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論文

Demonstration of the inherent safety feature of HTGRs through the loss-of-forced-cooling test in the HTTR

長住 達; 長谷川 俊成; 飯垣 和彦; 中川 繁昭; 久保 真治; 島崎 洋祐; 中嶋 國弘; 櫻井 洋亮; 篠原 正憲; 齋藤 賢司; et al.

Nuclear Engineering and Design, 446, p.114542_1 - 114542_14, 2026/01

高温工学試験研究炉(HTTR)を用いて、高温ガス炉の優れた安全性を実証するため、ブロック型高温ガス炉として世界で初めて強制冷却喪失試験(LOFC試験)を実施した。本試験では、全てのヘリウムガス循環機(HGC)を停止させるとともに、制御棒の挿入を防止することで、炉心の強制冷却機能および停止機能を意図的に喪失させた。HGC停止後、炉心温度の上昇に伴って生じた負の反応度フィードバック効果により、原子炉出力は100%(30 MW)からほぼ0%まで自発的に低下した。その後、炉心温度の低下およびキセノン(Xe)の減衰により再臨界に至ったが、原子炉出力は約1.2%という低い値で安定した。さらに、本試験中および試験直後のHTTR運転中に、一次冷却材中の放射性物質濃度はほぼ変化せず、本試験に伴う炉心温度上昇後も被覆粒子燃料に破損等が生じなかったことを示した。これにより、冷却材の喪失時に制御棒を挿入しなくても原子炉は自然に止まり、冷え、放射性物質が閉じ込められるという、高温ガス炉の優れた安全性を実証した。

論文

伏在する活断層の検出の試み; 地層処分における地質環境の長期安定性評価技術の高度化に向けて

西山 成哲; 中嶋 徹*; 島田 耕史; 丹羽 正和

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 67(11), p.635 - 639, 2025/11

活断層の中には、地上まで到達しておらず地形的に不明瞭で、その存在を把握することが困難なものもある。地層処分の実施主体である原子力発電環境整備機構の包括的技術報告書では、地層処分の調査・評価技術の現状として、地形的に不明瞭な活断層の分布・活動性の検出・評価のための調査・評価事例の蓄積が課題であることが指摘されている。このためには、活断層が伏在する地域において、地表でどのような特徴を見出せるかを詳細に検討する必要がある。本稿では、日本原子力研究開発機構が、活断層が伏在することが明らかな地域において事例研究を進めている現状について紹介する。

論文

Reactor response during thermal load fluctuation test using HTTR

長谷川 俊成; 長住 達; 久保 真治; 飯垣 和彦; 篠原 正憲; 中川 繁昭; 島崎 洋祐; 中嶋 國弘; 櫻井 洋亮

Proceedings of 2025 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2025) (Internet), 6 Pages, 2025/09

高温ガス炉の熱を利用した水素製造実現のため、原子力機構では高温工学試験研究炉(HTTR)と水素製造施設の接続を計画している。これを実現するためには、水素製造施設で発生した除熱変動による原子炉への影響を把握しておく必要がある。本研究ではHTTRの運転中に熱負荷変動試験を実施し、除熱変動に対する原子炉の応答を調べた。本試験は原子炉出力90%の状態で実施し、水素製造施設における除熱変動の再現として、原子炉入口温度を約11$$^{circ}$$C上昇させた。その結果、原子炉出口温度はほとんど変化せず、原子炉入口温度上昇分に相当する熱が炉心の黒鉛ブロックに伝達されることを確認した。さらに、黒鉛ブロックの温度上昇に伴う負の反応度フィードバックにより、制御棒を操作しなくても原子炉出力が低下し約88%で一定となった。したがって、原子炉入口温度に生じた外乱の影響は黒鉛ブロックへの蓄熱によって抑制されることが分かった。

論文

Potential of the young age reference materials; CA-ID-TIMS U-Pb dates of Cenozoic zircons in Japan

長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 中嶋 徹; 横山 立憲; Wall, C. J.*; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (37), p.11 - 13, 2024/12

近年、分析技術の発達により100万年以降の若い地質単元でもジルコンによるU-Th-Pb年代測定が可能となりつつある。しかしながら、その分析を評価しうる若い標準試料はほとんどない。本研究では、著者らが研究をすすめている100万年オーダーのジルコン試料(TRG04とOGPK)を対象に、同位体希釈表面電離質量分析(ID-TIMS)法によるU-Pb年代測定を試みた。その結果、それぞれ予察的に2.6654$$pm$$0.0016Maおよび1.1266$$pm$$0.0014MaのU-Pb年代を得た。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度報告書(令和5年度)

丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 石原 隆仙; 箱岩 寛晶; 浅森 浩一; 村上 理; 福田 将眞; 小北 康弘; 鏡味 沙耶; et al.

