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小嵐 淳; 永野 博彦*; 中山 理智*; 安藤 麻里子; 永岡 美佳
Chemosphere, 389, p.144715_1 - 144715_11, 2025/11
放射性セシウム(Cs)汚染は、特に森林生態系において長期的な課題となっている。土壌微生物が
Csの運命を左右する役割は未だ不明な点が多い。本研究では、有機層と鉱物土壌における微生物、有機物、粘土鉱物の相互作用に着目して、微生物による
Csの保持を評価した。その結果、微生物による
Cs循環によって有機層中に生物利用可能な
Csプールが維持されていることが示された。この微生物の関与は、有機層中の
Cs放射能濃度が低下するにつれて減少した。鉱物土壌では微生物による
Csの保持は最小限であり、粘土鉱物による固定化を間接的に促進する役割が示唆された。有機層における微生物による
Cs保持は、地域、森林の種類、沈着後の時間に関わらず、
Csの利用可能性によって制御されていることが明らかになった。これらの知見は、ヨーロッパと日本の森林における有機層における
Csの残留性の違いを統一的に説明する。
阿部 有希子; 中山 理智*; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳
Geoderma, 455, p.117221_1 - 117221_11, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Soil Science)森林土壌に蓄積されている炭素の半分以上が下層土壌(30cm以深)に存在している。しかし、下層土壌の陸域炭素循環における寄与やそれを制御する要因については未解明な点が多い。そこで本研究では、下層土壌からのCO放出量を定量評価するとともに、CO
放出に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。有機炭素蓄積特性の異なる2つのタイプの森林土壌(火山灰土壌と非火山灰土壌)を対象に、深さ60cmまでの土壌を採取し、培養実験により深さごとのCO
放出速度を測定した。また、放出されたCO
の放射性炭素同位体比を分析した。その結果、下層土壌からのCO
放出は、全体(深さ0-60cm)の放出量の6-23%を担い、1950年以降に固定された有機炭素の分解に起因していることが明らかになった。下層土壌からのCO
放出は、土壌微生物が利用しやすい有機炭素の量と微生物バイオマス量に規定されていることが示唆された。
Battulga, B.; 中山 理智; 松岡 俊将*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
Water Research, 264, p.122207_1 - 122207_12, 2024/10
被引用回数:9 パーセンタイル:89.69(Engineering, Environmental)環境中のマイクロプラスチック(MP、サイズ: 5mm)上の微生物の付着とバイオフィルムの形成に対する注目が高まっている。ここでは、微生物の生態と水生生態系への影響についての理解を深めるために、プラスティスフィア内の微生物群集を調査する。我々は、16S遺伝子とITS遺伝子のアンプリコン配列を使用して、日本の2つの対照的な沿岸地域のMP、地表水、底質、海岸砂における細菌および真菌群集の構成と多様性を特定した。サンプルの種類と研究場所に応じて、大幅に異なる微生物の多様性と分類学的組成が検出された。炭化水素分解群集の定着とMP上での病原体の発生の結果として、微生物分類群の複雑なプロセスがMP関連バイオフィルムの特性、ひいてはMPの特性に影響を与える。この研究は、MP関連バイオフィルムにおける微生物の代謝機能に焦点を当てており、これは地球生態系に対するプラスチック破片の真の影響を明らかにする鍵となる可能性がある。
中山 理智; 阿部 有希子; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳
Applied Soil Ecology, 201, p.105485_1 - 105485_12, 2024/09
被引用回数:4 パーセンタイル:74.70(Soil Science)森林において窒素は植物の生育の制限要因である。樹木を含む植物は種間の養分競争が苛烈な時、表層に加え下層土壌からも窒素を吸収している。しかし、下層土壌における窒素循環に関する知見は限られている。本研究では、2つの異なる土壌タイプに成立する日本の森林において、窒素の純無機化速度および硝化速度の深度プロファイル(0-60cm)を調査した。またPLS-PMモデルを用いて、窒素循環に重要な要因の特定を行った。土壌重さ当たりの窒素無機化、硝化はAndosolの表層で高く、深度とともに低下したが、Cambisolにおいてその傾向は見られなかった。微生物バイオマス量と土壌有機物量は表層における窒素循環の空間分布を規定することが知られているが、深度方向の窒素循環にもそれらが重要であることがPLS-PMモデルによって明らかとなった。さらに、土壌体積当たりで計算をすると、土壌タイプや深度に関わらず窒素無機化速度は一定であった。これにより、Andosol, Cambisolの双方において、下層土壌は重要な植物の窒素吸収源であることが示唆された。
