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報告書

Flow separation at inlet causing transition and intermittency in circular pipe flow

小川 益郎*

JAEA-Technology 2019-010, 22 Pages, 2019/07

JAEA-Technology-2019-010.pdf:1.5MB

円管内流れは、流れが実際に遷移し、遷移流が間欠性を示すにもかかわらず、あらゆる小さな外乱に対して線形的に安定である。このことは、流体力学ではまだ解決されていない大きな課題の一つである。そこで、著者は、これまで誰も気がつかず認識してこなかった事実を初めて指摘する。この事実というのは、「円管内の流れは、流れの剥離によって、円管入り口付近に形成される剥離泡から放出された渦のために層流から遷移し、そして渦放出が間欠的であるために遷移流が間欠性を示す。」というものである。この事実は、円管の入口形状が遷移レイノルズ数に大きく影響することや、第3の遷移現象に分類されている外側円筒が支配的に回転する同心二重円筒間の流れが円管内の遷移流れと同様に流れの剥離によって間欠性を示すといった、多くの実験結果によって裏付けられている。本研究によって、高温ガス冷却炉の熱流体設計において最も重要な課題の一つである熱伝達促進のために、急縮小型の入口形状が遷移開始レイノルズ数をできる限り小さくできることを明らかにした。

論文

Proposals of new basic concepts on safety and radioactive waste and of new high temperature gas-cooled reactor based on these basic concepts

小川 益郎

Nuclear Engineering and Design, 308, p.133 - 141, 2016/11

 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

2011年の福島における深刻な原子力惨事に鑑み、誰もが受け入れることができる原子力プラントを目指し、原子力プラントにおける安全性の新たな基本概念;「深刻な惨事を絶対に起こさない。」と、放射性廃棄物の新たな基本概念;「環境に影響を及ぼす可能性がある放射性廃棄物をそのまま環境に戻さない」を提案した。本研究では、「閉じ込める」ことができるようにではなく、「閉じ込め続ける」ことができるように、物理現象を使う。これによって、inherent safetyを完成させた。放射性廃棄物の新たな基本概念を実現するため、PCBのような他の廃棄物の最終的処理・処分方策と同様の最終的処理・処分を目指し、放射性廃棄物を出さずに、核分裂生成物を無害化しなければならない。これらの新たな基本概念を用いた「新高温ガス炉」として、必要な条件を満たすことができる新しい高温ガス炉を提案した。この新高温ガス炉が安全性、放射性廃棄物排出に対する環境保全性の社会的要請、経済性、資源持続性、利用の多様性等の産業的要請、核不拡散性、炭酸ガス排出に対する環境保全性等の国家的要請に応えることができることを示した。

論文

高温ガス炉を用いた使用済み燃料の放射性潜在的有害度の低減に関する研究

深谷 裕司; 國富 一彦; 小川 益郎

日本原子力学会和文論文誌, 14(3), p.189 - 201, 2015/09

高温ガス炉を用いた使用済み燃料の放射性潜在的有害度の低減に関する研究を行った。分離変換とは異なり、有害度発生自体を減らすことができる炉心概念という観点からの研究である。有害度発生量を減らすためにはPu, Am, Cmの発生源である$$^{238}$$Uを排除する必要がある。そのため、$$^{238}$$Uに代わる新たな燃料母材を用いた高温ガス炉を提案した。その候補として、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)とトリウムを検討した。核燃料物質としては、濃縮度93%の高濃縮ウランを想定した。この高濃縮ウランを用いることによりその有害度を大幅に低減することができ、天然ウランレベルの有害度レベルまで減衰させるのに必要な冷却期間が800年程度に低減できる。燃料健全性および核拡散抵抗性もYSZによる希釈により保つことができ、核的自己制御性に関してもエルビウム添加により保持できる。熱エネルギー発生量に関しても通常のウラン燃料と同等の発生量が得られる。発電原価も通常のGTHTR300炉心と同等に安価である。本炉心概念では通常のウラン炉心の10万年程度の冷却期間を1%以下の800年程度に低減することができる。

