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論文

Characterization of mineral composition using PIXE and EXAFS analyses to elucidate the Barium adsorption mechanism

小栗 香里; 羽倉 尚人*; 山口 瑛子; 奥村 雅彦; 松浦 治明*; 綱嶋 康倫; 青木 勝巳; 荒井 陽一; 渡部 創

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 556, p.165516_1 - 165516_8, 2024/11

人形峠は日本で操業されたウラン鉱山であり、鉱山の地下水にはウラン(U)、ラジウム(Ra)などの各種放射性元素が微量ながら依然として存在し、その挙動は十分に解明されていない。金属イオンと鉱さい中の土壌・粘土鉱物との相互作用により、金属の化学的形態や組成が変化したり、鉱物に金属が吸着したりすると考えられる。また、吸着により、地下水に流れ出た放射性元素は土壌中を移動する間に吸着し保持される。このような粘土鉱物との相互作用は金属漏出の予測に重要であるため、系内の種分化には基本的な化学相互作用の検証が必要である。本研究では、スラグ堆積物の土壌中の金属酸化物と粘土鉱物の組成を調査し、さまざまなイオンの吸着構造の系統性を調べた。スラグ・土壌に含まれる鉱物の組成や化学形態を特定することは、安全性評価や周辺環境への影響評価に有用な情報を提供する。金属(水)酸化物や一部の粘土鉱物に含まれる局所構造を解明するために、拡張X線吸収微細構造(EXAFS)解析を実施し、粒子誘起X線放出(PIXE)による各元素の定量分析を実施した。

論文

Globular pattern formation of hierarchical ceria nanoarchitectures

青柳 登; 元川 竜平; 奥村 雅彦; 上田 祐生; 斉藤 拓巳*; 西辻 祥太郎*; 田口 富嗣*; 蓬田 匠; 佐崎 元*; 池田 篤史

Communications Chemistry (Internet), 7, p.128_1 - 128_13, 2024/06

Dissipative structures often appear as an unstable counterpart of ordered structures owing to fluctuations that do not form a homogeneous phase. Even a multiphase mixture may simultaneously undergo one chemical reaction near equilibrium and another one that is far from equilibrium. Here, we observed in real-time crystal seed formation and simultaneous nanocrystal aggregation proceeding from tetravalent cerium complexes to ceria nanoparticles in an acidic aqueous solution and investigated the resultant hierarchical nanoarchitecture. The formed particles exhibited two very different size ranges. The hierarchically assembled structures in solutions were ceria colloids, viz. primary core clusters of crystalline ceria and secondary clusters assembled through surface ions. Such self-assembly is widespread in multi-component complex fluids, paradoxically moderating hierarchical reactions. Stability and instability are not only critical but also complementary for co-optimization around the nearby free energy landscape prior to bifurcation.

論文

Molecular geochemistry of radium; A key to understanding cation adsorption reaction on clay minerals

山口 瑛子; 栗原 雄一*; 永田 光知郎*; 田中 万也; 桧垣 正吾*; 小林 徹; 谷田 肇; 小原 義之*; 横山 啓一; 矢板 毅; et al.

Journal of Colloid and Interface Science, 661, p.317 - 332, 2024/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)

ラジウム(Ra)は放射性元素であり、放射性廃棄物処理やウラン鉱山周辺の環境問題で重要なため、環境中Ra挙動の解明は急務である。しかし、Raは安定同位体が存在しないため分子レベルの実験が難しく、環境中で重要と考えられる粘土鉱物への吸着反応についても詳細なデータは得られていない。本研究では、広域X線吸収微細構造(EXAFS)法によりRaの分子レベルの情報を得る手法を確立し、さらに第一原理計算を利用することでRaの粘土鉱物への吸着構造を明らかにした。また、同族元素との比較を行い、粘土鉱物への吸着反応の系統的な理解に資する結果を得た。

論文

Machine learning molecular dynamics reveals the structural origin of the first sharp diffraction peak in high-density silica glasses

