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上地 優; 小貫 薫; 久保 真治
Proceedings of 5th International Conference on Chemical and Biological Sciences (ICCBS 2018) (USB Flash Drive), p.51 - 54, 2018/03
熱化学法ISプロセスのHI分解反応環境における装置構造材料の耐食性を評価するため、実腐食環境を提供し内部に腐食試験片を設置できるHI分解反応器を製作し、候補耐食材料であるニッケル基合金(ハステロイC-276)製試験片を用いた腐食試験を実施した。HI分解反応が生じる実腐食環境はHIガスに水蒸気が同伴しないことが想定されるため、本研究では、ドライHIガスを用いてHI分解温度500Cにおける材料腐食速度データを取得した。腐食環境への暴露前後の試験片重量変化から腐食速度を算出したところ、HI分解触媒層内(0.75mm/y)では、触媒層外(0.52mm/y)に比して、腐食速度は増加することを明らかにした。この結果は、HI分解反応器の耐久性評価に反映できるものである。
笠原 清司; 岩月 仁; 竹上 弘彰; 田中 伸幸; 野口 弘喜; 上地 優; 小貫 薫; 久保 真治
International Journal of Hydrogen Energy, 42(19), p.13477 - 13485, 2017/05
被引用回数:53 パーセンタイル:81.54(Chemistry, Physical)日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉を熱源として利用する熱化学法ISプロセスによる水素製造法の研究開発を行っている。ISプロセスの実用化に向けて、主要反応器について耐食性及び処理性能に関する信頼性評価を完了し、これらの反応器を統合し全系を実用工業材料で製作した連続水素製造試験装置により2016年2月に10NL/h、8時間の水素製造を達成した。また、水素製造における熱効率向上を目指し、電解電気透析法(EED)に関する評価を行い、アノード側の硫酸精製の省略や、膜性能の向上により、大幅に必要熱量を低減できることを示した。本報では、これらのISプロセスの研究開発の現状・成果について報告する。
濱 克宏; 見掛 信一郎; 石橋 正祐紀; 笹尾 英嗣; 桑原 和道; 上野 哲朗; 大貫 賢二*; 別府 伸治; 尾上 博則; 竹内 竜史; et al.
JAEA-Review 2015-024, 122 Pages, 2015/11
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、2014年度は、2014年2月における深度500mステージの研究坑道の掘削工事の完了に伴い、超深地層研究所計画における深度500mまでの第2段階の調査研究を一旦終了し、これまで実施してきた各種モニタリングを含め、物質移動試験や再冠水試験等の第3段階の調査研究を進めた。本報告書は、2014年度に実施した調査研究、施設建設、共同研究等の成果を取りまとめたものである。
久保 真治; 岩月 仁; 竹上 弘彰; 笠原 清司; 田中 伸幸; 野口 弘喜; 上地 優; 小貫 薫
JAEA-Technology 2015-028, 32 Pages, 2015/10
熱化学水素製造法ISプロセスは、水素社会に向けた大量の水素を安定に供給できる水素製造技術の候補として期待されている。実用材料製反応機器の健全性及びヨウ化水素濃縮技術の研究を実施した。機器健全性の研究では、ISプロセスを構成する3つの反応工程について、実用材料製反応機器の試作試験を行った。ブンゼン反応工程では、フッ素樹脂被覆材等を素材とするブンゼン反応器を製作し、反応溶液を循環しつつ30回の熱サイクル負荷試験を行って健全性を確認した。硫酸分解反応工程では、炭化ケイ素製硫酸分解反応器を製作し、100時間の反応試験を行って健全性を確認した。同様に、ヨウ化水素分解反応工程では、ハステロイC-276を装置材料に用いてヨウ化水素分解反応器を製作し、100時間の反応試験を行って健全性を確認した。