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論文

J-PARC初段加速器試験装置における人員保護システムの高度化

地村 幹; 渡邉 和彦*; 高橋 博樹; 平野 耕一郎; 神藤 勝啓; 北村 遼; 川瀬 雅人*; 鈴木 隆洋*; 森下 卓俊

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.709 - 713, 2026/03

大強度加速器施設J-PARCでは、加速器最上流部にあたる初段加速器とその周辺装置の性能確認をオフラインで行うため、初段加速器試験装置が設けられている。本装置には、使用に係る安全対策として人員保護システムが構築され、作業を行う人員の安全が保証されている。J-PARC加速器がさらなる高稼働率運転や性能向上を達成するために、今後は本装置を用いたより多様な調整を実施する必要があり、人員保護システムはそれらに適合できるように高い保守性を持つことが要求される。そこで 今回、本システムに混在していた配線や制御機器等のハードウェア構成を役割に応じて独立させることによって誤操作を防止するなどを実施し、健全性を担保しつつ保守性を向上させた。本発表では、J-PARC初段加速器試験装置における人員保護システムの高度化について、変更の方針や結果等について報告する。

論文

Study on radiation shielding design for the 50 Hz test beam dump at J-PARC

中野 秀仁; 山本 風海; 森下 卓俊; 岡部 晃大; 増川 史洋

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.775 - 778, 2026/03

J-PARCリニアックは繰り返し周波数25Hzで後段の3GeVシンクロトロンに負水素イオンビームを供給している。J-PARC加速器の将来計画の1つとして繰り返し周波数を50Hzに増強し、一部を陽子照射利用する計画が検討されている。新しいビームラインを増設するにあたり、ビーム試験を行うためのビームダンプが必要となる。陽子照射計画に必要な新しいビームダンプに求められる容量は約5Wである。本研究では、新ビームダンプについてダンプのモデルを作成し、モンテカルロ計算コードPHITSでこのビームダンプの放射線シミュレーションを行った。リニアックには既設の600Wの容量を持つビームダンプがあり、同様の放射線シミュレーションで比較した結果、同等の遮蔽性能で重量は約1/10程度に軽量化できることが分かった。本発表では以上の各シミュレーションや設計検討について報告する。

論文

ミューオン加速用Disk-and-Washer試作機の低電力試験

近藤 彩夏*; 飯嶋 徹*; 鷲見 一路*; 竹内 佑甫*; Cicek, E.*; 恵郷 博文*; 大谷 将士*; 中沢 雄河*; 二ツ川 健太*; 三部 勉*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.18 - 22, 2026/03

ミューオンの異常磁気能率および電気双極子能率は素粒子標準模型を超える新物理の寄与が期待される物理量である。J-PARCで計画しているこれらの精密測定実験では、ミューオンの冷却・加速によって生成する低エミッタンスビームを用いた新しい手法により、独立した検証を行う。ミューオン線形加速器は各速度域に適した4種類の高周波加速空洞で構成されており、その中でも光速の30%から70%の加速を担う中速度領域の加速器は設計・製作手法が未確立である。現在、中速度領域の加速器として、高い加速効率を持つディスクアンドワッシャ(DAW)型加速器に着目し開発を進めている。ミューオン加速用DAWは加速空洞であるタンクと、ビーム集束に用いる四重極電磁石の設置空間を確保しつつタンク間を電磁気的に結合するブリッジカップラから構成される。我々は先行研究で製作されたタンク試作機に加え、新たにブリッジカップラ試作機を設計・製作し、製作精度の評価と低電力試験を実施した。低電力試験では、共振周波数やQ値といった高周波特性の確認やビーズ測定による電磁場の測定を行い、Q値4500(計算値の50%)、電磁場平坦度10%の結果を得た。本講演では、電磁場解析コードによるブリッジカップラの設計と、試作機の製作精度・低電力試験について報告する。

論文

J-PARCリニアック50Hz運転検証試験

近藤 恭弘; 地村 幹; Cicek, E.*; 福井 佑治*; 二ツ川 健太*; 不破 康裕; 後藤 陸斗*; 平野 耕一郎; 石川 将樹*; 伊藤 崇; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.124 - 129, 2026/03

