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谷内 淑恵*; 松谷 悠佑*; 吉井 勇治*; 福永 久典*; 伊達 広行*; 甲斐 健師
International Journal of Molecular Sciences (Internet), 24(2), p.1386_1 - 1386_14, 2023/01
被引用回数:0生きた細胞に放射線が照射され、DNAの数ナノメートル以内に複雑な損傷が形成されると、細胞死のような生物影響を誘発すると考えられている。一般的に、細胞に形成された複雑なDNA損傷は、蛍光体を利用すると、損傷部位の周辺が焦点のように発光するため、蛍光顕微鏡で実験的に検出することができる。しかしながらこの検出法で、DNA損傷の複雑さの度合いを解析するまでには至ってなかった。そこで本研究では、計測した焦点サイズに注目すると共に、飛跡構造解析コードを用いてDNA損傷の複雑さの度合いを評価した。その結果、DNA損傷がより複雑になると、焦点サイズも増大する ことがわかった。本研究成果は、放射線生物影響の初期要因を解明するための新たな解析手法になることが期待される。
山下 拓哉; 本多 剛*; 溝上 暢人*; 野崎 謙一朗*; 鈴木 博之*; Pellegrini, M.*; 酒井 健*; 佐藤 一憲; 溝上 伸也*
Nuclear Technology, 26 Pages, 2023/00
The estimation and understanding of the state of fuel debris and fission products inside the plant is an essential step in the decommissioning of the TEPCO Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (1F). However, the direct observation of the plant interior, which is under a high radiation environment, is difficult and limited. Therefore, in order to understand the plant interior conditions, a comprehensive analysis and evaluation is necessary, based on various measurement data from the plant, analysis of plant data during the accident progression phase and information obtained from computer simulations for this phase. These evaluations can be used to estimate the conditions of the interior of the reactor pressure vessel (RPV) and the primary containment vessel (PCV). Herein, 1F Unit 3 was addressed as the subject to produce an estimated diagram of the fuel debris distribution from data obtained about the RPV and PCV based on the comprehensive evaluation of various measurement data and information obtained from the accident progression analysis, which were released to the public in November 2022.
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(11), p.7076 - 7086, 2023/00
水の放射線分解に関する科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水の分解生成物であるラジカルの生成メカニズムは未だ良く分かっていない。我々は、放射線物理の観点から、この生成メカニズムを解く計算コードの開発に挑戦し、第一原理計算により、水中の二次電子挙動は、水との衝突効果のみならず分極効果にも支配されることを明らかにした。さらに、二次電子の空間分布をもとに、電離と電子励起の割合を予測した結果、水和電子の初期収量の予測値は、放射線化学の観点から予測された初期収量を再現することに成功した。この結果は、開発した計算コードが放射線物理から放射線化学への合理的な時空間接続を実現できることを示している。本研究成果は、水の放射線分解の最初期過程を理解するための新たな科学的知見になることが期待できる。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師
Isotope News, (784), p.13 - 16, 2022/12
入射荷電粒子が二次電子を生じる過程を原子サイズで明示的に計算する飛跡構造解析計算は、放射線生物影響,材料照射効果,放射線検出などの研究にとって重要な技術であり、近年主著者らの研究で新しい飛跡構造解析計算コードが開発された。従来の飛跡構造解析計算は標的物質の誘電関数を基に断面積を計算するため、誘電関数が良く測定されている水以外に、適用できるモデルは限られていた。本研究では誘電関数を使うことなく、二次電子エネルギー分布の系統式と阻止能を基に飛跡構造解析計算を行う手法により、誘電関数の測定値の有無にかかわらず、任意の物質で飛跡構造解析計算を実行することを可能とした。こうして開発したモデルで、陽子による水中の動径線量分布や二次電子生成量を計算したところ、従来のコードや実験値とよく一致した。このモデルは原子力機構の放射線輸送計算コードであるPHITS Ver3.25以降に実装され、任意物質に適用できる世界初の汎用飛跡構造解析コードとしてユーザーに提供されている。
飛田 実*; 今田 未来; 大森 剛*; 生天目 勉*; 鬼澤 崇*; 黒澤 勝昭*; 原賀 智子; 青野 竜士; 水飼 秋菜; 土田 大貴; et al.
