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山下 真一郎; 井岡 郁夫; 根本 義之; 川西 智弘; 倉田 正輝; 加治 芳行; 深堀 智生; 野澤 貴史*; 佐藤 大樹*; 村上 望*; et al.
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.206 - 216, 2019/09
福島第一原子力発電所事故を教訓に、冷却材喪失等の過酷条件においても損傷しにくく、高い信頼性を有する新型燃料の開発への関心が高まり、世界中の多くの国々において事故耐性を高めた新型燃料の研究開発が進められている。本プロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁からの委託を受けて2015年10月から2019年3月までの3年半の間実施され、新型燃料部材を既存軽水炉に装荷可能な形で設計・製造するために必要となる技術基盤を整備することを目的に、国内の軽水炉燃料設計,安全性評価,材料開発を実施してきた人材,解析ツール,ノウハウ、及び経験を最大限活用して進められてきた。本論文では、プロジェクトの総括として、各要素技術について3年半の研究開発の成果をまとめ、日本の事故耐性燃料開発の現状と課題を整理した。
坂本 寛*; 平井 睦*; 鵜飼 重治*; 木村 晃彦*; 山路 哲史*; 草ヶ谷 和幸*; 近藤 貴夫*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 7 Pages, 2017/09
本論文では、現在、経済産業省のプログラムにおいて進められている沸騰水型原子炉(BWR)用事故耐性FeCrAl-ODS燃料被覆管の開発の状況について概要を述べる。本プログラムでは、多種多様な内容の研究により、軽水炉において事故耐性燃料等を実用化するために必要な技術基盤を整備することが目的である。FeCrAl-ODS燃料被覆管の開発においては、実験研究と解析研究の両方を実施してきており、FeCrAl-ODS燃料被覆管の主要な材料特性に関しては、解析研究における評価を実験的にもサポートするために、本事業で製作した各種形状の試験片を用いてデータ取得やデータ拡充を行う。本事業では、機械的な特性に及ぼす中性子照射の影響を調べるために、米国オークリッジ国立研究所の高照射束炉(HFIR)を用いた中性子照射試験も実施している。
山下 真一郎; 永瀬 文久; 倉田 正輝; 野澤 貴史; 渡部 清一*; 桐村 一生*; 垣内 一雄*; 近藤 貴夫*; 坂本 寛*; 草ヶ谷 和幸*; et al.
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
我が国では、事故耐性燃料の技術基盤を整備するために2015年に軽水炉の事故耐性燃料等(ATFs)に関する研究開発プロジェクトが立ち上がった。日本原子力研究開発機構は、国内のプラントメーカ, 燃料メーカ, 大学等が有する国内軽水炉においてジルカロイを商用利用した際の経験、知識を最大限活用するために、これらの機関と協力して本プロジェクトを実施するとともに取りまとめを行っている。プロジェクトの中で検討されているATF候補材料は、微細な酸化物粒子を分散することで強化されたFeCrAl鋼(FeCrAl-ODS鋼)と炭化ケイ素(SiC)複合材料であり、通常運転時の燃料性能は同等かそれ以上で、事故時にはジルカロイよりも長い時間原子炉炉心においてシビアアクシデント条件に耐えることが期待されている。本論文では、日本のプロジェクトで実施中の研究開発の進捗について報告する。
高野 渉*; 草ヶ谷 和幸*; 後藤 大輔*; 坂本 寛*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
事故耐性燃料の一つである酸化物分散強化したFeCrAl鋼(FeCrAl-ODS)に着目した。FeCrAl-ODSは、BWRに適用できる見通しはあるものの、相対的に高い中性子吸収が補償されなければならない。我々は、中性子経済性に対するインパクトを減らすための薄肉FeCrAl-ODS被覆管を設計し、薄肉FeCrAl-ODS被覆管で構成される99型先進沸騰水型軽水炉(ABWR)バンドルを装荷した時の、炉心の特性を評価した。ウォーターロッドやチャンネルボックスにも薄肉FeCrAl-ODSを適用した。解析の結果、FeCrAl-ODS炉心反応度は、UO燃料を上限の5wt%までウラン濃縮度を増加させることで十分な値が得られることを確認した。さらに、幾つかの代表的なFeCrAl-ODSの炉心特性をジルカロイ炉心の時と比較し、通常時及び過渡時の薄肉FeCrAl-ODS被覆管の熱機械的挙動は許容できる範囲にあることも確認した。これらの結果から、本研究の解析条件の範囲においては、FeCrAl-ODSがBWRに適用できると結論される。
