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門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平
材料と環境, 71(5), p.133 - 137, 2022/05
薄い液膜下における鋼の腐食に及ぼす腐食抑制剤の影響を調査した。試料上に1.0-0.2mmの厚さの液膜を形成し、モリブデン酸ナトリウムと乳酸アルミニウム混合液を腐食抑制剤として添加し電気化学測定を実施した結果、腐食抑制剤はアノード反応を抑制すること、および液膜中では完全浸漬に比べて腐食抑制剤による保護層の形態が液量に応じて変化することが示唆された。
五十嵐 誉廣; 大谷 恭平; 小松 篤史; 加藤 千明; 坂入 正敏*
防錆管理, 66(4), p.141 - 145, 2022/04
金属腐食は原子スケールにおける電気化学反応を基とする材料劣化現象である。本報では、第一原理計算を用いた金属表面における様々な物性値取得方法を説明する。また第一原理計算を金属腐食研究に応用した例として、金属表面への水素吸着が電位変化に及ぼす影響と水溶液中カチオン原子が金属の耐食性に及ぼす影響について報告する。
門馬 悠一郎*; 坂入 正敏*; 上野 文義; 大谷 恭平
材料と環境, 71(4), p.121 - 125, 2022/04
3Dプリンタを用いて作製した装置で炭素鋼の大気腐食に及ぼす液膜厚さの影響を調査した。新たに作製した装置により、液膜厚さを正確に保持することが可能となった。異なる厚さの液膜で酸素の拡散限界電流密度()とアノード電流密度(
)を測定した。液膜が薄くなると、
は増加し
は減少した。
と拡散距離の関係から酸素の拡散係数を3.20
10
cm
s
と算出した。この結果を用いて、溶存酸素の拡散に影響を与え始める臨界厚さは0.87mmと求められた。
平野 伸一*; 井原 奏太*; 若井 暁*; 土津田 雄馬; 大谷 恭平; 北垣 徹; 上野 文義; 岡本 章玄*
Microorganisms (Internet), 10(2), p.270_1 - 270_12, 2022/02
被引用回数:5 パーセンタイル:84.64(Microbiology)淡水中の嫌気条件下での腐食におけるメタン生成菌の役割を理解するために、地下水と河川から収集されたサンプル中のメタン生成菌の腐食活性を調査した。地下水中でCO/NaHCO
とFe
をそれぞれ唯一の炭素源と電子供与体として成長できる微生物を単離した。電気化学的分析により、メタン細菌種は、-0.61V vs.SHE未満でカソードから電子を取り込むことができ、細胞外電子伝達能力を持つ他の以前に報告されたメタン生成菌とは異なる電気化学的ポテンシャルを持つ酸化還元活性を持っていることが明らかになった。この結果により、嫌気性淡水環境でFe
から電子を取り込むことができるメタン生成菌による腐食リスクと、リスク診断に寄与するための腐食メカニズムを理解する必要性が明らかとなった。
大谷 恭平; 上野 文義; 加藤 千明
材料と環境, 71(2), p.40 - 45, 2022/02
本研究では、福島第一原子力発電所のPCV内部において確認されている気液交番環境における炭素鋼の腐食速度に及ぼす気中酸素濃度の影響を低酸素濃度の範囲で調査した。調査結果より、腐食速度は気中酸素濃度が増大するに伴って増加するが腐食速度の勾配は徐々に減少すること、最大侵食深さは気中酸素濃度が1%の場合を除いて気中酸素濃度が増加するに伴って増大するが気中酸素濃度が1%の最大侵食深さは5%の場合よりも大きいことを見出した。
大谷 恭平; 加藤 千明
材料と環境, 70(12), p.480 - 486, 2021/12
気液交番環境で液膜に覆われる炭素鋼の表面に形成した鉄さび層の断面観察および分析より、気液交番環境で炭素鋼には外側から赤さび層(-FeOOH),クラスト層(Fe
O
),内部結晶(Fe
O
),内部鉄さび層から成る多層の鉄さび層が形成することを見出した。この多層構造の鉄さび層および液膜に起因して酸素還元反応は常時水中に浸漬された場合よりも加速された状態を維持していたため、炭素鋼の腐食速度は増大したと考えられる。気液交番環境における炭素鋼の腐食速度に及ぼす海水成分の影響の調査より、純水から200倍希釈人工海水までの薄い濃度領域では濃度の増大に伴って腐食速度は加速し、20倍希釈から無希釈人工海水までの濃い濃度領域では濃度の増大に伴って腐食速度は減少することを見出した。人工海水に含まれるMgやCaイオンが反応界面に析出して表面を覆うことで酸素還元反応が抑制されたため、濃度の高い人工海水中で炭素鋼の腐食が抑制されたと考えられる。
