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阿部 有希子; 中山 理智*; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳
Geoderma, 455, p.117221_1 - 117221_11, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Soil Science)森林土壌に蓄積されている炭素の半分以上が下層土壌(30cm以深)に存在している。しかし、下層土壌の陸域炭素循環における寄与やそれを制御する要因については未解明な点が多い。そこで本研究では、下層土壌からのCO放出量を定量評価するとともに、CO
放出に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。有機炭素蓄積特性の異なる2つのタイプの森林土壌(火山灰土壌と非火山灰土壌)を対象に、深さ60cmまでの土壌を採取し、培養実験により深さごとのCO
放出速度を測定した。また、放出されたCO
の放射性炭素同位体比を分析した。その結果、下層土壌からのCO
放出は、全体(深さ0-60cm)の放出量の6-23%を担い、1950年以降に固定された有機炭素の分解に起因していることが明らかになった。下層土壌からのCO
放出は、土壌微生物が利用しやすい有機炭素の量と微生物バイオマス量に規定されていることが示唆された。
Battulga, B.; 中山 理智; 松岡 俊将*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
Water Research, 264, p.122207_1 - 122207_12, 2024/10
被引用回数:8 パーセンタイル:91.02(Engineering, Environmental)環境中のマイクロプラスチック(MP、サイズ: 5mm)上の微生物の付着とバイオフィルムの形成に対する注目が高まっている。ここでは、微生物の生態と水生生態系への影響についての理解を深めるために、プラスティスフィア内の微生物群集を調査する。我々は、16S遺伝子とITS遺伝子のアンプリコン配列を使用して、日本の2つの対照的な沿岸地域のMP、地表水、底質、海岸砂における細菌および真菌群集の構成と多様性を特定した。サンプルの種類と研究場所に応じて、大幅に異なる微生物の多様性と分類学的組成が検出された。炭化水素分解群集の定着とMP上での病原体の発生の結果として、微生物分類群の複雑なプロセスがMP関連バイオフィルムの特性、ひいてはMPの特性に影響を与える。この研究は、MP関連バイオフィルムにおける微生物の代謝機能に焦点を当てており、これは地球生態系に対するプラスチック破片の真の影響を明らかにする鍵となる可能性がある。
中山 理智; 阿部 有希子; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳
Applied Soil Ecology, 201, p.105485_1 - 105485_12, 2024/09
被引用回数:3 パーセンタイル:73.33(Soil Science)森林において窒素は植物の生育の制限要因である。樹木を含む植物は種間の養分競争が苛烈な時、表層に加え下層土壌からも窒素を吸収している。しかし、下層土壌における窒素循環に関する知見は限られている。本研究では、2つの異なる土壌タイプに成立する日本の森林において、窒素の純無機化速度および硝化速度の深度プロファイル(0-60cm)を調査した。またPLS-PMモデルを用いて、窒素循環に重要な要因の特定を行った。土壌重さ当たりの窒素無機化、硝化はAndosolの表層で高く、深度とともに低下したが、Cambisolにおいてその傾向は見られなかった。微生物バイオマス量と土壌有機物量は表層における窒素循環の空間分布を規定することが知られているが、深度方向の窒素循環にもそれらが重要であることがPLS-PMモデルによって明らかとなった。さらに、土壌体積当たりで計算をすると、土壌タイプや深度に関わらず窒素無機化速度は一定であった。これにより、Andosol, Cambisolの双方において、下層土壌は重要な植物の窒素吸収源であることが示唆された。
吉村 和也; 眞田 幸尚; 佐藤 里奈; 中山 真理子*; 坪倉 正治*
Journal of Radiation Research (Internet), 64(2), p.203 - 209, 2023/03
被引用回数:2 パーセンタイル:37.05(Biology)福島第一原子力発電所事故後、多くの自治体や政府、研究機関によって住民の個人被ばく線量が評価されてきた。この評価には、個人線量計による測定やシミュレーションなど、目的に応じて様々な方法が用いられてきたが、評価内容や方法に関する情報は体系的に整理されていない。これまでに蓄積された個人被ばく線量評価の知見や経験を包括的にレビューし、評価手法の特徴を把握することは、政府の政策立案に続き、放射線防護やリスクコミュニケーションに非常に有用である。本報告書では、FDNPS事故後の住民被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みについて、第1部で概観し、第2部では、FDNPS事故後の住民被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みについて概観した。一方、個々の被ばく線量を評価する方法には、それぞれ不確実性や適切な評価のために考慮すべき点 が存在する。これらの知見や経験は、評価の実施や評価結果を政府の政策立案に活かすために重要であり、本稿のPart2でまとめている。