木村 晃彦*; 湯澤 翔*; 坂本 寛*; 平井 睦*; 草ヶ谷 和幸*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
接合による微細組織変化に焦点を当てた議論では、ODS鋼のPRW接合に及ぼすAl添加の効果がポイントとされている。FeCrAl-ODS鋼製の被覆管に対してSUS430製の端栓を接合する方法として、電子ビーム(EB)接合やタングステン不活性ガス(TIG)接合等を含む通常の接合方法も実施し、端栓を接合したODS鋼管材サンプルを室温で引張試験した。EB接合したFeCrAl-ODS/SUS430サンプルは、ODS鋼管の胴体部で破壊した。このことから、接合部はODS鋼管の胴体部よりも強度が高いことが示された。一方、TIG接合したFeCrAl-ODS/SUS430サンプルでは接合部で破壊した。接合部に対するX線CTスキャン解析を実施し、事故耐性燃料用ODS鋼被覆管に対する前述した幾つかの接合方法の実用性を評価するために、接合強度とX線CT解析結果の相関関係付けを実施した。
鈴木 元衛; 草ヶ谷 和幸*; 斎藤 裕明*; 更田 豊志
Journal of Nuclear Materials, 335(3), p.417 - 424, 2004/12
被引用回数:5 パーセンタイル:35.12(Materials Science, Multidisciplinary)燃料解析コードFEMAXI-6により、ハルデン炉でのリフトオフ実験を、測定された詳細な試験条件を用いて解析した。燃料棒内部の過圧による被覆管のクリープアウトの影響を分析するために、二種の仮定に基づいて計算した燃料中心温度が実測値と比較した。仮定(1)は、過圧による被覆管のクリープアウト期間中、ペレット-被覆管のボンディング層を通した高い熱伝達が維持される仮定、仮定(2)は、被覆管のクリープアウトによってボンディング層が破壊される仮定である。実測された中心温度上昇は、仮定(1)の計算結果より数十度高いが、この差は仮定(2)に基づく計算結果よりはるかに小さい。したがって、実測された中心温度上昇は、被覆管のクリープアウトにより引き起こされたペレット片の不規則な再リロケーションなどによる実効的熱伝達低下に起因すると考えることが適当である。
杉山 智之; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 笹島 栄夫; 永瀬 文久; 更田 豊志
JAERI-Research 2003-033, 76 Pages, 2004/01
低温起動時の反応度事故(RIA)条件下における燃料挙動を明らかにするため、燃焼度4145GWd/tUの沸騰水型原子炉(BWR)燃料のパルス照射実験を原子炉安全性研究炉(NSRR)において実施した。試験燃料棒は福島第一原子力発電所三号機で用いられたBWR88BJ(STEP I)型セグメント燃料棒を短尺加工したもので、NSRRにおいて約20ms以内の短時間に293607J/g(70145cal/g)の熱量が与えられた。その際、燃料棒被覆管はペレット・被覆管機械的相互作用により高速に変形したが、被覆管の延性が十分高く破損には至らなかった。被覆管周方向の塑性歪は最大部で1.5%に達した。被覆管温度は局所的に最大約600Cに達しており、X線回折測定の結果はパルス照射時の温度上昇により被覆管照射欠陥が回復したことを示していた。パルス照射による核分裂生成ガスの放出割合は、ピーク燃料エンタルピ及び定常運転条件に依存して、3.1%8.2%の値であった。
草ヶ谷 和幸*; 杉山 智之; 中村 武彦; 上塚 寛
JAERI-Tech 2002-105, 24 Pages, 2003/01
原研・原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いた反応度事故の模擬実験において、商用炉での燃料の使用温度・圧力を実現するための新たな実験カプセルを開発しているが、その強度設計に必要な知見として、試験燃料の破損時に発生する破壊力(衝撃圧力及び水撃力)に及ぼす高温・高圧の影響を検討した。破壊力に関する従来の知見、及び温度・圧力による蒸気の物性変化などを考慮すると、開発中のカプセルにおいて想定しているBWR運転条件下での衝撃圧力及び水撃力は、従来の実験条件である室温・大気圧条件下に比べ、ともに低下すると定性的に予測された。さらに、水撃力の大きさを決定付ける水塊速度の大きさについて、実験体系及び水撃現象をモデル化して定量的に評価した結果、BWR運転条件下における水塊速度の最大値は、室温・大気圧条件下の約1割にまで低下することがわかった。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 笹島 栄夫; 山下 利之; 上塚 寛
