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上田 宏*; 小野田 繁樹*; 山口 泰弘*; 木村 剛*; 吉澤 大智*; 森岡 俊晶*; 萩原 政幸*; 萩原 雅人*; 左右田 稔*; 益田 隆嗣*; et al.
Physical Review B, 101(14), p.140408_1 - 140408_6, 2020/04
被引用回数:3 パーセンタイル:22.67(Materials Science, Multidisciplinary)We report experimental and theoretical evidence that RbCu
Mo
O
has a nonmagnetic tetramer ground state of a two-leg ladder comprising antiferromagnetically coupled frustrated spin-
chains and exhibits a Haldane spin gap of emergent spin-1 pairs. Three spin excitations split from the spin-1 triplet by a Dzyaloshinskii-Moriya interaction are identified in inelastic neutron-scattering and electron spin resonance spectra. A tiny magnetic field generates ferroelectricity without closing the spin gap, indicating a unique class of ferroelectricity induced by a vector spin chirality order.
板敷 祐太朗*; 今林 洋一*; 執行 信寛*; 魚住 祐介*; 佐藤 大樹; 梶本 剛*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*
Journal of Radiation Protection and Research, 41(4), p.344 - 349, 2016/12
重粒子線治療は、根治性の高さや患者への身体的負担の小さなガン治療法として成果を上げているが、患者には術後の2次発ガンのリスクが伴う。このリスク評価では、体内の放射線挙動や核反応の理解が不可欠となり、放射線輸送計算コードが有用なツールとなる。計算コードの重イオン核反応に対する検証は十分でないため、放射線生成過程の実験データが必要となる。そこで、本研究では、新しいガン治療用のビームとして使用されている核子あたり430MeVの炭素ビームと人体構成物質との核反応から放出される中性子の二重微分断面積の実験データを整備した。実験は、放射線医学総合研究所のHIMAC加速器において実施した。核子当たり430MeVの炭素ビームを45に傾けた5cm
5cm
1cmの固体炭素標的に入射し、生成される中性子を15
, 30
, 45
, 60
, 75
および90
方向に設置した中性子検出器で測定した。また、中性子の運動エネルギーは飛行時間法により決定した。取得した実験データとPHITSの計算値を比較したところ、PHITSはこのエネルギー領域における炭素からの中性子生成を適切に模擬できることが分かった。
佐藤 大樹; 梶本 剛*; 執行 信寛*; 板敷 祐太朗*; 今林 洋一*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*; 佐波 俊哉*; 中尾 徳晶*; 魚住 祐介*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 387, p.10 - 19, 2016/11
被引用回数:3 パーセンタイル:29.46(Instruments & Instrumentation)重粒子線治療施設における治療室の合理的な遮蔽設計のためには、患者と重粒子線との核反応で生成される中性子の収量および線量分布を精度よく知る必要がある。本研究では、患者を模擬した水ファントムに治療で用いる核子当たり290MeVおよび430MeVの炭素イオンを入射して、生成される中性子を液体有機シンチレータからなる検出システムを用いて測定した。シンチレータは、ビーム軸に対して15から90
方向に15
おきに配置した。また、測定した中性子生成二重微分収量にAP照射に対する実効線量への換算係数を乗じ、測定における検出下限エネルギーである2MeV以上で積分することで、水ファントム周りの実効線量分布を導出した。得られた実験値は、モンテカルロ計算コードPHITSの計算値と比較した。その結果、PHITSは水ファントムからの中性子収量をよく再現しており、治療室を含めた重粒子線治療施設の線量分布予測において有益な評価手段であることを示した。
執行 信寛*; 魚住 祐介*; 今林 洋一*; 板敷 祐太朗*; 佐藤 大樹; 梶本 剛*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; 松藤 成弘*; et al.