JAEA-Data/Code 2022-007, 40 Pages, 2022/11
日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、放射能レベルに応じて将来的に浅地中埋設処分される予定であり、埋設処分を開始するまでに、廃棄体の放射能濃度を評価する方法を構築する必要がある。そこで、原子力科学研究所バックエンド技術部では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、JRR-3、JRR-4及び再処理特別研究棟から発生した放射性廃棄物よりコンクリート、焼却灰、セラミックフィルタ及び耐火レンガを試料として採取し、放射化学分析を実施した。本報告書は、令和2年度から令和3年度に取得した24核種(H、
C、
Cl、
Ca、
Co、
Ni、
Sr、
Nb、
Tc、
Ag、
I、
Cs、
Ba、
Eu、
Eu、
Ho、
U、
U、
Pu、
Pu、
Pu、
Am、
Am、
Cm)の放射能濃度データについて整理し、放射能濃度評価法検討のための基礎資料としてまとめたものである。
山本 剛史; 藤田 真奈美; 後神 利志*; 原田 健志*; 早川 修平*; 細見 健二; 市川 裕大; 石川 勇二*; 鎌田 健人*; 叶内 萌香*; et al.
EPJ Web of Conferences, 271, p.03001_1 - 03001_5, 2022/11
X-ray spectroscopy of hadronic atoms give us various information on the strong interaction between hadrons and nuclei. At J-PARC, we are aiming for the world-first detection of the X rays from atoms with a doubly strange hyperon, . Recently, two experiments, J-PARC E07 and J-PARC E03, have been performed for the detection of X rays from
atoms. Overview and status of these measurements will be presented. We will also discuss future plan of X-ray spectroscopy on
-atoms, which can be performed together with high resolution
hyper nuclear spectroscopy using newly constructed S-2S spectrometer. Preparation status will be shown in this contribution.
藤田 真奈美; 細見 健二; 石川 勇二*; 叶内 萌香*; 小池 武志*; 小椋 裕*; 田村 裕和; 谷田 聖; 鵜養 美冬*; 山本 剛史
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1042, p.167439_1 - 167439_9, 2022/11
被引用回数:1 パーセンタイル:71.47(Instruments & Instrumentation) atomic X-ray spectroscopy is a powerful method of studying the
N interaction, for which very limited experimental data are currently available. For this reason, we constructed a germanium (Ge) detector array referred to as Hyperball-X and conducted the first-ever
atomic X-ray measurements in 2016 and 2017 at J-PARC. We developed a novel method for in-beam energy calibration of Ge detectors. Three
rays (202 keV, 307 keV, and 511 keV) from
Lu in LSO scintillation counters and
Na source were used as reference. The
and
coincidence detection using the Ge detectors and LSO counters allows for continuous in-beam calibration with this new calibration method, and the calibration uncertainty is reduced to less than
100 eV for energies ranging from 202 to 511 keV.
松谷 悠佑; 甲斐 健師; Parisi, A.*; 吉井 勇治*; 佐藤 達彦
Physics in Medicine & Biology, 67(21), p.215017_1 - 215017_13, 2022/11
被引用回数:1 パーセンタイル:0.01(Engineering, Biomedical)陽子線治療は、X線治療と比較して、正常組織への副作用を低減しつつ腫瘍を照射することが可能である。陽子線照射後に発生する細胞死などの生物影響は、陽子線の運動エネルギーに依存し、初期のDNA損傷の誘発に本質的に関係する。そのため、モンテカルロシミュレーションに基づくDNA損傷収率の推定は、世界的に関心の高い研究トピックとなっている。本研究では、放射線輸送計算コードであるPHITS飛跡構造解析モードの応用、ならびに電子線用に開発された単純なモデルの陽子線への適用により、陽子線エネルギーと一本鎖切断(SSB)、二本鎖切断(DSB)および複雑なDSBの収量との関係性を評価した。その結果、PHITSに基づく推定結果は、約30keV/m以下の線エネルギー付与(LET)の特性を有する陽子線により発生する様々なタイプのDNA損傷収量の実験値や他コードの推定値を正確に再現することが分かった。これらの結果は、PHITSに実装されている現在のDNA損傷モデルが、1MeV未満の非常に低いエネルギーを除いて、陽子照射後に誘発されるDNA損傷収量を推定するのに十分であることを示唆している。