論文

Process evaluation of use of High Temperature Gas-cooled Reactors to an ironmaking system based on Active Carbon Recycling Energy System

林 健太郎*; 笠原 清司; 栗原 孝平*; 中垣 隆雄*; Yan, X.; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

ISIJ International, 55(2), p.348 - 358, 2015/02

炭素循環製鉄(iACRES)のフローモデルによるプロセス評価により、iACRESへの高温ガス炉(HTGR)の適用性を評価した。高温電解で高炉ガス中のCO$$_{2}$$をCOに還元して高炉にリサイクルするSOECシステムと、ISプロセスで製造したH$$_{2}$$による逆シフト反応でCO$$_{2}$$をCOに還元して高炉にリサイクルするRWGSシステムを検討し、通常の高炉製鉄と比較した。逆シフト反応で消費されない分のH$$_{2}$$が高炉で鉄源の還元に使われたことが、RWGSシステムの方が原料炭節約とCO$$_{2}$$排出削減への効果が大きくなった原因であった。どの機器の改良がHTGR熱の効率的利用のために有用化を示すために、HTGR, SOEC, RWGSの熱収支解析を行った。SOECについては、ジュール熱の削減のためにCO$$_{2}$$電解温度の最適化が求められ、RWGSについては高いISプロセス水素製造効率が要求された。HTGR単位熱量当たりCO$$_{2}$$排出削減量の比較から、SOECシステムの方がより効率よくHTGR熱を利用できることが示された。

論文

炭素循環型スマート製鉄(iACRES)への高温ガス炉の適用性評価

林 健太郎*; 笠原 清司; 栗原 孝平*; 中垣 隆雄*; Yan, X.; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

炭素循環製鉄研究会成果報告書; 炭素循環製鉄の展開, p.42 - 62, 2015/02

高温ガス炉(HTGR)を適用した炭素循環製鉄(iACRES)のフローモデルによるプロセス評価を行った。高温電解で高炉ガス中のCO$$_{2}$$をCOに還元して高炉にリサイクルするSOECシステムと、ISプロセスで製造したH$$_{2}$$による逆シフト反応でCO$$_{2}$$をCOに還元して高炉にリサイクルするRWGSシステムを検討し、通常の高炉製鉄と比較した。原料炭消費量はSOECシステムで4.3%、RWGSシステムで10.3%削減され、CO$$_{2}$$排出量はSOECシステムで3.4%、RWGSシステムで8.2%削減された。逆シフト反応で消費されずに残存したH$$_{2}$$が高炉で鉄源の還元に使われることが、RWGSシステムにおいて原料炭消費の節約割合とCO$$_{2}$$排出削減率が大きくなった原因であった。SOECシステムではCO$$_{2}$$電解、RWGSシステムではISプロセス水素製造が最も多くの熱量を消費し、HTGR熱の効率的利用のために、CO$$_{2}$$電解温度の最適化や高いISプロセス水素製造効率が求められた。典型的な高炉1基あたり、SOECシステムでは0.5基、RWGSシステムでは2基のHTGRが必要となった。逆シフト反応で未反応のH$$_{2}$$を再利用することで、RWGSシステムのHTGR熱の効率的利用と、CO$$_{2}$$排出量削減が期待される。

論文

Thermal analysis of heated cylinder simulating nuclear reactor during loss of coolant accident

佐藤 博之; 大橋 弘史; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Journal of Nuclear Science and Technology, 51(11-12), p.1317 - 1323, 2014/11

 被引用回数:5 パーセンタイル:43.1(Nuclear Science & Technology)

本報告では、冷却材喪失事故時の原子炉の崩壊熱除去特性について評価を行った。原子炉を模擬した円柱体系での非定常熱伝導解析により、崩壊熱除去の成立性の支配因子を決定するとともに、導出した支配因子をパラメータに非定常熱伝導計算を行い、燃料温度制限値を満足する設計範囲を導出した。計算結果から、冷却材喪失時に崩壊熱除去を可能な原子炉の設計範囲が、炉心平均出力密度に対応した原子炉の熱容量と熱伝導率の関係式で表されることを明らかにした。また、被覆燃料粒子の適用により、Zr被覆管燃料に対し、設計範囲が大幅に増大することが示された。さらに、高温ガス炉は冷却材喪失時に崩壊熱除去を可能な範囲に設計可能であることが見出された。