JAEA-Conf 2014-002, p.81 - 87, 2015/02
高エネルギー加速器施設の遮蔽設計には、原子力機構を中心に開発されているPHITSや欧州原子核研究機構を中心に開発されているFLUKAなどのモンテカルロ法に基づく放射線輸送コードが利用されている。これら放射線輸送コードの予測精度を検証するには、核反応の素過程に関する二重微分断面積の実験データとの比較が必要である。しかし、重イオン入射反応に関する実験データは乏しく、荷電粒子生成に関するものはほとんど存在しない。そこで、放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用い290MeV/uのAr入射反応に対する炭素原子核からの陽子,重陽子及び三重陽子生成二重微分断面積を測定した。生成した荷電粒子は、ビーム軸に対して15, 30, 45, 60, 75及び90度方向に配置した液体有機シンチレータで検出した。各荷電粒子は、飛行時間と検出器でのエネルギー損失の情報から識別できる。実験データをPHITS及びFLUKAと比較したところ、陽子生成については実験データの傾向を再現するものの、重陽子及び三重陽子生成については、両コードで全く再現できず、各コードによる計算値の間にも大きな差があることが分かった。これは、既存の核反応模型では重陽子や三重陽子の放出に必要な核子の同伴および癒着過程を適切に取り扱えていないためと考えられる。本研究で得られる知見は、放射線輸送コードにおける核反応模型の改良に貢献することが期待できる。
梶本 剛*; 橋口 太郎*; 執行 信寛*; 佐藤 大樹; 魚住 祐介*; Song, T. Y.*; Lee, C. W.*; Kim, J. W.*; Yang, S. C.*; 古場 裕介*; et al.
JAEA-Conf 2014-002, p.127 - 132, 2015/02
高エネルギー加速器施設の遮蔽設計には、原子力機構を中心に開発されているPHITSや欧州原子核研究機構を中心に開発されているFLUKAなどのモンテカルロ法に基づく放射線輸送コードが利用されている。これら放射線輸送コードの予測精度を検証するには、核反応の素過程に関する二重微分断面積の実験データとの比較が必要である。しかし、重イオン入射反応に関する実験データは乏しく、荷電粒子生成に関するものはほとんど存在しない。そこで、放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用い290MeV/uのAr入射反応に対する炭素原子核からの陽子、重陽子及び三重陽子生成二重微分断面積を測定した。生成した荷電粒子は、ビーム軸に対して15, 30, 45, 60, 75及び90度方向に配置した液体有機シンチレータで検出した。各荷電粒子は、飛行時間と検出器でのエネルギー損失の情報から識別できる。実験データをPHITS及びFLUKAと比較したところ、陽子生成については実験データの傾向を再現するものの、重陽子及び三重陽子生成については、両コードで全く再現できず、各コードによる計算値の間にも大きな差があることが分かった。これは、既存の核反応模型では重陽子や三重陽子の放出に必要な核子の同伴および癒着過程を適切に取り扱えていないためと考えられる。本研究で得られる知見は、放射線輸送コードにおける核反応模型の改良に貢献することが期待できる。
梶本 剛*; 執行 信寛*; 佐波 俊哉*; 岩元 洋介; 萩原 雅之*; Lee, H. S.*; Soha, A.*; Ramberg, E.*; Coleman, R.*; Jensen, D.*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 337, p.68 - 77, 2014/10
被引用回数:4 パーセンタイル:33.8(Instruments & Instrumentation)エネルギー10GeVを超える陽子加速器施設における中性子線量計算の精度検証のために、120GeV陽子入射による厚いターゲット(グラファイト,アルミニウム,銅,タングステン)から生成する中性子エネルギースペクトルを、液体有機シンチレータNE213と飛行時間法を用いて、米国フェルミ国立研究所のTest Beam Facilityにおいて測定した。測定した中性子のエネルギー範囲は25MeVから3GeVとし、測定角度は30, 45, 120, 150の4点とした。また、中性子スペクトルを3つの運動源模型を用いてフィッティングし、スペクトル形状を再現するパラメータを導出した。得られたスペクトルをモンテカルロ粒子輸送計算コードPHITS及びFLUKAの計算結果と比較した。その結果、全てのターゲットと角度において、PHITSによる計算結果は実験値を16-36%過小評価、FLUKAの計算結果は実験値を26-57%過小評価することがわかった。この主な原因として、計算コードの核反応モデルにおいて、120GeV陽子とターゲットの最初の衝突に伴う中性子生成の記述に問題があることがわかった。
魚住 祐介*; 執行 信寛*; 上原 春彦*; 西沢 知也*; 水野 貴文*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; 松藤 成弘*; et al.
