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内田 俊介*; 森島 祐介*; 廣瀬 達也*; 宮澤 孝裕*; 佐藤 智徳; 佐藤 義之*; 和田 陽一*
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(5), p.758 - 766, 2007/05
被引用回数:5 パーセンタイル:37.19(Nuclear Science & Technology)過酸化水素及び酸素の腐食電位(ECP)及び周波数依存複素インピーダンス(FDCI)の差異を評価するため、Pt擬似参照電極を用いた分極特性測定系を構築し、高温純水中でのステンレス鋼の分極特性を測定した。その結果、過酸化水素雰囲気では、カソードだけではなく、アノード分極電流も濃度依存性を有し、濃度とともに電流値が増大していくことが確認された。また、ECPの濃度依存性に関して、酸素では、カソード電流の酸素濃度依存性によりECPが変化するが、過酸化水素雰囲気では、アノードの濃度依存性とカソードの濃度依存性の両方が寄与するため、比較的低濃度から、一定値を維持することが確認された。
内田 俊介; 佐藤 智徳; 柿沼 永郎*; 宮澤 孝裕*; 佐藤 義之*; Mkel, K.*
ECS Transactions, 2(25), p.39 - 50, 2007/00
沸騰水型原子炉の1次系における腐食環境は酸素,過酸化水素、もしくはほかの腐食性放射線分解生成種により決定される。共存酸素濃度を最小化した状態で過酸化水素濃度を制御可能な高温高圧水ループ装置を腐食環境における過酸化水素の役割を評価するために作成し、酸素及び過酸化水素を含む高温水中に浸漬させたステンレス鋼の腐食における静的挙動として腐食電位(ECP)を、動的挙動として周波数依存複素インピーダンス(FDCI)を測定した。同時に高温水中において試験片表面に形成される酸化被膜の電気抵抗を測定により同定した。高温水中における測定により、過酸化水素濃度がECP測定とFDCI測定の複合測定により決定可能であることを確認した。この過酸化水素濃度のデータは、原子炉の炉内構造材の応力腐食割れの発生や進展挙動の評価に役に立てることができる。
佐藤 智徳; 内田 俊介; 塚田 隆; 森島 祐介*; 宮澤 孝裕*; 佐藤 義之*
Proceedings of International Conference on Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 2006 (CD-ROM), 6 Pages, 2006/10
過酸化水素及び酸素の腐食電位(ECP)及び周波数依存複素インピーダンス(FDCI)の過酸化水素及び酸素濃度依存性のより詳細な評価のため、酸素もしくは過酸化水素を含む高温純水中におけるステンレス鋼の分極特性を測定した。純水は非常に電気抵抗が高く、この抵抗による電極間での電圧降下が試験に影響する。本研究では、ステンレス鋼試験片のごく近傍に擬似参照電極を設置することで、測定時に電流の流れる経路を小さくし、電位効果の影響を低減させた。この実験結果より、酸素雰囲気では、従来より言われているように、アノード分極は変化しないことが確認されたが、一方で過酸化水素雰囲気ではカソード電流とアノード電流の両方が濃度依存性を示した。これはアノード電流への過酸化水素の酸化反応の寄与によるものであることが推察された。また、過酸化水素雰囲気でのECP応答の濃度依存性がアノードとカソードの濃度依存性によるものであることが確認された。
内田 俊介; 佐藤 智徳; 塚田 隆; 佐藤 義之*; 宮澤 孝裕*; 寺地 巧*; 和田 陽一*; 細川 秀幸*
Proceedings of International Conference on Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems 2006 (CD-ROM), 6 Pages, 2006/10
高温水中でのステンレス鋼の腐食特性評価のため、過酸化水素及び酸素を含む高温水中でのステンレス鋼の腐食電位(ECP)及び周波数依存複素インピーダンス(FDCI)を測定した。また、浸漬後の試験片表面の酸化被膜の多元分析を実施した。結果を以下に示す。(1)過酸化水素雰囲気でのステンレス鋼のECPは同程度の酸素雰囲気でのものより高い値であった。また、過酸化水素100ppbでのECP飽和値と10ppbでのECP飽和値はほぼ等しい値を示した。過酸化水素と酸素を共存させた条件でのECP応答は、過酸化水素のみ含む高温水中でのそれとほぼ等しくなった。(2)FDCI測定より、過酸化水素雰囲気での高い被膜電気抵抗値が推定され、それは、被膜電気抵抗の直接測定により確認された。(3)過酸化水素雰囲気では、ヘマタイトを含み、Crは単調減少するような被膜が形成されるのに対し、酸素雰囲気ではCrリッチでマグネタイト主体の被膜が形成されることを確認した。(4)100ppb過酸化水素雰囲気に浸漬させた試験片表面の酸化被膜厚さは、被膜溶解の濃度依存性により、10ppb過酸化水素雰囲気でのものより薄くなることを、表面分析及びFDCI測定により確認した。
