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Thomsen, B.; 永井 佑紀*; 小林 恵太; 濱田 幾太郎*; 志賀 基之
Journal of Chemical Physics, 161(20), p.204109_1 - 204109_18, 2024/11
SL-PIHMC-MIX法は、第一原理計算と機械学習ポテンシャルを混合した自己学習型経路積分ハイブリッドモンテカルロ法である。SL-PIHMC-MIX法を用いると、第一原理経路積分分子動力学法(PIMD法)よりも、室温の水の構造を計算し収束させるのに必要な第一原理DFT計算の回数を一桁減らすことができる。
永井 佑紀; 富谷 昭夫*
Journal of the Physical Society of Japan, 93(11), p.114007_1 - 114007_8, 2024/11
生成AIにおける基幹技術であるTransformerを用いた新しい自己学習モンテカルロ法を提案した。本研究では、文章における距離の離れた単語の関連性を推測することができるTransformerのAttention機構を用いることにより、電子系の相転移で重要となる長距離相関を効率よく取り込める有効模型を構築した。さらに、スピン回転、空間並進など系が満たすべき対称性をネットワークに取り込むことにより、パラメータ数を劇的に減らすことに成功した。また、レイヤー数を増やすにつれてlossが減っていくというスケーリング則を見出した。
富谷 昭夫*; 永井 佑紀
Proceedings of Science (Internet), 453, p.001_1 - 001_7, 2024/11
機械学習、ディープラーニングは、格子系の計算物理学を加速させてきた。対称性に対する同変性は、機械学習モデルによって記述される確率分布に強い帰納バイアスを課すため、物理系のシミュレーションには不可欠である。しかし、モデルに対称性を課すことは、自己学習モンテカルロ法(SLMC)において、時に低いアクセプト率を引き起こす。一方、GPTのようなトランスフォーマーで用いられるアテンション機構は、大きなモデルキャパシティを実現する。そこで、我々は、対称性に対する同変性を持ったアテンション機構をSLMCに導入する。我々のアーキテクチャを評価するために、2次元格子上のスピン-フェルミオンモデルに適用を行った。その結果、線形有効モデルを使ったSLMCのアクセプト率を改善し、アクセプト率のスケーリング則を観測した。
佐藤 修彰*; 亀尾 裕; 佐藤 宗一; 熊谷 友多; 佐藤 智徳; 山本 正弘*; 渡邉 豊*; 永井 崇之; 新堀 雄一*; 渡邉 雅之; et al.
廃止措置・廃炉化学入門, 251 Pages, 2024/09
原子力施設の廃止措置と過酷事故炉の廃炉を対象とし、第1部では燃料化学、分析化学、放射線化学、腐食、除染化学から、廃棄物処理・処分にわたる基礎的な分野について紹介する。第2部では、種々の原子力関連施設の廃止措置に関わる化学を学びながら、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉にはどのような化学的アプローチが必要かつ可能か、廃炉の在り方やそれに必要な研究開発・人材育成などについて触れる。
梶田 遥一*; 永井 隆之*; 山岸 茂直*; 木村 健太*; 萩原 雅人; 木村 剛*
Chemistry of Materials, 36(15), p.7451 - 7458, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)Ferroaxial transitions of NaBa(PO) ( = Mg, Mn, Co, and Ni) with the glaserite structure, featuring rotational distortions of PO tetrahedra, are investigated. Neutron powder diffraction (NPD) measurements on polycrystalline samples were carried out in the temperature range from room temperature to 800 K. Structure analyses on the NPD data revealed that all of the compounds studied here have a ferroaxial structure (space group: )at room temperature and undergo a ferroaxial transition into a non-ferroaxial phase (space group: 1) upon heating. Structural parameters change continuously at the transition temperature, which suggests that the ferroaxial transition of NaBa(PO) systems is of the second order. Furthermore, to examine the structural stability, ab initio phonon calculations were carried out for NaBaMg(PO). The calculated result shows that the rotational phonon mode instability inherent in the non-ferroaxial 1 phase leads to the phases as a ground state, which well explains the experimental result. This study revealed that NaBa (PO) systems with the glaserite structure are a class of ferroaxial compounds showing a second-order pure ferroaxial transition.