J-PARCリニアックではさまざまなアップグレード計画が進行中であり、その中でも繰り返し周波数倍増計画は最も重要なものである。現在、リニアックは400MeVの負水素イオンビームを、3GeVシンクロトロン(RCS)へ25Hzの繰り返し周波数で供給している。しかし、RCSと計画中の陽子ビーム照射施設の両方に同時にビームを供給するためには、繰り返し周波数を25Hzから50Hzに引き上げる必要がある。照射施設へのビームライン建設に先立ち、2025年5月に現状可能な範囲でのリニアック機器の50Hz動作検証を実施した。また、J-PARC加速器における最も重要な安全装置の一つである粒子数カウンターシステムについても、50Hz動作の検証を行った。その結果、重大な問題は確認されず、今後予定されている50Hzビーム加速実証に向けた準備が整った。本論文では、J-PARCリニアックにおけるビーム加速を伴わない50Hz動作実証の詳細について述べる。

論文

Progress in linac beam commissioning for high-intensity operations for J-PARC power upgrades

Liu, Y.*; 大谷 将士*; 宮尾 智章*; 中沢 雄河*; 柴田 崇統*; 南茂 今朝雄*; Fang, Z.*; 二ツ川 健太*; 福井 佑治*; 溝端 仁志*; et al.

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.855 - 857, 2025/11

The Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) has achieved stable 1 MW operation on its neutron target and is advancing toward higher power levels of 1.5 MW to support high-power MR operations and a second target station. This progression presents challenges, including increased intra-beam stripping (IBSt) of negative hydrogen ions, chop leakage from higher beam currents and emittance, low-energy beam loss due to halo formation, frontend fluctuations affecting beam transmission, and RF phase and amplitude fluctuations. To address these issues, a redesigned lattice mitigates IBSt, a new MEBT1 improves chopping and collimation, and machine learning-based compensation schemes manage frontend and RF fluctuations. Additionally, longitudinal and transverse matching schemes enhance beam quality, validated through benchmarked longitudinal measurements. Results from studies at 50 mA and 60 mA beam currents demonstrate significant progress in overcoming these challenges.

論文

Development of the diagnostic and transport beamline for the muon linac low-velocity section

中沢 雄河*; Cicek, E.*; 石田 勝彦*; 二ツ川 健太*; 下村 浩一郎*; 大谷 将士*; 木村 眞人*; 上岡 修星*; 山崎 高幸*; 三部 勉*; et al.

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.1163 - 1166, 2025/11

大強度陽子加速器施設(J-PARC)では、ミューオンの異常磁気モーメントと電気双極子モーメントを精密に測定する新しいアプローチとして、線形加速器(リニアック)を用いた低エミッタンスミューオンビームを提案している。低エミッタンスのミューオンビームは、構造物を透視する非破壊イメージング技術のための新しいプローブとしても採用できる。ミューオンリニアックの低速部では、高周波四重極リニアック(RFQ)と交差櫛形Hモードドリフトチューブリニアック(IH-DTL)を用いて、324MHzの加速周波数でそれぞれ$$beta$$=v/c=0.08と0.28までミューオンを加速する。建設コストを削減するため、IH-DTLはRF電場から得られる横方向の集束力を利用する交番位相集束(APF)法を採用する。APF方式は、横方向と縦方向のアクセプタンスを同時に制限するため、ビームのミスマッチに由来するエミッタンスの増大を抑制するためには、慎重なビーム診断とコミッショニングが不可欠である。粒子シミュレーションの結果、適切なビームマッチングを行うことにより、ビームの質を示す指標である規格化rmsエミッタンス0.3$$pi$$-mm-mrad、最下流の検出器までの透過率97%が得られることが分かった。本論文では、この粒子シミュレーションの結果と、低速部の診断ビームラインおよび輸送ビームラインの開発状況について述べる。

論文

Phase space measurements of 90 mA and 52.5 keV H$$^-$$ ion beam at J-PARC frontend

柴田 崇統*; 南茂 今朝雄*; 神藤 勝啓; 大越 清紀; 川井 勲*; 北村 遼; 森下 卓俊; 近藤 恭弘; 佐藤 洋一*

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.514 - 516, 2025/11

J-PARCでは、将来のビーム出力増強化に向けてイオン源からのビーム電流増大化を進めている。J-PARCの高周波負水素(H$$^-$$)イオン源より、後段加速器である高周波四重極線形加速器(RFQ)に適合したビームエネルギー52.5keVで90mAのH$$^-$$ビームの引き出しに成功した。テストスタンドで実機RFQ入口を想定した位置での90mAのH$$^-$$ビームの位相空間の測定を行った結果、95%RMSエミッタンスで0.31$$pi$$ mm mradであった。これは、J-PARC加速器での利用運転時のH$$^-$$ビーム電流60mAの時のエミッタンス0.27$$pi$$ mm mradに比べて想定しうる大きさの範囲であり、現在のRFQで加速できる位相空間分布に収まることを確認した。テストスタンドで現在のイオン源より52.5keV/90mAのH$$^-$$ビーム引き出して6時間の連続運転試験を実施し、安定したビーム引き出しが可能であることも確認した。