佐藤 里奈; 眞田 幸尚; 吉村 和也; 中山 真理子*
JAEA-Review 2022-055, 42 Pages, 2023/01
東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故に伴い設定された避難指示区域は、空間線量率の減少や除染の進捗に従って区域の再編がなされており、帰還困難区域についても、2020年代をかけて帰還意向に応じた除染、及び避難指示解除を目指すことが決定された。本報告書は、今後の避難指示区域解除における住民の個人被ばく線量評価の在り方について検討するため、事故後に個人線量計による測定やシミュレーションを活用して実施されてきた個人被ばく線量評価の手法や特徴を調査し、体系的にまとめたものである。
眞田 幸尚; 吉村 和也; 佐藤 里奈; 中山 真理子*; 坪倉 正治*
Journal of Radiation Research (Internet), 64(1), p.2 - 10, 2023/01
被引用回数:1 パーセンタイル:9.13(Biology)東京電力福島第一原子力発電所の事故により設定された避難指示区域は、周辺線量率の低下や除染の進捗に応じて再編成された。日本政府は、2030年までに帰還困難区域を除染し、避難指示を解除することを決定した。この放射線防護戦略は、これまでの緊急被ばく状況や事故後の現存被ばく量を調べることで最適化することができる。本稿では、特定復興再生拠点区域とこの区域外の帰還困難区域において、避難指示解除時に帰還すべき住民の個人被ばく線量を求めることができる方法を検討し、その実施上の留意点を整理する。本稿の第1部では、FDNPP事故後の住民の被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みを概観し、第2部では、FDNPP事故後の住民の被ばく線量評価に関する国や研究機関の取り組みを概観する。
永野 博彦; 中山 理智*; 堅田 元喜*; 福島 慶太郎*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 久保田 智大*; 舘野 隆之輔*; et al.
Soil Science and Plant Nutrition, 67(5), p.606 - 616, 2021/10
被引用回数:2 パーセンタイル:11.74(Plant Sciences)北海道の牧草地に囲まれた冷温帯林において、大気からの窒素沈着量と土壌の微生物群集特性との関係を調査した。窒素沈着量の緩やかな増大(年間10kg N/ha未満)が土壌微生物群集に及ぼす影響について明らかにすることを本研究の目的とした。調査対象の森林において6つの実験区画を設置し、そのうち3つを草地に隣接した林縁、他の3つを草地から少なくとも700m離れた林内に設置した。2018年5月から11月まで、各プロットでの窒素沈着を測定した。2018年8月には、すべての実験区画からリター層と表層土壌(深さ0-5cm)を収集し、微生物活性の指標として正味の窒素無機化と硝化速度、また微生物量の指標として微生物バイオマス炭素・窒素およびさまざまな微生物の遺伝子量(すなわち、細菌16S rRNA,真菌のITS,細菌のamoA、および古細菌のamoA遺伝子)を測定した。森縁の窒素沈着量は、林内の窒素沈着の1.4倍多かった一方、最も沈着量が多い場合でも3.7kg N/haであった。窒素沈着は、正味の窒素無機化および硝化速度、16S rRNAおよび細菌のamoA遺伝子の存在量と有意に相関していた。環境DNA解析に基づく土壌微生物群集構造は、リター層と表層土壌で異なっていたが、林縁と林内では類似していた。土壌の炭素/窒素比、および硝酸とアンモニウムの含有量に対する窒素沈着の有意な相関も観察された。以上より、窒素可給性の低い森林では、林縁における緩やかな窒素沈着の増大が土壌微生物の活性と存在量を増大させることが示された。
中山 雅; 大野 宏和; 中山 真理子*; 小林 正人*
JAEA-Data/Code 2019-003, 57 Pages, 2019/03
幌延深地層研究計画は、堆積岩を対象に研究開発を実施しており、地層処分技術の信頼性向上や安全評価手法の高度化等に向けた研究開発を実施している。幌延深地層研究計画は、3つの段階に分けて実施しており、平成26年度からは第3段階の調査研究として、地下施設の350m調査坑道において、人工バリア性能確認試験を実施している。本試験は、処分孔竪置き方式を対象として実規模の人工バリアを設置し、実環境下において人工バリア定置後の再冠水までの過渡期の現象を評価する事を目的としている。具体的には、第2次取りまとめで示した処分概念が実際の地下で構築できることの実証、人工バリアや埋め戻し材の設計手法の適用性確認、熱-水-応力-化学連成挙動に関わる検証データの取得、である。本データ集は、検証データの取得状況について取りまとめ、計測データの散逸防止を図ることを目的としている。また、データの中には、原子力環境整備促進・資金管理センターとの共同研究において設置した、地中無線モニタリング装置によって取得されたものも含まれる。本データ集でのデータ収録期間は、平成26年12月から平成30年3月までである。計測は継続中であり、今後も随時データを取りまとめて公開する。
中山 雅; 大野 宏和; 中山 真理子*; 小林 正人*
JAEA-Data/Code 2016-005, 55 Pages, 2016/07