HIMAC-140, p.234 - 235, 2013/08
平成24年度に放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用いて行った研究の成果について報告する。重粒子線がん治療では、入射重イオンと生体構成元素との核反応から中性子及び線が、患者体内で生成される。これら放射線による二次発がんリスクの推定には、重イオン核反応における生成断面積データが不可欠である。前年度までの研究により、広いエネルギー領域での断面積測定手法を確立し、治療に供される290MeV/u炭素イオンに対する炭素、窒素及び酸素原子核からの中性子生成断面積データを整備した。平成24年度は、患者体内にて減速した重イオンによる中性子及び
線の生成を調べるため、100MeV/u炭素イオンを炭素及び窒素ターゲットに入射する実験を行った。その結果、15
から90
までの6角度において、下限エネルギー0.6MeVまでの精度の良い断面積測定に成功した。今後は、本エネルギー領域における実験データの拡充とともに、粒子・重イオン輸送コードシステムPHITSとの比較から、二体衝突近似が成立する下限エネルギーでの理論模型の妥当性について考察する。
岩元 洋介; 佐波 俊哉*; 梶本 剛*; 執行 信寛*; 萩原 雅之*; Lee, H. S.*; Soha, A.*; Ramberg, E.*; Coleman, R.*; Jensen, D.*; et al.
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 3, p.65 - 68, 2012/10
PHITSコードを含むシミュレーション計算コードの検証のために、米国フェルミ国立加速器研究所のFermilab Test Beam Facility(FTBF)において120GeV陽子入射で60cm厚さのグラファイト,50cm厚さのアルミニウム,20, 40, 60cm厚さの銅,10cm厚さのタングステンのターゲットから生成される中性子エネルギースペクトルの測定を行った。検出器には直径,厚さが12.7cmの液体有機シンチレータNE213を使用し、飛行時間法を用いて中性子エネルギーを導出した。中性子飛行距離を測定角度により5.0-8.0mとした。中性子検出器に付属する高電子増倍管からの生信号(波形)を500nsの時間幅,0.5nsサンプリングでデジタイザー(Agilent-acqiris DC282)を用いて取得した。大強度の入射陽子ビームによる数え落とし補正のために、ビームライン上に設置したプラスチックシンチレータと中性子検出器からの波形の相関を解析した。以上の結果、120GeVの超高エネルギー陽子入射核反応から生成する系統的な中性子エネルギースペクトルを初めて得ることができた。
魚住 祐介*; 執行 信寛*; 梶本 剛*; 平林 慶一*; 上原 春彦*; 西澤 知也*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; et al.
HIMAC-138, p.237 - 238, 2012/08
本発表では、平成23年度に放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用いて行った研究の成果について報告する。重粒子線がん治療では、入射重イオンと生体組織を構成する元素との核反応から中性子及び線が患者体内で生成される。これらの放射線による二次発がんリスクの評価には、重イオン核反応における生成断面積のデータが不可欠である。平成22年度までの研究では、炭素+炭素及び酸素+炭素反応における中性子生成二重微分断面積を測定し、そのデータを公表した。平成23年度は290MeV/u炭素ビームを窒素化合物ターゲットに入射し、炭素+窒素反応における二重微分断面積を測定した。その結果、下限エネルギー0.6MeVまでの中性子断面積データを精度よく導出することに成功した。この成果をもって、所期の技術目標であった低エネルギー領域までの高精度中性子測定手法の確立は達せられた。今後は、確立した手法を用いて、生体構成元素に対する系統的な断面積データを整備する。また、前年度までのデータから
線生成二重微分断面積の導出を行った。得られた実験データは、粒子・重イオン輸送コードシステムPHITSの計算結果と比較され、
線生成模型の検証・改良に応用される。
魚住 祐介*; 執行 信寛*; 梶本 剛*; 森口 大輔*; 上山 正彦*; 吉岡 正勝*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; et al.
HIMAC-136, p.248 - 249, 2011/11
本発表では、平成22年度に放射線医学総合研究所のHIMAC加速器を用いて行った測定について報告する。重粒子線がん治療では、入射重イオンと生体組織を構成する元素との核反応により中性子及び線が患者の体内にて生成される。これらの放射線による二次発がんリスクの評価には、重イオン核反応における生成二重微分断面積を広いエネルギー範囲で精度よく測定する必要がある。平成21年度は、既存の実験データのある炭素+炭素反応に対して測定を行い、最適な測定条件を検討した。平成22年度は、前年度までの検討を踏まえ、データの存在しない酸素+炭素反応の断面積を測定した。その結果、数百MeV領域から0.6MeVまでの極めて広いエネルギー範囲に渡って精度よく中性子生成二重微分断面積を取得できた。さらに、取得した実験データを利用してPHITSコードの精度検証を行った。PHITSは、前方角度領域において断面積をわずかに過小評価するものの、全体的に実験値をよく再現することがわかった。
佐藤 大樹; 森口 大輔*; 梶本 剛*; 古場 祐介*; 中村 泰博*; 執行 信寛*; 上山 正彦*; 魚住 祐介*; 吉岡 正勝*; 松藤 成弘*; et al.
