine, 98(22), p.2061 - 2076, 2018/05

 パーセンタイル:100(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉材料、特に炉内構造材のオーステナイトの照射脆化を評価する際に、オーステナイトの特徴である低い積層欠陥エネルギーの影響を評価する必要がある。本研究では積層欠陥エネルギーだけを変化させたFCC金属のモデルポテンシャルを用いて転位とボイドの相互作用形態を評価し、ボイドの大きさと積層欠陥エネルギーの値によって様々な相互作用形態があることを見出した。

論文

材料挙動と計算機シミュレーションの接点,2; 原子力材料の分子シミュレーション; 現状と展望

沖田 泰良*; 板倉 充洋

日本原子力学会誌, 59(12), p.712 - 716, 2017/12

原子力材料の照射下特性変化を原子スケールの現象に基づいてモデル化する分子シミュレーションは、極短時間・極微小スケールの現象を定量化・解明・再現するため、幅広く用いられるようになってきた。本稿では、(1)分子動力学法を用いた高速中性子との弾性衝突に伴う結晶欠陥形成過程の定量化、(2)分子動力学法を用いた結晶欠陥集合体-転位接触による転位チャネリング形成過程の解明、(3)分子動力学-キネッティックモンテカルロ融合法を用いた結晶欠陥集合体の3次元的運動・転位へ吸収される過程の再現、に関して近年の研究進展を紹介する。

論文

Chemical misfit origin of solute strengthening in iron alloys

譯田 真人*; 都留 智仁; 香山 正憲*; 尾崎 泰助*; 澤田 英明*; 板倉 充洋; 尾方 成信*

Acta Materialia, 131, p.445 - 456, 2017/06

 被引用回数:4 パーセンタイル:39.18(Materials Science, Multidisciplinary)

多くの合金元素が転位芯と強い相互作用を示す一方、SiやPやCuなどのいくつかの元素では転位のパイエルスポテンシャルを低下させる。本研究では第一原理計算を用いて、"Easy-core"転位構造とそれらの合金元素が積層欠陥エネルギー表面の変化と強く相関があることを示した。さらに、相互作用エネルギーを用いて希薄合金の臨界分解せん断応力を推定し、実験とよく一致することを示した。

論文

Analysis of intergranular cracking in an alloy steel by hydrogen-enhanced decohesion

山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋

Proceedings of 2016 International Hydrogen Conference (IHC 2016); Materials Performance in Hydrogen Environments, p.563 - 571, 2017/00

原子炉内構造材料の応力腐食割れメカニズム解明の一環として、鉄鋼の水素脆化メカニズム候補の一つである凝集エネルギー低下(Hydrogen-Enhanced DEcohesion = HEDE)説の検証のため、第一原理計算を用いた研究を行っている。鉄粒界凝集エネルギー低下をもたらす水素の効果を、炭素やその他の偏析元素の影響を加えつつ計算した。その第一原理計算結果と破壊力学試験を組み合わせた解析から、粒界に偏析した水素がもたらすHEDE以外にも、モバイル水素によるHEDEが生じていることが示唆された。

論文

Novel cross-slip mechanism of pyramidal screw dislocations in magnesium

板倉 充洋; 蕪木 英雄; 山口 正剛; 都留 智仁

Physical Review Letters, 116(22), p.225501_1 - 225501_5, 2016/06

 被引用回数:11 パーセンタイル:19.27(Physics, Multidisciplinary)

六方晶金属は結晶構造のため特定の方向にのみ変形する性質があり加工が困難である。近年様々な元素を添加することでこの性質を改善する研究が競争状態にある。本課題はこれまで鉄の転位の第一原理計算を行ってきた経験を活かし、これを六方晶金属である燃料被覆管ジルコニウムへ応用することを最終目標として同じ六方晶金属であるマグネシウムの複雑な塑性変形機構を解明しようとするものである。今回第一原理計算により、実験において観測されていて塑性改善の鍵となると考えられている錐面転位の原子構造や六方晶特有の移動プロセスを解明することに成功した。その結果、錐面転位が拡張したまま低温でも容易に交差滑りを起こすことが分かった。この結果は、これまで知られていなかった新しい交差滑りのメカニズムを発見したものであり、六方晶金属の塑性変形機構解明に大きく貢献するものである。

論文

Multiscale thermodynamic analysis on hydrogen-induced intergranular cracking in an alloy steel with segregated solutes