宮澤 孝裕*; 寺地 巧*; 内田 俊介*; 佐藤 智徳; 塚田 隆; 佐藤 義之*; 和田 陽一*; 細川 秀幸*
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(8), p.884 - 895, 2006/08
被引用回数:65 パーセンタイル:96.73(Nuclear Science & Technology)BWR水質条件でのステンレス鋼の腐食挙動を理解するために、過酸化水素、及び酸素を含む高温水中に浸漬されたステンレス鋼試験片の表面酸化被膜を多元分析し、評価した。その結果、以下のことが確認された。(1)酸化被膜は2層構造を持ち、100ppb HOに浸漬された試験片の外層被膜は、コランダム型のヘマタイト粒子で、内層はニッケルリッチなスピネル型のマグネタイトで構成されていることが確認された。200ppb Oでは、外層は大きなマグネタイト粒子で、内層はクロムリッチなスピネル型のマグネタイトであった。(2)外層被膜を形成する酸化物粒子の粒子径と数密度は酸化種濃度により変化する。その平均粒径は酸化種濃度が増加するにつれ小さくなる。(3)高い過酸化水素濃度での大きな被膜溶解速度がより薄い被膜とより小さい粒子径の要因である。
内田 俊介*; 佐藤 智徳; 森島 祐介*; 廣瀬 達也*; 宮澤 孝裕*; 柿沼 永郎*; 佐藤 義之*; 臼井 直志*; 和田 陽一*
Proceedings of 12th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems-Water Reactors (CD-ROM), p.19 - 29, 2005/00
沸騰水型原子炉(BWR)の冷却水には水の放射線分解により生成した過酸化水素と酸素が混在していることが指摘されているが、ステンレス鋼の腐食や応力腐食割れに及ぼす過酸化水素の影響に関するデータは少ない。本研究では、過酸化水素及び酸素を含む、BWRを模擬する高温高圧水に浸漬されたステンレス鋼の静的,動的挙動を周波数依存複素インピーダンス(FDCI)及び腐食電位(ECP)測定により評価した。試験片の表面被膜の多元分析(LRS, SIMS, XPS, 接触電気抵抗測定など)を実施した。その結果、以下が確認された。(1)BWRの通常水質(NWC)が100pp HOにより模擬され、水素注入(HWC)は10ppb HOにより模擬できる。(2)HWC下でのECPはNWCと同様に高いが、酸化被膜の溶解はNWCより大変小さい。(3)NWCとHWCの同レベルのECPは被膜の電気抵抗と溶解の複合効果による。(4)100ppbHOに浸漬された試験片の明らかな質量減少が得られた。これらより、BWRの1次冷却水の腐食環境が過酸化水素により決定され、その評価指標がECPだけでは不十分であることが確認された。
佐藤 智徳; 内田 俊介; 柿沼 永郎*; 宮澤 孝裕*; 佐藤 義之*; 塚田 隆
no journal, ,
ステンレス鋼の高温水中での腐食には、表面に形成される酸化被膜が影響する。これまで、複素インピーダンス測定と腐食電位(ECP)測定により、酸素と過酸化水素雰囲気でのステンレス鋼の腐食の差異を評価し、その結果、酸素と過酸化水素では、被膜の電気抵抗もしくは溶解抵抗に顕著な差異があることが確認された。しかし、これまでの実験では、被膜の電気抵抗と溶解抵抗をそれぞれ独立に評価することが不可能であった。そこで、本研究では、ステンレス鋼の表面に形成される酸化被膜の電気抵抗を接触電気抵抗(CER)のin-situ測定を実施し、それぞれの浸漬条件における被膜の電気抵抗を直接的に評価した。また、浸漬温度を変化させ、CERの温度依存性を導出し、過酸化水素雰囲気と酸素雰囲気で形成される被膜の性状の差異を評価した。
佐藤 智徳; 内田 俊介; 柿沼 永郎*; 宮澤 孝裕*; 佐藤 義之*; 塚田 隆
no journal, ,
ステンレス鋼の高温水中での腐食には、表面に形成される酸化被膜が影響する。これまで、複素インピーダンス(FDCI)測定と腐食電位(ECP)測定により、酸素と過酸化水素では、被膜の電気抵抗もしくは溶解抵抗に顕著な差異があることを確認した。本研究では、ステンレス鋼の表面に形成される酸化被膜の電気抵抗のin-situ測定を実施し、それぞれの浸漬条件における被膜の電気抵抗を直接的に評価した。その結果、FDCIにおいてこれまで同様、低周波数側半円に大きな半円が確認されたが、一方で被膜の電気抵抗は288Cで約2kであった。これより、FDCIの低周波数側半円の主要因が溶解抵抗であること,FDCIにおけるHO濃度依存性はおもに溶解抵抗に表れることが確認された。