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寺田 健太郎*; 二宮 和彦*; 佐藤 朗*; 友野 大*; 川島 祥孝*; 稲垣 誠*; 南部 明弘*; 工藤 拓人*; 大澤 崇人; 久保 謙哉*
Journal of Analytical Science and Technology, 15, p.28_1 - 28_7, 2024/05
被引用回数:1 パーセンタイル:34.56(Chemistry, Analytical)地球惑星科学において、Pb同位体組成はUやThの放射性娘核種として固有の年代情報や地域情報を提供するため、物質の起源や進化を読み解く上で重要な役割を果たすことが知られている。このような同位体組成を決定するためには、スパッタリング、レーザーアブレーション、熱イオン化などの破壊的・消費的な処理が必要である。ここでは、ミュオン誘起特性X線のエネルギーシフトを利用した天然ガレナ(PbS)の非破壊Pb同位体組成測定を初めて報告する。観測された天然ガレナのPb同位体組成は、従来の質量分析で得られたものと良い一致を示した。このようなミュオンPb同位体分析法は、従来の質量分析法よりも非破壊分析が望まれる考古学的遺物(青銅製品など)の産地特定への応用が期待される。
川崎 浩平; 小野 高徳; 柴沼 公和; 後藤 健太; 會田 貴洋; 岡本 成利; 品田 健太; 市毛 秀和; 高瀬 龍弥; 逢坂 悠樹; et al.
JAEA-Technology 2022-031, 91 Pages, 2023/02
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が平成30年12月に公表したバックエンドロードマップにおいては、核燃料サイクル工学研究所内の施設の廃止措置に伴い、核燃料物質をプルトニウム燃料第三開発室(以下「Pu-3」)に集約し、長期的に安定・安全に貯蔵する計画である。核燃料物質の集約化の一環として、Pu-3において非密封のプルトニウム・ウラン混合酸化物(Mixed Oxide、以下「MOX」)粉末を熱処理ペレット化し、封入棒へ充填、密封し、集合体形状に組立て、集合体・保管体貯蔵設備に保管する「保管体化」を計画し、新規制基準を踏まえた保管体化に係る核燃料物質使用変更許可を取得した。この保管体化に当たっては、施設のリスク低減のため、ペレット製造工程内で取り扱うことができるプルトニウム量(熱処理ペレット以外の性状で蓋付きの粉末搬送容器に収納されていない状態の量)を50kgPu以下に制限することから、保管体化の処理の起点となる粉末の秤量及び均一化混合の工程を担う設備を小バッチサイズに対応させた「粉末秤量・均一化混合設備」を開発・設置し、下流の各工程設備での取扱量を小さくすることとした。粉末秤量・均一化混合設備の開発に当たっては、これまでのMOX燃料製造設備の運転・保守経験に基づく故障データを設計に反映し、信頼性・保守性をより向上させた。粉末秤量・均一化混合設備は、令和4年2月よりMOX粉末を使用した運転を開始し、約半年間の運転実績において故障データを反映した設計の妥当性が確認されている。本報告書は、粉末秤量・均一化混合設備の開発を通じて得られた知見と約半年間の運転実績を踏まえた設計の評価及び今後の設備開発における課題をまとめたものである。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:60 パーセンタイル:96.18(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200
Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
針井 一哉; Seo, Y.-J.*; 堤 康雅*; 中堂 博之; 大柳 洸一*; 松尾 衛; 塩見 雄毅*; 小野 崇人*; 前川 禎通; 齊藤 英治
Nature Communications (Internet), 10, p.2616_1 - 2616_5, 2019/06
被引用回数:34 パーセンタイル:80.62(Multidisciplinary Sciences)Electric current has been used to send electricity to far distant places. On the other hand, spin current, a flow of electron spin, can in principle also send angular momentum to distant places. In a magnet, there is a universal spin carrier called a spin wave, a wave-type excitation of magnetization. Since spin waves exhibit a long propagation length, it should be able to send angular momentum that can generate torque and force at a distant place: a new function of magnets. Here we observe mechanical angular momentum transmission and force generation due to spin waves injected into YFe
O
by the spin-Seebeck effect. The spin-wave current, transmitted through a Y
Fe
O
micro cantilever, was found to create a mechanical force on the cantilever as a non-local reaction of the spin-Seebeck effect. Spin-wave current can be generated remotely even in open circuits, and it can be used to drive micro mechanical devices.