報告書

高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの経済性評価

岩月 仁; 笠原 清司; 久保 真治; 稲垣 嘉之; 國富 一彦; 小川 益郎

JAEA-Review 2014-037, 14 Pages, 2014/09

JAEA-Review-2014-037.pdf:8.84MB

高温ガス炉の熱エネルギーを用いることにより、水から水素を製造する熱化学法ISプロセスは、CO$$_{2}$$を排出することなく、安定かつ大量に水素を生産できうる、将来の最有力水素製造技術の一つとして、水素・燃料電池戦略ロードマップに記載されるなど、大きな期待が寄せられている。今後、実用化に向けた経済性評価が必要だが、将来の商用高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの経済性を精度よく評価することは現段階では困難である。そこで、既存の化石資源を用いた大型商用水素製造プラントの経済性評価データを基に、高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの経済性を評価した。本評価において、水素製造コストは25.4円/Nm$$^{3}$$であり、それに占める水素製造装置の構成要素の割合から、エネルギー源である高温ガス炉の建設コストの削減、稼働率の向上、水素製造熱効率の改善が水素製造コストの低下に大きく寄与することがわかった。この水素製造コストは燃料電池自動車(FCV)用水素燃料などに求められる水素製造コストを十分満足できることから、この値を高温ガス炉ISプロセス水素製造システムの水素製造コスト目標値として研究開発をすすめていく。

論文

Feasibility study on Naturally Safe HTGR (NSHTR) for air ingress accident

大橋 弘史; 佐藤 博之; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Nuclear Engineering and Design, 271, p.537 - 544, 2014/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:61.51(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故以降、いかなる事故が発生しても、特段の機器・設備を必要とせず、物理現象のみで人及び環境に有害な放射線の影響を与えないことを目的とした本質的安全高温ガス炉の研究開発を開始した。高温ガス炉にとって過酷な事象である空気侵入事故時において、燃料被覆層の放射性物質閉じ込め機能を喪失させる原因事象として、黒鉛酸化反応で発生する一酸化炭素(CO)の爆発による破損、黒鉛酸化反応熱による昇華等が挙げられる。本研究では、1次系配管の2箇所破断を想定した過酷な空気侵入事故時における本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すため、1次元定常モデルを用いて、円管流路におけるCO濃度及び反応熱に関する解析評価を行った。この結果、空気中の酸素との穏やかな反応によって冷却流路出口におけるCO濃度を爆発下限濃度未満に抑制、及び反応熱を物理現象のみによって除去可能な冷却材流路形状の条件が存在することを明らかにした。これにより、空気侵入事故時のCO爆発抑制及び反応熱除去に関して、本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すことができた。

論文

Process flow sheet evaluation of a nuclear hydrogen steelmaking plant applying very high temperature reactors for efficient steel production with less CO$$_{2}$$ emissions

笠原 清司; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

Nuclear Engineering and Design, 271, p.11 - 19, 2014/05

 被引用回数:2 パーセンタイル:73.24(Nuclear Science & Technology)

石炭を非化石エネルギーによる水素に置き換えた製鉄プラントはCO$$_{2}$$排出低減に有効である。高温ガス炉-熱化学法ISプロセスによる原子力水素製鉄(NHS)におけるCO$$_{2}$$排出低減のフローシート評価を行った。投入物質製造,輸送,発電を含む投入熱とCO$$_{2}$$排出量を高炉製鉄(BFS)と比較した。NHSの投入熱はBFSの130-142%と大きいものであったが、CO$$_{2}$$排出は13-21%にまで削減された。シャフト炉に吹き込まれる水素を石炭燃焼により予熱することでCO$$_{2}$$排出は増大したものの、投入熱低減には有効であった。原子炉の製鉄プラントへの近接立地の問題が解決されれば、核熱での水素の直接加熱はCO$$_{2}$$排出の増加無く熱収支を改善できることが期待された。水素製造効率がNHSの投入熱に大きな影響を及ぼした。600MW規模の高温ガス炉2基を単位とするNHSプラントは、シャフト炉と電気炉を1基ずつ備え、製鉄量は1.47$$times$$10$$^{6}$$t/yとなった。なお、本論文はHTR2012予稿を増補改訂したものである。