幌延深地層研究計画において、平成26年度からは第3段階の調査研究として、人工バリア性能確認試験を地下施設の深度350m調査坑道において実施している。当該試験は、幌延の地質環境を事例に、処分孔竪置き方式を対象として実規模の人工バリアを設置し、実環境下において人工バリア定置後の再冠水までの過渡期の現象を評価する事を目的としている。具体的には、(1)第2次取りまとめで示した処分概念が実際の地下で構築できることの実証、(2)人工バリアや埋め戻し材の設計手法の適用性確認、(3)熱-水-応力-化学連成挙動に関わる検証データの取得、である。本データ集は、(3)の検証データについて取りまとめたものであり、各種計測データの散逸防止を目的としている。また、計測データの中には、原子力環境整備促進・資金管理センターとの共同研究において設置した、地中無線モニタリング装置によって取得されたものも含まれる。なお、地中無線モニタリング装置は、経済産業省資源エネルギー庁の委託事業である「地層処分技術調査等事業 処分システム工学確証技術開発」において開発された。本データ集でのデータ収録期間は、平成26年12月から平成28年3月までである。
中山 雅; 大野 宏和; 中山 真理子*; 小林 正人*
JAEA-Data/Code 2015-013, 53 Pages, 2015/09
原子力機構が、北海道幌延町で実施している幌延深地層研究計画は、深地層の科学的研究、地層処分技術の信頼性向上や安全評価手法の高度化等に向けた基盤的な研究開発および安全規制のための研究開発を実施している。平成26年度からは、第3段階の調査研究として、地下施設の350m調査坑道において、人工バリア性能確認試験を実施している。この試験は、幌延の地質環境を事例に、処分孔竪置き方式を対象として実規模の人工バリアを設置し、実環境下において人工バリア定置後の再冠水までの過渡期の現象を評価することを目的としている。本データ集は、取得したデータについて取りまとめたものであり、各種計測データの散逸防止を図ることを目的としている。また、計測データには、原環センターとの共同研究において設置した、地中無線モニタリング装置によって取得されたものも含まれる。なお、地中無線モニタリング装置の開発は、経済産業省資源エネルギー庁の実施する「地層処分技術調査等事業 処分システム工学確証技術開発」において開発された。データ集録期間は、平成26年12月から平成27年3月までである。今後もある程度の期間ごとにデータを取りまとめて公開する予定である。
鈴木 優里*; 永野 博彦*; 鈴木 一輝*; 平舘 俊太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 中山 理智*
no journal, ,
近年観測されている降雨の頻度減少および強度増大は、土壌の乾湿サイクルを顕在化させ、土壌有機物分解由来の二酸化炭素(CO)放出を増大させることが明らかになってきている。本研究では、乾湿サイクル条件における土壌CO
放出と土壌微生物群集組成(細菌16SrRNA、真菌ITS)の変動を調査した。その結果、土壌の乾湿サイクルは、特定の微生物種の相対存在比を変化させることが明らかになり、これが土壌CO
放出増大に寄与している可能性が示された。
Battulga, B.; 中西 貴宏; 中山 浩成; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
Plastic pollution is an alarming environmental issue. Surface alterations of plastics, such as degradation and biofilm formation, increase their ability to interact with pollutants in the environment. In 2011, the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant released large amounts of radionuclides, including radiocesium (Cs), into the environment. This study aimed to evaluate plastic-associated
Cs and unravel the mechanisms of its interaction to better understand the role of plastics on the radionuclide migration in the coastal ecosystem of Fukushima, Japan. Biofilms on the surface of plastics showed the mean
Cs activity concentration of 2,925 Bq kg
(dry weight). Microbial patterns on plastics highlighted the unique microbial communities on the surface of plastics. These results confirm the radioactivity of plastic debris within coastal areas of Fukushima and emphasize the need for further research on the long-term environmental impact of plastic-associated radionuclides.