小林 恵太; 奥村 雅彦; 中村 博樹; 板倉 充洋; 町田 昌彦; 浦田 新吾*; 鈴谷 賢太郎

Scientific Reports (Internet), 13, p.18721_1 - 18721_12, 2023/11

 被引用回数:1 パーセンタイル:40.78(Multidisciplinary Sciences)

非晶質物質の構造因子に現れる鋭い第一ピークはFSDPと呼ばれ、非晶質物質中の中距離秩序構造を反映したものであると考えられているが、その構造的起源に関しては現在まで議論が続いている。今回、第一原理計算と同等の精度を持つ機械学習分子動力学を用いることにより、高密度シリカガラスにおけるFSDPの構造起源を解析した。まず、機械学習分子動力学を用いることにより、高密度シリカガラスの様々な実験データの再現に成功した。また、高密度シリカガラスにおけるFSDPの発達(減少)は、ガラス構造の圧縮に伴う、Si-O共有結合ネットワーク中のリング構造の変形挙動によって特徴付けられることを明らかにした。

論文

水に溶けたラジウムを分子レベルで初観測

山口 瑛子; 奥村 雅彦; 高橋 嘉夫*

Isotope News, (789), p.20 - 23, 2023/10

ラジウムはウランやトリウムから生成する放射性元素であり、ウラン鉱山周辺の環境汚染問題や地層処分で重要な元素である。さらにラジウムは放射年代測定やがん治療にも利用されるため、環境化学だけでなく、地球化学や核医学を含む多くの分野で重要となっている。しかし、ラジウムは安定同位体のない放射性元素であるため、分光法の測定が難しく、分子レベルの情報はこれまでほとんど得られていなかった。本研究では広域X線吸収微細構造法による測定と第一原理分子動力学シミュレーションを併用することで水和ラジウムの分子レベルの情報を世界で初めて明らかにした。

論文

放射性セシウム捕捉ポテンシャルから推定される$$K$$$$_{rm d}$$値と実測$$K$$$$_{rm d}$$値との誤差要因の解明

宇野 功一郎*; 中尾 淳*; 奥村 雅彦; 山口 瑛子; 小暮 敏博*; 矢内 純太*

日本土壌肥料学雑誌, 94(5), p.376 - 384, 2023/10

土壌のセシウム(Cs)吸着能の定量指標としてRadiocesium interception potential (RIP)が広く用いられてきたが、このRIPが実環境でのCsの分配係数($$K$$$$_{rm d}$$)と必ずしも相関しないことがわかってきた。この原因を明らかにするため、より実環境に則した溶液を用いた$$K$$$$_{rm d}$$測定やRIPとの比較、鉱物の構造評価を行った。その結果、カリウムイオンやアンモニウムイオンなどの競合陽イオンの濃度が重要であることや、鉱物自体の構造変化が重要であることがわかった。

論文

1F廃炉に向けた放射線源逆推定及び線源対策に係るデジタル技術の研究開発; 3D-ADRES-Indoor:デジタル技術を集約するプラットフォームの現状紹介

町田 昌彦; 山田 進; Kim, M.; 奥村 雅彦; 宮村 浩子; 志風 義明; 佐藤 朋樹*; 沼田 良明*; 飛田 康弘*; 山口 隆司; et al.

RIST News, (69), p.2 - 18, 2023/09

福島第一原子力発電所(1F)建屋内には、原子炉内から漏洩した放射性物質の汚染により高い放射線量を示す地点が多数存在し、廃炉作業を円滑に進める上での大きな障害の一つとなっている。この課題解決に資するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、経済産業省の廃炉・汚染水対策事業費補助金「原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)」を受託し、令和3年度より2年間に渡り、放射線源の逆推定と推定線源に対する対策を仮想空間で実施可能とするためのデジタル技術の研究開発を実施してきた。本記事では、上記プロジェクトの成果(以下、前期プロジェクトと呼び、その2年間の研究開発の成果)を紹介する他、令和5年度4月より、新たに開始した継続プロジェクト(以下、後期プロジェクトと呼ぶ)の計画についても報告する。前期プロジェクトにて当初予定していた機械学習技術(LASSO)については、建屋内の複雑な構造情報と汚染源の性質を反映した一つの派生版手法へと結実させた成果を報告する他、実際の原子炉施設での検証結果を示す。更に、開発技術を集約したプラットフォームとしての機能を持つソフトウエア:3D-ADRES-Indoorを紹介し、継続して実施する予定の後期プロジェクトの研究開発計画も紹介する。

