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論文

標準委員会2023年秋の大会企画セッション「安全な長期運転に向けた標準化活動」の報告

村上 健太*; 鬼沢 邦雄; 山本 章夫*

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 66(4), p.199 - 202, 2024/04

日本原子力学会標準委員会は、高経年化対策実施基準の改定を通して長期運転にかかる活動をリードしてきたが、最近の法・規制の変更を踏まえて、引き続き重要な貢献をする必要があると考えている。本稿は、2023年秋の大会で実施された企画セッションにおける議論を再構成し、安全な長期運転に向けた取り組みとその標準化における留意点を解説したものである。重要な点として、(1)時間の経過に伴って見いだされる知識を有効に活用すること、(2)オブソレッセンスを含む安全への影響が大きな新知見を見逃さないこと、(3)安全への影響と発現可能性の大きさを踏まえて対応に重要度をつけること、(4)国際的な知識基盤構築へ貢献することなどが挙げられる。

論文

Reviewing codes and standards for long term operation in Japan

村上 健太*; 新井 拓*; 山田 浩二*; 門間 健介*; 辻 峰史*; 中川 信幸*; 鬼沢 邦雄

Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 3 Pages, 2024/03

本論文では、長期運転に関連する日本の規制規則、規格、業界ガイドを国際安全規格と体系的に比較することにより、日本の規格・基準の将来像を検討し、日本の規格制度が国際安全規格の勧告を概ね満たしていることを確認した。日本の規格・基準の将来的な改善に関する提言は、5項目に要約された。

論文

Analysis of the effect of pre-crack curvature in Mini-C(T) specimen on fracture toughness evaluation

下平 昌樹; 河 侑成; 高見澤 悠; 勝山 仁哉; 鬼沢 邦雄

Proceedings of ASME 2023 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2023) (Internet), 11 Pages, 2023/07

最新の原子炉圧力容器の構造健全性評価においては、マスターカーブ法に基づく正確な破壊靭性参照温度T$$_{o}$$の取得が必要である。破壊靭性参照温度T$$_{o}$$はMini-C(T)破壊靭性試験片によって取得可能であり、この試験片の寸法や初期亀裂形状に関しては、ASTM規格のE1921や日本電気協会電気技術規程JEAC4216に規定されている。最近、ASTM E1921では評価の正確性や試験を行う上での利便性を向上させるために、何度か予亀裂形状に関する規定の変更が行われてきた。このような規格の改定に伴うMini-C(T)試験片の許容予亀裂形状の変化は、予亀裂先端の塑性拘束状態を変化させ、T$$_{o}$$評価に影響を及ぼす可能性がある。本研究では、ASTM E1921やJEAC4216に規定される予亀裂形状に関する要求の妥当性について議論するため、Mini-C(T)試験片の予亀裂湾曲が破壊靭性評価に及ぼす影響について、ワイブル応力解析を含む有限要素解析によって定量的に評価した。その結果、ASTM E1921-21で定められた最大湾曲を有する亀裂形状の場合、亀裂先端の塑性拘束が弱められ、理想的な直線状亀裂を有するMini-C(T)試験片で得られる破壊靭性値に比べて高めの破壊靭性値が得られる可能性を示した。また、上述の最大湾曲を許容した場合、非保守的なT$$_{o}$$が取得されることをワイブル応力解析によって示した。一方、JEAC4216で許容される最大湾曲を有する亀裂形状の場合は、理想的な直線状亀裂の場合と比べてT$$_{o}$$の有意な差は見られなかった。

論文

Crack growth evaluation for cracked stainless and carbon steel pipes under large seismic cyclic loading

山口 義仁; 勝山 仁哉; Li, Y.; 鬼沢 邦雄

Journal of Pressure Vessel Technology, 142(2), p.021906_1 - 021906_11, 2020/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:7.57(Engineering, Mechanical)

Some Japanese nuclear power plants have experienced several large earthquakes beyond the design basis ground motion. In addition, cracks resulting from long-term operation have been detected in piping systems. Therefore, to assess the structure integrity of cracked pipes taking the occurrence of large earthquakes into account, it is very important to establish a crack growth evaluation method for cracked pipes that are subjected to large seismic cyclic response loading. In our previous study, we proposed an evaluation method for crack growth during large earthquakes through experimental study using small specimens and investigation using finite element analyses. In the present study, to confirm applicability of the proposed method, crack growth tests were conducted on both stainless and carbon steel pipe specimens with a circumferential through-wall crack, considering large seismic cyclic response loading with complex wave forms. The predicted crack growth values are in good agreement with the experimental results and the applicability of the proposed method was confirmed.