Batdulam, B.*; 中山 浩成; Munkhbat, D.*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 川東 正幸*
no journal, ,
Plastic pollution in inland river systems is a growing environmental issue, particularly with the accumulation of microplastics (MPs, 5 mm). While microbial communities play a significant role in the formation of biofilms on MPs, their impact on the properties and persistence of plastic debris in aquatic ecosystems is not well understood. This study investigates the microbial communities associated with MPs collected from the Tuul river and its tributaries in Mongolia. Differences in microbial composition and diversity were observed between MPs and environmental compartments (water and sediment). In addition, the Tuul river and its tributaries showed distinct patterns of bacterial and fungal communities. This study provides insights into how biofilms affect the fate of plastic debris in the Tuul river system and other inland aquatic environments.
鈴木 優里*; 永野 博彦*; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 中山 理智; 小嵐 淳
no journal, ,
本研究では水分変動増大が土壌微生物に及ぼす影響を調査するため、水分変動増大を想定した乾湿サイクル条件の培養実験を実施し、培養終了時の微生物バイオマスと真菌および細菌DNA量の測定、また走査電子顕微鏡を用いた団粒表面の観察を行った。培養終了時の乾湿サイクル処理区(D-W区)の微生物バイオマスと真菌DNA量は対照区に対し有意に小さく、細菌DNA量と真菌/細菌比はD-W区と対照区で同程度であった。D-W区と対照区間で団粒表面の構造に明確な違いは見られなかったが、火山灰土壌では大きな鉱物-有機物複合体様の物体が対照区で多く観察された。また、乾湿サイクル処理はすべての土壌で二酸化炭素放出速度を大きく増大させた。以上の結果より、乾湿サイクルは土壌微生物の減少などを引き起こすことが強く示唆された。
中山 理智; 阿部 有希子; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
植物は主に表層土壌から窒素を吸収しているが、養分競争が生じる環境では下層土壌からも窒素を吸収することが知られている。しかし、下層土壌における窒素動態はいまだ不明な点が多い。そこで、火山灰土壌および非火山灰土壌の4つの森林において、表層0-60cmにおける窒素無機化・硝化速度の深度による違いとその制御要因の解明を目的とした研究を行った。結果として、土壌重量当たりの窒素無機化・硝化速度は火山灰土壌において深度とともに低下したが、非火山灰土壌では深度方向の違いは有意には見られなかった。一方で、土壌体積当たりでは火山灰土壌、非火山灰土壌ともに深度方向で有意な差は見られなかった。また、表層における空間分布と同様に、土壌深度による土壌炭素・窒素量および微生物バイオマス量の変化が窒素無機化速度の変化と関連していることが明らかとなった。以上のことから、窒素無機化速度の垂直・水平方向の違いにはともに土壌炭素・窒素量と微生物バイオマスが重要であり、また、下層土壌も植物にとって重要な窒素供給源である可能性が示唆された。
阿部 有希子; 中山 理智; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
森林土壌に蓄積されている炭素のおよそ半分が下層土壌に存在している。下層土壌に蓄積された炭素は微生物に分解されにくい状態で存在していると考えられてきたが、近年、炭素循環に対して大きく寄与している可能性が指摘されている。下層土壌への新たな有機物供給によって、土壌有機物の分解が促進されること(プライミング効果)も報告されているが、その研究例は乏しい。本研究では、火山灰の有無による有機物と鉱物との相互作用の違いに着目し、新たな有機物供給に対する分解応答を評価することを目的とした。火山灰土壌と非火山灰土壌が分布する4か所の調査地の表層(0-10cm)と下層(40-60cm)の土壌を最大容水量の64%に調整し、最大容水量の1%の水またはCでラベルしたスクロース溶液を添加後、20
Cと30
Cで培養した。スクロース添加によって、火山灰土壌の下層では正のプライミング効果が認められたが、培養後90日目のスクロース添加の有無による炭素放出量の差は、いずれの土壌においても添加量の半分程度であった。したがって、土壌へのスクロース添加は有機物分解を促進したが、90日間の培養ではスクロースの一部は分解されずに土壌中に残留している可能性が示唆された。
阿部 有希子; 寺本 宗正*; 中山 理智; 安藤 麻里子; Liang, N.*; 小嵐 淳
no journal, ,
大気中の二酸化炭素濃度上昇に伴う気候変動は地球規模で重大な環境問題となっている。土壌から放出される二酸化炭素(土壌呼吸)は陸域生態系の炭素循環において主要なフラックスであるが、時空間的な不均一性が非常に大きいことが知られている。土壌呼吸量を正確に推定するために世界各地で土壌呼吸の観測が行われているが、海岸砂丘における観測例はほとんどない。気候変動に伴う土壌呼吸量の応答を正確に予測するためには、様々な地域や生態系における土壌呼吸量を把握し、その規定要因を明らかにする必要がある。本研究では、観測例の少ない海岸砂丘における土壌呼吸速度の時空間変動とその規定要因を明らかにすることを目的とした。鳥取大学乾燥地研究センター内の海岸砂丘のクロマツ林において20か所の土壌呼吸速度の測定地点を設置し、2023年6月から土壌呼吸速度を月1回測定した。さらに、3ヶ月おきに測点周囲から深さ0-5cmの土壌を採取し、土壌炭素量や微生物バイオマス量、水抽出有機物量(WEOC)などを測定した。2023年6月から12月までの土壌呼吸速度には大きな空間変動が認められ、変動係数は43-67%を推移した。また、土壌呼吸速度は地温の上昇に伴い指数関数的に変化したが、8月には一時的な低下が認められた。この要因として、夏期の地温上昇とそれに伴う土壌乾燥の影響を受けた可能性が考えられる。2023年6、9、12月に各測点周囲から採取した土壌のWEOCはいずれの月においても土壌呼吸速度と正の相関関係が認められた。このことから土壌有機物の少ない砂質土壌における土壌呼吸速度の空間変動にWEOCが寄与している可能性が示唆された。