永井 隆之*; 萩原 雅人; 横井 里江*; 森分 博紀*; 木村 剛*
Journal of the American Chemical Society, 146(33), p.23348 - 23355, 2024/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)Ferroelectric materials compatible with magnetism and/or conductive properties provide a platform for exploring unconventional phenomena, such as the magnetoelectric effect, nonreciprocal responses, and nontrivial superconductivity. Though recent studies on multiferroics have offered several approaches, the search for magnetic and/or conducting ferroelectric materials is still a challenging issue under the traditional "d-ness" rule, refusing active d electrons. Here, we propose the emergence of ferroelectricity through a combination of crystallographic chirality and axial vector, accepting even non-d magnetic ions. This proposal is demonstrated in quasi-one-dimensional magnetic systems SrMVO (M = Ni, Mg, and Co). The ferroelectric phase transition is observed by measurements of neutron powder diffraction and dielectric properties in all compositions. Structural analyses and first-principles calculations indicate that these magnetic compounds are identified as proper-type ferroelectrics whose ferroelectric phase transition is achieved by spiral motions of crystallographic screw chains formed by edge-shared MO6 octahedra, considered as the combination of locally defined chirality and axial vector. Computationally predicted magnitude of spontaneous polarization of SrMVO reaches 10C/cm, comparable to that of conventional ferroelectrics, despite the incorporation of non-d magnetic elements. The mechanism proposed in this study offers a unique approach to the exploration of new ferroelectrics beyond the traditional paradigms.
勝岡 菜々子; 秋山 大輔*; 桐島 陽*; 永井 崇之; 岡本 芳浩; 佐藤 修彰*
2023年度「物質・デバイス領域共同研究拠点」研究成果・活動報告書(インターネット), 1 Pages, 2024/07
ガラス原料へウラン(U)化合物を添加し、雰囲気を変えてU含有ガラスを作製した。作製条件でガラス色調が変化し、色斑を呈するガラスも見られたことから、この色斑の原因をX線透過画像により観察した。
永井 佑紀; 岩崎 祐昂*; 北原 功一*; 高際 良樹*; 木村 薫*; 志賀 基之
Physical Review Letters, 132(19), p.196301_1 - 196301_6, 2024/05
被引用回数:1 パーセンタイル:72.81(Physics, Multidisciplinary)準結晶とは、高次元超格子の3次元空間への射影として理解できる周期性のない物質である。高温における比熱の上昇は、準結晶の高次元性を反映した現象として二十年以上議論されてきた。しかし、準結晶やその近似結晶の比熱の理論計算はその原子構造の複雑さから困難であった。実験と理論の橋渡しを行うため、最先端の機械学習分子動力学法を用いて、比熱の理論計算を試みた。そして、Al-Pd-Ru準結晶とその近似結晶において、実験グループとの共同研究により、実験で異常高温比熱が現れること、理論で同様の現象が再現できること、の二つを確かめた。そして、異常高温比熱が現れる温度領域においては、アルミニウム原子が不連続に飛び移りながら拡散していくことがわかった。そして、その拡散の経路は6次元超原子の揺らぎとして理解することができることを明らかにした。
國分 祐司; 中田 陽; 瀬谷 夏美; 小池 優子; 根本 正史; 飛田 慶司; 山田 椋平*; 内山 怜; 山下 大智; 永井 信嗣; et al.
JAEA-Review 2023-046, 164 Pages, 2024/03
核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2022年4月から2023年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目で見られた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の範囲を外れた値の評価について付録として収録した。
樋口 雄紀*; 吉宗 航*; 加藤 悟*; 日比 章五*; 瀬戸山 大吾*; 伊勢川 和久*; 松本 吉弘*; 林田 洋寿*; 野崎 洋*; 原田 雅史*; et al.
Communications Engineering (Internet), 3, p.33_1 - 33_7, 2024/02
The automotive industry aims to ensure the cold-start capability of polymer electrolyte fuel cells (PEFCs) for developing fuel cell electric vehicles that can be driven in cold climates. Water and ice behavior is a key factor in maintaining this capability. Previously reported methods for visualizing water and/or ice are limited to small-sized PEFCs ( 50 cm), while fuel cell electric vehicles are equipped with larger PEFCs. Here, we developed a system using a pulsed spallation neutron beam to visualize water distribution and identify water/ice phases in practical-sized PEFCs at a cold start. The results show direct evidence of a stepwise freezing behavior inside the PEFC. The produced water initially accumulated at the center of the PEFC and then froze, followed by PEFC shutdown as freezing progressed. This study can serve as a reference to guide the development of cold-start protocols, cell design, and materials for next-generation fuel cell electric vehicles.