論文

Susceptibility to neutron irradiation embrittlement of heat-affected zone of reactor pressure vessel steels

高見澤 悠; 勝山 仁哉; 河 侑成; 飛田 徹; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄

Proceedings of 2019 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2019) (Internet), 8 Pages, 2019/07

原子炉圧力容器鋼の溶接熱影響部(HAZ)について、実際の原子炉圧力容器を模擬した継手溶接材(継手HAZ)及びHAZの代表的な組織を再現した熱処理材を作製し、JRR-3を用いた中性子照射試験及び照射後試験を実施し、照射前後の微細組織変化及び機械的特性変化を調べた。未照射材において、継手HAZ及び細粒HAZの破壊靭性が母材よりも低く、その要因が島状マルテンサイトやフェライト相の存在に因ることを明らかにした。また、粗粒HAZの中性子照射脆化感受性は母材よりも小さい値を示し、継手HAZ及び細粒HAZは母材と同等であることを明らかにした。

報告書

Mechanical properties database of reactor pressure vessel steels related to fracture toughness evaluation

飛田 徹; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄

JAEA-Data/Code 2018-013, 60 Pages, 2018/11

JAEA-Data-Code-2018-013.pdf:1.67MB

原子炉圧力容器の健全性を判断する上で、破壊靱性をはじめとする材料の機械的特性は重要な情報となる。本レポートは、日本原子力研究開発機構が取得した中性子照射材を含む原子炉圧力容器鋼材の機械的特性、具体的には引張試験, シャルピー衝撃試験, 落重試験及び破壊靱性試験の公開データをまとめたものである。対象とした材料は、初期プラントから最新プラント相当の不純物含有量及び靱性レベルで製造されたJIS SQV2A(ASTM A533B Class1)相当の5種類の原子炉圧力容器鋼である。また母材に加え、原子炉圧力容器の内張りとして用いられている2種類のステンレスオーバーレイクラッド材の機械的特性データについても記載した。これらの機械的特性データは、材料ごとにグラフで整理するとともに今後のデータの活用しやすさを考慮して表形式でリスト化した。

報告書

平成26年度研究開発・評価報告書 評価課題「安全研究とその成果の活用による原子力安全規制行政に対する技術的支援」(事後評価・事前評価)

工藤 保; 鬼沢 邦雄*; 中村 武彦

JAEA-Evaluation 2015-011, 209 Pages, 2015/11

JAEA-Evaluation-2015-011.pdf:10.36MB

日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成20年10月31日内閣総理大臣決定)及びこの大綱的指針を受けて作成された「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成21年2月17日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定、平成21年8月19日改訂)等に基づき、平成26年9月29日に「安全研究」に関する事後・事前評価を安全研究・評価委員会に諮問した。これを受けて、安全研究・評価委員会は、本委員会によって定められた評価方法に従い、原子力機構から提出された平成22年4月から平成26年9月まで及び平成27年度以降の安全研究センターの運営及び安全研究の実施に関する説明を受け、今期中期計画期間及び次期中長期計画期間の研究開発の実施状況について、研究開発の必要性、有効性、効率性等の観点から評価を行った。本報告書は、安全研究・評価委員会から提出された事後・事前評価結果(答申書)をまとめるとともに、本委員会での発表資料、及び評価結果に対する原子力機構の措置を添付したものである。

論文

Fracture toughness evaluation of reactor pressure vessel steels by master curve method using miniature compact tension specimens

飛田 徹; 西山 裕孝; 大津 拓与; 宇田川 誠; 勝山 仁哉; 鬼沢 邦雄

Journal of Pressure Vessel Technology, 137(5), p.051405_1 - 051405_8, 2015/10

 被引用回数:14 パーセンタイル:53.86(Engineering, Mechanical)