阿部 有希子; 高木 健太郎*; 安藤 麻里子; 中山 理智*; Liang, N.*; 小嵐 淳
no journal, ,
泥炭土壌には莫大な量の炭素が蓄積しているが、わずかな気温上昇でも土壌からの二酸化炭素(CO)放出量が増大し、その効果は長期的に持続する可能性が高い。さらに、気温上昇に伴い土壌が乾燥し、好気的な環境に変化した場合、土壌有機物の分解がより促進されることが予測される。しかし、温度と水分の複合的な環境変化が泥炭土壌の炭素動態にどの程度の影響を与えるのか、その実態は明らかではない。本研究では、泥炭土壌における環境変化に対する有機物の分解応答を定量評価することを目的とした。表層(0-20cm)と下層(40-60cm)の土壌を最大容水量(WHC)の40、60、80、100%に調整後、20
Cと30
Cで培養し、CO
濃度を測定した。放出された炭素の起源推定のために、CO
の放射性炭素(
C)年代を評価した。温度が10
C上昇した時の炭素放出量の上昇率は、いずれの深さもWHC40%が高い傾向を示し、表層で3.4倍、下層で4.2倍であった。また、温度とWHCの違いに関わらず、下層では表層に比べて古い有機物が分解されていた。泥炭土壌では、乾燥が温度上昇の影響を増大し、特に下層では長期間蓄積された有機物の分解が促進されることが示唆された。
鈴木 優里*; 永野 博彦*; 鈴木 一輝*; 平舘 俊太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 中山 理智*
no journal, ,
Recent observations of decreased precipitation frequency and increased intensity are expected to intensify dry-wet cycles (DWC), increasing soil microbial-derived carbon dioxide emissions. To elucidate the effect of differences in soil nutrient conditions on microbial community sift under DWC, we conducted incubation experiments using 12 surface soils and 2 buried humus soils. Microbial community composition was analyzed by targeting bacterial 16S rRNA genes and fungal ITS regions in soil samples. In the surface soils, microbial community compositions of bacteria, archaea, and fungi varied not only among soils, but also among water treatments and incubation timings. DWC resulted in common changing patterns with an increase in Actinobacteria relative abundance, a decrease in Acidobacteria for bacteria and archaea, and a decrease in Mortierellomycota for fungi. Furthermore, the relative abundances of nitrification-related genes and methane-production-relatad genes showed a greater change due to DWC in the buried humus soils than in the surface soils. The expected DWC intensification may alter soil microbial communities, particularly in soils with low carbon availability, such as buried humus soils and affect the dynamics of greenhouse gases.
鈴木 優里*; 永野 博彦*; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 小嵐 淳; 中山 理智
no journal, ,
Recently, precipitation patterns are changing to less frequent events but stronger intensities with the progress of global warming. Such changes in precipitation raise concerns about increasing dry-wet cycles and CO release in soil. However, the mechanisms of soil CO
release increase by dry-wet cycles are still unclear. In our soil incubation experiment for ten soils, dry-wet cycles significantly increased the CO
release rate for all soils. Microbial biomass for all soils were significantly lower under the dry-wet cycles than under the constant moisture conditions. Quantitative PCR showed that fungal DNA concentrations were significantly lower under the dry-wet cycles. These results may suggest that the CO
release increase is associated with soil microbial fluctuations caused by the dry-wet cycles.