谷口 武士*; 磯部 一夫*; 今田 省吾*; Eltayeb, M. M.*; 赤路 康朗*; 中山 理智; Allen, M. F.*; Aronson, E. L.*
Science of the Total Environment, 899, p.165524_1 - 165524_13, 2023/11
被引用回数:13 パーセンタイル:78.71(Environmental Sciences)乾燥地の生態系は強度の乾燥と適度な降水の季節的なサイクルを経験する。乾燥地の植物は典型的にはパッチ状に分布しており、多くは繰り返す乾湿ストレスを生き抜くために根の内生微生物と共生している。群集合体は多くのシステムで見出されているが、乾燥地における機能微生物によるコロニー形成や季節の移り変わりとの関係は不明である。ここでは、米国南西部の高温砂漠における乾季と雨季の根の内生微生物分類群、およびその根のコロニー形成と関連した形質を調べた。5種類の砂漠性低木について、16S rRNAおよびITSの遺伝子プロファイリングを行い、内生微生物系統の季節変化を分析した。また、微生物形質との関係における中立的な群集モデルへの適合度を評価した。夏には、属特異的ではないものの、放線菌(グラム陽性菌)が増加した。真菌類では、夏に糸状菌が選択的に増加した。冬期には、窒素固定や植物成長促進を行うグラム陰性菌属が増加した。中立モデル解析の結果、内生細菌については確率的な影響が強いが、菌類については特に夏季に弱い影響が見られた。中立モデルで予測された頻度よりも高い頻度を示した分類群は、環境適応性と共生形質を共有していたが、病原性真菌の頻度は予測値以下であった。これらの結果は、細菌と真菌の群集形成が異なる制御を受けていることを示唆している。細菌群集は、乾燥に対する細菌の反応(反応形質)と植物に対する有益な効果(効果形質)を介して、確率的および決定論的なプロセスの影響を受けていた。菌類については、夏期に菌根菌が植物によって選択された。乾季と雨季の両方で植物による有益な微生物の制御が行われていることから、この砂漠の自然生態系には植物-土壌の正のフィードバックが存在することが示唆された。
堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 永野 博彦*; 小嵐 淳; 舘野 隆之輔*; 久保田 智大
Atmospheric Environment, 298, p.119640_1 - 119640_12, 2023/04
被引用回数:1 パーセンタイル:10.92(Environmental Sciences)Moderately elevated reactive nitrogen (Nr) deposition due to anthropogenic activities can have an impact on forest production via throughfall and canopy retention processes. Forest fragmentation can increase dry deposition of atmospheric ammonia volatilized from agricultural areas, and consequently increase spatial variability of Nr deposition even within the same forest (edge effect). However, little is known about the edge effect and its impact on forest production in a deciduous broad-leaved forest in Asian countries. Here, we performed the field observations of atmospheric concentration and deposition of inorganic Nr gases and particles in a Japanese fragmented forest from May 2018 to April 2019. The results demonstrated that annual dry deposition of ammonia was dominant in the annual total dissolved inorganic Nr deposition at the forest edge, including the edge effect. Additionally, agricultural activities such as fertilization in the area surrounding the forest likely enhanced the potential of canopy retention of NH, known as Nr species readily absorbed by tree canopy.