ヨウ化水素濃縮技術の研究では、カチオン交換膜を用いてHIx溶液を濃縮する電解電気透析法に取り組み、アノード液中の微量硫酸は濃縮挙動に影響しないことを見出して、HIx溶液の精製操作を簡略化できる可能性を明らかにした。さらに、Nafion膜及び放射線グラフト重合法で試作したETFE-St膜の性能を予測するため、Nernst-Planck式とSmoluchowski式に基づいてプロトン輸率, 水透過係数, 膜内IR損を定式化し、HIx溶液の電解電気透析における濃縮効率を支配する、膜におけるプロトン透過選択性、溶媒水透過性および膜の電気抵抗(IR損に伴なう電位差)の推算を可能にした。
小貫 薫; 野口 弘喜; 田中 伸幸; 竹上 弘彰; 久保 真治
表面科学, 36(2), p.80 - 85, 2015/02
水の熱化学分解による水素製造について、特にISプロセスに関する要素技術の研究開発状況を紹介する。熱化学水素製造法は熱エネルギーにより水を分解し水素を製造する。高温吸熱反応と低温発熱反応の反応サイクルが水分解に必要な自由エネルギーを生み出す。多くのプロセス構成が提案されてきたが、硫酸分解反応を高温吸熱反応に用いる硫黄系と呼ばれる一群の熱化学プロセスは常に研究者の関心を集めてきた。ISプロセスは硫黄系プロセスを代表する熱化学プロセスであり、これまでに、ISプロセスによる連続水分解の可能性が検証され、また、過酷なプロセス環境で用いる耐食性装置材料の候補材料も選定されている。現在、水素製造能力向上を目指して、分離膜技術の適用及び高性能触媒の開発研究が行われている。また、セラミックスのような候補材料を用いた反応器の開発が進められている。
濱 克宏; 見掛 信一郎; 西尾 和久; 川本 康司; 山田 信人; 石橋 正祐紀; 村上 裕晃; 松岡 稔幸; 笹尾 英嗣; 真田 祐幸; et al.
JAEA-Review 2014-038, 137 Pages, 2014/12
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、「地層処分技術に関する研究開発」のうち深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を進めている。本計画は、「第1段階; 地表からの調査予測研究段階」、「第2段階; 研究坑道の掘削を伴う研究段階」、「第3段階; 研究坑道を利用した研究段階」の3段階からなり、2013年度は、第2段階および第3段階の調査研究を進めた。本報告書は、2010年度に改定した「超深地層研究所地層科学研究基本計画」に基づいた、超深地層研究所計画の第2段階および第3段階の調査研究のうち2013年度に実施した(1)調査研究、(2)施設建設、(3)共同研究等の成果を取りまとめたものである。
野口 弘喜; 寺田 敦彦; 小貫 薫; 日野 竜太郎
Chemical Engineering Research & Design, 92(9), p.1659 - 1663, 2014/09
被引用回数:3 パーセンタイル:11.96(Engineering, Chemical)硫酸蒸発器は熱化学法ISプロセスの主要機器の一つであり本器を設計するためには硫酸沸騰熱伝達率が必要となる。しかしながら実測値の報告例が無いため、これまで提案さている様々な熱伝達率予測式の適用性を実験的に確認する必要があった。そこで、ISプロセスで使用する濃度の硫酸(90wt%)を用いた沸騰熱伝達率測定試験を行なった。その結果、一般に広く使用されているNishikawa-Fujitaの式による予測値は実測値の半分程度であることが分かった。この式に代わり、二成分系沸騰熱伝達率予測式として知られているStephan-Krnerの式の適用を試みた。実験定数を最適化して本式を用いれば、実験結果を15%の精度で予測可能であることを明らかにした。これにより硫酸沸騰熱伝達率の予測式としてStephan-Krnerの式が適用可能なことをその実験定数および予測精度とともに示した。
野口 弘喜; 久保 真治; 岩月 仁; 笠原 清司; 田中 伸幸; 今井 良行; 寺田 敦彦; 竹上 弘彰; 上地 優; 小貫 薫; et al.