論文

Status of J-PARC accelerator chain

山本 風海; 小栗 英知; 森下 卓俊; 山本 昌亘; 神谷 潤一郎; 篠崎 信一; 發知 英明*; 佐藤 洋一*; Fang, Z.*

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.1128 - 1131, 2025/11

J-PARCは大強度陽子ビームを用いて中性子や中間子、ニュートリノ等様々な二次粒子を大量に生成し、物質・生命科学研究施設(MLF)、ハドロン実験施設、ニュートリノ標的に供給している。このような大強度陽子加速器では、わずか0.1%未満のビーム損失であっても深刻な放射化や加速器機器の故障など、様々な問題を引き起こす可能性がある。ビーム損失を十分に低減した状態で大出力運転を実現するため、機器の高度化およびビーム調整を継続している。これらの努力を通じて、MLF利用者向けに1MWのビーム出力運転、ニュートリノ利用者向けに830kWのビーム出力運転を確立した。しかし一方で、初段加速器であるリニアックが運転を開始してより20年近くが経過しており、経年劣化による機器故障等も発生している。それらについては、原因を究明し対策を行うことで、安定運転の維持に努めている。

論文

Investigation of the leakage beam from the RF chopper using the BSM

北村 遼; 森下 卓俊; 岡部 晃大; 宮尾 智明*; 中沢 雄河*; 柴田 崇統*

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.2811 - 2813, 2025/11

The Japan Proton Accelerator Complex (J-PARC) linac is operated with a peak current of 50 mA to deliver the 1-MW beam to the neutron target through the rapid cycling synchrotron (RCS). One of the source of the beam loss to limit the beam power is a leakage beam from a radio-frequency (RF) beam chopper at the frontend of the linac. The J-PARC beam chopper consists of the RF deflector cavity and the beam scraper to produce the pulse structure of a few hundreds nano seconds typically. Since the leakage beam is presented in the unintended RF bucket, it becomes the beam loss during the acceleration in the RCS. Recently, the bunch-shape monitor (BSM) dedicated for the low-energy beam has been developed to measure longitudinal profiles after a radio-frequency quadrupole linac (RFQ). It is useful to investigate the leakage beam because the BSM is located at just after the chopper. Asymmetric longitudinal profiles were observed with the BSM, which might cause the beam loss, but the sensitivity should be improved for the further investigation. Measuring the induced current from the target probe by using the BSM in the same way as the wire-scanner monitor, the horizontal profile is measured at the BSM. Since the RF deflector kicks the beam in the horizontal direction, the leakage beam from the chopper is observed by the horizontal profile measurement. Latest results are presented with discussing the classification of the leakage beam with respect to its time scale and source.

論文

Study on time changes in proton beam passing current from ion source to RFQ at the J-PARC LINAC

岡部 晃大; 柴田 崇統*; 守屋 克洋; 大越 清紀; 宮尾 智章*; 大谷 将士*; Liu, Y.*; 森下 卓俊

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.1527 - 1529, 2025/11

Currently, in the J-PARC linac, beam commissioning between the ion source and RFQ mainly involves adjusting the extraction voltage of the ion source and the two solenoid magnets in the Low Energy Beam Transport Line (LEBT) installed between the ion source and the RFQ. These parameters are determined to maximize the measured beam current at the current monitor (SCT) downstream of the RFQ. Previously, the SCT used as a reference had measured the beam current by cutting out a part of the macro bunch. However, to further improve the beam quality, we adjusted LEBT parameters using the newly measured method, which is an integrated whole macro bunch signal. The optimum value obtained by the new method differed from the previous. Therefore, to investigate the cause, we saved all the beam current waveforms of the SCT for the reference and compared the new and previous parameters of the ion source and LEBT devices. As a result, it was found that the beam current that passed through the RFQ changed over time within the macro bunch for certain ion source and LEBT parameter settings.

