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与能本 泰介; 久木田 豊; R.R.Schultz*
Nuclear Technology, 124(1), p.18 - 30, 1998/10
被引用回数:43 パーセンタイル:93.15(Nuclear Science & Technology)ウエスチングハウス社の新型受動安全炉AP600の静的余熱除去系(PRHR)は、格納容器内燃料取替用水タンク(IRWST)を除熱源とする熱交換器を含む自然循環冷却ループである。ROSA-V/LSTF装置で行ったAP600に関する小破断冷却材喪失事故模擬実験において、PRHRでの除熱量は作動直後から炉心崩壊熱を大きく上回り、このため、炉心温度及び圧力は連続的に低下した。PRHRでの伝熱挙動について、伝熱相関式の適用性を検討するための1次元熱伝達解析、及びIRWST内の流動挙動に関するFLUENTコードを用いて3次元流動解析を行った。その結果、PRHRでの熱伝達量は5%程度の精度で予測され、IRWST内流体温度分布は、温度成層の高さの過小評価以外はよく予測された。さらに、流動分布に関する計算結果より、IRWSTの幾何的形状に関する実機とLSTFの違いがPRHR伝熱挙動に大きく影響を与えるものでは無いことが示された。
与能本 泰介; 近藤 昌也; 久木田 豊; L.S.Ghan*; R.R.Schultz*
Nuclear Technology, 119, p.112 - 122, 1997/08
被引用回数:29 パーセンタイル:87.97(Nuclear Science & Technology)原研ではROSA-V/LSTF装置を用いてウエスチングハウス社AP600炉に関する冷却材喪失事故模擬実験を実施している。実験結果より、AP600炉特有の炉心補給水タンク(CMT)での熱水力挙動は自然循環期と排水期の二つに分類できることが示された。自然循環期ではコールドレグから高温水が流入しCMT内に明確な温度成層が生じた。他方、排水期は、1インチ以下の破断の場合にはフラッシングにより、2インチ以上の場合にはコールドレグからの気相の進入により、開始した。これらのCMT挙動は他の安全機器の影響を受け、例えば、畜圧注入系の作動によりCMTからの排水速度は低下し、自動減圧系の作動により、排水速度は増加した。均圧配管内が空になってからはCMT水位の低下速度は自由落下の式でほぼ近似することができた。
中村 秀夫; 久木田 豊; L.S.Ghan*; R.R.Schultz*
Proc. of 1997 Int. Meeting on Advanced Reactors Safety, 0, p.1245 - 1252, 1997/06
AP600炉における蒸気発生器(SG)の伝熱管多数本同時破断事象を模擬した実験を、改造したROSA-V/LSTF(体積比1/30.5)を用いて行った。その結果、静的安全系である静的余熱除去系(PRHR)と炉心補給水タンク(CMT)の、いずれも自然循環による熱除去が、原子炉スクラムとほぼ同時の起動後すぐに炉心崩壊熱出力を大きく上回り(2倍)、1次系圧力をSG2次系圧力近くまで短時間で低下させたため、運転員操作が無くても炉心をサブクール水中に維持できることが分かった。更にその熱除去は、高温配管(hot leg)温度をSG2次系より低下させ、2次系圧力を逃がし弁開の設定値以下に維持した。しかし、PRHRからの低温の冷却水は、他のROSA/AP600小破断模擬実験同様、低温配管(cold leg)に大きな温度差(
100K)の温度成層を生じることが分かった。
G.E.McCreery*; C.M.Kullberg*; R.R.Schultz*; 与能本 泰介; 安濃田 良成
Proc. of 1997 Int. Mechanical Engineering Congress and Exposition, p.97 - 104, 1997/00
ROSA-V/LSTF装置静的余熱除去系(PRHR)における冷却材喪失事故模擬実験の伝熱挙動を、一次元熱伝達計算モデルを用いて解析した。PRHRは、格納容器内燃料取替用水タンク内におかれたC字型伝熱部と一次系との接続配管で構成される自然循環冷却系である。解析結果より、(1)伝熱管内流体温度は提案する伝熱相関式を用いて良く予測できる、(2)伝熱管外表面での伝熱様式は、伝熱管入口でサブクール沸騰、その下流で乱流及び層流熱伝達であると予測される、(3)伝熱性能の低下に関連し当初懸念された沸騰遷移は、熱交換器全体の熱伝達性能に顕著な悪影響を与えるものでない、等が明らかになった。