JAEA-Research 2024-013, 65 Pages, 2024/11

JAEA-Research-2024-013.pdf:4.22MB

本報告書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和5年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第4期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を進めている。本報告書では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(令和6年度)

丹羽 正和; 島田 顕臣; 浅森 浩一; 末岡 茂; 小松 哲也; 中嶋 徹; 小形 学; 内田 真緒; 西山 成哲; 田中 桐葉; et al.

JAEA-Review 2024-035, 29 Pages, 2024/09

JAEA-Review-2024-035.pdf:1.24MB

本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和6年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。

論文

Short communication: Inverse correlation between radiation damage and fission-track etching time on monazite

中嶋 徹; 福田 将眞; 末岡 茂; 仁木 創太*; 河上 哲生*; 檀原 徹*; 田上 高広*

Geochronology (Internet), 6(3), p.313 - 323, 2024/07

本研究ではモナズ石の化学組成と放射線損傷がフィッション・トラックのエッチング時間に与える影響を調べた。モナズ石のフィッション・トラック年代測定法は超低温熱年代としての応用が期待されているが、モナズ石の化学組成や放射線損傷がフィッション・トラックのエッチング時間に与える影響は明らかになっておらず、分析方法が確立していない。私たちはモナズ石のラマン分光分析と化学組成の定量分析から、日本国内のモナズ石試料について放射線損傷の蓄積レベルを見積もった。またフィッション・トラックのエッチング実験を行い、これらの変数がエッチングの時間に与える影響を調べた。

論文

Analysis of the stress field around concealed active fault from minor faults-slip data collected by geological survey; An Example in the 1984 Western Nagano Earthquake region

西山 成哲; 中嶋 徹; 後藤 翠*; 箱岩 寛晶; 長田 充弘; 島田 耕史; 丹羽 正和

Earth and Space Science (Internet), 11(6), p.e2023EA003360_1 - e2023EA003360_15, 2024/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Astronomy & Astrophysics)

活断層が確認されていない様々なテクトニックセッティングの地域において、マグニチュード6$$sim$$7クラスの地震が発生することがある。地震被害の低減のためには、そのような地震を発生させる伏在断層を把握することが重要であるが、それを把握するための手がかりとなる証拠は少ない。1984年に発生した長野県西部地震は、Mj 6.8、震源の深さが2kmと浅部で発生した規模の大きい地震である。本地域は固結した基盤が露出する地域であるにも関わらず、地表地震断層や地震後の地形変状は確認されておらず、震源断層は地下に伏在していることが知られている。本研究では、1984年長野県西部地震の震源地域において、地表踏査により割れ目に認められる条線のデータを集め、その条線形成に影響を与えた応力を、収集したデータを用いた多重逆解法で推定した。その結果、既知の伏在断層周辺の小断層において、本地域にはたらく現在の広域応力と同様の応力が検出された。この小断層の中には、第四紀の火山岩中に認められたものもあり、小断層がごく最近に活動したことを裏付ける。このことは、これらの小断層が伏在断層周辺に発達するダメージゾーンの一部である可能性を示しており、伏在断層を把握するための手がかりとなることが期待される。

論文

Investigation of deposits on filter element of primary gas circulators in HTTR

長谷川 俊成; 長住 達; 根本 隆弘; 中嶋 國弘; 横山 佳祐; 藤原 佑輔; 荒川 了紀; 飯垣 和彦; 猪井 宏幸; 川本 大樹

Proceedings of 2024 International Congress on Advanced in Nuclear Power Plants (ICAPP 2024) (Internet), 10 Pages, 2024/06

