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日高 昭秀; 川島 茂人*; 梶野 瑞王*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(7), p.743 - 758, 2023/07
被引用回数:2 パーセンタイル:90.12(Nuclear Science & Technology)福島事故時に放出された放射性物質量の推定は、原子炉の事故進展や環境影響の評価にとって不可欠である。そこで、ヨウ素,Csに次いで放出量が多いTeについて、単位放出量を想定したメソスケール気象モデル計算で得られた時間ごとの沈着量に基づいて沈着量分布を重み付けする、単位放出回帰推定法を用いて検討した。前回の検討では、この手法の適用性確認に主眼を置き、発生源について暫定的な結果を得ることができた。しかし、その後の検討で、放出があったと思われる期間の一部が放出推定期間から欠落していると、ソースターム計算全体に歪みが生じることが判明した。このため、本研究では、推定期間を延長し、主要な放出を全て含むように再計算を行った。その結果、これまで特定されなかった放出事象が明らかになり、炉内事象との対応も確認できた。また、炉心注水時のZr被覆管完全酸化によるTe放出事象を考慮することにより、土壌汚染マップにおけるTe/Cs比の地域依存性を説明することができた。さらに、本検討に基づき、WSPEEDI逆計算では予測できなかった3月11日夜,13日,14日早朝にヨウ素とCsの放出が増加した可能性を指摘した。
高橋 千太郎*; 川島 茂人*; 日高 昭秀; 田中 草太*; 高橋 知之*
Nuclear Technology, 205(5), p.646 - 654, 2019/05
被引用回数:4 パーセンタイル:41.24(Nuclear Science & Technology)A simulation model was developed to estimate an areal (surface) deposition pattern of Te after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, and by using this model, timing and intensity of the release of Te were reversely estimated from the environmental monitoring data. The validation using data for Cs showed that the model simulated atmospheric dispersion and estimated surface deposition with relatively high accuracy. The estimated surface deposition pattern of Te was consistent with the actually measured one. The estimated time and activity of Te emission seemed to indicate that the Te was emitted mainly from Unit 3.
日高 昭秀; 川島 茂人*; 梶野 瑞王*; 高橋 千太郎*; 高橋 知之*
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時に炉心冷却で切り札となった消防車からの注水は、復水器に向かう配管に横抜けしてしまった結果、各原子炉にいつどれだけ水が入ったかは未だに不明である。一方、過酷事故時に燃料から放出されたTeの大部分は、未酸化のZr被覆管内面に一旦取り込まれ、炉心注水時のZr酸化に伴ってSnTeとして放出されることがORNL実験で報告されている。われわれは、文部科学省のTe土壌汚染マップとメソスケール気象モデル(WRF)を用いてTeの放出時間帯を推定し、その起源について格納容器の圧力や破損位置から検討した(Nuclear Technology, 2018)。上述したTe放出を勘案すると、先の検討で不明とした14日午前1時頃の放出は1号機からの放出として説明がつく。また15日午前6時頃のTe放出は3号機からであり、その時にZr酸化で生成した水素が4号機水素爆発の直接的な原因になったと考えられる。
日高 昭秀; 川島 茂人*; 梶野 瑞王*; 高橋 千太郎*; 高橋 知之*
no journal, ,
環境測定データと大気拡散計算による従来の福島事故時のソースターム逆算は、点情報を用いた流跡線解析に基づく予測であり、陸風の場合の予測は困難であった。一方、本手法では、単位放出を仮定したメソスケール気象モデル(WRF)計算から得られる面的な毎時の沈着分布の結果を重みづけし、その合算結果と、文部科学省土壌汚染マップとの誤差を最小にするように重みづけすることにより、ソースタームを評価する。特徴として、陸風の場合でも微粒子の一部は陸側に戻ってくるためソースタームの予測が可能になる。本報では、過酷事故時に燃料から放出されたTeは、大部分が未酸化のZr被覆管内面に取り込まれ、炉心再注水時等にZr被覆管が完全酸化する直前にSnTeとして放出される現象を考慮し、3/11-3/15の時間帯について放出の推定を行った。その結果、各号機の最初の放出として、1号機(3/11、19時頃)、3号機(3/13、4時-6時)、2号機(3/14、19時頃)を予測できた。これらは、いずれも炉内熱水力トレンドから説明可能である。今回の結果は、ヨウ素とCsにおいても、従来評価されなかった3/11夕方遅く、3/12及び3/13の早朝に放出が増加したことを示唆している。