中山 理智; 舘野 隆之輔*
Plant and Soil, 17 Pages, 2023/00
被引用回数:4 パーセンタイル:50.87(Agronomy)植物細根の周辺土壌(根圏)の微生物は根滲出物や根との共生によって非根圏の微生物とは異なっており、植物の生育に重要な役割を担っている。しかし、特に冷温帯林の植物の休眠期に関して、根圏微生物の季節的な変動は不明である。我々は根圏の微生物群集を冷温帯の落葉広葉樹林において、休眠期の開始時、終了時そして成長期において調査した。外生菌根菌の相対優占度は成長期には根圏で高かったが、休眠期はその違いが不明瞭であり、共生している植物からの炭素供給の季節性が重要であることが示唆された。一方で、主に細菌から構成される根圏の主要な小グループは季節的な変動をせず、pHや含水率などの物理化学性に強く影響されていた。これらの結果は、根圏の真菌、細菌群集は植物の休眠期に対して異なる適応をしており、微生物同士および微生物と植物根との関係性が根圏において季節的に異なることを示唆するものである。
永野 博彦; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 久保田 智大*; 舘野 隆之輔*; et al.
Soil Science and Plant Nutrition, 67(5), p.606 - 616, 2021/10
被引用回数:3 パーセンタイル:17.23(Plant Sciences)北海道の牧草地に囲まれた冷温帯林において、大気からの窒素沈着量と土壌の微生物群集特性との関係を調査した。窒素沈着量の緩やかな増大(年間10kg N/ha未満)が土壌微生物群集に及ぼす影響について明らかにすることを本研究の目的とした。調査対象の森林において6つの実験区画を設置し、そのうち3つを草地に隣接した林縁、他の3つを草地から少なくとも700m離れた林内に設置した。2018年5月から11月まで、各プロットでの窒素沈着を測定した。2018年8月には、すべての実験区画からリター層と表層土壌(深さ0-5cm)を収集し、微生物活性の指標として正味の窒素無機化と硝化速度、また微生物量の指標として微生物バイオマス炭素・窒素およびさまざまな微生物の遺伝子量(すなわち、細菌16S rRNA,真菌のITS,細菌のamoA、および古細菌のamoA遺伝子)を測定した。森縁の窒素沈着量は、林内の窒素沈着の1.4倍多かった一方、最も沈着量が多い場合でも3.7kg N/haであった。窒素沈着は、正味の窒素無機化および硝化速度、16S rRNAおよび細菌のamoA遺伝子の存在量と有意に相関していた。環境DNA解析に基づく土壌微生物群集構造は、リター層と表層土壌で異なっていたが、林縁と林内では類似していた。土壌の炭素/窒素比、および硝酸とアンモニウムの含有量に対する窒素沈着の有意な相関も観察された。以上より、窒素可給性の低い森林では、林縁における緩やかな窒素沈着の増大が土壌微生物の活性と存在量を増大させることが示された。
荻野 正貴*; 大脇 英司*; 白瀬 光泰*; 中山 雅
コンクリート工学年次論文集(DVD-ROM), 39(1), p.703 - 708, 2017/07
塩化物イオンの拡散係数はコンクリートの耐久性を評価する重要な指標であるが、耐久性の高いコンクリートは物質透過抵抗性に優れるため、測定に時間を要する。われわれは非定常の電気泳動操作にEPMAを組み合わせた迅速法について検討した。浸入した塩化物イオンについて、浸入範囲と濃度分布を求め、塩化物イオンの分布から電気泳動が主たる輸送機構ではないと判断される浸入範囲を除外し、Nernst-Planckの式により拡散係数を求めた。この拡散係数は、塩水浸せき試験により得られる値とほぼ同等である。従来の試験と比較し、試験期間を12割程度に短縮できる可能性があることが確認できた。
朝比奈 潔*; 曽家 正孝*; 小川 光*; 赤坂 孝之*; 岩田 俊雄*; 福留 豊*; 中山 準平*
PNC TJ4058 89-005, 178 Pages, 1989/06