論文

Dynamic interaction between dislocations and obstacles in BCC iron based on atomic potentials derived using neural networks

森 英喜*; 都留 智仁; 奥村 雅彦; 松中 大介*; 椎原 良典*; 板倉 充洋

Physical Review Materials (Internet), 7(6), p.063605_1 - 063605_8, 2023/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

析出物などの障害物を導入して転位の動きを制御することは、金属の機械的強度を設計するための有力な方法である。転位コアのサイズは1nm以下とナノスケールであるため、転位と障害物の相互作用を調べるには、原子レベルのモデリングが必要である。しかし、従来の経験的ポテンシャルでは十分な精度が得られなかったため、転位と障害物の相互作用の原子レベルでの詳細が解明されていない。そこで、本研究では、人工ニューラルネットワーク(ANN)の枠組みを用い、第一原理計算の高精度を生かした原子ポテンシャルを構築した。構築したANNポテンシャルを用いて、BCC鉄における$$(a_0/2){110}$$刃状転位と障害物の動的相互作用を調査した。転位が空隙を横切ると、Bow-out転位では超平滑で対称的な半ループが観察された。らせん転位を除き、ANNを用いて予測されたすべての転位のパイエルス応力は100MPa以下であった。さらに重要なことは、剛体球と転位の相互作用において、オロワンループが形成されることを確認したことである。さらに、オロワンループが剛体球と転位の相互作用の中で、2つの小さなループに分解する現象を発見した。

論文

機械学習分子動力学法による核燃料物質の高温物性評価

小林 恵太; 中村 博樹; 板倉 充洋; 町田 昌彦; 奥村 雅彦

まてりあ, 62(3), p.175 - 181, 2023/03

核燃料の研究開発において、原子炉運転時からシビアアクシデント時の融点付近に至る温度領域まで、核燃料物質の高温物性を把握することが必須となるが、その取扱いの困難さから、実験研究を行うことは容易ではない。一方、シミュレーション研究は安全に実施可能であるが、高温物性評価のために必要である、高精度な大規模構造の長時間シミュレーションは、従来のシミュレーション手法では、実施が難しかった。我々は、最近開発された機械学習技術を応用して高精度な大規模構造の長時間シミュレーションが実施可能な「機械学習分子動力学法」を用いて、酸化トリウムの高温熱物性評価に成功した。本稿は、機械学習分子動力学法と我々の研究成果について概説する。

論文

Machine learning potentials of kaolinite based on the potential energy surfaces of GGA and meta-GGA density functional theory

小林 恵太; 山口 瑛子; 奥村 雅彦

Applied Clay Science, 228, p.106596_1 - 106596_11, 2022/10

 被引用回数:6 パーセンタイル:78.82(Chemistry, Physical)

粘土鉱物の一種であるカオリナイトの機械学習ポテンシャルを構築し、分子動力学法シミュレーションを実施することにより、カオリナイトの各種物性値を評価し、実験結果と比較した。その結果、原子構造や機械的特性を非常に良い精度で実験結果を再現することが確認された。さらに、構築した機械学習ポテンシャルを用いた分子動力学方シミュレーションで振動状態密度を評価したところ、古典分子動力学法や第一原理計算手法等の既存のシミュレーション手法では再現できなかった中性子非弾性散乱実験の結果をよく再現することがわかった。

論文

1F廃炉に向けた放射線源の逆推定及び線源対策に係るデジタル技術の研究開発; 3D-ADRES-Indoor:デジタル技術を集約するプラットフォームの開発状況

町田 昌彦; 山田 進; Kim, M.; 奥村 雅彦; 宮村 浩子; Malins, A.; 志風 義明; 佐藤 朋樹*; 沼田 良明*; 飛田 康弘*; et al.