論文

Low-power test of bridge coupler in disk-and-washer structure for muon acceleration

近藤 彩夏*; 飯嶋 徹*; 鷲見 一路*; 竹内 佑甫*; Cicek, E.*; 恵郷 博文*; 大谷 将士*; 中沢 雄河*; 二ツ川 健太*; 三部 勉*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 3094(1), p.012025_1 - 012025_6, 2025/09

J-PARCでは、ミューオンの異常磁気モーメント(g-2)と電気双極子モーメント(EDM)を精密に測定するためのミューオン線形加速器を開発中である。ディスクアンドワッシャー(DAW)構造を採用し、加速周波数1296MHzでミューオンを光速の30%(運動エネルギー4MeV)から70%(40MeV)まで加速する。ミューオンDAWは、ミューオンを加速するタンクと、タンクを結合し内蔵される四重極ダブレット磁石を用いてビームを集束するブリッジカプラから構成される。ブリッジカプラのプロトタイプが製作され、低電力試験を行い、1295.4$$pm$$0.3MHzという誤差の範囲内で要求を満たす共振周波数の測定値が得られた。本論文では、ブリッジカプラープロトタイプの設計と性能評価について述べる。

論文

J-PARCリニアックの運転状況と出力増強に向けた検討

森下 卓俊

加速器, 21(4), p.288 - 296, 2025/01

J-PARCリニアックは2008年よりユーザーへのビーム供給を開始し、2013年にエネルギー増強が行われ、後段の3GeVシンクロトロン(RCS)に設計エネルギー400MeVのビーム供給を開始した。2014年のビーム電流のアップグレードを経て、2018年10月には当初設計のピーク電流である50mAに到達した。2023年にはビームパルス幅を0.5msに広げ、RCSからの1MW出力に相当するビーム運転を開始した。本論文では、ビーム内のイオン密度が高い場合に発生するビーム損失を低減させるためのビーム光学チューニングの改良や、ビームエネルギー安定化への補正技術開発と装置の更新、それらを可能にしたビーム診断技術の開発など、当初設計パワーの達成に至るまでのリニアックの進展についてまとめた。現在、RCS出力で1MWを超えるビーム出力増強と、リニアックから陽子照射試験施設へのビーム供給を可能とするために、リニアックのビーム強度の増強と、加速の繰り返しを倍増するアップグレード計画について検討を進めている。これらの増強を実現するためには、さらなるビーム損失の低減を可能とするビーム光学研究の進展と、ビーム加速のための電力源(高周波源)の増強に加え、リニアックの上流部分においてビームライン機器の大幅な更新を要するものであり、検討状況と今後の増強計画についてまとめた。

論文

J-PARC Linac and RCS; Operational status and upgrade plan to 2 MW

山本 風海; 守屋 克洋; 沖田 英史; 山田 逸平; 地村 幹; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 昌亘; 森下 卓俊; et al.

Journal of Neutron Research, 26(2-3), p.59 - 67, 2024/01

J-PARC Linacおよび3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを中性子実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために運転している。これまで進めてきたビーム調整および機器改良により、当初想定よりもはるかに低いビームロス量で1MWのビーム運転を行うことが出来ている。現在のビーム出力はビームロスではなくRCSの高周波加速空胴の電源容量によって制限されている。近年、RCSグループではより少ない消費電力でビームを加速することのできる新しい構造の加速空胴の開発に成功した。この空胴によって、利用運転中に加速空胴で消費される電力を大幅に削減することが出来、さらに1MW以上の大出力での運転も可能となる。これまでの試験結果から、RCSの加速空胴を全て新しい物へ更新すれば、1.5MW以上の大出力も可能となる事が判っている。今後、中性子利用および主リングシンクロトロンの更なる成果創出のため、2MWを目標にRCSで必要な改良について検討を行った。その結果、高周波空胴の更新以外にも、高周波増幅器の増強やビームモニタの増強が必要であることが判ったため、今後順次更新を進める。

論文

Beam profile measurement using the highly-oriented pyrolytic graphite

北村 遼; 林 直樹; 平野 耕一郎; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 森下 卓俊; 根本 康雄*

Journal of Physics; Conference Series, 2687(7), p.072006_1 - 072006_6, 2024/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)