東海再処理施設では、貯蔵されているアスファルト固化体等の廃棄物を搬出するための搬出施設の建設が計画されているが、この搬出施設の仕様を決定するにあたっては、適用技術の評価が必要となる。本研究では、検査設備、搬送・荷役設備について広く調査を行い、その適用性を評価した。評価の結果、ほぼ全ての設備に対して、従来の技術を合理的に利用できることが判った。ただし、ドラム缶内の放射性核種量の測定設備については、現状では測定すべき核種の種類及び要求される測定精度が明らかでないため、多くの核種を定量する要求がある場合を想定して、計算手法を用いることが最適であると評価した。施設の機能については、受入れる廃棄物の種類を決定するための検討を行った。本施設は、アスファルト固化体を搬出するためには不可欠であるが、他の低レベル廃棄物については、本施設あるいは、貯蔵施設で対応でき、個別に施設を設置するメリットはないことが判った。
阿部 有希子; 中山 理智; 丹下 健*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
土壌には莫大な量の炭素が土壌有機物として蓄積されており、微生物の分解によって二酸化炭素として大気中へ放出(微生物呼吸)される。近年、下層土壌に蓄積された有機物の分解が微生物呼吸に大きく寄与している可能性が指摘されているが、その実態は明らかではない。森林土壌からの炭素放出の実態と環境変化に対する応答を正確に把握するためには、下層土壌も含めた炭素循環を明らかにする必要がある。本研究では、土壌有機物の存在状態や分解特性が異なると想定される火山灰と非火山灰を母材とする森林土壌を対象に、表層から下層までの土壌プロファイルにおける微生物呼吸量を明らかにすることを目的とした。火山灰土壌(CHI, HSB)と非火山灰土壌(AKZ, HIR)が分布する計4か所の調査地において、土壌を深さ別(0-10、10-25、30-45、45-60cm)に採取した。採取した土壌は根などを除去した後に20Cの条件下で培養し、二酸化炭素濃度を定期的に測定した。本発表では、土壌理化学性や有機物特性と微生物呼吸量との関連性について報告するとともに、土壌炭素量あたりの微生物呼吸量を土壌有機物の分解性の指標として算定し、調査地間及び深さによる違いについても議論する。
Battulga, B.; 中山 理智; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
水環境におけるプラスチック、特にマイクロプラスチックへの微生物付着と有機付着物形成に注目が集まっている。本研究では、沿岸域の水環境におけるマイクロプラスチックが元素循環に及ぼす潜在的な影響を明らかにするため、マイクロプラスチック上の有機付着物に含まれる細菌と真菌の群集組成,多様性及び構造に注目した。日本の対照的な2つの沿岸域において、マイクロプラスチック,表層水,底土及び沿岸砂の試料を季節ごとに収集した。マイクロプラスチックの表面形態と付着微生物は走査型電子顕微鏡(SEM)により目視で観察した。収集した試料に対して、Illumina MiSeqを用いたハイスループットシーケンス処理を実施し、異なる試料間の微生物群集組成と多様性を解析した。
永野 博彦; 安藤 麻里子; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 舘野 隆之輔*; 小嵐 淳
no journal, ,
窒素沈着量と土壌微生物特性の関係を明らかにするため、周囲を牧草地に囲まれ窒素沈着量が空間的に変動する落葉広葉樹林(北海道標茶町)において調査を行った。調査対象である森林の林縁部と林内部で、調査プロットを3か所ずつ選定し、2018年8月にリター層と表層土壌(0-5cm)を採取した。各試料の微生物バイオマス炭素・窒素を測定するとともに、試料から抽出したDNAについて、全細菌と全真菌のそれぞれに特異的な遺伝子領域の存在量をリアルタイムPCR法によって測定し、細菌量と真菌量の指標とした。5月から6月までの2か月間での窒素沈着量は、200から300mg m程度で、林内部よりも林縁部で多い傾向を示した。調査した微生物特性のうち、表層土壌の細菌量は、窒素沈着量に対して正の相関を示し、変動の80%以上が窒素沈着量によって説明された。表層土壌の真菌量も窒素沈着量に対して正の相関を示したが、窒素沈着量によって説明された変動は全変動の30%程度であった。以上より、窒素沈着の増大は少なくとも表層土壌の細菌量を増加させる可能性があることが示唆された。今後、より詳細な解析を行うことで、窒素沈着量と細菌量の比例関係が成立したメカニズムを解明する。
福島 慶太郎*; 岩崎 健太*; 小田 義也*; 境 優*; 堅田 元喜*; 山口 高志*; 中山 理智*; 久保田 智大*; 永野 博彦; 渡辺 誠*; et al.