久木田 豊; 与能本 泰介; 浅香 英明; 中村 秀夫; 熊丸 博滋; 安濃田 良成; T.J.Boucher*; M.G.Ortiz*; R.A.Shaw*; R.R.Schultz*
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(3), p.259 - 265, 1996/03
被引用回数:30 パーセンタイル:90.06(Nuclear Science & Technology)原研と米国原子力規制委員会は、ROSA-V計画大型非定常装置(LSTF)を用いてウエスチング社が開発したAP600型炉の過渡現象に関する確証総合実験を共同で行っている。本装置はもともと在来型の4ループ加圧水型原子炉を模擬しているが、AP600特有の機器を付加する改造を行った。改造後のLSTFはAP600を圧力、高さについては1/1で、体積については1/30.5で模擬している。94年8月までに、本装置を用いて、コールドレグ破断、均厚配管破断、自動減圧系誤差開放を起因事象とする冷却材喪失事故に関する5回の実験を行った。実験結果は、炉心冷却と崩壊熱除去に関するAP600受動安全系の良好な性能を示している。
G.S.Rhee*; 久木田 豊; R.R.Schultz*
NUREG/CP-0149 (Vol. 1), 0, p.243 - 264, 1996/00
ROSA/AP600実験は、原研のROSA装置を用いてAP600炉の事故時熱水力挙動に関する総合実験を行うものである。これまでに、低温側配管破断、炉心補給水タンク均圧ライン破断、圧力容器直接注入ライン破断、自動減圧系誤作動、蒸気発生器伝熱管破断、主蒸気管破断、全交流電源喪失シナリオを模擬した合計14回の実験を実施し、全ての実験において、受動安全系の作動により炉心は十分な余裕をもって冷却されたが、以下の3点についてはさらに詳細な検討が必要であることがわかった。(1)凝縮による圧力振動及び水撃 (2)静的余熱除去系が接続された低温側配管内の過渡成層 (3)自動減圧系作動後の系全体の圧力、水位等の振動
中村 秀夫; 久木田 豊; R.A.Shaw*; R.R.Schultz*
Proc. of ASMEJSME 4th Int. Conf. on Nuclear Engineering 1996 (ICONE-4), 1(PART A), p.237 - 244, 1996/00
ROSA-AP600実験で観察された蓄圧注入系与圧用窒素(N)ガスのPRHRとCMTへの蓄積条件と、各々の機器の除熱能力に及ぼす影響を、実施した14実験からまとめると共に、CMT内の濃度変化を推定した。AP600では事象の終盤に、蓄圧注入系からN
ガスが一次系に流入する。その際、PRHRにはADS作動後ホットレグに水位が形成された場合にのみ、CMTには、コールドレグに水位が形成され、かつ均圧ラインが順流の時に各々流入、蓄積することがわかった。ただし、このようなN
ガスの蓄積は通常ADS作動後に生じるため、系への影響は小さいことがわかった。CMTへの蓄積は逆に、円滑な冷却材の注入を促すことがわかった。更に気相密度の安定成層を仮定し、温度分布から求めたCMT内N
ガス最大蓄積量は、蓄圧注入系から放出される相当部分に達する可能性があることを示した。
R.R.Schultz*; J.M.Cozzuol*; R.A.Shaw*; 与能本 泰介; 久木田 豊
NUREG/CP-0140 (Vol. 2), 0, p.217 - 238, 1995/00
原研では、米国NRCとの協定に基づき、WH社の開発になる次世代型PWRであるAP600炉の事故時挙動に関する熱水力総合実験(ROSA/AP600実験計画)を実施している。このため、原研のLSTF装置にAP600炉固有の受動的安全機器を付加し、改造後の装置について、各部の流動抵抗等、実験解析上重要な特性を実測し、仕様の範囲内にあることを確認した。また、第1回実験として実施したコールドレグ1インチ破断実験をREALP5/MOD3コードにより解析し、炉心補給水タンクによる安全注入など主要な現象が概ね再現されることを確認した。
久木田 豊; 与能本 泰介; 浅香 英明; 中村 秀夫; 熊丸 博滋; 安濃田 良成; T.J.Boucher*; M.G.Ortiz*; R.A.Shaw*; R.R.Schultz*
NUREG/CP-0140 (Vol. 2), 0, p.203 - 216, 1995/00