RIST News, (68), p.3 - 19, 2022/09

福島第一原子力発電所(1F)建屋内には、原子炉内から漏洩した放射性物質の汚染により高い放射線量を示す地点が多数存在し、廃炉作業を円滑に進める上での大きな障害の一つとなっている。この課題の解決に資するため、日本原子力研究開発機構(JAEA)は、経済産業省の廃炉・汚染水対策事業費補助金「原子炉建屋内の環境改善のための技術の開発(被ばく低減のための環境・線源分布のデジタル化技術の開発)」を受託し、令和3年6月より放射線源の逆推定と推定線源に対する対策を仮想空間にて実施するためのデジタル技術及びその関連技術の研究開発を開始した。本記事では、上記技術のコアとなる概念(逆推定に用いるLASSO: Least Absolute Shrinkage and Selection Operator)を紹介するとともに、開発技術を集約したプラットフォーム機能を持つソフトウエア: 3D-ADRES-Indoorの開発進捗と、その活用の際に重要な役割を果たす放射線量の可視化技術等の研究開発の進捗について報告する。

論文

Extended X-ray absorption fine structure spectroscopy measurements and ${it ab initio}$ molecular dynamics simulations reveal the hydration structure of the radium(II) ion

山口 瑛子; 永田 光知郎*; 小林 恵太; 田中 万也; 小林 徹; 谷田 肇; 下条 晃司郎; 関口 哲弘; 金田 結依; 松田 晶平; et al.

iScience (Internet), 25(8), p.104763_1 - 104763_12, 2022/08

 被引用回数:9 パーセンタイル:68.02(Multidisciplinary Sciences)

ラジウム(Ra)は環境汚染やがん治療の観点から注目を集めている元素である。しかし、安定同位体が存在せず扱いが難しいことから、物理化学的に重要な水和構造さえも原子レベルでの観測が行われていない。本研究では、世界で初めて、広域X線吸収微細構造(EXAFS)法を用いたRa水和構造の解明を行った。また、第一原理計算による水和構造解明も実施し、実験ではわからない水分子のダイナミクスの解明を行った。両者の比較も行ったところ、実験と計算の結果はよく一致し、Raの第一水和圏における配位数や酸素との距離を解明した他、アナログ元素であるバリウムに比べて水分子の配位が弱いことがわかった。これらはRaの環境挙動解明やがん治療開発等に資する結果である。

論文

Machine learning molecular dynamics simulations toward exploration of high-temperature properties of nuclear fuel materials; Case study of thorium dioxide

小林 恵太; 奥村 雅彦; 中村 博樹; 板倉 充洋; 町田 昌彦; Cooper, M. W. D.*

Scientific Reports (Internet), 12(1), p.9808_1 - 9808_11, 2022/06

 被引用回数:8 パーセンタイル:71.45(Multidisciplinary Sciences)

核燃料の一つであるトリウム酸化物に対し、機械学習分子動力学法を用い、その高温物性を調査した。様々な交換汎関数により第一原理計算を実施し、ニューラルネットによりその結果を学習することにより機械学習力場を構築した。特にSCANと呼ばれる交換汎関数を用いた第一原理計算結果を学習することにより得られた機械学習力場は、ラムダ転移温度や融点を含め、比較可能な実験データの多くに対し高精度な結果を示した。

論文

EXAFSによるRaの水和状態と粘土鉱物への吸着状態の解明

山口 瑛子; 永田 光知郎*; 田中 万也; 小林 恵太; 小林 徹; 下条 晃司郎; 谷田 肇; 関口 哲弘; 金田 結依; 松田 晶平; et al.