no journal, ,
森林における水・窒素の流出および収支を定量的に把握する上で、「集水域」が空間スケールの最小単位となる。大気から集水域内に流入した反応性窒素が、植物-土壌間の内部循環系に取り込まれ、その一部が渓流を通して集水域外へと流出する。この流入と流出のバランスをもって、生態系内の窒素保持機能が評価される。本発表では、集水域の水収支が閉じていない可能性のある森林における、渓流水の窒素濃度の形成メカニズムについて考察する。
Battulga, B.; 中山 理智; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
水環境中のプラスチックは長期間生態系への影響が懸念されることから関心が高まっている。本研究では、バイオフィルムが水環境中の有機物循環に与える影響を明らかにするため、日本の沿岸河川におけるマイクロプラスチックに含まれる微生物群の構成とバイオフィルムの特徴に着目した。本研究の目的は、マイクロプラスチックの微生物バイオフィルムを抽出して、マイクロプラスチック・表層水・土壌に含まれる微生物群の構成等を明らかにすることである。試料は2021年から2022年の異なる季節において2つの沿岸河川で採取した。マクロプラスチックからバイオフィルムを抽出するため、超音波シリンジ処理を用いた分析法を新たに開発した。分析の結果、マイクロプラスチックの形態や微生物の分類とともに、それらの季節変動が明らかになった。
堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 福島 慶太郎*; 中山 理智; 永野 博彦*; 小嵐 淳; 舘野 隆之輔*; 久保田 智大
no journal, ,
農業活動に伴い排出される反応性窒素の沈着は、森林の生産力や炭素循環に影響を及ぼす。本研究では、農地に面している森林の林縁で大気アンモニア(NH)の乾性沈着量が高まる「林縁効果」に着目し、北海道の落葉広葉樹林の林縁と林内においてNH
濃度、林内窒素沈着量、樹木・下層植生の形質・成長量などを観測し比較した。さらに、樹冠収支モデルを適用して樹冠へのNH
吸収量を推計し、窒素沈着量に対する寄与を調べた。その結果、溶存無機態窒素の沈着量の主要成分は樹冠へのNH
の乾性沈着であった。また、本調査地のミズナラの樹木葉の形質には林縁と林内の間に差が見られなかったが、ミズナラと下層植生(ササ)の成長速度は林縁で増加傾向にあった。このことは、NH
の乾性沈着を主とした年間2kgN/ha程度の窒素沈着量が森林生産力を変化させうることを示唆している。
鈴木 優里*; 永野 博彦*; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 小嵐 淳; 中山 理智
no journal, ,
Recently, precipitation patterns are changing to less frequent events but stronger intensities with the progress of global warming. Such changes in precipitation raise concerns about increasing dry-wet cycles and CO release in soil. However, the mechanisms of soil CO
release increase by dry-wet cycles are still unclear. In our soil incubation experiment for ten soils, dry-wet cycles significantly increased the CO
release rate for all soils. Microbial biomass for all soils were significantly lower under the dry-wet cycles than under the constant moisture conditions. Quantitative PCR showed that fungal DNA concentrations were significantly lower under the dry-wet cycles. These results may suggest that the CO
release increase is associated with soil microbial fluctuations caused by the dry-wet cycles.