原研と米国原子力規制委員会は、ROSA-V計画大型非定常装置LSTFを用いてウエスチング社のAP600炉の過渡現象に関する高圧での確証総合実験を共同で行っている。もともと従来型の加圧水型原子炉を模擬する本装置にAP600特有の機器を付加する改造を行った。改造されたLSTFはAP600炉を圧力、高さについては1/1で、体積については1/30.5で模擬している。これまで、本装置を用いて、コールドレグ、圧力均圧配管、圧力容器直接注入配管の破断に関する7回の冷却材喪失事故実験を行った。実験結果は、概ね、炉心冷却と崩壊熱除去に関するAP600の良好な性能を示している。
安濃田 良成; 久木田 豊; 与能本 泰介; 浅香 英明; 中村 秀夫; 熊丸 博滋; T.J.Boucher*; M.G.Ortiz*; R.A.Shaw*; R.R.Schultz*
日本機械学会第72期通常総会講演会講演論文集,III, 0, p.413 - 414, 1995/00
原研は、米国NRCとの協定に基づき、受動安全機能を高めた次世代のPWRであるウェステングハウス社のAP600炉の工学的安全性に関する総合実験を、ROSA-V計画LSTF装置にAP600炉特有の機器を付加して実施している。これまでに、コールドレグ、均圧ライン、DVIラインの小破断LOCA及び全交流電源喪失や蒸気発生器伝熱管破断を原因とする異常な過渡変化に関する実験を合計10回実施した。これら全ての実験において、AP600炉の受動安全機器がほぼ想定どおり作動し、十分な炉心冷却が維持された。また、1次系圧力は大気圧付近まで自動的に減圧され、最終的にIRWSTから重力のみによる連続的な注水が行われた。その他、蓄圧注水系から1次系内に流入した窒素の影響や、直接接触凝縮による圧力変動が観察されたが、これらは系全体の挙動に大きな影響を与えるものではなかった。
久木田 豊; R.R.Schultz*; 中村 秀夫; 片山 二郎*
Nucl. Saf., 34(1), p.33 - 48, 1993/01
PWRの低温側配管破断LOCAにおいて、事故後の長期的プラント冷却操作に際し、炉心の水位が異常に低下した状態が長時間継続する可能性がある。このような事態は、炉心で生じた蒸気が一次系内で凝縮し、かつ蒸気発生量と凝縮量がほぼつり合う場合に生じ得る。一次系内で蒸気が凝縮する機構として、(1)蒸気発生器二次側への伝熱に伴う蒸気発生器細管内での凝縮、(2)高温側配管への非常用炉心冷却水注入操作に伴う凝縮、(3)圧力容器バイパスを通りダウンカマ及び低温側配管中に流入した蒸気の凝縮、が考えられる。本報では、これらの機構についてLSTFを用いて行われた実験の結果から、LOCA発生後数時間以上経過し炉心の崩壊熱が著しく減衰した状態では、上記の条件がみたされ、長時間(数分間以上)にわたる炉心露出が生じる場合がありうることを示す。
田中 貢; 久木田 豊; R.R.Schultz*; 小泉 安郎; 川路 正裕; 刑部 真弘; 与能本 泰介; 田坂 完二
Nucl.Eng.Des., 102, p.165 - 170, 1987/00
被引用回数:7 パーセンタイル:59.77(Nuclear Science & Technology)大型非定常試験装置(LSTF)の10%コールドレグ破断実験の実験結果をRELAP5/MOD1コードによる予測計算と比較検討し、LSTFがPWRの小破断冷却材喪失事故の主たる現象を再現できることを示した。
ROSA-IVグループ*; 田坂 完二; 田中 貢; 鈴木 光弘; 久木田 豊; 小泉 安郎; 安濃田 良成; 山本 信夫; 熊丸 博滋; 川路 迅裕; et al.
JAERI-M 84-237, 300 Pages, 1985/01
ROSA-IV計画では、大型非定常試験装置(LSFF)を用いて、PWR小破断冷却材喪失事故及び運転時の異常過渡に関する総合実験を行う。本報は、LSTF実験の結果を理解するのに必要となる情報を提供することを目的としている。本報では、ROSA-IV計画の概要ならびにLSTF装置の設計条件、装置各部の構造及び機能、計測制御系、データ収録系、さらに、LSTF装置で行われる実験の概要について述べる。
R.R.Schultz*; 久木田 豊; 田坂 完二
JAERI-M 84-176, 61 Pages, 1984/09
ROSA-IV計画によるLSTF総合実験のための予備解析の一環として、ウエスチングハウス型PWRにおけるTMI事故類似事故を模擬した実験に値する予備解析を行った。本解析は、計算コードRELAP5の性能評価のための実験前解析と、LSTF実験装置の性能予測とを目的とするものである。本報では、ウエスチングハウス型PWRにおいてTMI事故に類似した事象が発生するための事故条件を固定し、このような条件下でのPWRとLSTFの熱水力挙動の相似性を論ずる。