Journal of the Korean Physical Society, 59(2), p.1741 - 1744, 2011/08
被引用回数:3 パーセンタイル:27.91(Physics, Multidisciplinary)重イオン相互作用からの中性子生成二重微分断面積に関する既存の実験データは、検出器の検出効率の評価に問題があり断面積を過大評価していることが知られていた。そこで、最新の検出効率計算コードを用いて既存のデータを再解析することにより、過大評価を改善した系統的な断面積データの評価を行った。また、放射線医学総合研究所の重イオン加速器を用いて、新たに中性子生成二重微分断面積を測定した。取得したデータは、既存のデータに比べ測定角度領域が後方角にまで及び検出下限エネルギーも10倍程度低い。両データは、同一核反応の同一角度において非常に良い一致を示した。さらに、各種シミュレーションコードの予測値と比較したところ、いずれのコードも前方角度領域の高エネルギー中性子生成を適切に再現できておらず、重イオン核反応模型の修正が必要であることが示唆された。
佐藤 大樹; 森口 大輔*; 梶本 剛*; 上原 春彦*; 執行 信寛*; 上山 正彦*; 吉岡 正勝*; 魚住 祐介*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 644(1), p.59 - 67, 2011/07
被引用回数:17 パーセンタイル:78.11(Instruments & Instrumentation)重粒子線がん治療の普及に伴い患者体内に入射した重イオンビームの核反応で生成される二次中性子の放射線影響に関心が集まっている。しかし、二次発がんの潜在的なリスク評価のために必要となる重イオンビームと生体構成元素との核反応に関する実験データは整備されておらず、放射線輸送コードの計算精度も十分に検証されていない。そこでわれわれは、放射線医学総合研究所HIMAC加速器を利用し、炭素+炭素反応及び酸素+炭素反応における中性子生成二重微分断面積(DDX)を測定した。論文では、有機シンチレータと飛行時間法を利用した測定手法の詳細を説明し、得られた結果を過去の実験データ及びPHITSコードの計算値と比較することで、測定手法の妥当性や放射線輸送コードの有用性について議論した。実験データは、数百MeVから0.6MeVまでの極めて広いエネルギー領域で精度よく取得されており、PHITSの結果は全エネルギー領域に渡りファクター2以内で実験値を再現した。
渡邊 健人*; 荒川 弘之*; 梶本 剛*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 国枝 賢; 野田 秀作*; 執行 信寛*; 石橋 健二*; 中村 尚司*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 587(1), p.20 - 28, 2008/03
被引用回数:1 パーセンタイル:13.92(Instruments & Instrumentation)水素を含むラジエーターからの反跳陽子検出のために、内側に減衰時間の遅いシンチレータNaI(Tl)、その周囲を減衰時間の速いプラスチックシンチレータで覆った中性子スペクトルメータのためのホスウィッチ検出器を開発した。この構造は、NaI(Tl)で完全にエネルギー付与する陽子と、NaI(Tl)を突き抜ける陽子とを弁別できる特徴がある。この検出器の応答関数測定を米国ロスアラモス国立研究所のWNR施設を用いて、中性子エネルギーが100から350MeVの範囲で測定を行った。実験結果は粒子・重イオン輸送計算コードPHITSの計算結果とほぼ一致し、このホスウィッチ検出器は中性子測定において有用であることがわかった。
梶本 亮一; 望月 秀記*; 吉澤 英樹*; 新谷 寛*; 木村 剛*; 十倉 好紀*
Journal of the Physical Society of Japan, 74(9), p.2430 - 2433, 2005/09
被引用回数:35 パーセンタイル:78.97(Physics, Multidisciplinary)A型反強磁性秩序を示すPrMnOと長距離磁気秩序を示すTbMnO
のマグノン励起を中性子非弾性散乱実験によって調べた。LaMnO
の結果(K. Hirota
)も合わせて議論することで
イオンの違いによるスピン交換相互作用の系統的な変化を明らかにした。
イオンの半径が小さくなるにつれて
面内の最近接サイト間の交換相互作用は急激に減少し、TbMnO