論文

Analysis of core heat removal capability under DLOFC accidents for HTGRs

佐藤 博之; 大橋 弘史; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Nuclear Engineering and Design, 271, p.530 - 536, 2014/05

 被引用回数:1 パーセンタイル:85.45(Nuclear Science & Technology)

本報告では、減圧事故時において能動的及び受動的設備の動作に期待することなく崩壊熱及び残留熱を除去可能な高温ガス炉の除熱特性を評価した。炉心、原子炉圧力容器および土壌、それぞれを集中定数化した簡易モデルを用いて非定常の温度挙動評価を行うとともに、炉心高さ、初期炉心温度、反射体高さ、炉室サイズおよびピーキング係数をパラメータとした検討を行った。計算結果から、炉心の出力密度および原子炉出力と半径の相関関係を得るとともに、崩壊熱及び残留熱除去の観点から本質的安全高温ガス炉が成立する見通しを得た。

論文

Inherently-safe high temperature gas-cooled reactor for hydrogen production

小川 益郎; 國富 一彦; 佐藤 博之

Keynote Lecture for International Conference of PM2.5 & Energy Security 2014 (PMES 2014), p.72 - 74, 2014/03

高温ガス炉技術の研究開発における現状に加え、高温ガス炉の環境保全性、安全性、経済性、持続性、核不拡散性に関する特長について紹介する。

論文

高温ガス炉における本質的安全性の概念

大橋 弘史; 佐藤 博之; 國富 一彦; 小川 益郎

日本原子力学会和文論文誌, 13(1), p.17 - 26, 2014/03

高温ガス炉において、全ての安全設備が作動しなくとも、燃料被覆材の放射性物質の閉じ込め機能を阻害する現象が発生すると、自然界の法則に従い、それら阻害する現象の起因事象に対して、カウンター的に生起する物理現象のみによって、起因事象を抑制する新たな概念を提案した。燃料被覆材の放射性物質の閉じ込め機能を阻害する4つの現象;拡散・透過、熱的損傷、化学的損傷、機械的損傷の起因事象である温度上昇、酸化腐食、一酸化炭素の爆発に対し、ドップラー効果、大気の自然対流・熱放射、酸化膜形成、一酸化炭素の燃焼といった物理現象がカウンター的に生起するように設計できることを示した。このように設計された高温ガス炉は、環境及び一般公衆に大きな影響を与えることのない本質的な安全性を確保できる第四世代原子力システムであると言える。

論文

水素製造・貯蔵の最新動向; 熱化学水素製造法ISプロセス

久保 真治; 小川 益郎

日本エネルギー学会誌, 92(11), p.1041 - 1045, 2013/11

熱化学水素製造法は、原子力や自然エネルギーから得られる熱を用いて水素製造が可能であり、従来の水電解水素製造に代わる方法として注目されるようになってきた。本報は、熱化学水素製造法の原理、熱化学水素製造法ISプロセスの反応構成および国内外の研究開発状況について述べ、熱化学水素製造法ISプロセスの研究動向を概観する。ISプロセスは、熱化学水素製造法のなかで最も研究開発が盛んな方法で、研究開発は、現在、基盤技術の確証段階にある。本プロセスの実用化するための重要課題の一つに実用工業材料製化学反応器の製作性および厳しい腐食環境中での信頼性を確証することが挙げられる。この課題は、日本をはじめ、中国と韓国が取り組んでいる。