平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦
Japanese Journal of Applied Physics, 61(10), p.106004_1 - 106004_6, 2022/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)検出器や半導体メモリなどのSiデバイスにおいて、パルス波高欠損やソフトエラーなどの放射線影響が問題となっている。このような放射線影響のメカニズムを解明するためには、放射線による精密なエネルギー付与情報が必要である。そこで、Siにおける電子線のエネルギー付与をナノスケールで計算できる電子線飛跡構造解析機能を開発しPHITSに実装した。開発した機能の検証として電子の飛程や付与エネルギー分布を計算したところ、既報のモデルと一致することを確認した。また、一つのキャリア生成に必要なエネルギー(値)について、実験値を再現する二次電子生成のエネルギー閾値は2.75eVであることを見出すとともに、このエネルギー閾値は解析的に計算された結果および実験値と一致することがわかった。本研究で開発した電子線飛跡構造解析機能はSiデバイスに対する放射線影響の調査に応用することが期待される。
土田 秀次*; 間嶋 拓也*; 甲斐 健師
応用物理, 91(9), p.553 - 557, 2022/09
イオンビームを用いた粒子線がん治療のより効果的な治療に向けて、放射線によるDNAなどの生体分子の損傷過程を原子レベルで解明する研究が世界中で進められている。本稿では、イオンビームによる水中での生体分子損傷について、分子周辺で起こる素反応を研究した実験手法を紹介する。この実験では、細胞を模擬するため真空内液体分子線法および微小液滴法を利用し、生体分子水溶液の標的にイオンビームを照射し、標的から放出した生体分子の分解イオンを質量分析することで、分子の切断箇所を特定した。シミュレーションとして、PHITSを利用し水への炭素イオン照射の結果生じる二次電子の物理特性を解析した手法を紹介する。さらに、実験とシミュレーションの共同研究で明らかになった、高速イオンによる生体分子損傷の微視的描像を述べる。
谷内 淑恵*; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 吉井 勇治*; 伊達 広行*
Scientific Reports (Internet), 12, p.16412_1 - 16412_8, 2022/09
被引用回数:1 パーセンタイル:0(Multidisciplinary Sciences)近年、腫瘍を見ながら治療する磁場共鳴誘導放射線治療法(MRgRT)が開発され、その装置が医療施設へ導入され始めている。MRgRTにおいて、ローレンツ力は荷電粒子によるマクロな線量分布を変調することが知られているが、生体内におけるミクロな放射線飛跡構造や初期DNA損傷に対するローレンツ力の影響は未解明のままである。本研究では、PHITSを利用し、静磁場が印加された生体内の電子線飛跡構造を模擬し、その結果から生物学的効果の特徴を推定した。本研究により、腫瘍サイズのマクロな線量分布はローレンツ力に強く依存する一方、分子サイズのミクロなDNA損傷は、ローレンツ力の影響を受けない数10eV未満の二次電子がDNAの二本鎖切断に起因することを明らかにした。本研究から得られた新たな知見はMRgRTの発展に大きく寄与することが期待される。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; 小川 達彦; 平田 悠歩; 吉井 勇治*; Parisi, A.*; Liamsuwan, T.*
International Journal of Radiation Biology, 98(2), p.148 - 157, 2022/02
被引用回数:6 パーセンタイル:74.47(Biology)放射線による生物学的効果の研究を計算手法で進める場合、細胞内およびDNAスケールにおいて生体と等価物質である液体水中の各原子相互作用を明示的に考慮して、飛跡構造を解析することが重要となる。粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、独自の電子線飛跡構造解析モード(etsmode)ならびに、陽子・炭素イオンを模擬可能な世界的に有名なKURBUCアルゴリズムを使用することで、飛跡構造を詳細に計算できる。本研究では、電子線,陽子線,炭素線に関するPHITSの飛跡構造解析モードについて、物理的な特性(飛程・動径線量・微視的エネルギー付与)を評価し、文献の実験データや他のシミュレーションの文献値と一致することを検証した。また、電子線を対象に、早期の生物影響であるDNA一本鎖切断やDNA二本鎖切断、さらには複雑なDNA損傷であるクラスター損傷の発生数を推定し、電子線の入射エネルギー依存性を評価した。その結果、DNA損傷タイプはナノメートルスケールの電離励起の空間パターンに深く関与し、約500eVの電子線で複雑なDNA損傷の収量が大きくなることを明らかにした。PHITS飛跡構造解析モードの開発や検証並びに放射線生物研究へ応用した本成果は、放射線による生物学的効果の発生メカニズムの解明へ向けた研究を発展させるものである。
高橋 知之*; 深谷 友紀子*; 飯本 武志*; 宇仁 康雄*; 加藤 智子; Sun, S.*; 武田 聖司; 中居 邦浩*; 中林 亮*; 内田 滋夫*; et al.