2021年のHTTR(高温工学試験研究炉)の運転中に発生した1次ヘリウム循環機フィルタ差圧上昇の原因を調べるために、フィルタエレメントとその付着物に対してSEM観察とEDX解析を実施した。フィルタエレメント表面に対するSEM観察の結果、ろ過孔よりも小さい塊状の付着物及び繊維状の付着物並びにろ過孔よりも大きい棒状付着物を確認した。付着物に対するEDX解析の結果、塊状の付着物及び繊維状付着物に1次ヘリウム純化設備ガス循環機内のシリコンオイルを含むことを示唆し、棒状付着物は1次冷却設備の二重管に使用される断熱材であることを示した。1次ヘリウム純化設備ガス循環機内のシリコンオイルは同機器に用いられている活性炭フィルタから漏れ出たものと考えられる。その後、気化し炉心を通過後、1次ヘリウム循環機のフィルタエレメントにトラップされたものと考えられる。シリコンオイルを含む付着物はフィルタエレメント全体に存在していたことから、ろ過孔が小さくなり流路抵抗が増加することで当該フィルタの差圧が上昇した可能性がある。断熱材は主にフィルタエレメントの下部に現れておりフィルタの目詰まりとは無関係であった。したがって、シリコンオイルが当該フィルタの差圧上昇に寄与した可能性があり、過去のフィルタ差圧上昇の原因であった黒鉛粉末は今回の事象とは無関係であった。

論文

Field-based description of near-surface crustal deformation in a high-strain shear zone; A Case study in southern Kyushu, Japan

丹羽 正和; 島田 耕史; 照沢 秀司*; 後藤 翠*; 西山 成哲; 中嶋 徹; 石原 隆仙; 箱岩 寛晶

Island Arc, 33(1), p.e12516_1 - e12516_16, 2024/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:39.43(Geosciences, Multidisciplinary)

本研究では、地表地形では特定が不明瞭な活構造を検出する目的で、小断層の変位データを用いた多重逆解析から推定される応力と、地震データから推定されている応力とを比較することに基づく手法を検討した。南九州で知られているひずみ集中帯で検討した結果、本手法が、地下に伏在する活構造を検出するための一助となり得ることを示した。

論文

Ion tracks and nanohillocks created in natural zirconia irradiated with swift heavy ions

石川 法人; 福田 将眞; 中嶋 徹; 小河 浩晃; 藤村 由希; 田口 富嗣*

Materials, 17(3), p.547_1 - 547_21, 2024/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:52.00(Chemistry, Physical)

340-MeV Auイオンビームを照射した天然ジルコニアにおいて形成されたイオントラックとナノヒロックを透過型電子顕微鏡で微細観察した。ナノヒロックの寸法が10nm程度であり、局所溶融した領域の寸法と同程度であることが分かった。したがって、一旦溶融した結果としてイオントラックとナノヒロックが形成されたことが分かる。次に、イオントラックを観察すると長方形の断面形状をしており、かつ結晶構造が大きく溶融前と変化していないことが分かった。したがって、他のセラミックスと異なり、ジルコニアにおいては、局所溶融後に、結晶構造を反映した異方的な再結晶化が起きていることが強く示唆される。一方で、イオントラックの中心部には、飛跡に沿った低密度のコア領域が形成されており、イオンビームが入射した表面への物質移動により物質欠損が形成されていることも判明した。物質欠損を伴う条件では再結晶化が不十分となり、飛跡のごく近くでは低密度コア領域が形成されていると説明できる。

論文

First report of geo- and thermochronological results from the Cordillera Central, Luzon, Philippines

中嶋 徹; 末岡 茂; 長田 充弘; Kohn, B. P.*; Ramos, N. T.*; 堤 浩之*; 田上 高広*

Earth, Planets and Space (Internet), 75(1), p.176_1 - 176_11, 2023/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:28.57(Geosciences, Multidisciplinary)