永井 崇之; 勝岡 菜々子; 岡本 芳浩; 馬場 祐治*; 秋山 大輔*
Photon Factory Activity Report 2023 (インターネット), 3 Pages, 2024/00
本研究は、ガラス組成や溶融条件によってCe原子価が変化することに着目し、廃液成分を単純化した模擬ガラス固化体試料を作製して、凝固ガラス表層とガラス内部のCe原子価状態の差異を確認するため、模擬ガラス固化体試料を放射光XAFS測定した。
永井 崇之; 長谷川 毅彦*
JAEA-Research 2023-008, 41 Pages, 2023/12
ガラス固化技術開発施設(TVF)では、高レベル放射性廃液の保管に伴うリスクを低減するため、高レベル放射性廃液をガラス固化する作業を進めている。また、TVFにおけるガラス固化を着実に進めるため、ガラス固化技術課は、ガラス溶融炉の構造を改良した新たな3号溶融炉を製作し、この溶融炉の性能を確認する作業を実施している。今回、TVF3号溶融炉の製作における作動確認のドレンアウト試験で流下した模擬ガラス固化体からサンプルを採取し、固化体表層と破断面の性状を評価した。ラマン分光測定、放射光XAFS測定、LA法ICP-AES分析により実規模スケールで製造した固化体の表層と破断面を測定した結果、表層と破断面の性状に若干の差があることを確認した。この固化体サンプルは、白金族元素を含まない模擬廃棄物ガラス組成であるため、実ガラス固化体のガラス構造と異なると予想されるが、実規模スケールの通電加熱・流下方式で製造したサンプルを評価できる貴重な機会となった。また、今回のTVF3号溶融炉の作動確認に供したカレット及び同じ化学組成で別の製造ロットのカレットを対象に、これらカレットの性状を測定分析した結果、化学組成が同等であってもカレット製造履歴が異なるとガラス構造に差が生じることを確認した。さらに、これらガラス構造が異なるカレットを溶融した凝固サンプルを分析した結果、カレットで確認したガラス構造の差が溶融した凝固サンプルに残留することを確認した。
志賀 基之; Thomsen, B.; 永井 佑紀
アンサンブル, 25(4), p.303 - 310, 2023/10
並列分子シミュレーションソフトウェア「PIMD」を紹介する。第一原理経路積分分子動力学による水の構造、リングポリマー分子動力学による金属中水素の量子拡散、超伝導体の機械学習ポテンシャル作成とフォノン物性、メタダイナミクスによる多価アルコール脱水反応などの具体例を通じて、その使用法を解説する。
永井 崇之; 岡本 芳浩; 山岸 弘奈*; 柴田 大輔*; 小島 一男*; 長谷川 毅彦*; 佐藤 誠一*; 深谷 茜音*; 畠山 清司*
JAEA-Research 2023-004, 45 Pages, 2023/09
ホウケイ酸ガラス中のガラス成分や廃棄物成分の局所構造は、その化学組成によって変化する。本研究は、ガラス固化体を模擬したガラス(以下、模擬廃棄物ガラス)を対象に軟X線領域のXAFS測定を実施し、原料ガラス成分のホウ素(B)やケイ素(Si)、廃棄物成分の鉄(Fe)やセシウム(Cs)の化学的状態等を評価した。模擬廃棄物ガラスの化学的安定性を把握するため、浸出試験に供したガラス表面を対象に、BのK吸収端、FeのL、L吸収端及びCsのM、M吸収端のXANESスペクトル測定を行った。その結果、浸出液に曝露されたガラス表面は変化し、明瞭なXANESスペクトルが得にくくなることが分かった。BのK吸収端XANESスペクトルから、浸出試験後の試料表面は未浸漬の試料表面と比較してB-Oの3配位構造(BO)が増加し、4配位構造(BO)が減少する傾向を確認した。FeのL、L吸収端及びCsのM、M吸収端のXANESスペクトルから、浸漬時間が長くなるに従って、ガラス表面に存在するCsが浸出液中へ溶出することを確認した。未浸漬の模擬廃棄物ガラスを対象に、SiのK吸収端XANESスペクトルを測定した結果、NaO濃度によるXANESスペクトルの変化が廃棄物成分濃度による変化より大きいことを確認した。
永井 崇之; 秋山 大輔*; 桐島 陽*; 勝岡 菜々子; 岡本 芳浩; 佐藤 修彰*
2022年度「物質・デバイス領域共同研究拠点」研究成果・活動報告書(インターネット), 1 Pages, 2023/09
異なる組成のホウケイ酸ガラス粉末へウラン(U)化合物を添加し、溶融雰囲気等の作製条件を変えてU含有ガラスを作製した。これらU含有ガラス中のU化学状態をXAFS測定により評価した。
風間 裕行; 小無 健司*; 鈴木 達也*; 小山 真一; 前田 宏治; 関尾 佳弘; 大西 貴士; 阿部 千景*; 鹿籠 康行*; 永井 康介*
Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 38(8), p.1676 - 1681, 2023/07
被引用回数:3 パーセンタイル:56.33(Chemistry, Analytical)Ultratrace analysis is crucial for understanding fuel debris in a nuclear reactor core after severe accidents. Triple quadrupole inductively coupled plasma mass spectrometry measured the ion-molecule reactions of actinides (Np, Am, and Cm) in a reaction cell. These nuclides were included in the fuel debris. A gas-phase ion-molecule reaction model has been developed to simulate the gas-phase reactions in the reaction cell. The model simulation results correlate well with the flow rate dependence of experimental data accurately. Reaction constants derived from the model were compared with those reported values by Fourier transform ion-cyclotron resonance mass spectrometry to evaluate the performance of the model. The similarity between the two reaction constants was found.
