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渡邊 隆広; 奈良 郁子*; 松中 哲也*; 箕浦 幸治*; 掛川 武*; 山崎 慎一*; 土屋 範芳*; 中村 俊夫*; Junbo, W.*; Liping, Z.*
no journal, ,
湖沼堆積物や石筍試料を用いた高時間解像度(百年から千年スケール)での古環境変動に関する成果がこれまでに報告されている。特に、将来の表層環境や水循環の変動を推測するために、化学組成や同位体組成などの地球化学的手法を用いた過去のモンスーン活動の変遷に関する研究が進められている。過去のモンスーン活動、およびその変動メカニズムの把握に必要な研究対象地域として、日本を含む東アジアなどに加えて、チベット高原が注目されている。しかし、チベット高原における高時間解像度での環境変動解析例は極めて少ない。したがって、本研究ではチベット高原の湖沼堆積物の平均粒径および無機化学組成から推定された過去のモンスーン変動について周期解析を実施し、他地域から得られている解析結果と比較した。本研究では完新世のモンスーン変動におおよそ1000年から1500年の周期が見られ、これまでに報告されている東アジアおよび西アジアの石筍の酸素同位体比から推定されている気候変動の特徴とよく一致した。
奈良 郁子*; 山崎 慎一*; 渡邊 隆広; 土屋 範芳*; 宮原 ひろ子*; 加藤 丈典*; 箕浦 幸治*; 掛川 武*
no journal, ,
地質試料や湖沼堆積物試料を用いて過去の環境変動を推定するためには、物質の循環と供給源を把握する必要がある。本研究ではロシアのバイカル湖から採取した堆積物の無機化学分析を実施した。特に、ルビジウム、ストロンチウムおよびカリウムの相対量から、バイカル湖の集水域での冬季東アジアモンスーンによる水循環変動、化学風化、物質循環、および物質の供給源の推定を試みた。本研究で得られたバイカル湖のルビジウム/ストロンチウム比の変動は、既報である中国のレス堆積物から推定されている冬季東アジアモンスーンの変動とよく一致した。したがって、湖沼堆積物中のルビジウム/ストロンチウム比は過去の冬季東アジアモンスーン変動の指標となることが示唆された。