Nuclear Engineering and Design, 271, p.201 - 205, 2014/05
被引用回数:8 パーセンタイル:51.95(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉の核熱を用いて水から水素を製造する熱化学法ISプロセスの研究開発を進めており、特に、ISプロセス機器の信頼性確証及びプロセス簡素化に向けた研究開発を行っている。ISプロセス機器の信頼性確証の一環として、硫酸工程の主要機器である硫酸分解器について、熱交換部をSiCセラミックス、マニフォールド部をグラスライニング材で構成されたバイヨネット型硫酸分解器を試作し、その製作性を示した。また、硫酸工程のプロセス簡素化が可能な直接接触熱交換器の設計に必要となる物質移動係数の測定方法を検討し、濡れ壁塔を用いた試験装置を設計・製作した。製作した試験装置を用いて水の物質移動係数を測定し、実験相関式と比較することにより試験装置の妥当性を確認し、硫酸の物質移動係数の測定準備が完了した。
田中 伸幸; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 寺井 隆幸*; 小貫 薫
Journal of Membrane Science, 456, p.31 - 41, 2014/04
被引用回数:2 パーセンタイル:8.54(Engineering, Chemical)熱化学水素製造法ISプロセスの水素製造熱効率向上にはプロセス流体であるヨウ化水素酸の濃縮操作が肝要であり、ヨウ化水素濃縮を行う電解電気透析器に用いるイオン交換膜の性能が所要濃縮エネルギーを左右する。イオン交換膜を最適設計する上で重要な、膜のヨウ化水素-ヨウ素-水(HIx)溶液への浸漬時における各成分の膜内含有量を実験的に測定した。選択性や導電率の異なる開発中の放射線グラフト膜および市販膜を用いて、各成分の親和性を評価しHIx溶液各成分の吸収機構を調べた。その結果、イオン交換膜とヨウ素の親和性の差異がその他の成分含有量に影響し、ヨウ素との親和性が強いほど、ヨウ化水素や水の含有量が増加することが示唆された。このことから、イオン交換膜とヨウ素の親和性を調整することにより、イオン交換膜性能を最適化できる可能性を示した。
田中 伸幸; 小貫 薫; 久保 真治
International Journal of Hydrogen Energy, 39(1), p.86 - 89, 2014/01
被引用回数:7 パーセンタイル:17.34(Chemistry, Physical)熱化学水素製造法ISプロセスにおけるHIx溶液の電解電気透析に対する硫酸の影響を実験的に検討し、陽極室のHIx溶液への硫酸の混入は電解電気透析挙動に影響を与えないこと、及び、陰極室のHIx溶液が硫酸を含む場合、白色沈殿を生じる副反応が生起することを見出した。この結果、陰極室に供給する溶液は予め硫酸を除去する精製操作を行う必要があるが、陽極室の溶液は精製不要であることを明らかにした。
野口 弘喜; 久保 真治; 岩月 仁; 小貫 薫
JAEA-Technology 2013-020, 38 Pages, 2013/07
熱化学水素製造法ISプロセスでは、硫酸,二酸化硫黄,ヨウ化水素酸等の有害な化学物質を使用するため、試験研究を行う際には作業者の安全、外部への影響について十分な対策を講じる必要がある。現在、実用材料製の主要反応機器について、実プロセス環境における信頼性確認を目的としたISプロセス信頼性試験を進めており、ISプロセス信頼性試験装置(硫酸分解系機器)の設計・製作が完了した。本試装置では、腐食性流体(硫酸(HSO), 二酸化硫黄(SO)等)を取扱い、また、加圧条件で試験運転を行うため、本試験開始に先立ち、試験装置の安全対策、作業の安全対策及び異常時の対策について検討を行った。本報告書はこれらの検討結果を取りまとめたものである。
久保 真治; 二川 正敏; 井岡 郁夫; 小貫 薫; 山口 明久*
International Journal of Hydrogen Energy, 38(16), p.6577 - 6585, 2013/05
被引用回数:25 パーセンタイル:53.79(Chemistry, Physical)熱化学法水素製造法ISプロセスに用いる硫酸濃縮器や硫酸蒸発器用の構造材料は高温かつ極めて腐食性の強い環境に曝される。そこで、材料腐食試験により、セラミックス材及び耐酸金属材の耐食性を評価した。腐食環境は、温度320, 380, 460C、圧力2MPa、濃度75, 85, 95wt%の高温液相硫酸環境とした。供試材料の重量変化から、SiC, Si-SiC, SiN)の良好な耐食性("よく耐える"と格付け)を示した。高シリコン鉄(シリコン含有20%)の耐食性は"やや耐える"であったが、断面顕微鏡観察でクラックの生成が認められた。シリコン添加耐酸鋼は激しく腐食し、腐食速度は1gmhであった。これら腐食試験から、硫酸濃縮器や硫酸蒸発器用の構造材料にはシリコンを含有したセラミックス(SiC, Si-SiC, SiN)が適切であることを明らかにした。