Seo, Y.-J.*; 針井 一哉; 高橋 遼*; 中堂 博之; 大柳 洸一*; Qiu, Z.*; 小野 崇人*; 塩見 雄毅*; 齊藤 英治
Applied Physics Letters, 110(13), p.132409_1 - 132409_4, 2017/03
被引用回数:15 パーセンタイル:53.63(Physics, Applied)フェリ磁性体であるYFe
O
を用いたサブミクロンカンチレバーを収束イオンビーム法によって作成し、その振動特性を磁場によって制御した。カンチレバーは縦横2つの振動モードを示し、それぞれのモードは外部磁場の印加によって共鳴周波数が減少、増大した。この結果は磁気力の磁場変化を取り扱った数値シミュレーションでよく再現された。周波数変化は数%に及ぶことから、磁場による高効率な振動制御が行われたと結論できる。
藤田 博喜; 野島 健大; 永岡 美佳; 大澤 崇人; 横山 裕也; 小野 洋伸*
KEK Proceedings 2016-8, p.168 - 172, 2016/10
平成25年1月から平成27年3月までの期間において、復興促進プログラム(マッチング促進)として、「環境試料中ストロンチウム-90(Sr)分析用自動化システムの開発」に取り組んだ。灰試料(農畜産物及び海水産物)を対象としてストロンチウムを単離するまでの工程を自動化することはできたが、実際の試料中
Sr濃度測定を行うことができていなかったため、本システムによる分析を実施し、作業者による分析・測定結果と比較することにした。また、システムを改良し、各分析工程における装置の性能を向上させることができたので、その内容についても報告する。
野島 健大; 藤田 博喜; 永岡 美佳; 大澤 崇人; 横山 裕也; 小野 洋伸*
KEK Proceedings 2015-4, p.111 - 115, 2015/11
Sr分析を放射性ストロンチウム分析法(文部科学省、放射能測定法シリーズ2)に従って、環境レベルの
Sr濃度を自動で分析するシステムを開発したので、その成果を報告する。本研究では、この分析における湿式灰化、化学分離、イオン交換に係るそれぞれの工程を、ロボットや自動加熱装置等を組み合わせて、自作の制御プログラムにより、自動で分析できるようになった。
小野 正雄; 末吉 正典*; 岡安 悟; Hao, T.; 江坂 文孝; 大澤 崇人; 井口 裕介*; 真下 茂
Review of Scientific Instruments, 80(8), p.083908_1 - 083908_6, 2009/08
被引用回数:4 パーセンタイル:21.54(Instruments & Instrumentation)新しい着想を試すために、気相ではなく固相状態で同位体遠心分離を行うための2つの沈降槽を有したロータの開発を行った。この着想は、固体中の構成原子の沈降現象を基本原理としている。インジウムを用いた性能確認試験では、ロータは、97000回転/分もの回転速度でも、外部の試料供給装置から射出供給した試料を回転の安定性を損なうことなくすべて受け止めることができ、さらに、固体状態でも、ロータ内の沈降槽間を非常に強い遠心加速度場の影響で生じる塑性変形流動によって試料が移動することを確認した。また、試料の同位体比を二次イオン質量分析器(SIMS)を用いて評価したところ、設計にて意図した通りの同位体分離が起きていることを確認した。
小野 正雄; 井口 裕介*; 岡安 悟; 江坂 文孝; 小林 桂*; Hao, T.; Bagum, R.*; 大澤 崇人; 藤井 貴美夫; 中村 栄三*; et al.