ミニチュアコンパクトテンション(0.16T-CT)試験片のマスターカーブ法による破壊靭性評価への適用性を明らかにするため、0.16インチから1インチまでの板厚・形状の異なる数種類の試験片(0.16T-CT, PCCv, 0.4T-CT, 1T-CT)を用いて破壊靱性試験を行った。不純物含有量、靱性レベルが異なる5種類の原子炉圧力容器鋼に対して、0.16T-CTを用いて評価した破壊靱性参照温度($$T_{o}$$)は、1T-CTその他板厚の試験片と良い一致を示した。また、1インチ相当に補正した0.16T-CT試験片の破壊靭性値のばらつきの大きさ及び負荷速度依存性も同等であった。さらに、0.16T-CT試験片を用いて$$T_{o}$$を評価する場合の最適な試験温度に関し、シャルピー遷移温度を元にした設定法について提案を行った。

論文

Failure probability analyses for PWSCC in Ni-based alloy welds

宇田川 誠; 勝山 仁哉; 鬼沢 邦雄; Li, Y.

International Journal of Pressure Vessels and Piping, 131, p.85 - 95, 2015/07

 被引用回数:3 パーセンタイル:34.13(Engineering, Multidisciplinary)

Ni合金異材溶接部に対する確率論的破壊力学解析コードPASCAL-NPは、最新の知見を反映して開発されたものである。本解析コードは加圧水型原子炉の一次水質環境中における応力腐食割れ(PWSCC)及び沸騰水型原子炉の水質環境中におけるNi合金の応力腐食割れ(NiSCC)を対象とし、構造健全性に影響を及ぼすパラメータのばらつきを適切に考慮して機器の漏えいや破断確率を評価することができる。本報では、国内プラントである大飯3号機及び米国プラントであるデービスベッセにおける原子炉容器上蓋貫通部のPWSCCによる漏えい事象を対象として事例解析を実施した。その結果、解析コードによる漏えい確率解析結果は、実機における検査結果と概ね一致することを確認し、解析コードの信頼性と有用性を明確にした。本報ではまた、パラメトリック解析を実施し、漏えい確率に及ぼす温度及び確率変数のばらつきの影響を定量的に評価した。その結果、漏えい確率に及ぼす温度の影響が非常に大きく、PWSCCの発生可能な部位を対象とした温度低減はPWSCCの対策として非常に有効であることを明らかにした。

論文

Development of J-integral solutions for semi-elliptical circumferential cracked pipes subjected to internal pressure and bending moment

宇田川 誠; 勝山 仁哉; 山口 義仁; Li, Y.; 鬼沢 邦雄

Proceedings of 2015 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2015) (Internet), 9 Pages, 2015/07

J積分の解は、弾塑性破壊力学に基づくき裂進展解析や破損評価を実施する際に用いる重要な力学パラメータである。原子力発電プラントにおける配管系の構造健全性評価において、周方向半楕円き裂は最も重要なき裂形状の一つである。このき裂形状に対するJ積分の解としていくつか提案されているものの、き裂の最深点と表面点の両方においてJ積分値を算出できる解は無い。このため本研究では、まず有限要素解析により周方向半楕円き裂の最深点及び表面点のJ積分値を求め、次に実用的なJ積分値の解として簡便なJ積分算出式を整備した。最後に、弾性域における応力拡大係数解との比較や、材質の異なる場合における有限要素解析結果との比較により、J積分値算出式の精度と適用性を確認した。

論文

Effects of plasticity on the stress intensity factor evaluation for underclad crack under pressurized thermal shock events

勝山 仁哉; Huang, L.; Li, Y.; 鬼沢 邦雄

Proceedings of 2015 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2015) (Internet), 8 Pages, 2015/07