大強度陽子ビームを計測するビームモニタにおいて熱負荷の緩和は重要な課題の一つである。近年、大強度陽子加速器施設(J-PARC)のフロントエンドでは、バンチシェイプモニタの標的プローブに高配向熱分解グラファイト(HOPG)材料が使用した。HOPGは熱伝導率が高いため、高熱負荷条件下でのビームプロファイルの測定に適している。HOPGの応用として、例えば、ワイヤスキャナモニタなどの横方向プロファイルモニタのターゲットワイヤの代替材料として、薄いHOPGを使用することが考えられる。ビームプロファイルモニタ用HOPGターゲットの可能性についてテストスタンドでの3MeV負水素イオンビームを用いた実験結果の一部から考察する。

論文

Beyond 1-MW scenario in J-PARC rapid-cycling synchrotron

山本 風海; 守屋 克洋; 沖田 英史; 山田 逸平; 地村 幹; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 昌亘; 森下 卓俊; et al.

Proceedings of 68th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High Intensity and High Brightness Hadron Beams (HB2023) (Internet), p.270 - 273, 2023/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを中性子実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために運転している。これまで進めてきたビーム調整および機器改良により、当初想定よりもはるかに低いビームロス量で1MWのビーム運転を行うことが出来ている。そのため、現在のビーム出力はビームロスではなく高周波加速空胴の電源容量によって制限されている。近年、RCSグループではより少ない消費電力でビームを加速することのできる新しい構造の加速空胴の開発に成功した。この空胴によって、利用運転中に加速空胴で消費される電力を大幅に削減することが出来、さらに1MW以上の大出力での運転も可能となる。これまでの試験結果から、RCSの加速空胴を全て新しい物へ更新すれば、1.5MW以上の大出力も可能となる事が判っている。今後、中性子利用および主リングシンクロトロンの更なる成果創出のため、2MWを目標にRCSで必要な改良について検討を行った。その結果、高周波空胴の更新以外にも、高周波増幅器の増強やビームモニタの増強が必要であることが判ったため、今後順次更新を進める。

論文

An Advanced digital feedback control system design for the muon linear accelerator

Cicek, E.*; 恵郷 博文*; 二ツ川 健太*; 三部 勉*; 大谷 将士*; 齊藤 直人*; 吉田 光宏*; 飯沼 裕美*; 中沢 雄河*; 岩田 佳之*; et al.

Proceedings of 14th International Particle Accelerator Conference (IPAC 23) (Internet), p.4194 - 4197, 2023/09

ミューオンg-2/EDM実験のためのユニークなミューオンリニアックを開発中である。低電力高周波系のデジタルフィードバックの設計は、集群化されたすべての粒子を加速するための加速空洞の安定性からの、高周波の振幅、位相に対する要求を満たすために決定的な役割をはたす。この目的のために、MicroTCA規格に準じたコンパクトで、研究所内で開発されるデジタルフィードバックシステムを開発中であり、VadaTech COTSシステムのRFチップを用いたメザニンボードを用いる。このデジタルフィードバックシステムは、コストダウンのために、UHFおよびLバンドのRF波形を直接サンプリングする。本論文では、このシステム開発の現状と、最初の試験結果について述べる。

論文

Development of the diagnostic beamline for muon acceleration test with APF IH-DTL

茨木 優花*; 飯嶋 徹*; 居波 賢二*; 須江 祐貴*; 鷲見 一路*; 四塚 麻衣*; Cicek, E.*; 恵郷 博文*; 河村 成肇*; 三部 勉*; et al.

Proceedings of 14th International Particle Accelerator Conference (IPAC 23) (Internet), p.937 - 940, 2023/09

ミューオンg-2/EDM実験のためのミューオンリニアックを開発中である。加速中のミューオン崩壊を減らすため、交代加速位相法を用いた交差櫛形Hモードドリフトチューブリニアック(IH-DTL)が、高周波四重極リニアック(RFQ)に続く低速領域に用いられる。2025年にRFQ及びIH-DTLを用いたミューオン加速試験が予定されており、高速の8%から30%へ、加速周波数324MHzで加速する。IH-DTLの後段には、加速後のビームの質を測定するための、収束電磁石とバンチャーからなる診断ビームラインが設置される。本論文ではこの診断ビームラインの開発状況について述べる

論文

Measurement of H$$^{0}$$ particles generated by residual gas stripping in the Japan Proton Accelerator Research Complex linac