Defect and Diffusion Forum, 289-292, p.63 - 68, 2009/04
原子スケールで連続的に組成が傾斜した傾斜構造を持つ超重力場実験後のIn-Pb合金(出発状態:In:Pb=80:20at%,実験条件:81万G,100時間,150C(固体状態))について同位体存在比の変動を調べた。分析には二次イオン質量分析器(SIMS)を用いた。構成元素であるPbの場合、質量数の差が2となる
Pbと
Pbに着目すると、同位体存在比
Pb/
Pbが重力方向に連続的に1.5%減少し、質量数の差が1となる
Pbと
Pbに着目すると、同位体存在比
Pb/
Pbが同じく重力方向に連続的に0.8%減少していることがわかった。また、
Pb/
Pbと
Pb/
Pbの3同位体プロットから、質量差のみに依存した同位体比の変動が起こり、重い
Pbが重力方向に増加し、軽い
Pbが重力と反対方向に増加したことがわかった。この結果から、超重力場は合金中の相互拡散に影響を及ぼすだけでなく、自己拡散にも影響を及ぼすことを、質量差に依存した同位体分別効果という形で確認することができた。
大澤 崇人; 小野 正雄; 江坂 文孝; 岡安 悟; 井口 祐介*; Hao, T.; 間柄 正明; 真下 茂
EPL; A Letters Journal Exploring the Frontiers of Physics, 85(6), p.64001_1 - 64001_5, 2009/03
被引用回数:7 パーセンタイル:44.60(Physics, Multidisciplinary)純スズを110
g 220
C 100時間, 0.40
10
g 220-230
C 24時間, 0.25
10
g 220
C 24時間の3つの条件で遠心分離を行い、それぞれの試料の同位体組成を二次イオン質量分析計で測定した。1.02
10
g試料の
Sn/
Snと
Sn/
Sn比は初期値から2.6%もの大きな変動が確認された。
Sn/
Snと
Sn/
Snの二次元プロットは、強重力場下の固体スズの同位体変動は同位体の質量のみに依存していることを示していた。
小野 正雄; 井口 裕介*; 岡安 悟; 江坂 文孝; 小林 桂*; Hao, T.; Bagum, R.*; 大澤 崇人; 藤井 貴美夫; 中村 栄三*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(Suppl.6), p.108 - 110, 2008/09
被引用回数:1 パーセンタイル:9.68(Nuclear Science & Technology)In-Pb合金について超重力場実験を行い、原子スケールの傾斜構造を実現した(81万G,100時間,150C(固体状態))。この試料について同位体存在比の変動を調べた。分析には二次イオン質量分析器(SIMS)を用いた。構成元素であるPbについては、同位体存在比
Pb/
Pbが重力方向に連続的に1.2%増加する傾向を示していた。また、In-Pbについても同様に同位体存在比
In/
Inが重力方向に連続的に約1.2%増加する傾向を示していた。同位体変動は1.2%程度と小さいものの、出発試料中の同位体存在比が
Pb/
Pbで0.1%、
In/
Inで0.2%以内の変動に収まっていることから、固体状態での遠心処理によって、合金中にて同位体の沈降現象が起こったことが確認された。
寺田 健太郎*; 佐藤 朗*; 二宮 和彦*; 川島 祥孝*; 下村 浩一郎*; 友野 大*; 河井 洋輔*; 大澤 崇人; 橘 省吾*
no journal, ,
ミュオンを用いた元素分析法であるミュオン捕獲特性X線分析は、試料を非破壊で分析できる優れた手法であり、はやぶさ2やOSIRIS-RExなどの小惑星サンプルリターン試料への適用が期待できる。そこでC型小惑星に近似していると考えられる炭素質コンドライトを用いて、本手法の有効性を検証した。
河野 康則; 今澤 良太; 小野 武博; 石川 正男; 林 利光; 佐藤 和義; 草間 義紀; 海老澤 克之*; 若林 邦朗*; 勝又 孝仁*
no journal, ,