Journal of Nuclear Science and Technology, 40(1), p.30 - 38, 2003/01
被引用回数:4 パーセンタイル:31.58(Nuclear Science & Technology)3種類の未照射の岩石(ROX)燃料、すなわちイットリア安定型ジルコニア(YSZ)型,YSZ/スピネル微細混合型,スピネル中YSZ粒子分散型、の反応度事故(RIA)時挙動を調べるためのパルス照射実験をNSRRで実施した。ROX燃料はPuを効率良く消費し廃棄するためのオプションの1つとして開発が進められている。ROX燃料はUO燃料に比べて融点が低いため、被覆管の溶融破損が生じる前に燃料の溶融が起こる。このため、燃料破損の影響はUO燃料とは全く異なる結果となった。ROX燃料が破損した際にはかなりの溶融燃料が冷却水中へ放出された。しかしながら、燃料/水熱的相互作用による機械的エネルギ発生は12GJ/m以下の体積当たりのエンタルピ範囲では生じなかった。他方、ROXの破損しきい値は10GJ/m以上であり、UO燃料と同等であった。これらの結果は、物性値の大きく異なる燃料の過渡挙動の相違に関して知見を与えるとともに、RIA時挙動で重要なパラメータを明らかにした。
山下 利之; 蔵本 賢一; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 白数 訓子; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 大道 敏彦*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(8), p.865 - 871, 2002/08
被引用回数:25 パーセンタイル:81.32(Nuclear Science & Technology)余剰プルトニウムの効率的な利用と廃棄のための新しいオプションを提案するため、岩石型プルトニウム燃料とその軽水炉中での燃焼技術に関する研究を行った。岩石型燃料はイナートマトリクス燃料の一種で、安定化ジルコニア,スピネルやコランダムなどの鉱物類似化合物から構成される。重核分裂片による照射損傷を軽減するため、粒子分散型燃料を考案した。照射試験により、スエリング,ガス放出,微細組織変化に関する知見が得られた。岩石型プルトニウム燃料装荷炉心が有する本来的な短所は、ウランやトリウムなどの共鳴物質を添加することで改善され、改善炉心の過渡時における特性は通常の軽水炉炉心と同等となった。反応度事故条件下における岩石型燃料棒の破損しきい値は軽水炉燃料と同等であることが、パルス照射試験により確認された。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 更田 豊志; 上塚 寛
Nuclear Technology, 138(3), p.246 - 259, 2002/06
被引用回数:32 パーセンタイル:86.72(Nuclear Science & Technology)燃焼度56~61GWd/tUのBWR燃料のパルス照射実験をNSRRで実施し、冷態起動時からの反応度事故時の燃料挙動を調べた。この実験では福島第二原子力発電所2号機で照射された燃料を短尺に加工し、272~586J/g(651~40cal/g)の発熱を瞬時に与えた。BWR燃料被覆管の変形はPWR燃料に比べて小さかったものの、燃焼度61GWd/tUの燃料を用いた実験では、被覆管温度が上昇する以前の過渡実験の早い時点で燃料破損が生じた。破損時の燃料エンタルピは260~360J/g(62~86cal/g)であった。これらの実験で見られたBWR燃料の破損は、外周部に水素化物が多く析出し脆化した被覆管がペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI)により破損したPWR燃料実験と類似している。FPガスの過渡放出は、燃料エンタルピに依存し、9.6~17%に達した。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 吉永 真希夫; 上塚 寛
JAERI-Research 2001-054, 49 Pages, 2001/12