永井 佑哉; 周治 愛之; 川崎 猛; 會田 貴洋; 木村 泰久; 根本 靖範*; 小沼 武司*; 冨山 昇*; 平野 耕司*; 薄井 康弘*; et al.
JAEA-Technology 2022-039, 117 Pages, 2023/06
日本原子力研究開発機構は多くの原子力施設を保有しているが、その多くで老朽化・高経年化への対応、東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故を受けた耐震化や新規制基準への対応が求められ、多額の予算を要する状況である。このため、役割を終えた原子力施設についても根本的なリスク低減及び維持管理費用の削減のために施設の廃止措置を進めることが望ましいが、廃止措置及び発生する放射性廃棄物の処理処分に必要な施設の整備・維持管理にも多額の費用が必要となる。この状況を踏まえ、原子力機構では(1)継続利用する施設を絞り込む「施設の集約化・重点化」、(2)新規制基準・耐震化対応、高経年化対策、リスク低減対策等の「施設の安全確保」及び(3)廃止措置、廃棄物の処理処分といった「バックエンド対策」を3つの柱とした「施設中長期計画」を策定した。本計画において、プルトニウム燃料第二開発室は廃止施設として位置付けられており、施設内に設置された設備の解体撤去を進めている。今回の解体撤去対象は、焙焼還元炉、ペレット粉砕設備、これらを包蔵するグローブボックスNo.W-9及びW-9と隣々接の工程室内に設置されているグローブボックスNo.D-1とを連結するトンネル形状のグローブボックスNo.F-1の一部であり、許認可等による約4年の作業中断期間を含めて平成26年2月から令和2年2月の約6年間をかけて作業を実施した。本報告書では、本解体撤去における作業実績、解体撤去を通して得られた知見をまとめたものである。
大場 洋次郎; 元川 竜平; 金子 耕士; 永井 崇之; 土川 雄介; 篠原 武尚; Parker, J. D.*; 岡本 芳浩
Scientific Reports (Internet), 13, p.10071_1 - 10071_8, 2023/06
被引用回数:2 パーセンタイル:65.72(Multidisciplinary Sciences)The spatial distribution of constituent elements in borosilicate glasses containing simulated high-level radioactive liquid waste (HLLW) was investigated using neutron resonance absorption imaging. The resonance absorption dips of Rh, Pd, Na, Gd, Cs, and Sm were detected in the neutron transmission spectra of the glass samples. The neutron transmission images at the resonance energies of these elements provided the spatial distributions within the glass samples. Rh and Pd led sedimentation, while Gd, Sm, and Cs were uniformly dispersed. These results clearly show the potential of neutron resonance absorption imaging for characterizing borosilicate glasses.
永井 佑紀; 品岡 寛*
Journal of the Physical Society of Japan, 92(3), p.034703_1 - 034703_8, 2023/03
被引用回数:1 パーセンタイル:34.43(Physics, Multidisciplinary)機械学習技術の一つであるスパースモデリング技術は、現在材料科学や固体物性において非常に重要な技術の一つとなっている。本論文では、超伝導体に対する理論にスパースモデリングを適用し、従来よりも100倍近い高速化を達成したことを報告する。従来の理論では自己無撞着にシミュレーションを行う際に必要な無限級数和をある程度カットオフして計算する必要があったが、スパースモデリングを用いることで、情報のスパース性を利用し無限級数和を実質的に数十個の情報で計算できることを示した。その結果、計算時間が劇的に短縮された。
永井 佑紀; 田中 章詞*; 富谷 昭夫*
Physical Review D, 107(5), p.054501_1 - 054501_16, 2023/03
被引用回数:4 パーセンタイル:67.92(Astronomy & Astrophysics)近年我々が開発している自己学習モンテカルロ法は、モンテカルロ法を機械学習によって加速する方法であり、あらゆるマルコフ連鎖モンテカルロ法を加速する可能性を秘める応用範囲の広い手法である。本論文では、数値シミュレーションが極めて難しく計算コストの高い格子量子色力学のモンテカルロシミュレーションに対して、自己学習モンテカルロ法を適用できたことを報告したものである。このシミュレーションではゲージ場を扱うため、通常のモンテカルロシミュレーションよりも複雑である。特に、ゲージ場とフェルミオン場が含まれる際には計算コストが跳ね上がる特徴をもつ。このような数値的にチャレンジングである系に対して、自己学習モンテカルロ法による有効模型構築を実施することに成功した。その結果、自己学習モンテカルロ法の応用範囲が極めて広いことを示すとともに、格子量子色力学モンテカルロシミュレーションを高速化できることを示した。