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桑田 遥*; 御園生 敏治; 藤原 健壮; 武石 稔; 眞鍋 早知*; 北村 哲浩
Radiation Environment and Medicine, 9(1), p.28 - 34, 2020/02
水生生物のトリチウム分析は、福島で扱われる重要な主題の1つである。しかしながら、トリチウムを測定する従来の方法は複雑な前処理手法が必要であり、熟練した技術と時間が必要である。このため、福島県沿岸の水産物のトリチウムに関する報告はほとんどない状況である。ここでは、水生生物への影響を理解するために、2015年から2018年に福島の沿岸で採取したヒラメの組織自由水トリチウム(TFWT)および有機結合トリチウム(OBT)を測定した。まず、測定には従来の方法を使用し、その後、凍結乾燥と燃焼水の回収プロセスを変更することにより、従来の手方法を短縮しようと試みた。両方の方法の測定結果は、ヒラメのTFWTとOBTのほとんどが検出限界または定量限界よりも低く、人間への影響は無視できると考えられることを示した。
眞鍋 早知; 松原 菜摘; 三枝 純; 武石 稔
KEK Proceedings 2016-8, p.281 - 285, 2016/10
環境試料中の有機結合型トリチウム(以下、OBT)を分析するために必要な前処理法として石英管燃焼法と迅速燃焼装置を用いた手法がある。東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、海産物中のOBTを迅速に評価することが求められており、このためには前処理に要する時間の短縮や操作性の向上等が必要である。そこで、迅速燃焼装置を用いた前処理のうち、燃焼過程について試料の形状や供試量を変化させ、燃焼水の収量、回収率を整理・検討した。
眞鍋 早知; 武石 稔
no journal, ,
有機結合型トリチウム分析の迅速化のため、試料乾燥条件と迅速燃焼装置(Parr Model 1121 1,850mL(以下、チェンバ))を用いた燃焼条件と燃焼水量について検討した。ヒラメの可食部をミンチ状・ブロック状に処理して凍結乾燥で恒量まで乾燥した場合、また、凍結乾燥を途中まで行い引き続き加温乾燥で恒量まで乾燥した場合の乾燥率・所要時間について検討した。チェンバを用いた検討では試料形状をミンチ状・ブロック状にした場合、また、供試量を7.010gに変化させて燃焼した場合における回収燃焼水量の変動について検討したので、以上の結果を併せて報告する。
三枝 純; 柳澤 華代; 山口 敏夫; 眞鍋 早知; 依田 朋之; 前田 智史; 内海 あずさ; 柴道 勝; 江尻 明; 栗田 義幸; et al.
no journal, ,
原子力機構は2011年6月に福島市内に活動拠点を設け、環境放射線(能)モニタリングや環境回復活動を実施してきた。2012年9月には福島市笹木野地区に分析所(笹木野分析所)を開設し、環境試料の放射能分析を行うための体制を整えてきた。このうち、線スペクトロメトリに基づく放射能定量について、2015年10月にISO/IEC17025国際標準規格に基づく試験所としての認定を得た。本発表では当分析所の目的、保有機器、業務の概要、分析の信頼性向上に向けた各種取り組みについて紹介する。
眞鍋 早知; 内海 あずさ; 松原 菜摘; 三枝 純; 武石 稔
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故で放出された放射性核種の中でも、Sr及びHは半減期が28.8年及び12.3年と比較的長い核種である。Srは生体内に取り込まれると骨に蓄積されやすく、事故当時、Cs等と同様に環境中に放出されたことが報告されている。Hは主に水(HO)の状態で汚染水中に含まれ、汚染水からの除去は困難である。また、Hの実効線量係数は生体内の、Hの存在形態によって大きく異なるため、存在形態別にH濃度を測定する必要がある。そのため、これらの核種に関しては継続的な監視が必要であるが、Sr分析及び生体組織中のH分析共に、従来の分析法では非常に時間が掛かり、一度に処理できる試料数も限られている。本件では、これらの分析法を導入・迅速化し、福島における環境試料の分析、特に農産物や海産物のモニタリングに適用する事を目的に、各分析法の検討を行った。
桑田 遥*; 萩原 大樹; 柳澤 華代*; 眞鍋 早知*; 武石 稔; 渡辺 均; 植頭 康裕
no journal, ,
Tritium is included in liquid waste from Tokyo Electric Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, but concentrations of it in marine products and seawater have differences. Furthermore, concentrations of Organically Bound Tritium (OBT) and Tissue Free Water Tritium (TFWT) in marine products also have differences. Therefore, it is important to distinguish OBT from TFWT in marine products. A chemical procedure of OBT analysis needs very long time because a pretreatment process is complicated. Thus, a rapid analytical method for OBT in marine products was developed by Japan Atomic Energy Agency (JAEA). Due to this new methods of freeze-drying combined heating-drying, an analysis time is shorter than a conventional method from 14 to 7 days. The concentrations of TFWT and OBT in the flatfish sample which was caught near the Power Station were less than a detection limit (5, 0.5 Bq.kg, respectively).