論文

高温ガス炉を用いた水素の製鉄所への供給とその規模

笠原 清司; 久保 真治; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

材料とプロセス(CD-ROM), 26(2), p.498 - 501, 2013/09

高温ガス炉・ISプロセス水素製造及びこれらと組み合わせた水素還元製鉄プロセスの概要を述べた。プロセスフロー計算による物質収支解析により、標準的な高炉プラントと同規模となる製鉄量1万トン/日を達成するには、熱出力600MWの高温ガス炉5基を用い、ISプロセスで水素7.07$$times$$10$$^{6}$$Nm$$^{3}$$/日を、ヘリウムガスタービンで497MWの電力を製造して、製鉄所に供給する必要があることを明らかにした。製鉄プロセスではシャフト炉3基、電気炉2基が必要となった。本プロセスによって、CO$$_{2}$$排出量が従来の高炉プロセスの13%にまで激減することも示した。また、製鉄コストに対する水素製造コストの感度を調べ、従来法よりも低コスト化するためには、水素製造コストを3.0US$/kg-H$$_{2}$$以下にする必要があることを明らかにした。

論文

Inherently-safe high temperature gas-cooled reactor

小川 益郎

Zero-Carbon Energy Kyoto 2012, p.183 - 194, 2013/00

VHTRとしても知られている高温ガス炉(HTGR)は、六つの第四世代原子力エネルギーシステムのうちの一つである。HTGRは、50%の効率で発電が可能であり、また、水素や高品質のプロセスヒートを供給できる。そして、600MW程度の小型プラントであっても、高い経済性と安全性を有する。本論文では、公衆・社会・環境にとっての安全性をとことん追求する本質的に安全なHTGRの新しい概念を提案する。この概念は、いかなる事故が起きても、物理現象のみによって、特段の能動的,受動的機器・設備なしに、自己制御性によって安全な状態に静定するよう設計するものである。この本質的安全特性の一部は、既に、HTTRで確証されている。本質的に安全なHTGRの概念が成立するために必要な条件を解析し、その結果をここで報告する。

論文

Analysis of core heat removal capability under DLOFC accidents for HTGRs

佐藤 博之; 大橋 弘史; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2012/10

本報告では、減圧事故時において能動的及び受動的設備の動作に期待することなく崩壊熱及び残留熱を除去可能な高温ガス炉の除熱特性を評価した。炉心,原子炉圧力容器及び土壌、それぞれを集中定数化した簡易モデルを用いて非定常の温度挙動評価を行うとともに、炉心高さ,初期炉心温度,反射体厚さ,炉室サイズ及びピーキング係数をパラメータとした検討を行った。計算結果から、炉心の出力密度及び原子炉出力と半径の相関関係を得るとともに、崩壊熱及び残留熱除去の観点から超安全高温ガス炉が成立する見通しを得た。

論文

Process flow sheet evaluation of a nuclear hydrogen steelmaking plant applying high temperature gas-cooled reactors for efficient steel production with less CO$$_{2}$$ emissions

笠原 清司; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2012/10

石炭を非化石エネルギーによる水素に置き換えた製鉄プラントはCO$$_{2}$$排出低減に有効である。高温ガス炉-熱化学法ISプロセスによる原子力水素製鉄(NHS)におけるCO$$_{2}$$排出低減のフローシート評価を行った。投入物質製造,輸送,発電を含む投入熱とCO$$_{2}$$排出量を高炉製鉄(BFS)と比較した。NHSの投入熱はBFSの141-159%と大きいものであったが、CO$$_{2}$$排出は9-17%にまで低減された。シャフト炉に吹き込まれる水素を石炭燃焼により予熱することで、CO$$_{2}$$排出は少し増加するものの、投入熱低減には有効であった。原子炉の製鉄プラントへの近接立地の問題が解決されれば、核熱での水素の直接加熱はCO$$_{2}$$排出の増加無く熱収支を改善できることが期待された。水素製造効率がNHSの投入熱に及ぼす影響は大きかった。600MW規模の高温ガス炉を単位とするNHSプラントはシャフト炉と電気炉を1基ずつ備え、製鉄量は7.43$$times$$10$$^{5}$$t/yとなった。