放射化学, (45), p.28 - 30, 2022/03

ラジウム(Ra)は環境挙動の解明が急務な元素であるが、安定同位体を持たないため分光法の適用が難しく、水和構造でさえも十分に解明されていない。本研究では、Raの広域X線吸収微細構造(EXAFS)を測定し、世界で初めてRaの水和状態及び粘土鉱物への吸着状態を分子レベルで解明した。水和構造について第一原理計算を実施した結果、実験値と計算値は整合した。粘土鉱物において、Raは内圏錯体を形成し、環境中でRaが粘土鉱物に固定されることが示唆された。本稿では特に水和構造の結果について詳細に述べる。

論文

Construction of machine-learning Zr interatomic potentials for identifying the formation process of c-type dislocation loops

沖田 泰良*; 寺山 怜志*; 津川 聖人*; 小林 恵太; 奥村 雅彦; 板倉 充洋; 鈴木 克幸*

Computational Materials Science, 202, p.110865_1 - 110865_9, 2022/02

 被引用回数:7 パーセンタイル:45.98(Materials Science, Multidisciplinary)

In this study, a Neural Network Potential (NNP) using an Artificial Neural Network (ANN) was developed for Zr, which is used as fuel cladding material in light water reactors. The reference data were obtained through first-principles calculations of various quantities, such as strained hexagonal-closed-packed (hcp) cells, strained face-centered cubic cells, cells containing a vacancy, several vacancies, and surfaces and $$gamma$$-surface energy on all five slip planes in the hcp structures. These data were converted to training data for the ANN, which were invariant to the rotation and translation of the atoms and independent of the number of atoms in the cells. The ANN was defined as a three-layer structure and the number of the nodes was set to 26-12-18-1. The NNP reproduced the first-principles calculations, particularly for the shear deformation, vacancy formation energy, surface energy, and $$gamma$$-surface energy, with much higher accuracy than any of the existing potentials that have been developed for classical molecular dynamics simulations. The NNP was applied to identify the formation process of c-type dislocation loops in Zr, which is a key microstructure responsible for abrupt increases in hydrogen absorption. The formation process was determined by the balance of the vacancy formation energy, surface energy and the $$gamma$$-surface energy on the basal plane, both of which were precisely reproduced only by the NNP developed in this study. The formation process was identified based on the atomistic behavior of the NNP.

論文

計算科学による雲母粘土鉱物の放射性セシウム吸着現象研究

奥村 雅彦

地球化学, 55(4), p.110 - 121, 2021/12

福島第一原子力発電所事故によって環境中に放出された放射性セシウムの一部は表層土壌に強く吸着し、住民避難の原因となった。国による大規模除染によって居住地の空間線量率は低下し、住民帰還が実現するに至ったが、除染により排出された放射性セシウムを含む除染除去土壌の処分は今も大きな問題として残されている。放射性セシウムは土壌中の雲母粘土鉱物によって強く吸着されていることが知られているが、その吸着機構は明らかになっていなかった。本稿では、事故以来継続的に実施してきた放射性セシウムの雲母粘土鉱物による吸着現象に対する計算科学的研究について総合的に解説する。

論文

Hydration structures of barium ions; ${it Ab initio}$ molecular dynamics simulations using the SCAN meta-GGA density functional and EXAFS spectroscopy studies

山口 瑛子; 小林 恵太; 高橋 嘉夫*; 町田 昌彦; 奥村 雅彦

Chemical Physics Letters, 780, p.138945_1 - 138945_5, 2021/10

 被引用回数:6 パーセンタイル:49.65(Chemistry, Physical)

ラジウム(Ra)はウランやトリウムの放射壊変により生成する放射性元素であり、放射性廃棄物の処理や旧ウラン鉱山周辺の環境問題の解決において重要な元素であるが、安定同位体が存在しないといった取り扱いの難しさから、水和構造などの基本的な物理化学的性質さえも不明な点が多い。本研究では、周期律表上でRaより一周期小さいがRaと同族であり、イオンの価数や大きさが類似していることから、アナログ元素としてよく用いられるバリウムに着目し、その水和構造を第一原理分子動力学法のシミュレーションにより解明した。これまで研究が行われていない大きな系について、より水の計算に適している新しい汎関数を用いて第一原理計算を行うことでより高精度のシミュレーションを行い、X線吸収微細構造法の観測も行うことでシミュレーション結果の妥当性を確かめた。