加圧熱衝撃(PTS)時の原子炉圧力容器(RPV)の健全性評価においては、RPV内面にクラッド下き裂を想定して非延性破壊の駆動力である応力拡大係数の評価が行われる。RPV内面には、RPVを腐食から守るためステンレス鋼のクラッドが肉盛溶接されている。クラッドは延性材料であるため、応力拡大係数を評価する場合には、その塑性の影響を考慮する必要がある。フランスにおいて、その塑性の影響を考慮した応力拡大係数評価法が整備されている。本研究では、PTS時のクラッド下き裂に対する応力拡大係数評価法について検討を行うため、異なる形状のクラッド下き裂を導入した三次元モデルを用いて、荷重としてPTS時の過渡または内圧を与えた有限要素法に基づく弾性及び弾塑性解析を行った。この詳細解析の結果を基に、応力拡大係数評価に及ぼす塑性の影響を明らかにするとともに、フランスの評価法の保守性を示した。

論文

Development of probabilistic evaluation models of fracture toughness K$$_{Ic}$$ and K$$_{Ia}$$ for Japanese RPV steels

勝山 仁哉; 勝又 源七郎; 鬼沢 邦雄; 小坂部 和也*; 吉本 賢太郎*

Proceedings of 2015 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2015) (Internet), 9 Pages, 2015/07

確率論的破壊力学(PFM)解析を国内の原子炉圧力容器(RPV)の健全性評価に適用するため、PFM解析コードPASCAL3の開発を進めている。本研究では、健全性評価に関連する影響因子の中で最も大きなばらつきを有する破壊靭性K$$_{Ic}$$とK$$_{Ia}$$について、国内RPV鋼材のデータベースに基づく確率論的評価モデルについて述べる。K$$_{Ic}$$及びK$$_{Ia}$$の確率論的評価モデルを構築するにあたっては、収集したデータの有効性を確認して、それらのデータベース化を行った後、それぞれワイブル分布及び対数正規分布に基づきモデル化した。構築したモデルの有用性を確認するため、国内規格における下限包絡曲線及び米国のモデルとの比較を行った。その結果、本研究で構築したモデルの5%下限が国内規格の下限包絡曲線に相当していることが示された。また、米国のモデルと比較して、K$$_{Ic}$$については本モデルが高く、逆にK$$_{Ia}$$は低いことが示された。

論文

Study on application of PFM analysis method to Japanese code for RPV integrity assessment under PTS events

小坂部 和也*; 眞崎 浩一*; 勝山 仁哉; 勝又 源七郎; 鬼沢 邦雄; 吉村 忍*

Proceedings of 2015 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2015) (Internet), 8 Pages, 2015/07

圧力バウンダリ機器の定量的な構造健全性評価において、パラメータの不確実性を合理的に取り扱う確率論的破壊力学(PFM)解析手法は、有効な手段である。この観点から米国では、原子炉圧力容器(RPV)の加圧熱衝撃(PTS)事象に対する破壊靭性の規制基準として、確率論的手法に基づくき裂貫通頻度(TWCF)評価が取り入れられている。また、原子力機構ではPFM解析を国内RPVの健全性評価に適用することを目的に、PFM解析コードPASCAL3を用いたTWCF算出のための入力データ、および解析手法の整備を進めている。本論文では、これらの入力データ、解析手法、PASCAL3の信頼性確認、およびPASCAL3を用いたPFMの標準解析要領を説明するとともに、PASCAL3を用いたモデルRPVのTWCF評価事例について示す。

論文

Crack growth evaluation for cracked carbon and stainless steel pipes under large seismic cyclic loading

山口 義仁; 勝山 仁哉; Li, Y.; 鬼沢 邦雄

Proceedings of 2015 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2015) (Internet), 8 Pages, 2015/07

日本の幾つかの原子力発電所は、従来の設計基準地震動を超えるような大きな地震を経験している。これに加え、長期運転に伴い、配管系において亀裂の存在が確認されている。これらより、亀裂を有する配管における地震時亀裂進展評価手法を確立することは、非常に重要である。設計基準地震動を超えるような地震による地震応答荷重は、ランダムな繰返し荷重波形であるとともに、小規模降伏条件を超える可能性があるため、従来の亀裂進展評価手法による評価ができない。著者らは、これまでに、小型試験片を用いた亀裂進展試験を通して、設計基準地震動を超えるような地震による地震応答荷重に対応した亀裂進展評価手法を提案してきた。小型試験片と配管とでは形状や負荷形態が異なるため、提案手法の配管への適用性を確認する必要がある。そこで、本研究では、周方向貫通亀裂を有するステンレス鋼及び炭素鋼配管に模擬地震応答荷重を負荷する亀裂進展試験を実施した。その結果として、亀裂進展量に関する試験結果と提案手法による評価結果が材料によらずによく一致したことから、提案手法の配管への適用性が確認できた。