笠原 清司; 久保 真治; 田中 伸幸; Yan, X.; 小貫 薫
Proceedings of 2013 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2013) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2013/04
熱化学水素製造法ISプロセスにおいて、不純物による後工程への悪影響を防ぐために、ブンゼン反応で生成したHI-I-HO(HIx)混合物全量を精製することが想定されてきた。原子力機構では硫酸不純物が電解電気透析(EED)の操作に及ぼす影響を実験的に検討しており、その結果からはHIx精製の一部を除去しうることが示唆された。本研究では、HI分離工程の熱物質フロー計算によって、HI-I-HO(HIx)精製の除去によるISプロセス入熱量の削減を検討した。EEDアノード側へのHIx混合物の精製を除去した場合、HI分離工程入熱量は143.1kJ/mol-HIであり、精製を除去しない場合の278.9kJ/mol-HIから大きく削減された。この入熱量削減はおもにアノード側HIx混合物精製に要する熱が不要になったことによる直接的な効果である。精製除去に伴ってEED電圧低下、HI蒸留塔フィード流量減少が起こり、これらの副次的効果によっても入熱量が低下した。
久保 真治; 二川 正敏; 小貫 薫; 山口 明久*
Corrosion Engineering, 62(3), p.104 - 111, 2013/03
熱化学水素製造法ISプロセスの気相ヨウ化水素分解反応環境に用いる装置用金属材料の適用性を明かにするため、ヨウ化水素(), ヨウ素(), 水()および水素()の混合ガス環境において、連続高温ガス腐食試験による腐食速度測定,機械的性質の測定(硬度, 0.2%耐力,引張強度および伸び)を実施した。腐食環境は、モル比H:HI:I:HO=0.16:1:1:6, 大気圧, 450C, 試料の暴露時間は100時間および1000時間とした。腐食速度の観点からはニッケル基合金(Hastelly C-276, MAT21, Inconel 625)が優れた耐食性を示し(0.03g mh),また、MAT21, Inconel 625の機械的特性に著しい低下は認められなかった。タンタルには水素脆化が認められ、ジルコニウムおよびニオブの耐食性は低かった。モリブデン,チタンの耐食性は良好であったが、モリブデンには強度低下(硬度が低下)が、チタンには水素脆化が危惧されることを見い出した。以上の結果から、本環境に対する装置用金属材料には、耐食性の観点ではニッケル基合金が適しており、特にMAT21は耐食性と機械的特性の観点から有望であることを明らかにした。
久保 真治; 二川 正敏; 小貫 薫; 山口 明久*
材料と環境, 62(3), p.122 - 128, 2013/03
熱化学水素製造法ISプロセスの気相ヨウ化水素(HI)分解環境に用いる装置用金属材料は、高温ハロゲンガス腐食と水素脆化という厳しい環境に曝される。ヨウ化水素(HI),ヨウ素(I),水(HO)及び水素(H)の混合ガス環境に適した装置用金属材料を選択することを目的とし、連続高温ガス腐食試験による腐食速度測定、機械的性質の測定(硬度, 0.2%耐力,引張強度 及び伸び)を実施した。腐食環境は、モル比H:HI:I:HO=0.16:1:1:6、大気圧、450C、試料の暴露時間は100時間及び1000時間とした。腐食速度の観点からはニッケル基合金(Hastelly C-276, MAT21, Inconel 625)が優れた耐食性を示し(0.03gmh以下)、また、MAT21, Inconel 625の機械的特性に著しい低下は認められなかった。タンタルには水素脆化が認められ、ジルコニウム及びニオブの耐食性は低かった。モリブデン,チタンの耐食性は良好であったが、モリブデンには強度低下(硬度が低下)が、チタンには水素脆化が危惧されることを見いだした。以上の結果から、本環境に対する装置用金属材料には、耐食性の観点ではニッケル基合金が適しており、特にMAT21は耐食性と機械的特性の観点から有望であることを明らかにした。
久保 真治; 田中 伸幸; 野口 弘喜; 岩月 仁; 小貫 薫; 稲垣 嘉之
JAEA-Technology 2012-043, 41 Pages, 2013/02
熱化学水素製造法ISプロセスでは、硫酸,ヨウ素,ヨウ化水素酸等の有害な化学物質を使用するため、試験研究の実施に際しては作業者及び外部への影響に対する安全対策が重要である。現在、実用材料製反応機器を用いたISプロセス信頼性試験装置の製作を進めており、それらのうちブンゼン反応系機器の製作を完了した。本試験(ブンゼン反応系機器)は、腐食性溶液量の取扱量は約100リットルと比較的多く、また、加圧条件にて反応機能に着目した機能確認、耐食機能に着目した機器信頼性の確認を目的とするものである。本試験開始に先立ち、装置の安全対策、作業の安全対策及び異常時の対策について検討を行った。本報告書はこれらの検討結果を取りまとめたものである。