本研究では島弧山地における中間質マグマの貫入と隆起・侵食過程を理解する目的で、フィリピン、ルソン島の中央コルディエラ山地に地質・熱年代測定を適用した。ジルコンU-Pb年代は32.54$$pm$$0.70から6.11$$pm$$0.15(2SE)Maであり、これは第三紀火成活動に伴う中・上部地殻における中間質マグマの断続的な貫入イベントを反映している。ジルコンのフィッション・トラック(ZFT)年代は35.63$$pm$$2.17から6.91$$pm$$0.36(2SE)Maであり、それぞれの試料採取地点におけるジルコンU-Pb年代と対比される。これは中間質マグマが貫入後、即座に250$$sim$$350$$^{circ}$$Cまで冷却したことを反映している。一方、ジルコンとアパタイトの(U-Th-Sm)/He(ZHe, AHe)年代はそれぞれ11.71$$pm$$0.36から8.82$$pm$$0.26Maと9.21$$pm$$0.52から0.98$$pm$$0.088(2SE)Maであり、ジルコンのU-Pb年代やZFT年代よりも若い傾向にある。これは各地点における岩石の冷却速度が低温領域において減少したことを示唆する。そのため、ZFT年代は中間質マグマの初期冷却を、AHe年代は隆起・侵食に伴う冷却をそれぞれ反映していると考えられる。AHe年代の地理的分布は、第四紀に中央コルディエラ山地全体がブロック状に隆起したことを示唆している。

論文

熱史からみたジルコンの標準試料への適性評価; 石川県鷲走ヶ岳層の例

長田 充弘; 中嶋 徹; 福田 将眞; 末岡 茂; 八木 公史*; 横山 立憲

フィッション・トラックニュースレター, (36), p.9 - 13, 2023/12

ジルコンを用いた年代測定における標準試料の探求の一環として、石川県白山市南部の下部中新統鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩に注目し、ジルコンのU-Pb年代・FT年代と月長石(サニディン)のK-Ar年代の観点から検討した。本論では、鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩を鷲走ヶ岳層と呼ぶ。3試料より得られたU-Pb年代の加重平均値は約21.9-21.7 Maを示し、誤差範囲で重なる。ジルコンFT年代やK-Ar年代は一部試料が誤差範囲で重なるものの、若い傾向にある。また、ジルコンのトラック長は3試料とも初期長より有意に短いトラック長が確認された。これらの結果から鷲走ヶ岳層のジルコンはU-Pb年代のような閉鎖温度の高い手法に関しては標準試料として有効であるが、FT年代などの閉鎖温度の低い手法には不向きである蓋然性が高い。

論文

秋田県太平山複合プルトンから得られたジルコンU-Pb年代

中嶋 徹; 長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂

地質学雑誌(インターネット), 129(1), p.503 - 507, 2023/11

本研究では秋田県太平山複合プルトンの花崗岩類についてジルコンのU-Pb年代測定を行った。主併入岩類より採取された2つの花崗閃緑岩のU-Pb年代(206Pb/238U加重平均年代)はそれぞれ103.4$$pm$$1.0Maと115.6$$pm$$1.1Ma(1SE)であった。新期併入岩類より採取された斑状花崗岩のU-Pb年代はそれぞれ11.4$$pm$$0.1Ma、4.7$$pm$$0.1Ma、4.8$$pm$$0.1Ma(1SE)であった。これらのU-Pb年代はそれぞれの試料が採取された地点における花崗岩質マグマの貫入年代と解釈される。本研究で得られた鮮新世のU-Pb年代から、新期併入岩類の仁別岩体が現在地表に露出する深成岩体としては世界的に見ても最も若い岩体の一つであることが示唆された。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(令和5年度)

丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 藤田 奈津子; 横山 立憲; 小北 康弘; 福田 将眞; 中嶋 徹; 鏡味 沙耶; 小形 学; et al.

JAEA-Review 2023-017, 27 Pages, 2023/10

JAEA-Review-2023-017.pdf:0.94MB

本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和5年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度報告書(令和4年度)

丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 石原 隆仙; 小川 大輝; 箱岩 寛晶; 渡部 豪; 西山 成哲; 横山 立憲; 小形 学; et al.