では有限の次近接サイト間交換相互作用が存在する。対照的に
軸方向の交換相互作用の
依存性は非常に小さい。これらの結果は、
MnO
における磁気構造の変化は最近接サイト間相互作用と次近接サイト間相互作用の競合によって引き起こされるという説(T. Kimura
)と整合している。
梶本 亮一; 三井 由佳利*; 吉澤 英樹*; 阿曽 尚文*; 新谷 寛*; 木村 剛*; 十倉 好紀*
no journal, ,
MnO
は長周期磁気秩序相で強誘電性を示すことで最近注目されている。TbMnO
ではスピンは
=42Kで波数ベクトル
のサイン波的な非整合秩序を示すが、
Kでは磁気秩序が
の楕円型らせん秩序に変化するとともに強誘電性が生じる。われわれのこれまでの中性子散乱実験の結果、TbMnO
では10K(
)においてA型反強磁性のゾーン全体にわたって磁気励起が存在し、その分散関係は
(
はゾーン中心)の小さいところを除いて、最近接間相互作用と次近接間相互作用の競合を取り入れたハイゼンベルクモデルでよく記述できることがわかった。さらに、
の小さいところには複雑な構造の励起が存在していることがわかったが、分解能の不足のために詳細な構造は不明であった。今回、TbMnO
の
の小さい領域における磁気励起を、分解能の高い冷中性子を用いた中性子散乱実験によって観測した。その結果、10Kにおいて磁気秩序の波数付近で図のような3つの分散を持つ特異な励起が観測された。一番上の分散はゾーン中心からゾーン境界まで連続しているのに対し、他の2本は
で極小を持ち、
より
が大きくなるにつれ急速に強度を失う。この磁気励起は楕円型らせん秩序という特殊な磁気秩序に起因する可能性がある一方で、電気分極あるいはフォノンと結合した新規な励起である可能性も期待される。
梶本 亮一; 松田 雅昌; 武田 全康; 加倉井 和久; 三井 由佳利*; 吉澤 英樹*; 木村 剛*; 十倉 好紀*
no journal, ,
TbMnOは
Kでスピンが
軸方向を向いて波数
で変調するcollinearなサイン波的磁気秩序を示すが、
K以下では
面内で回転するらせん配列へと変化する。このとき、スピン変調の振幅の大きさは異方的で楕円形のらせん秩序を形成していると言われている。一方、
以下では自発電気分極を生じ、磁性との関係が注目されている。われわれはTbMnO
におけるスピン配列のサイン波秩序かららせん秩序への変化を詳細に調べるため、三次元偏極中性子解析装置CRYOPADを用いた偏極中性子回折実験を行った。磁気Bragg 反射
での中性子の偏極率
(入射中性子のスピンの向きが
、散乱中性子のスピンの向きが
のときの偏極率。
)を観測した結果、TbMnO
ではcollinearなスピン秩序が
で一度にらせんになるのではなく、温度の低下とともに徐々に「膨らんで」らせん秩序に変化していることがわかった。その変化の様子は
以下での自発電気分極の発達と対応しており、非常に興味深い。そして、楕円形のらせん秩序とは、完全な(円形の)らせん秩序になりきれなかったもの、と見ることができる。
梶本 亮一; 松田 雅昌; 武田 全康; 加倉井 和久; 三井 由佳利*; 吉澤 英樹*; 木村 剛*; 十倉 好紀*
no journal, ,
TbMnOは
Kでスピンが
軸方向を向いて波数
で変調するcollinearなサイン波的磁気秩序を示すが、
K以下では
面内で回転するらせん配列へと変化する。このとき、スピン変調の振幅の大きさは異方的で楕円形のらせん秩序を形成していると言われている。一方、
以下では自発電気分極を生じ、磁性との関係が注目されている。われわれはTbMnO
におけるスピン配列のサイン波秩序かららせん秩序への変化を詳細に調べるため、三次元偏極中性子解析装置CRYOPADを用いた偏極中性子回折実験を行った。その結果、TbMnO
ではらせん秩序のカイラリティの偏りはないこと,collinearなスピン秩序が
で一度にらせんになるのではなく、温度の低下とともに徐々にらせん秩序に変化し、最低温度でも完全な(円形の)らせん秩序になりきれずに楕円らせんとなることなどが明らかになった。さらに、
直下では楕円の長軸はほぼ
軸を向いているが、温度の低下とともに楕円は
面内で徐々に回転していることがわかった。自発電気分極の発達に伴う結晶構造の対称性の変化に対応していると思われるが、その起源の詳細については検討中である。
佐藤 大樹; 森口 大輔*; 中村 泰博*; 梶本 剛*; 上山 正彦*; 吉岡 正勝*; 古場 祐介*; 執行 信寛*; 魚住 祐介*; 松藤 成弘*; et al.