冷温起動時の反応度事故を模擬した条件で高燃焼度BWR燃料をパルス照射し、燃料の温度,変形,破損,FPガス放出挙動を調べた。本研究で用いた燃焼度56GWd/tUまでの国産BWR燃料では、被覆管の水素吸収量は約100ppm以下であり脆化が小さいため、ピーク燃料エンタルピ607J/g(145cal/g)までの実験条件の範囲ではペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI)による被覆管の脆性的な割れ(PCMI破損)は生じなかった。さらに燃焼度の高い燃焼度61GWd/tUのBWR燃料では、水素吸収量が150ppmを超え、燃料エンタルピ260~360J/g(62~86cal/g)でPCMI破損が生じた。この高燃焼度BWR燃料の破損挙動は本実験により初めて見いだされたものである。また、照射後試験の結果、BWR燃料では水素化物分布が比較的ランダムに分布していたためPWR燃料に比べて低い水素吸収量で破損が生じたものと判断された。また、実験と解析コードによる計算結果の比較により、PCMI破損をもたらす被覆管の変形は主にペレットの熱膨張によってもたらされること、被覆管の温度が上昇した場合にはFPガスによる変形が顕著になることなどが明らかになった。
草ヶ谷 和幸*; 中村 武彦; 吉永 真希夫; 小此木 一成*; 上塚 寛
JAERI-Research 2001-010, 44 Pages, 2001/03
2種のジルコニア型岩石燃料の反応度事故条件下における挙動を原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いたパルス照射実験により調べた。その結果、これらの燃料の破損しきいピーク燃料エンタルピ(単位燃料体積あたり)は、ともに10GJ/m以上で、UO燃料のそれと同等あるいはそれ以上であることがわかった。しかし、これらの破損形態はUO燃料とは異なり、燃料ペレットの大半の溶融及びその破損開口部から冷却水中への放出が見られた。高温に達し強度の低下した被覆管が内圧により破裂したものと推察される。燃料の放出に伴う機械的エネルギーの発生は、本実験の範囲(12GJ/m以下)では観測されなかった。
中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 吉永 真希夫; 上塚 寛; 山下 利之
Progress in Nuclear Energy, 38(3-4), p.379 - 382, 2001/02
被引用回数:8 パーセンタイル:52.25(Nuclear Science & Technology)イットリア安定化ジルコニア(YSZ)及びYSZ/スピネル型の岩石型(Rock-like Ocide: ROX)燃料の反応度事故時挙動を調べるため、パルス照射実験をNSRRで実施した。ROX燃料の破損は、体積エンタルピ10GJ/m以上の実験で被覆管の破裂により生じた。破損しきい値は体積エンタルピで見るとUO燃料と同等であった。しかしながら、ROX燃料の破損は、かなりの燃料溶融を伴っており、被覆管の溶融及び酸化脆化に起因するUO燃料の破損とは大きく異なっていた。低いROX燃料の融点の影響が破損モードの違いに表れているものと思われる。ROX燃料は破損時に溶融した燃料のかなりの部分が噴出した。しかし、溶融燃料と水の相互作用による機械的エネルギ発生は12GJ/m以下の実験では見られなかった。
山下 利之; 蔵本 賢一; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 二谷 訓子; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 大道 敏彦*
Proceedings of Workshop on Advanced Reactors with Innovative Fuels (ARWIF 2001) (CD-ROM), 10 Pages, 2001/00
軽水炉で余剰Puを燃焼させる岩石型燃料軽水炉燃焼システムは、Puのほぼ完全な燃焼と使用済燃料の直接処分を特徴とする。岩石型燃料は安定化ジルコニア(YSZ)とスピネルまたはアルミナから構成される燃料で、PuはYSZ中に固溶させる。YSZは不活性マトリクスとして優れた特性を有するが、熱伝導率が低い。これを補うためスピネルやアルミナとの混合物を用いる。照射損傷領域を低減させるためYSZ粒子をスピネルまたはアルミナマトリックス中に均質分散された粒子分散型燃料を開発した。粉末混合型及び粒子分散型燃料の照射結果を概括・報告する。また、岩石型燃料は高いPu消滅率を達成できる反面,燃料温度係数が極端に小さい。これを改善する方法としてU,Th,Er等の共鳴核種の添加が有効であることを示した。反応度事故条件下での燃料破損しきい値はNSRR実験より、現行のUO燃料と同等以上であることがわかった。