ITER計画において日本が調達するポロイダル偏光計は、遠赤外レーザー光のファラデー回転角測定に基づきプラズマ中心部の電流分布を計測する装置である。本講演では、ポロイダル偏光計の機械設計の進展について報告する。主な内容は以下の通り。(1)水平ポートプラグ内ミラーモジュールの設計:レーザー光の光軸の安定化及びレーザー光の反射特性の維持を目的として、ITER運転時の核発熱に起因したプラズマ対向ミラー(第一ミラー及び第二ミラー)の熱変形を低減できるよう、ミラーとミラー支持構造体を一体化したミラーモジュール方式を考案・設計し、熱機械解析・電磁力解析を通してその妥当性を確認した。(2)上部ポートプラグ内ミラーモジュールの設計:ミラーの熱変形を低減できるよう、新たに第三ミラーを採用してミラーモジュールの構造を見直すとともに、冷却配管設計の改善を行った。(3)シャッターの設計:シャッター板開閉のための回転駆動部に、バネとして機能するスパイラル状の冷却配管を採用した。これにより、可動シャッター板への冷却配管経路を確保するとともに、ITERの指針である開閉駆動源が失われた場合にはシャッターを開とする設計が得られた。
大澤 崇人; 小野 正雄; 江坂 文孝; 岡安 悟; 真下 茂*
no journal, ,
本研究では超遠心力場下の同位体分別の程度と、それが原子の質量に依存しているかどうかを確かめるべく錫を用いた実験を行った。用いた試料は純粋な錫であり、これを(1)160000rpm(最大1.02g), 220
C, 100時間、(2)100000rpm(最大0.40
g), 220-230
C, 24時間、(3)80000rpm(最大0.25
g), 220
C, 24時間の3つの条件で遠心実験を行った。いずれの場合も固相のままである。試料中の同位体比は二次イオン質量分析計(SIMS)で行った。あらかじめ同位体比を決定した固体錫を二次標準として用いることで、試料中の同位体比を決定した。その結果、(1)の条件の試料で最も大きな同位体比変動が確認され、その変動の大きさは
Sn/
Sn比で初期値から2.6
0.1%にも達した。一方、(2)と(3)の条件でも同位体比の変動が確認されたが、それらの変動幅はそれぞれ
Sn/
Sn比で初期値から1.2
0.2%, 0.4
0.2%と、(1)とは実験時間が異なるとはいえ、大まかに加えた遠心力の大きさに相関していた。これらの同位体比変動のメカニズムを明らかにするため、3同位体プロットを作成した。完全に質量依存のフラクショネーションラインに乗ることから、実験的にも遠心力場中の同位体変動が原子の質量依存であることが確認できた。
大澤 崇人; 小野 正雄; 江坂 文孝; 岡安 悟; 井口 裕介*; Hao, T.; 真下 茂
no journal, ,
純錫を220度で1,0200,000Gの重力下100時間、220-230度で400,000Gの重力下24時間、220度で250000Gの重力下24時間という3つの条件で遠心分離実験を行った。それらの同位体組成を二次イオン質量分析計で測定したところ、116Sn/120Sn比と124Sn/120Sn比は1,0200,000Gの試料では2.6%に達するほど大きく変動しており、同位体分別の大きさは重力と相関していた。116Sn/120Sn比と124Sn/120Sn比の3同位体プロットはこの実験で発生した同位体分別が質量依存であることを示していた。
藤田 博喜; 野島 健大*; 永岡 美佳; 大澤 崇人; 小野 洋伸*
no journal, ,
開発した環境試料中ストロンチウム-90分析用自動化システムの高度化として、湿式灰化工程における圧縮空気の吹き付け機能の追加と加熱プログラムの改善、化学分離工程における試薬投入後の試料溶液の攪拌操作の改良、イオン交換工程における試料溶液量の監視方法の改良を行い、性能を向上させることができた。この自動化システムの概要を報告するとともに、実際の灰試料分析を行い、作業者による分析・測定結果との比較結果についても報告する。
針井 一哉; Seo, Y.-J.*; 堤 康雅*; 中堂 博之; 大柳 洸一*; 松尾 衛*; 塩見 雄毅*; 小野 崇人*; 前川 禎通; 齊藤 英治
no journal, ,