眞鍋 早知; 松原 菜摘; 三枝 純; 武石 稔
no journal, ,
現在、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う汚染水中のトリチウムについては、分離が困難であることから処理方法が定まっていない。トリチウムは他の放射性核種に比べ被ばく線量への寄与は小さいものの、漏えい等に伴う風評被害を防止するためには、多種、多数の海産物中のトリチウム濃度を迅速、正確に測定することが重要である。なお、海産物中のトリチウムには体液などにトリチウム水として存在する組織自由水中トリチウム(TFWT)、有機物の炭素や酸素と結合している有機結合トリチウム(OBT)がある。またOBTも結合力の弱いO-H等として結合している交換型OBT、結合力の強いC-H等として結合している非交換型OBTの2つに分類される。これらTFWT, 全OBT, 非交換型OBTを迅速に分析する方法を検討した。通常、分析測定に掛かる期間は1試料につき既存法ではTFWT: 約1ヶ月、全OBT:約2ヶ月、非交換型OBT:約3ヶ月を要する。そこで分析測定に掛かる期間を短縮するため、(1)環境試料を組織自由水と乾燥試料に分離回収する手法を凍結乾燥のみではなく、加温を取り入れた方法、(2)乾燥試料を燃焼する際の供試量と水の生成量の関係について検討した。その結果、測定に十分な試料水を従来よりも短い時間で回収するための基礎データが得られたので報告する。
桑田 遥*; 萩原 大樹; 柳澤 華代; 眞鍋 早知*; 武石 稔; 渡辺 均; 植頭 康裕
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所からの排水にトリチウムが含まれるが、海水中と海産物中のトリチウム濃度は異なる可能性がある。そのため、海産物に取り込まれた有機結合型トリチウム(OBT)と組織自由水(TFWT)トリチウムを区別して評価することが重要である。OBT分析は、前処理工程が複雑なため非常に長い分析時間を要する。そこで海産物中のOBTの迅速分析法を開発した。本法では、従来の乾燥工程とは異なる凍結乾燥に加温乾燥を組み合わせた手法により、乾燥工程及び試料形状の検討を行った。凍結乾燥は組織自由水の回収率が約70%以上になるまで行い、前日との重量の比が1.0%未満になるまで加温乾燥を行った。これらの結果、乾燥工程に要する時間が約14日から約7日に短縮した。供試料量を減らしたところ、乾燥時間は4日程度であった。乾燥に要した時間について、試料形状はミンチ、ブロックともに差異は認められなかった。しかし、迅速試料燃焼装置の燃焼において、ミンチ状よりもブロック状にしたほうが燃焼水量も多く、燃焼の残存物も少ないためブロック状の試料が適していることが分かった。なお、本法における定量下限値はTFWTが0.84Bq/kg・生、OBTが0.15Bq/kg・生であった。