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長尾 誠也; R.R.Rao*; R.W.D.Killey*; J.L.Young*
Radiochimica Acta, 82, p.205 - 211, 1998/00
カナダ原子力公社チョークリバー研究所で採取した砂質土壌と地下水有機物を用い、溶存有機物存在下でのEuの砂質土壌における移行挙動をカラム実験により検討した。本研究では有機物の影響を詳細に調べるため、Aldrich社製フミン酸、河川水フミン酸・フルボ酸を参照有機物として用いた。Eu-152を含むpH5.5、イオン強度0.01M過塩素酸ナトリウム溶液を砂質土壌を詰めたカラム(内径2.5cm、長さ2.5cm)に1ml/minの流速で流し、溶出液のEu-152放射能濃度、有機物濃度を測定した。その結果、溶存有機物が存在しない系において、Euはカラムの空隙の90倍の溶液を流しても溶出液に検出されなかったが、有機物存在下において溶出液にEuが検出された。Euの最大相対濃度は河川水フルボ酸地下水有機物河川水フミン酸≒Aldrichフミン酸の順に大きくなった。これは、Euの移行性の増加がEuと有機物との錯体の分子サイズに支配されていることを示唆している。
坂本 義昭; 中村 治人*; R.W.D.Killey*; D.R.Champ*
10th Pacific Basin Nuclear Conf. (10-PBNC), 2, p.1343 - 1350, 1996/00
放射性廃棄物の埋設処分における安全評価は、地層中の放射性核種の移行挙動を知ることが重要である。このため原研とカナダ原子力公社においては、原位置条件での放射性核種の移行挙動を調べるため、1960年に埋設された放射性ガラスから浸出したSrとCsの帯水層中の濃度分布を測定した。また、帯水層中で吸着されたSrとCsの吸着形態を逐次抽出により、地下水中の化学形態をイオン交換樹脂により調べた。濃度分布の測定結果より、Srは帯水層中を30年間に約75m移行していた。更に逐次抽出及び化学形態の分析結果から、Srの移行挙動は、Srのイオン交換による吸着及び非晶質鉄酸化物への速度論的な吸着反応に支配されていることを明らかにした。一方、Csの移行距離は30年間で約4mであった。逐次抽出の結果、Csの吸着形態は雲母のような鉱物に固定される成分が多く、その移行速度がSrに比べ非常に遅いことを明らかにした。