JAEA-Research 2023-005, 78 Pages, 2023/10

JAEA-Research-2023-005.pdf:6.51MB

本報告書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和4年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第4期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を進めている。本報告書では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。

論文

バデリアイトのフィッション・トラック年代測定に向けて; エッチング実験の結果とその考察

中嶋 徹; 福田 将眞; 長田 充弘; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 末岡 茂

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.34 - 36, 2022/12

本発表ではバデリアイトのフィッション・トラック(FT)年代測定の実用化に向け行ったFTエッチング実験の結果と、その簡単な考察を行う。本研究では檀原ほか(1999)で用いられたものと同一試料のバデリアイト(第一稀元素化学工業提供試料)を使用し、NaOH-KOH共融混合液を用いて228度の温度条件で50時間まで段階的なエッチングを行った。その結果、檀原ほか(1999)の報告と同様に研磨痕の拡大、表面の粗面化などバデリアイトがエッチングされる様子が観察された一方で、FTと思しき組織は観察されなかった。研磨痕は拡大する一方でFTがエッチングされなかったことから、バデリアイトのFTは何らかの要因によりエッチングされにくいことが予想される。バデリアイトのFTを観察した研究としてO'Connell et al. (2020)がある。この研究ではTEM観察により、Xeイオントラックが単斜晶系から正方晶系への線状相転移領域(約2.5nm幅)として認定されることを報告している。本研究でFTがエッチングされなかったことは、バデリアイトのFTがアモルファス化しておらず、エッチングされにくいことが原因として考えられる。以上を踏まえると、ジルコンと同様の方法でのバデリアイトFTのエッチングは困難であると予想されるが、TEMやAFMによるlatent trackの観察などFT密度を計測することができれば、熱年代計として使用できる可能性がある。今後もバデリアイトFT法の確立へ向けて可能性を探ってゆく。

論文

野生ニホンザル体内の放射性セシウム濃度および被ばく線量と体内酸化ストレス状態の関係

石川 諒椰*; 鈴木 正敏*; 木野 康志*; 遠藤 暁*; 中島 裕夫*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 清水 良央*; 鈴木 敏彦*; 篠田 壽*; et al.

KEK Proceedings 2022-2, p.61 - 66, 2022/11

福島県の野生ニホンザルの肝臓・膀胱・大腿筋を用いて、低線量放射線による生物影響の要因と考えられる酸化ストレスとその防御機構である抗酸化活性のバランスを調べた。その結果、福島第一原子力発電所事故に起因する非常に低い線量率の放射線被ばくによって、事故から7年から10年が経過しても放射線に対する生物の応答反応が外部被ばく・内部被ばくに共通して持続すること、その変動傾向は臓器によって異なるものの、いずれも酸化ストレスと抗酸化機構が関連して変動する可能性が示唆された。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(令和4年度)

笹尾 英嗣; 石丸 恒存; 丹羽 正和; 島田 顕臣; 島田 耕史; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; 小北 康弘; et al.

JAEA-Review 2022-022, 29 Pages, 2022/09

JAEA-Review-2022-022.pdf:0.97MB

本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和4年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。

論文

照来層群歌長流紋岩から得られたジルコンU-Pb年代

長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 中嶋 徹; 梶田 侑弥*; 南 沙樹*; 岡本 晃*; 田上 高広*

フィッション・トラックニュースレター, (35), p.15 - 18, 2022/09

ジルコンを用いた年代測定の標準試料の探求の一環として、照来層群歌長流紋岩中のジルコンについて、U-Pb年代測定を実施した。歌長流紋岩からは、先行研究により約2.30-2.77Maのジルコンフィッション・トラック年代,ジルコン(U-Th)/He年代、および黒雲母K-Ar年代が報告されていた。ジルコンは短柱状から長柱状の自形を呈し、カソードルミネッセンス像観察では明瞭なコア・リム構造や累帯構造を示さない。レーザーアブレーション・マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置を用いてU-Pb同位体を測定した。2試料より得られたU-Pb年代は、いずれも2.5-3.0Maを示し、それぞれ2.65$$pm$$0.16Maおよび2.66$$pm$$0.15Maの$$^{238}$$U-$$^{206}$$Pb加重平均値を得た。得られた年代は、先行研究による閉鎖温度の異なる年代と整合的であるため、歌長流紋岩中のジルコンが標準試料として有効である可能性がある。今後、更なる各種年代、U, Th,希土類元素などの元素濃度の測定から標準試料として適切か検討する。

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