大谷 恭平; 塚田 隆; 上野 文義
Materials Transactions, 62(6), p.763 - 769, 2021/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)本研究では、低合金鋼上に気液交番環境下で形成された鉄さび層を、断面観察および分析により調査し、気液交番環境下での低合金鋼の腐食加速機構を明らかにした。断面観察および分析より、赤さび層(FeOOH),クラスト層(FeO
),内部結晶(Fe
O
)、および内部鉄さび層からなる多層の鉄さび層が低合金鋼上に形成されたことがわかった。この多層鉄さび層が酸素の還元反応を加速したことにより、低合金鋼の腐食速度が加速されたと考えられる。
大谷 恭平; 坂入 正敏*
Materials Transactions, 62(6), p.815 - 820, 2021/06
被引用回数:2 パーセンタイル:20.18(Materials Science, Multidisciplinary)グルコン酸ナトリウムの軟鋼の腐食抑制能力に及ぼす溶液中の金属カチオンの相乗効果を、「カチオンの腐食抑制効果」を表すパラメータYに着目して、浸漬試験及び電気化学試験により定量的に検討した。その結果、モデル淡水中の金属カチオンのY値の増加に伴い、グルコン酸塩の腐食抑制能力が向上することが明らかになった。また、電気化学的及び表面分析の結果、グルコン酸塩配位子とY値の大きい金属カチオンが軟鋼に欠陥の少ない保護膜を形成していることが明らかになった。
五十嵐 誉廣; 大谷 恭平; 加藤 千明; 坂入 正敏*; 富樫 侑介*; 馬場 和彦*; 高木 周作*
ISIJ International, 61(4), p.1085 - 1090, 2021/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Metallurgy & Metallurgical Engineering)水溶液中の金属カチオン(Zn, Mg
, Na
)が鉄への水素透過に及ぼす影響を明らかにするために、鉄表面からの水素透過量をレーザーアブレーションを用いた電気化学試験により測定した。また、金属カチオンによる水素透過の基本的なメカニズムを得るために、第一原理計算を使用して金属カチオンの吸着ポテンシャルと鉄表面周辺の電子状態を取得した。実験解析から、溶液中のZn
によって鉄表面の陽極反応が抑制されることがわかった。また量子解析から、ZnイオンはNa, Mgイオンよりも鉄表面に強く結合することがわかった。これより、鉄の溶解反応はZn層の形成により抑制され鉄への水素透過の抑制につながることが示唆された。
大谷 恭平; 塚田 隆; 上野 文義; 加藤 千明
材料と環境, 69(9), p.246 - 252, 2020/09
本研究では、気液交番環境における炭素鋼の腐食速度に及ぼす人工海水濃度の影響を調査し、更に人工海水濃度により異なる炭素鋼の腐食機構を明らかにすることを目的とした。その結果より、純水から200倍希釈人工海水までの薄い濃度領域では濃度の増大に伴って腐食速度は加速し、20倍希釈から無希釈人工海水までの濃い濃度領域では濃度の増大に伴って腐食速度は減少することを見出した。濃度の高い人工海水中で炭素鋼の腐食が抑制された理由は、腐食による表面近傍のpH増大に伴い人工海水中のMgやCaイオンが反応界面に析出して表面を覆うことで、酸素還元反応が抑制されたためであると考えられる。
大谷 恭平; Islam, M. S.*; 坂入 正敏*; 兼子 彬*
Surface and Interface Analysis, 51(12), p.1207 - 1213, 2019/12