no journal, ,
放射線医学総合研究所の重イオン加速器と生体構成元素から成るターゲット材を用い、重イオン入射反応における中性子生成二重微分断面積を測定した。得られたデータは、入射エネルギーに相当する数百MeVから生物学的に重要なエネルギー領域である1MeV近傍まで幅広く含む。さらに、既存の実験データを再解析して利用することにより、系統的な断面積の評価を行った。既存の実験データは検出器の検出効率の見積もりに問題があるとされていたが、最新の検出効率計算コードを利用した解析により、断面積の過大評価が修正された。評価した断面積データを、重粒子線治療における線量評価への応用が検討されている各種シミュレーションコードの予測値と比較した。いずれのコードも前方角度領域への高エネルギー中性子の放出を再現できておらず、重イオン核反応模型に問題があることが指摘された。
佐藤 大樹; 執行 信寛*; 魚住 祐介*; 森口 大輔*; 梶本 剛*; 吉岡 正勝*; 上山 正彦*; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 松藤 成弘*; et al.
no journal, ,
重粒子線がん治療の普及に伴い、患者体内に入射した重イオンビームの核反応で生成される二次中性子の放射線影響に関心が集まっている。しかし、二次発がんの潜在的なリスク評価のために必要となる重イオンビームと生体構成元素との核反応に関する実験データは整備されておらず、放射線輸送コードの計算精度も実験データの不備から検証されていない。そこで本研究では、放射線医学総合研究所HIMAC加速器を利用し、重イオン入射反応における中性子生成二重微分断面積(DDX)の測定を進めている。人体を構成する元素は、おもに水素,炭素,窒素及び酸素であるが、治療に利用されている炭素ビームを用いた炭素ターゲットに対するデータは既に取得している。今回は、酸素ターゲットに対するデータ取得を目指した。実験では、酸素イオンビームを固体の炭素ターゲットに入射する測定を行い、逆反応解析により酸素をターゲットとしたDDXを導出する。バックグラウンドイベントの低減と測定システムの改善により、リスク評価において重要となる約1MeVを含む幅広いエネルギー領域での中性子を測定した。また、放射線輸送コードPHITSが前方角度領域の実験データを全体的によく再現していることを示した。
執行 信寛*; 魚住 祐介*; 梶本 剛*; 森口 大輔*; 上山 正彦*; 吉岡 正勝*; 古場 裕介*; 中村 泰博*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; et al.
no journal, ,
陽子や重イオンによるがん治療は、腫瘍への線量集中性の高さから注目を集めている。患者に陽子や重イオンを照射すると、患者体内の元素と原子核反応を起こしさまざまなエネルギーの中性子を生成するが、この中性子による患者への影響は十分に考慮されてこなかった。今後、治療の高精度化のためには、中性子に対する線量評価が重要となってくる。本研究では、重イオンがん治療で多く利用されている290MeV/uの炭素イオンを生体構成元素の一つである炭素ターゲットに入射し、原子核反応により生成される中性子の二重微分断面積(DDX)を測定した。実験は、放射線医学総合研究所HIMACにて行った。中性子検出器としてNE213シンチレータを採用し、測定角度は15, 30
, 45
, 60
, 75
及び90
とした。中性子の運動エネルギーは飛行時間法に基づき決定した。データ解析の結果、2.8MeV以上のエネルギーの中性子についてDDXデータを導出することができた。これは既存の実験データの下限エネルギーに比べ約1/5であり、生物学的効果を考察するうえで重要となる低エネルギー領域の中性子をほぼ測定できている。取得したDDXデータは、汎用粒子輸送コードPHITSの計算結果と比較した。両者は全エネルギー領域において良い一致を示した。PHITSは重イオン入射の原子核反応を記述するために量子分子動力学(QMD)モデルを採用しているが、このエネルギー領域におけるQMDモデルの妥当性が確認できた。