田村 潤; 二ツ川 健太*; 近藤 恭弘; Liu, Y.*; 宮尾 智章*; 森下 卓俊; 根本 康雄*; 岡部 晃大; 吉本 政弘

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1049, p.168033_1 - 168033_7, 2023/04

 被引用回数:2 パーセンタイル:29.08(Instruments & Instrumentation)

J-PARCリニアックは、ビーム損失が重要な課題となる大強度加速器である。J-PARCリニアックでは、H$$^{-}$$ビームが機能分離型ドリフトチューブリニアック(SDTL)で191MeVまで加速され、その後、環結合構造型加速管(ACS)で400MeVまで加速される。H$$^{-}$$リニアックでは陽子リニアックよりもビーム損失の要因事象が多いため、ビーム損失低減のためにはビーム損失の原因を詳しく調べることが必須である。制御不能なH$$^{0}$$粒子を生成する電子ストリッピング現象は、H$$^{-}$$リニアックに特有なビーム損失要因である。J-PARCリニアックにおけるビーム損失の原因を明らかにするため、SDTLとACSの間のビーム輸送部に新しいビーム診断系を設置した。ここでは、H$$^{0}$$粒子をH$$^{-}$$ビームから分離し、H$$^{0}$$粒子が分布する範囲にグラファイト板を挿入してH$$^{0}$$粒子の強度プロファイルを測定することに成功した。ビームライン真空圧力の違いによるH$$^{0}$$粒子の強度変化を調べることで、SDTLセクションのH$$^{0}$$粒子の半分は、J-PARCリニアックの残留ガスストリッピングによって生成されていることを明らかにした。

論文

Measurement of the longitudinal bunch-shape distribution for a high-intensity negative hydrogen ion beam in the low-energy region

北村 遼; 二ツ川 健太*; 林 直樹; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 森下 卓俊; 根本 康雄*; 小栗 英知

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 26(3), p.032802_1 - 032802_12, 2023/03

 被引用回数:6 パーセンタイル:64.52(Physics, Nuclear)

バンチシェイプモニター(BSM)はビーム輸送中にある地点での縦方向位相分布を測定して、縦方向ビームチューニングを行う際に有用な装置である。低エネルギー負水素(H$$^{-}$$)イオンビームの縦方向位相分布を測定するために、大強度ビーム負荷による熱負荷を軽減できるよう2次電子を放出する標的に高配向性グラファイト(HOPG)が採用した。このHOPGターゲットにより、50mA程度の高いピーク電流を持つ3MeV H$$^{-}$$イオンビームの中心部で縦方向位相分布の測定が可能となった。テストスタンドでHOPG-BSMを用いて縦方向のバンチ幅を測定したところ、ビームシミュレーションと一致した。HOPG-BSMを用いて、ビーム横方向と縦方向の相関測定を実証した。HOPG-BSMを用いて、縦方向Qスキャン法により縦方向Twissとエミッタンスを測定した。

論文

Compact and efficient radio frequency digital feedback control system for accelerator applications

Cicek, E.*; 二ツ川 健太*; Fang, Z.*; 福井 佑治*; 溝端 仁志*; 大谷 将士*; 近藤 恭弘; 森下 卓俊; 中沢 雄河*; 佐藤 福克*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1046, p.167700_1 - 167700_8, 2023/01

 被引用回数:1 パーセンタイル:16.01(Instruments & Instrumentation)

低レベルRF制御システムで用いられるデジタルフィードバック(DFB)系は、加速空洞内でのRF電場の安定化に決定的な役割をはたす。このための、多用途DFBの試作機を、J-PARCの様々なアプリケーションに用いるために開発した。低コストでコンパクトなことが要求仕様を満たすために重要である。本システムでは、FPGAによるデジタル信号処理を用いた。これにより、RFの位相ゆらぎや、振幅の変化を比例-積分フィードバックにより補正する。このシステムはミューオンリニアックの交差櫛形ドリフトチューブリニアック(IH-DTL)空洞の大電力試験で短パルスの試験を行った。また、J-PARCのバンチャー空洞2を用いて長バルスの試験を行った。IH-DTLの試験では、振幅ピーク間で$$pm$$0.25%、位相で$$pm$$0.36$$^{circ}$$の安定度が得られた。バンチャー2では、振幅ピーク間で$$pm$$0.18%、位相で$$pm$$0.13$$^{circ}$$の安定度が得られた。本論文では、このシステムの設計と、大電力試験の詳細を述べる。

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