久保 真治; 吉野 公二*; 武本 純平*; 笠原 清司; 今井 良行; 小貫 薫
JAEA-Technology 2012-037, 20 Pages, 2013/01
熱化学水素製造法ISプロセスにかかわる物性データベース整備の一環として、ブンゼン反応溶液である硫酸相溶液及びヨウ化水素相溶液の密度データを取得した。濃度045wt%の硫酸及び同液に(I+HI)を02mole%混入させた模擬硫酸相溶液、また、ポリヨウ化水素酸(I: 017mole%, HI: 115mole%)及び同液にHSOを02mole%混入させた模擬ヨウ化水素相溶液について、振動式密度計を用いて、560Cの温度範囲の密度を測定した。さらに、測定データの解析から、いずれの溶液についても、新たに定義したヨウ素原子分率を用いることにより、ヨウ素及びヨウ化水素の濃度が液密度に与える効果を統一的に表現できることを見いだし、この知見をもとに、組成及び温度から密度を推算する実験式を得た。また、これまで知見のなかったポリヨウ化水素酸の粘性率について、I: 017mole%, HI: 115mole%の組成範囲において、振動式粘度計を用いて、540Cの温度範囲の実測データを取得し、組成及び温度から粘性率を推算する実験式を得た。
Guo, H.*; 笠原 清司; 田中 伸幸; 小貫 薫
International Journal of Hydrogen Energy, 37(19), p.13971 - 13982, 2012/10
被引用回数:15 パーセンタイル:35.76(Chemistry, Physical)熱化学水素製造法ISプロセスにとって、HI-I-HO混合溶液からのHIの分離工程の所要熱がプロセス全体の熱効率に大きく影響する。電解電気透析(EED)と蒸留を用いたHI-I-HO混合溶液からのHI分離工程のシミュレーションを行い、EEDにおける理想的な分離膜とNafion膜の実験値を用いた現実的な分離膜の場合での所要熱評価を行った。操作パラメータとして、蒸留塔内圧,蒸留塔フィード内HI濃度,蒸留塔流出量に対する工程入口流量の比を検討した。理想的分離膜の場合、低圧,高フィードHI濃度が望ましかったのに対し、Nafion膜の場合、塔内圧は1.0MPaで十分で、フィードHI濃度は最適化を行うことが望まれた。流量比に関しては、理想的分離膜の場合その影響は小さかったが、Nafion膜の場合、到達しうる最小値付近に所要熱の最小値があった。これらの操作条件の最適化によって、Nafion膜の場合、所要熱は3.0710 J/mol-HIとなり、理想的分離膜の所要熱はその12.5%となった。
田中 伸幸; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 寺井 隆幸*; 小貫 薫
Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2012/10
高温ガス炉の熱利用法の一つである熱化学水素製造法ISプロセスでは、ヨウ化水素(HI-I-HO溶液)環境においてイオン交換膜を用いた電解電気透析法によるヨウ化水素濃縮を行う。エネルギー効率向上を目指した運転条件の最適化のため、ヨウ化水素濃縮時におけるイオン交換膜の膜性能である輸率及び導電率のヨウ素濃度依存性について検討した。放射線グラフト膜を用いた実験結果からヨウ素濃度増加とともに、輸率は増加し、導電率は減少することがわかった。また、Nernst-Planck理論をもとにしたEEDモデルから、これらの傾向は膜中のIイオンの拡散係数の変化により説明できることが明らかとなった。
野口 弘喜; 久保 真治; 岩月 仁; 笠原 清司; 田中 伸幸; 今井 良行; 寺田 敦彦; 竹上 弘彰; 上地 優; 小貫 薫; et al.
Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2012/10
日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉の核熱を用いて水から水素を製造する熱化学法ISプロセスの研究開発を進めている。本報では、ISプロセスの硫酸工程に関する機器の開発現状について述べる。硫酸工程の主要機器である硫酸分解器の健全性評価を目的とした試験計画を策定し、SiCセラミックス製のバイヨネット型硫酸分解器を製作した。また、並行して硫酸工程のプロセス簡素化が可能な直接接触熱交換器の設計に必要となる物質移動係数の測定方法を検討し、濡れ壁塔を用いた試験装置を設計・製作した。製作した試験装置を用いて水の物質移動係数を測定し、実験相関式と比較することにより試験装置の妥当性を確認した。