保健物理(インターネット), 56(4), p.288 - 305, 2021/12
日本保健物理学会専門研究会「放射性廃棄物処分に係わる生活圏被ばく評価に用いられるパラメータ調査」に係る活動の成果を報告する。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師
Scientific Reports (Internet), 11(1), p.24401_1 - 24401_10, 2021/12
被引用回数:5 パーセンタイル:69.76(Multidisciplinary Sciences)入射荷電粒子が二次電子を生じる過程を明示的に計算する飛跡構造解析計算は、放射線生物影響,材料照射効果,放射線検出などの研究にとって重要な技術であり、これまで多くの研究に応用されてきた。しかし、従来の飛跡構造解析計算は標的物質の誘電関数を基に行われており、水以外の誘電関数はあまりよく知られていない。そこで本研究では誘電関数を使うことなく、二次電子エネルギー分布の系統式と阻止能を基に飛跡構造解析計算を行う手法を考案した。これにより、誘電関数の測定値の有無にかかわらず、任意の物質で飛跡構造解析計算を実行することを可能とした。まずこの手法で、標準的な検証データである陽子の水中の飛程や、エネルギー付与の動径方向分布を計算したところ、従来のコードや実験値とよく一致した。そこで、従来のコードが扱えなかった生体等価ガスを例にとり、同ガス中でのlineal energyを本研究で開発した手法により計算したところ、これも実験値の分布をよく再現し、水として近似した場合とは明確な差がみられた。このモデルは原子力機構の放射線輸送計算コードであるPHITS Ver3.25以降に実装され、任意物質に適用できる世界初の汎用飛跡構造解析コードとしてユーザーに提供される予定である。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; 小川 達彦; 平田 悠歩; 佐藤 達彦
放射線化学(インターネット), (112), p.15 - 20, 2021/11
Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS)は、放射線挙動を模擬する汎用モンテカルロコードであり、原子力分野のみならず工学,医学,理学などの多様な分野で広く利用されている。PHITSは2010年に公開されて以降、機能拡張や利便性向上のために改良が進められてきた。今日までに、電子線,陽電子線,陽子線,炭素線の4種類の荷電粒子を対象として、液相水中における個々の原子との反応を模擬できる飛跡構造解析モードの開発を進めてきた。本モードの開発により、DNAスケールまで分解した微視的な線量付与の計算が可能となった。加えて、飛跡構造解析モードの高精度化へ向けて、任意物質中において多様な粒子タイプに適用可能な汎用的飛跡構造解析モードの開発も進められている。本稿で解説するPHITS飛跡構造解析モードに関するこれまでの開発経緯と将来展望により、PHITSコードの原子物理学,放射線化学,量子生命科学分野への応用がより一層期待される。
吉田 章吾*; 小山 岳秀*; 山田 陽彦*; 中井 祐介*; 上田 光一*; 水戸 毅*; 北川 健太郎*; 芳賀 芳範
Physical Review B, 103(15), p.155153_1 - 155153_5, 2021/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)SmS, a protopypical intermediate valence compound, has been studied by performing high-pressure nuclear magnetic resonance measurements. The observation of an additional signal at high pressure gives evidence of a magnetic phase transition. The cancellation of the hyperfined fields at the S site suggests a type-II antiferromagnetic structure.