被引用回数:1 パーセンタイル:2.22(Chemistry, Physical)異なる亜鉛イオン濃度の模擬淡水中でA3003アルミニウム合金に形成した腐食生成物の形態および組成をオージェ電子分光分析装置(AES)により明らかにした。試料断面の観察より、浸漬した模擬淡水の亜鉛イオン濃度が増加するほどA3003に形成した腐食生成物の厚さは減少することがわかった。試料断面の分析より、溶液中の亜鉛イオン濃度が0.1mMを超えると腐食生成物は多層構造になり、内側の亜鉛の豊富な層は高耐食性を有することが示唆された。
大谷 恭平; 塚田 隆; 上野 文義
材料と環境, 68(8), p.205 - 211, 2019/08
本研究では、気相と液相を繰り返す環境で低合金鋼の表面に形成する鉄さび層を断面観察および分析により解析し、気相と液相を繰り返す環境における低合金鋼の腐食加速機構を解明することを目的とした。結果より、気液交番環境で低合金鋼には外側から赤さび層(-FeOOH), クラスト層(Fe
O
), 内部結晶(Fe
O
), 内部鉄さび層から成る多層の鉄さび層が形成することを見出した。鉄さび層は低合金鋼が水膜環境下に暴露されることで形成し、その構造に起因してカソード反応は常時水中に浸漬された場合よりも加速された状態を維持していたため、低合金鋼の腐食速度は増大したと考えられる。
大谷 恭平; 佐藤 智徳; 加治 芳行; 山本 正弘
JAEA-Review 2019-007, 15 Pages, 2019/06
液体固体粒子を含んだ流体による流れ(固液二相流)を取り扱う配管などの構成材料は、固液二相流中の固体粒子の衝突によってエロージョンと呼ばれる損傷が生じる。固液二相流の液体が腐食性溶液である場合、溶液は更に化学的に作用してエロージョン・コロージョンと呼ばれる損傷が生じる。福島第一原子力発電所(1F)の廃炉作業で実施が予定されているデブリ取り出し作業の際には、破砕されたデブリ微粒子による循環冷却ラインの配管の損傷が懸念される。そのため、固液二相流における金属材料のエロージョンおよびエロージョン・コロージョンに関する文献調査を実施した。文献調査結果より、1Fのデブリ取り出し時に設置される冷却系配管の材料についてはクロムを含む鋼材や耐食性の高いステンレス鋼の使用が望ましいと考えられる。また、エロージョン・コロージョンの解析では、誤った条件や曖昧な条件で試験を実施すると金属材料の損傷速度の変化に影響する因子が適格に判別できず、事実と異なる認識をしてしまう危険性があることも分かった。このため、1Fのデブリ取り出し時において発生すると予測される粉砕微粒子が配管等の機器材料に与える影響を正確に評価するためには、金属材料の損傷速度に大きく影響を与える環境条件や1F特有の放射線によるラジオリシス等の因子を考慮した上で試験を行う必要がある。
Islam, M. S.*; 大谷 恭平; 坂入 正敏*
ISIJ International, 58(9), p.1616 - 1622, 2018/09
被引用回数:5 パーセンタイル:29.18(Metallurgy & Metallurgical Engineering)亜鉛めっき鋼板の腐食挙動には溶出した亜鉛イオンが寄与していると考えられるため、炭素鋼の腐食に及ぼす亜鉛イオンの影響および他の金属カチオンの影響を浸漬腐食試験および電気化学的手法を用いて調査した。浸漬腐食試験で得られた外観写真や質量変化から実験に用いたNa, Mg
, Zn
, Al
のなかで亜鉛は最も炭素鋼の防食に寄与することがわかった。XPS測定より亜鉛イオンは鋼の表面に結合していることが分かり、更に電気化学インピーダンス測定から亜鉛イオンが溶液に存在していると炭素鋼の腐食抵抗が大きくなるため耐食性の高い表面状態になっていることがわかった。実験結果より、亜鉛イオンは炭素鋼表面に亜鉛の金属カチオン層を形成して塩化物イオンによる攻撃を防いでいたと推察できる。すなわち、亜鉛めっき鋼板の防食作用は犠牲防食だけでなく溶出した亜鉛イオンによる防食作用も大きく寄与していると考えられる。
Islam, M. S.*; 大谷 恭平; 坂入 正敏*
Corrosion Science, 140, p.8 - 17, 2018/08
被引用回数:11 パーセンタイル:55.99(Materials Science, Multidisciplinary)異なる金属カチオンを含む0.5M Clの溶液に暴露したSUS304の腐食挙動を表面分析を伴う浸漬試験および電気化学測定により調査した。金属カチオンにより異なる腐食メカニズムはXPS分析および硬い柔らかい酸塩基理論(HSAB理論)により解明した。研究結果より、硬い金属カチオンは化学結合によって不動態皮膜上に保護層を形成して塩化物イオンによる攻撃を防ぐことにより、SUS304の腐食反応を抑制する効果を持つと考えられる。