論文

Finite element analysis on the application of Mini-C(T) test specimens for fracture toughness evaluation

高見澤 悠; 飛田 徹; 大津 拓与; 勝山 仁哉; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄

Proceedings of 2015 ASME Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2015) (Internet), 7 Pages, 2015/07

使用済み監視試験片から採取可能なミニチュアコンパクトテンション(CT)試験片を用いたマスターカーブ法による破壊靭性評価が提案されている。CT試験片及び、予亀裂付シャルピー試験片の寸法や形状の違いによる亀裂先端の拘束効果への影響について有限要素解析を行った。ミニチュアCT試験片における拘束効果を拘束の程度を示すパラメータであるT応力,Qパラメータを用いて評価したところ、他のCT試験片とで大きな違いは見られなかった。ミニチュアCT試験片の予亀裂導入条件についても解析を行い、既往規定より短い予亀裂長さとしても破壊靭性試験に影響しないことを明らかにした。また、ミニチュアCT試験片を用いたマスターカーブ法に基づく破壊靭性評価で得られる参照温度が他の試験片から得られる結果と相違ないことを示した。

論文

International round robin test on Master Curve reference temperature evaluation utilizing Miniature C(T) specimen

山本 真人*; 鬼沢 邦雄; 吉本 賢太郎*; 小川 琢矢*; 馬渕 靖宏*; Valo, M.*; Lambrecht, M.*; Viehrig, H.-W.*; 三浦 直樹*; 曽根田 直樹*

Small Specimen Test Techniques; 6th Volume (ASTM STP 1576), p.53 - 69, 2015/05

4mm厚のミニチュア破壊靭性試験片(微小C(T))によるマスターカーブ法の適用性を検証するため、日本の原子炉圧力容器鋼から採取した破壊靭性試験片を用いて、国内外の研究機関や産業界の参加を得てラウンドロビン試験を実施した。ASTM E1921規格に従って試験を行い、得られた破壊靭性参照温度$$T$$$$_{0}$$の比較から、微小C(T)から得られる参照温度のばらつきは規格に示されている不確実さの範囲とほぼ同等であり、微小試験片に対するマスターカーブ法の有効性を確認した。また、本報では各機関が行った試験結果を取りまとめて統計処理を行い、参照温度$$T$$$$_{0}$$には大きな相違はなく、標準サイズの試験片との寸法効果も認められないことが確認できた。

論文

ローカルアプローチに基づく原子炉圧力容器鋼の破壊評価に関する検討

高見澤 悠; 勝山 仁哉; 山口 義仁; 西山 裕孝; Li, Y.; 鬼沢 邦雄

溶接構造シンポジウム2014講演論文集, p.97 - 100, 2014/12

原子炉圧力容器(RPV)の構造健全性評価においては、RPV鋼の破壊靭性($$K_{rm Ic}$$)曲線について、中性子照射脆化による延性脆性遷移温度シフト量をシャルピー衝撃試験などの監視試験を基に予測して評価が行われている。より高精度に中性子照射後の$$K_{rm Ic}$$曲線を予測するため、監視試験片の残材から採取可能な微小破壊靱性試験片(0.16T-コンパクトテンション(CT)型試験片)の活用が検討されているが、試験片の寸法や形状の違いにより$$K_{rm Ic}$$は異なる可能性もあり、0.16T-CTといった微小破壊靭性試験片における拘束効果はまだ十分に理解されていない。また、破壊靱性値は一般的に試験片寸法の小型化や試験温度の上昇に伴いばらつきが大きくなる。そのため、RPVの構造健全性評価精度の向上を図るためには、これらのばらつきについて破壊のメカニズムを踏まえて検討することが重要である。試験片寸法が小さくマイクロクラックや炭化物など破壊の起点の分布を無視できない場合や、$$K_{rm Ic}$$曲線のばらつきを含めた検討を行う場合には、材料の非均質性を考慮したローカルアプローチが有益な知見を与えるものと期待される。本研究ではCT型試験片における寸法効果・拘束効果について検討するため、CT型破壊靭性試験と有限要素解析(FEA)結果からローカルアプローチに基づくワイブル応力評価に必要なパラメータを取得し、寸法の異なるCT試験片におけるワイブル応力の評価を行い、得られた知見について報告する。