山口 正剛; 海老原 健一; 板倉 充洋

Corrosion Reviews, 33(6), p.547 - 557, 2015/11

原子炉材料劣化メカニズム研究の一環として、不純物元素(Sb, Sn, P)の粒界偏析を伴うNi-Cr鋼(降伏強度840MPa)の粒界水素脆性メカニズムを調べるため、粒界凝集エネルギーの第一原理計算を行い、破壊靭性試験データと組み合わせた解析を行った。粒界凝集エネルギーの計算には、亀裂の進展中に動きまわり破面形成を助長するように破面吸着するモバイル水素の影響を考慮した。さらに不純物元素の偏析による効果を加えた上で、非常に低い固溶水素濃度(10$$^{-8}$$原子分率)においても20-30%程度の十分な凝集エネルギー低下が生じうることを示した。解析により、水素ガス環境下で生じる低速な粒界破壊に対して測定された限界応力拡大係数$$K_{rm th}$$と粒界凝集エネルギーとのマルチスケールな関係を求め、$$K_{rm th}$$の変化が粒界凝集エネルギー変化によってよくコントロールされていることを示した。

論文

Atomistic study on the cross-slip process of a screw $$<a>$$ dislocation in magnesium

板倉 充洋; 蕪木 英雄; 山口 正剛; 都留 智仁

Modelling and Simulation in Materials Science and Engineering, 23(6), p.065002_1 - 065002_19, 2015/09

 被引用回数:4 パーセンタイル:67.17(Materials Science, Multidisciplinary)

マグネシウムは軽量で強度があり構造材料としての高いポテンシャルを持っているが結晶構造の対称性の低さから特定の方向にのみ変形する性質があり加工が困難である。近年様々な元素を添加することでこの性質を改善する研究が各国において産学連携で進められ競争状態にある。本課題はこれまで鉄の転位の第一原理計算を行ってきた経験を活かし、計算科学研究の進んでいないマグネシウムについて研究を開始したものである。これまでマグネシウムの変形を担う転位の性質はその安定構造が第一原理計算で求められていたのみで、その移動の性質は不明であった。本研究では転位の構造とその移動を同時にコントロールする手法を新たに開発し、移動に必要なエネルギーを構造変化を考慮に入れた上で計算することに成功した。その結果、必要なエネルギーの大部分は構造変化のエネルギーであり、構造変化した後は転位が容易に移動することが分かった。この計算手法は同じ六方晶系の燃料被覆管用ジルコニウム合金へも適用可能である。

論文

Material design for magnesium alloys with high deformability

染川 英俊*; 山口 正剛; 大澤 嘉昭*; Singh, A.*; 板倉 充洋; 都留 智仁; 向井 敏司*

Philosophical Magazine, 95(8), p.869 - 885, 2015/02

 被引用回数:11 パーセンタイル:25.78(Materials Science, Multidisciplinary)

マグネシウム合金は軽量だが室温における変形能が低い。いくつかの添加元素が延性を改善することが知られているが、よりよい添加元素が求められている。第一原理計算から非底面すべりを活性化する元素を探索した結果、その原子半径と電気陰性度によって、よりよい添加元素を判別できるという予測が立てられた。実験の結果は計算の予測と一致し、CaとSrなどがマグネシウムの延性を改善することが分かった。計算科学を援用した材料開発が実現可能であることを示唆する結果である。

論文

Mathematical Modeling of Radioactive Contaminants in the Fukushima Environment

北村 哲浩; 操上 広志; 山口 正秋; 小田 好博; 齋藤 龍郎; 加藤 智子; 新里 忠史; 飯島 和毅; 佐藤 治夫; 油井 三和; et al.

Nuclear Science and Engineering, 179(1), p.104 - 118, 2015/01

 被引用回数:4 パーセンタイル:43.49(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故に伴い環境に放出されその後地表に降下した放射性物質の分布を予測することは重要で、速やかに進めて行く必要がある。このような予測を行うために、放射性物質として特に放射性セシウムに着目し、現在複数の数理モデルを開発している。具体的には、土壌の表層流出に伴う放射性セシウムの移行については土壌流亡予測式を用いた流出解析、河川における核種移行については河川解析コードTODAM・iRICを用いた移行解析、河口域における土砂堆積については3次元解析コードROMS等を応用した堆積解析を行っている。また、セシウムと土壌の吸着メカニズムについては分子原子レベルの分子挙動計算法を用いた解析を開始しており、最終目標として吸着係数等の把握を目指している。

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