大谷 恭平; 坂入 正敏*; 兼子 彬*
no journal, ,
本研究では、異なる金属カチオンを含んだ模擬淡水を用いて電気化学測定および表面観察・分析を伴う浸漬腐食試験を実施し、金属カチオンの種類により異なるアルミニウム合金の腐食挙動や腐食速度の違いを明らかにすること、更にカチオンの硬さ、Xを改良した新規腐食指標を提案することを目的として実験を行った。観察と分析結果から、アルミニウム合金の腐食挙動は溶液に含まれる金属カチオンの種類によって大きく変化すること、金属カチオンはアルミニウム合金表面に結合することで腐食挙動を変化させることがわかった。さらに、新規腐食指標Yを提案し、アルミニウム合金の腐食速度は溶液中に含まれる金属カチオンのもつ腐食指標Yの値に伴って減少することを明らかにした。
大谷 恭平; 塚田 隆; 上野 文義
no journal, ,
既報では福島第一原子力発電所の格納容器内部を模擬した気液交番環境で炭素鋼の腐食速度は常時水中の場合より3倍以上速いことを明らかにした。本発表では、気液交番環境中で鋼材表面に形成させた鉄さび層の構造を断面観察および分析により解析し、気液交番環境における鋼の腐食加速機構について報告する。浸漬試験後の試験片断面写真より、鉄さびの厚さは約500um以上で、最外層に光顕では橙色のさび層が、その下部には密なさび層が確認できる。顕微ラマン分光分析より、外側の橙色の層は-FeOOHで、密な層はFe
O
であることがわかった。すなわち、鉄さび層の最外部では最初に
-FeOOHが形成し、その後Fe
O
へのカソード還元が生じたと考えられる。素地Fe/鉄さび界面では局部的な腐食が生じており、その界面付近にはClの濃縮が確認された。すなわち、さび層下部では塩化物イオンの濃縮により、再不動態化が阻害されて鉄のアノード溶解反応が促進されたと考えられる。以上より、気液交番環境では鉄さび層上部でカソード反応が下部ではアノード反応が促進されることで電気化学反応が相乗的に加速され、腐食速度は全浸漬回転の条件より速くなったと推察する。
Islam, M. S.*; 大谷 恭平; 坂入 正敏*
no journal, ,
これまでの研究で淡水中に含まれる亜鉛イオンは炭素鋼の腐食を抑制する効果があるという報告がされているが、亜鉛イオン濃度の影響は不明だった。そこで、亜鉛イオン濃度を0.1mMから1mMまで変化させた溶液を用いて腐食試験を実施し、亜鉛イオン濃度が炭素鋼の腐食に及ぼす影響を調査した。腐食試験後の鋼の質量減少量は淡水の亜鉛イオン濃度と線形に比例して減少していた。腐食試験後の鋼材表面のSEM観察結果から亜鉛イオン濃度の増大に伴って鋼表面の孔の数は減少していることがわかった。XPSおよびAESによる表面分析より、亜鉛イオンは鋼表面に金属カチオンの層を形成し、亜鉛イオン濃度が高いほど金属カチオン層は鋼の被覆率が高いことがわかった。
坂入 正敏*; 大谷 恭平; Islam, M. S.*
no journal, ,
以前の研究で溶液環境中の亜鉛イオンは金属の腐食を抑制する役割があることが明らかになった。しかし、亜鉛イオンの金属の腐食抑制に及ぼす役割は完全には明らかになっていない。本研究では、亜鉛イオンのおよぼす鋼およびアルミニウム合金の腐食への影響を明らかにした。電気化学インピーダンス分析および表面の化学状態分析より、亜鉛イオンは鋼表面に電気化学反応を抑制するのに効果的な保護皮膜を形成し、その結果として腐食速度を減少させる役割を持つことがわかった。
大谷 恭平; 塚田 隆; 上野 文義; 山本 正弘
no journal, ,
福島第一原子力発電所の格納容器内部を模擬した気中と水中へ交互に暴露される環境(気液交番環境)で炭素鋼の腐食は溶液中に比べて3倍以上加速されることが分かっているが、これまでの研究で腐食が加速する機構は明らかになっていない。本研究では気液交番環境で炭素鋼に形成した鉄さび層の断面観察および分析により、気液交番環境で炭素鋼の腐食が加速する理由は常に溶存酸素(DO)濃度の高い場所でカソード反応が生じ続ける構造の鉄さび層が形成するためであると考えられることを見出した。