論文

Effect of cyclic loading on the relaxation of residual stress in the butt-weld joints of nuclear reactor piping

勝山 仁哉; 山口 義仁; Li, Y.*; 鬼沢 邦雄

Nuclear Engineering and Design, 278, p.222 - 228, 2014/10

 被引用回数:6 パーセンタイル:42.54(Nuclear Science & Technology)

原子炉配管における応力腐食割れ(SCC)の駆動力として、溶接残留応力は最も重要な因子として挙げられる。配管の健全性を評価するためには、地震に伴う過大な繰り返し荷重が残留応力に及ぼす影響を評価する必要がある。本研究では、過大な繰り返し荷重の影響を明らかにするため、SUS316L低炭素ステンレス鋼製250A配管突合せ溶接部を対象に、有限要素解析を行った。溶接シミュレーションの精度を実測値と比較を通じて確かめた後、地震荷重を模擬するため、最大荷重を変化させたさまざまな荷重パターンをモデルに付与し、残留応力分布の変化について評価を行った。その結果、荷重が大きいほど溶接部近傍の溶接残留応力の緩和が大きくなることを見いだした。内表面の引張応力も低減することから、過大な繰り返し荷重はSCCの成長の抑制にも効果があると考えられる。

論文

Effects of thermal aging on microstructure and hardness of stainless steel weld-overlay claddings of nuclear reactor pressure vessels

武内 伴照; 鹿窪 勇太*; 松川 義孝*; 野沢 康子*; 外山 健*; 永井 康介*; 西山 裕孝; 勝山 仁哉; 山口 義仁; 鬼沢 邦雄; et al.

Journal of Nuclear Materials, 452(1-3), p.235 - 240, 2014/09

 被引用回数:40 パーセンタイル:94.94(Materials Science, Multidisciplinary)

400$$^{circ}$$Cにおいて100時間から10,000時間まで熱時効した原子炉圧力容器ステンレスオーバーレイクラッド鋼の微細組織と固さについて、アトムプローブ及びナノインデンテーション法を用いて調べた。$$delta$$フェライト相において、スピノーダル分解によるCrの濃度変調は100時間時効までに急速に進展する一方、NiSiMnクラスタは2,000時間時効で数密度が増加し10,000時間時効においては粗大化した。$$delta$$フェライト相の硬さは時効初期において急速に上昇し、NiSiMnクラスタの形成ではなくCr濃度変調の程度と良い相関にあった。これらの結果から、$$delta$$フェライト相の硬化の主因がスピノーダル分解によるCr濃度変調であることが示唆された。

論文

Effect of neutron irradiation on the mechanical properties of weld overlay cladding for reactor pressure vessel

飛田 徹; 宇田川 誠; 知見 康弘; 西山 裕孝; 鬼沢 邦雄

Journal of Nuclear Materials, 452(1-3), p.61 - 68, 2014/09

 被引用回数:10 パーセンタイル:60.52(Materials Science, Multidisciplinary)

原子炉圧力容器の内面には、母材の耐食性を確保するため厚さが約5mmのステンレス鋼で肉盛溶接(ステンレスオーバーレイクラッド、以下、クラッドと呼ぶ。)が施工されている。加圧熱衝撃事象時の健全性評価においては、原子炉圧力容器内面の母材または溶接金属に表面き裂を想定し、脆性破壊の発生を判定する。健全性評価の精緻化のためにクラッド部を含めた評価を検討するには、中性子照射後のクラッドの機械的特性を把握する必要がある。本研究では、クラッド材を用いて高照射量領域まで中性子照射試験を行い、破壊靱性値等の機械的性質の変化について評価を行った。クラッド材の降伏応力と引張強さは中性子照射により増加し、シャルピー遷移温度は上昇した。中性子照射による弾塑性破壊靱性値の低下は少ないことを明らかにした。

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