論文

Feasibility study on naturally-safe HTGR for air ingress accident

大橋 弘史; 佐藤 博之; 橘 幸男; 國富 一彦; 小川 益郎

Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2012/10

福島第一原発事故以降、いかなる事故が発生しても、特段の機器・設備を必要とせず、物理現象のみで人及び環境に有害な放射線の影響を与えないことを目的とした本質的安全高温ガス炉の研究開発を開始した。高温ガス炉にとって過酷な事象である空気侵入事故時において、燃料被覆層の放射性物質閉じ込め機能を喪失させる原因事象として、黒鉛酸化反応で発生する一酸化炭素(CO)の爆発による破損、黒鉛酸化反応熱による昇華等が挙げられる。本研究では、1次系配管の2箇所破断を想定した過酷な空気侵入事故時における本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すため、1次元定常モデルを用いて、円管流路におけるCO濃度及び反応熱に関する解析評価を行った。この結果、空気中の酸素との穏やかな反応によって冷却流路出口におけるCO濃度を爆発下限濃度未満に抑制、及び反応熱を物理現象のみによって除去可能な冷却材流路形状の条件が存在することを明らかにした。これにより、空気侵入事故時のCO爆発抑制及び反応熱除去に関して、本質的安全高温ガス炉の技術的成立性を示すことができた。

論文

炭素循環製鉄システムのエネルギー源としての高温ガス炉の検討

笠原 清司; 佐藤 博之; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

材料とプロセス(CD-ROM), 25(2), p.647 - 650, 2012/09

製鉄におけるCO$$_{2}$$排出量の削減、並びに還元材である炭素資源の供給安全保障を目的として、製鉄プロセスへの炭素循環エネルギーシステム(ACRES)の適用が検討されている。ACRESは炭素資源利用後に発生するCO$$_{2}$$を非炭素系一次エネルギーによって炭素資源(CO)に再生し、再利用するものである。この適用性を評価するためには、非炭素系一次エネルギーやCO$$_{2}$$再生技術の選定が重要な課題となる。CO$$_{2}$$再生には電気・水素・高温熱等の利用が考えられることから、これらの供給が可能な高温ガス炉がその候補として挙げられる。ここでは、炭素循環製鉄システムのエネルギー源としての高温ガス炉について、熱・物質収支等の検討を行った。また、再生可能エネルギーである太陽光・熱もACRESの非炭素系一次エネルギーとして有望と考えられる。そこで、高温ガス炉と太陽光・熱による電気・熱供給の併用を想定して、高温ガス炉における負荷変動追従の成立性についても検討し、高温ガス炉と太陽光・熱の併用が可能であることを示した。

論文

Flow sheet model evaluation of nuclear hydrogen steelmaking processes with VHTR-IS (Very High Temperature Reactor and Iodine-Sulfur process)

笠原 清司; 稲垣 嘉之; 小川 益郎

ISIJ International, 52(8), p.1409 - 1419, 2012/08

 被引用回数:4 パーセンタイル:59.73(Metallurgy & Metallurgical Engineering)

VHTR-IS(超高温ガス炉-ISプロセス)による原子力水素還元製鉄プロセスのフローシートモデル解析を行った。評価対象は投入熱量とCO$$_{2}$$排出量である。原料製造,輸送,発電を含めた原子力水素還元製鉄(NHS)プロセスの投入熱量は28.4GJ/t-HQS(高品位鋼)であリ、この値は高炉製鉄(BFS)プロセスの17.6GJ/t-HQSより大きい値であった。効率化のために、水素消費量の削減と電気炉投入電力量の低減が求められる。原子力水素部分還元製鉄(NHPRS)プロセスの投入熱量は31.9GJ/t-HQSであり、部分還元鉱石の還元率と、高炉投入割合の最適化が必要になる。NHPRS, NHSのCO$$_{2}$$排出量はBFSの50%, 9%であった。還元物質が石炭から水素に変わったことと、原料輸送量が低減されたことで、CO$$_{2}$$排出量が削減された。製鉄規模を100万t/年にそろえたとき、NHSはBFSやMidrex法製鉄に近い製鉄コストであった。特に、原料コストが高価なとき、NHSが有利となった。

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