Alam, M. M.*; 山北 絵理*; 森 裕樹*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 中山 理智; 平舘 俊太郎*
no journal, ,
The formation and development of Japanese Silandic (Sil-A) and Aluandic (Alu-A) Andosols remain unclear. This study aims to clarify the depth profile of chemical properties of these soils and understand the transformation of Sil-A to Alu-A in Japan. Soil samples from Sil-A and Alu-A were collected from natural forest areas in Miyazaki, Japan, up to 50 cm depth with a 5 cm interval and analyzed for C content, C value, pH, pyrophosphate and acid-oxalate extractable Al (Alp and Alo). Alu-A was more acidic. The C contents ranged from 1.6% to 26.7% for Sil-A and 6.1% to 14.9% for Alu-A. For both soils, allophane and imogolite contents were very low in the uppermost horizon but increased with depth more rapidly in Sil-A than in Alu-A. The Alp/Alo values were higher in shallower layers in both soils and decreased with depth more rapidly in Sil-A than in Alu-A. Therefore, both soil profiles had a Silandic layer overlaid by an Aluandic layer, and the Aluandic horizon in Alu-A was thicker than that in Sil-A. It would be possible to interpret that Sil-A formed first, and it is transformed into Alu-A with receiving more acidic materials (e.g., precipitation and plant-derived materials). The detailed depth profile sampling, like at an interval of 5 cm, could be an effective and prominent approach to understand the pedogenesis and their chemical transformation of soils.
Battulga, B.*; 中山 理智*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
Aquaculture is one of the important food sectors in the world and is now threatened by plastic pollution. Microbial infections like bacterial and fungal pathogenic taxa (harmful microorganisms that attack their host's immunity) cause harm to fish and marine life. Given the potential interaction between plastics and dangerous species, it is important to enhance our understanding of pathogenic species colonized on microplastic (MPs: 5 mm in size of plastic debris) in the coastal environments. Using the amplicon sequencing of 16S and internal transcribed spacer (ITS) genes, we uncovered the composition and diversity of bacterial and fungal communities in samples of MPs, surface water, bottom sediment, and coastal sand in two contrasting coastal areas of Japan. Differences in microbial diversity and taxonomic composition were detected depending on sample type (MPs, water, sediment, and sand) and the research site. The enrichment of pathogens, especially animal pathogens and fungal parasites, in MPs compared to surrounding environmental media (water, sediment, and sand) has implications regarding the ecotoxicological effect of MPs on the ecosystem. The current study provides critical discussion in terms of pathogens on MPs.
阿部 有希子; 高木 健太郎*; 安藤 麻里子; 中山 理智*; Liang, N.*; 小嵐 淳
no journal, ,
泥炭土壌には莫大な量の炭素が蓄積しているが、わずかな気温上昇でも土壌からの二酸化炭素(CO)放出量が増大し、その効果は長期的に持続する可能性が高い。さらに、気温上昇に伴い土壌が乾燥し、好気的な環境に変化した場合、土壌有機物の分解がより促進されることが予測される。しかし、温度と水分の複合的な環境変化が泥炭土壌の炭素動態にどの程度の影響を与えるのか、その実態は明らかではない。本研究では、泥炭土壌における環境変化に対する有機物の分解応答を定量評価することを目的とした。表層(0-20cm)と下層(40-60cm)の土壌を最大容水量(WHC)の40、60、80、100%に調整後、20
Cと30
Cで培養し、CO
濃度を測定した。放出された炭素の起源推定のために、CO
の放射性炭素(
C)年代を評価した。温度が10
C上昇した時の炭素放出量の上昇率は、いずれの深さもWHC40%が高い傾向を示し、表層で3.4倍、下層で4.2倍であった。また、温度とWHCの違いに関わらず、下層では表層に比べて古い有機物が分解されていた。泥炭土壌では、乾燥が温度上昇の影響を増大し、特に下層では長期間蓄積された有機物の分解が促進されることが示唆された。