土田 大貴; 原賀 智子; 飛田 実*; 大森 弘幸*; 大森 剛*; 村上 秀昭*; 水飼 秋菜; 青野 竜士; 石森 健一郎; 亀尾 裕
JAEA-Data/Code 2020-022, 34 Pages, 2021/03
日本原子力研究開発機構の研究施設等から発生する放射性廃棄物は、放射能レベルに応じて将来的に浅地中埋設処分される予定であり、埋設処分を開始するまでに、廃棄体の放射能濃度を評価する方法を構築する必要がある。そこで、原子力科学研究所バックエンド技術部では、研究施設等廃棄物に対する放射能濃度評価方法の検討に資するため、原子力科学研究所内で保管されているJRR-3及びJPDRから発生した放射性廃棄物よりコンクリート試料を採取し、放射化学分析を実施した。本報告書は、令和元年度に取得した22核種(H,
C,
Cl,
Ca,
Co,
Ni,
Sr,
Nb,
Ag,
Ba,
Cs,
Eu,
Eu,
Ho,
U,
U,
Pu,
Pu,
Am,
Am,
Cm)の放射能濃度データについて整理し、放射能濃度評価法検討のための基礎資料としてまとめたものである。
酒井 健二; 大井 元貴; 羽賀 勝洋; 甲斐 哲也; 中谷 健; 小林 庸男*; 渡邊 聡彦*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011151_1 - 011151_6, 2021/03
核破砕中性子源やミュオン標的などを安全に効率よく運転するために、物質・生命科学実験施設(MLF)は、専用の全体制御システム(GCS)を持ち、運転状況に応じた機器の監視操作やインターロックを運用している。GCSはネットワーク系(LAN),統括制御系(ICS),インターロック系(ILS),共用サーバー,タイミング配信系(TDS)など幾つかのサブシステムで構成される。GCSはMLFのターゲットステーションを独自に運転制御する一方、J-PARCの加速器や他実験施設と連動しながらMLFの安定したビーム運転を実現している。2008年度のビーム運転開始以来、GCSは運転制御コミッショニングに基づく改修を経て、システム性能を継続的に維持する視点から、ICSの大幅なアップグレードやILSの機能拡張を2015年度ぐらいまで実施してきた。近年は、制御機器の生産・サポート終了に伴い後継機種への更新を進めている。この様に運転開始から、GCSには全般に渡って数多くの追加・変更がなされてきた。この様な状況下で、これまでのGCSの高度化の履歴と現況を把握することは、GCSの今後の方向性を決める上で重要である。本報告ではGCSの高度化の履歴,現状、及び今後の課題について議論する。
土川 雄介; 甲斐 哲也; 阿部 雄太; 大石 佑治*; Sun, Y.*; 及川 健一; 中谷 健; 佐藤 一憲
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 991, p.164964_1 - 164964_5, 2021/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)福島第一原子力発電所の廃炉に伴い、建屋内部に残留するホウ素やホウ化物の定量分析、及びホウ素化合状態の同定が一つの重要な調査項目となっている。本件では、ホウ化ジルコニウム,ホウ化鉄,純ホウ素及びその他のホウ化物に中性子を照射することで発生する478keV即発ガンマ線のエネルギー幅を測定し、ホウ化物毎に異なるドップラー幅を用いた化合物の同定可能性を調査した。金属,非金属ホウ化物ではそれらの即発ガンマ線ドップラー幅に顕著な違いが見られた一方で、ホウ化ジルコニウムとホウ化鉄では幅の違いが微小であった。ガンマ線エネルギースペクトル解析でこれら金属ホウ化物の違いを詳細に測定し評価した。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; Liamsuwan, T.*; 佐々木 恒平*; Nikjoo, H.*
Physics in Medicine & Biology, 66(6), p.06NT02_1 - 06NT02_11, 2021/03
被引用回数:11 パーセンタイル:93.42(Engineering, Biomedical)汎用放射線輸送計算コードPHITSは、広範なエネルギーの様々な粒子の物質中における挙動を模擬できる計算コードである。最新版PHITS version 3.20では、世界的に最もよく検証された飛跡構造計算コードの一つであるKURBUCのアルゴリズムに基づいて、一次イオン(陽子・炭素イオン)の挙動、二次粒子生成(1meV1MeVのエネルギーを有する電子)の計算を可能とするイオン飛跡構造計算モード(PHITS-KURBUCモード)を開発、実装した。本研究では、陽子及び炭素イオンの挙動に関して、PHITS-KURBUCモードで得られる飛程,動径線量,微視的エネルギー付与分布について、文献で報告される推奨値や実測値と比較することで検証した。この検証から、KURBUCコードのPHITSへの組み込みに成功したことを確認した。さらに、従来からPHITSで対象としていたより巨視的な空間領域の計算機能とPHITS-KURBUCによる微視的計算モードの相乗効果により、拡大ブラッグピークを用いた陽子線治療などの複雑な放射線場下における微視的エネルギー付与分布の詳細な計算が可能となった。本研究の成果は、放射線物理,放射線防護,医学物理,放射線生物学をはじめとした次世代の放射線研究手法の発展に貢献するものである。