スピントロニクス分野において、スピン角運動量と他の角運動量の間の変換は重要な役割を担ってきた。その中で、Einstein-de Haas効果に代表されるスピンから力学的な角運動量への変換は、角運動量保存則によって高効率に行われることが知られている。本研究では、スピン-力学的角運動量変換に、近年多くの注目を集めている磁性絶縁体中のスピン波スピン流を組み合わせることで、力学的角運動量の空間伝送を試みた。サンプルには、イットリウム鉄ガーネットを集束イオンビーム法で加工して作成したマイクロカンチレバー構造を用いた。カンチレバーの根元にパターニングしたヒーター線からの加熱によるスピンSeebeck効果を用いることでカンチレバーにスピン流を注入し、その際生じる振動をレーザーDoppler干渉計によって計測した。熱応力による振動を排除するため、交流熱流と交流磁場によるヘテロダイン信号を測定した結果、交流磁場とカンチレバーが直交する際のみ有意な振動が観測された。この振る舞いはスピン流-力学的角運動量変換の対称性によく対応している。講演では、スピン流を遮断した実験等、結果の詳細を報告する。
乙坂 重嘉*; 御園生 敏治; 土肥 輝美; 鶴田 忠彦; 高橋 嘉夫*; 杉原 奈央子*; 小畑 元*; 池上 隆仁*; 自見 直人*; 波々伯部 夏美*
no journal, ,
福島沿岸の海底に蓄積した放射性セシウムの移動過程を明らかにするため、福島第一原子力発電所の南南東の陸棚縁辺域において、2017年10月から2018年6月にかけて時系列式セジメントトラップを設置し、計39期間の沈降粒子試料を採取・分析した。沈降粒子からは観測期間を通じてCsが検出され、
Cs粒子束は特に秋季から冬季にかけて高かった。冬季の沈降粒子は、他の期間に比べてわずかにPOMの割合が高く、POMは、タンパク質や糖酸といった、比較的分解の進んでいない海洋起源の成分で構成されていた。夏季から秋季にかけて
Csを取り込んで観測点付近の海底に蓄積したPOMが、晩秋季から冬季にかけての海底付近の擾乱に伴って陸棚上を再移動したと推測される。
大澤 崇人; 小野 正雄; 江坂 文孝; 岡安 悟; 真下 茂*
no journal, ,
本研究では超遠心力場下の同位体分別の程度と、それが原子の質量に依存しているかどうかを確かめるべく錫を用いた実験を行った。用いた試料は純粋な錫であり、これを(1)160000rpm,220度,100時間、(2)100000rpm,220-230度,24時間、(3)80000rpm,220度,24時間の3つの条件で遠心実験を行った。試料中の同位体比は二次イオン質量分析計(SIMS)で行った。結果、(1)の条件の試料で最も大きな同位体比変動が確認され、その変動の大きさは116Sn/120Sn比で初期値から2.60.1%にも達した。一方(2)と(3)の条件でも同位体比の変動が確認されたが、それらの変動幅はそれぞれ116Sn/120Sn比で初期値から1.2
0.2パーセント,0.4
0.2%と、(1)とは実験時間が異なるとはいえ、大まかに加えた遠心力の大きさに相関していた。これらの同位体比変動のメカニズムを明らかにするため、3同位体プロットを作成した。完全に質量依存のフラクショネーションラインに乗ることから、実験的にも遠心力場中の同位体変動が原子の質量依存であることが確認できた。
小野 正雄; Hao, T.; 岡安 悟; 江坂 文孝; 大澤 崇人; 井口 裕介*; 真下 茂
no journal, ,
液体や気体中での粒子の沈降現象はなじみ深い。この沈降粒子の最小サイズは、加速度場が大きいほど小さくなる傾向にある。地上重力の1g付近では静置した泥水中の泥が沈降する程度であるが、おおよそ1万gレベルから、媒質中でブラウン運動している微粒子の沈降も生じるようになる。10万gレベルともなると、固体中の原子の拡散に対する重力場の影響が無視できなくなり、原子単位での沈降が生じるようになる。固体中の原子の沈降現象に関する研究の歴史としては、まず、1969年に、16万gの遠心加速度場下に置かれた固体状態の単体金属K中において、格子間原子として振る舞う不純物レベルのAu原子の沈降が初めて確認されている。1997年には、100万gレベルの遠心加速度場にてBi-Sb固溶系合金(固体)中において、物質の構成原子の沈降が初めて確認されている。さらに、2007年には、固体状態の単体金属や合金中において、同位体の沈降現象が初めて確認されている。以上が固体中の原子の沈降に関する簡単な歴史であるが、液体中の原子の沈降については、2007年に報告された融体Se中の同位体の沈降に関する報告が初めての報告となっている。本研究では、われわれが行った固相や液相の金属中での同位体の沈降に関する研究について紹介したい。