更田 豊志; 中村 武彦; 草ヶ谷 和幸*; 笹島 栄夫; 上塚 寛
NUREG/CP-0172, p.191 - 203, 2000/00
NSRRにおける高燃焼度BWR燃料実験の最近の成果を報告するとともに、PWR燃料実験との比較を通じて、反応度事故条件下における高燃焼度燃料の破損機構について論じる。燃焼度56GWd/t以下のBWR燃料では、被覆管/燃焼ペレットの間隙がPWR燃料に比べて大きいこと、被覆管の水素吸収量が比較的小さいことなどから、破損に至るまでの裕度がPWR燃料に比べて大きいことを確認していたが、より燃焼度の高い燃料(61GWd/t)を対象とした2回の実験において、BWR燃料としては世界初の破損例を得た。両実験では燃料エンタルピが260J/g及び293J/g上昇した時点で燃料破損に至っており、燃料棒の分断、ペレットの微粒子化などが観察されている。この燃焼度範囲に至ると、被覆管内面と燃料ペレット表面との固着(ボンディング)が生じており、燃料ペレットの変形が直接的に被覆管に加わったことなどが、破損を生じた一因となっているものと推察される。
山下 真一郎; 近藤 啓悦; 青木 聡; 橋本 直幸*; 鵜飼 重治*; 坂本 寛*; 平井 睦*; 木村 晃彦*; 草ヶ谷 和幸*
no journal, ,
軽水炉の安全性向上に資する事故耐性を高めた新型燃料部材の研究開発が進められている。有力な候補材料の一つとして検討されているFeCrAl-ODS鋼では、材料開発と並行して炉心設計等に必要となる種々の材料特性データを計画的に整備していく必要がある。本研究では、FeCrAl-ODS鋼の試験炉照射に向けた照射特性の予備評価を目的に、イオン照射した試験片の硬さ測定と組織観察を実施した。硬さ変化はイオン照射初期(0.5dpa)から見られたのに対し、照射欠陥クラスターの形成・成長は照射初期(0.5dpa)にはあまり見られず、より高い照射量(5.0dpa)で顕在化した。
草ヶ谷 和幸*; 高野 渉*; 後藤 大輔*; 坂本 寛*; 平井 睦*; 山下 真一郎
no journal, ,
改良ステンレス鋼(FeCrAl-ODS鋼)被覆管燃料の実用化には、FeCrAl-ODS鋼の材料特性、及び、大きな中性子吸収断面積による核的損失とその低減のための被覆管薄肉化の影響を考慮し、原子炉の運転における炉心・燃料の設計要求を満足することを確認する必要がある。前報では、現行99燃料の約1/2の被覆管厚(0.35mm)のFeCrAl-ODS鋼被覆管燃料について、ウォーターロッド(WR)とチャンネルボックス(FCB)にZryまたはSiCを用いた場合、炉心特性と燃料挙動の観点から設計が成立することを確認した。本報では、WRとFCBにもFeCrAl-ODS鋼を用いた場合の設計成立性を評価した。
坂本 寛*; 平井 睦*; 鵜飼 重治*; 木村 晃彦*; 山路 哲史*; 草ヶ谷 和幸*; 近藤 貴夫*; 井岡 郁夫; 山下 真一郎; 加治 芳行
no journal, ,
事故耐性を有するBWR燃料被覆管材料としてFeCrAl-ODS鋼を開発している。平成27年度は各種解析に必要な材料物性データを取得すると共に、現行性(Zry材)をFeCrAl-ODS鋼等に置換した各種解析により炉心の成立性、設計成立性の確保、事故及び過酷事故時における自己進展緩和効果を確認した。本発表では、平成28年度に実施した照射試験を含むより総合的な取り組みにより得られた成果の概要を紹介する。
山下 真一郎; 井岡 郁夫; 根本 義之; 川西 智弘; 倉田 正輝; 加治 芳行; 深堀 智生; 野澤 貴史*; 佐藤 大樹*; 村上 望*; et al.
no journal, ,
事故耐性燃料(ATF)の技術基盤の確立を目指した研究開発プログラムが2015年に開始された。このプログラムでは、これまでに商用化された軽水炉の燃料や炉心の研究開発や実際の設計・評価の経験を最大限に活用するために、研究開発をプラントメーカー, 燃料メーカー, 国立研究機関, 大学と協力して進めてきた。これまでにATF候補材料として検討されてきた材料の中において、特にSiC複合材料とFeCrAl-ODS鋼は、高温特性と水蒸気酸化特性の観点で非常に魅力的な材料である。本プレゼンテーションでは、既存軽水炉で使用されているジルコニウム合金とATF候補材料のシビアアクシデント時における燃料ふるまいの違いの議論を踏まえつつ、ATF開発の進捗概要や使用可能なデータがどの程度存在するのか?材料挙動や特性の妥当性をどの程度か?について紹介する。最終的には、ATFの実用化に向けて残されている課題についても言及する予定である。