論文

Machine learning potentials for tobermorite minerals

小林 恵太; 中村 博樹; 山口 瑛子; 板倉 充洋; 町田 昌彦; 奥村 雅彦

Computational Materials Science, 188, p.110173_1 - 110173_14, 2021/02

 被引用回数:15 パーセンタイル:73.05(Materials Science, Multidisciplinary)

セメント水和物(セメントペースト)は建築材はもとより、放射性セシウムの閉じ込め材料として利用される。本論文はセメント水和物の代表的なモデル物質であるトバモライトの機械学習力場の構築を行ったものである。トバモライトに対し第一原理計算を実施し、様々な原子配置とそのポテンシャルデータを大量に生成し、ニューラルネットを用いた機械学習力場の学習を行った。構築した機械学習力場はトバモライトの弾性係数,振動状態密度をほぼ第一原理と同等の精度で計算可能であることを確かめた。また、機械学習分子動力学法を実行し、トバモライト細孔における水,イオンの輸送特性の解析を行った。

報告書

Status of study of long-term assessment of transport of radioactive contaminants in the environment of Fukushima (FY2018) (Translated document)

長尾 郁弥; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 伊藤 聡美; 渡辺 貴善; 土肥 輝美; 中西 貴宏; 佐久間 一幸; 萩原 大樹; 舟木 泰智; et al.

JAEA-Research 2020-007, 249 Pages, 2020/10

JAEA-Research-2020-007.pdf:15.83MB

2011年3月11日に発生した太平洋三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波により、東京電力(現東京電力ホールディングス)福島第一原子力発電所の事故が発生し、その結果、環境中へ大量の放射性物質が放出された。この事故により放出された放射性核種は、その大部分が森林に沈着している。これに対し、面積が広大であり大量の除去土壌などが生じる、多面的な森林の機能が損なわれる可能性があるなどの問題があり、生活圏近傍を除き、汚染された森林の具体的な除染計画はない。そのため、未除染の森林から放射性セシウムが流出し、既に除染された生活圏に流入することで空間線量率が上がってしまうのではないか(外部被ばくに関する懸念)、森林から河川に流出した放射性セシウムが農林水産物に取り込まれることで被ばくするのではないか、規制基準値を超えて出荷できないのではないか(内部被ばくに関する懸念)などの懸念があり、避難住民の帰還や産業再開の妨げとなる可能性があった。日本原子力研究開発機構では、環境中に放出された放射性物質、特に放射性セシウムの移動挙動に関する「長期環境動態研究」を2012年11月より実施している。この目的は、自治体の施策立案を科学的側面から補助する、住民の環境安全に関する不安を低減し、帰還や産業再開を促進するといった点にある。本報告書は、原子力機構が福島県で実施した環境動態研究におけるこれまでの研究成果について取りまとめたものである。

論文

Quantitative evaluation of effects of isomorphic substitutions on delamination energies of clay minerals

山口 瑛子; 浅野 育美*; 北川 結理*; Meng, C.*; 中尾 淳*; 奥村 雅彦

Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.127 - 130, 2020/10

粘土鉱物は身近な鉱物の一つであり、環境中の元素挙動に大きな影響を及ぼすにも関わらず、未解明な点が多い。粘土鉱物の重要な特性の一つに、同程度の大きさのイオンによる置換反応(同形置換)があり、粘土鉱物の強い吸着力の要因の一つと考えられているが、実際にどの程度影響を及ぼすか評価されたことはない。本発表では、系統的なモデル作成と第一原理計算を用いることで、同形置換が剥離強度に与える影響を数値的に評価した結果を報告する。

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