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論文

Evaluation of irradiation-induced point defect migration energy during neutron irradiation in modified 316 stainless steel

関尾 佳弘; 山県 一郎; 赤坂 尚昭; 坂口 紀史*

Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Next Generation Nuclear Systems for Sustainable Development (FR-17) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2017/06

改良316オーステナイト鋼(PNC316)のスエリング特性に直接的に影響を及ぼす照射点欠陥挙動(特に空格子の拡散挙動)を定量的に評価することを目的として、異なる温度で中性子照射されたPNC316に対してランダム粒界近傍に形成されたボイド欠乏帯の幅をそれぞれ測定し、温度とボイド欠乏幅の関係からPNC316の空格子移動エネルギーを評価した。その結果、その値は1.46eVと評価され、既存の評価手法である電子線その場観察試験(転位ループの成長速度評価)の結果とよく一致した。このことは、ボイド欠乏帯解析が特に照射中の空格子移動エネルギー評価に有効な方法であり、このエネルギー評価が照射損傷形態が異なる電子線照射からではなく、中性子照射後試験から直接的に評価できることを示している。

論文

Void denuded zone formation for Fe-15Cr-15Ni steel and PNC316 stainless steel under neutron and electron irradiations

関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 高橋 平七郎*

Journal of Nuclear Materials, 458, p.355 - 360, 2015/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:22.72(Materials Science, Multidisciplinary)

PNC316における空格子の拡散性に及ぼす添加元素の影響を評価するために、粒界近傍で形成される照射誘起ボイド欠乏帯を調べた。供試材として、添加元素を含むPNC316と含まないFe-15Cr-15Ni(モデル合金)を使用し、ボイドの形成が顕著となる照射条件下で中性子照射及び電子線照射が行われた。両鋼種における中性子照射後及び電子線照射後の微細組織観察の結果、両鋼種ともにランダム粒界近傍でボイド欠乏帯が形成され、PNC316において形成されたボイド欠乏帯の幅はFe-15Cr-15Niよりも狭くなることが示された。更に、この両鋼種のボイド欠乏帯幅の違いに着目して、PNC316における空格子の拡散性(特に空格子移動エネルギー)の解析・評価を行った結果、PNC316において空格子の拡散性が低下することが示された。

論文

Effect of additional minor elements on accumulation behavior of point defects under electron irradiation in austenitic stainless steels

関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 高橋 平七郎

Materials Transactions, 55(3), p.438 - 442, 2014/03

 被引用回数:4 パーセンタイル:62.01(Materials Science, Multidisciplinary)

316系ステンレス鋼における電子線照射下での点欠陥蓄積挙動に及ぼす添加元素の効果をボイド欠乏帯幅の解析から評価することを目的として、SUS316L及びSUS316Lベースの微量元素添加鋼(V, Zr)に対して電子線照射を行い、各鋼種で形成したボイド欠乏帯幅の解析から、空格子拡散係数、空格子フラックス及び実効空格子濃度を相対評価した。これらの結果、以下のことがわかった。(1)それぞれの鋼種において、ある一定の幅を持ったボイド欠乏帯幅が形成した。(2)ボイド欠乏帯幅は鋼種毎に異なり、添加元素を加えることによってその幅が低下した。(3)SUS316L及びSUS316L-Vのボイド欠乏帯幅の解析から、これらの鋼種間での空格子拡散係数、空格子フラックス及び実効空格子濃度の比を見積もると、Vを加えたことでそれぞれの比は0.50, 0.71, 1.41となり、点欠陥蓄積挙動に及ぼす添加元素の効果を数値的に評価することが可能となることを示唆する結果が得られた。

論文

Beam-palarization asymmetries for the $$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Lambda$$ and $$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Sigma$$$$^{0}$$ reactions for $$E$$$$_{gamma}$$=1.5-2.4 GeV

Zegers, R. G. T.*; 住浜 水季*; Ahn, D. S.*; Ahn, J. K.*; 秋宗 秀俊*; 浅野 芳裕; Chang, W. C.*; Dat$'e$, S.*; 江尻 宏泰*; 藤村 寿子*; et al.

Physical Review Letters, 91(9), p.092001_1 - 092001_4, 2003/08

 被引用回数:118 パーセンタイル:4.5(Physics, Multidisciplinary)

$$E$$$$_{gamma}$$=1.5-2.4GeVで$$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Lambda$$,$$p$$($$overrightarrow{gamma}$$,$$K$$$$^{+}$$)$$Sigma$$$$^{0}$$反応に対するビーム偏極非対称が初めて測定された。この結果は未決定のハドロン共鳴や反応機構解明に用いられる。

論文

Evidence for a narrow $$S$$ = +1 Baryon resonance in photoproduction from the neutron

中野 貴志*; Ahn, D. S.*; Ahn, J. K.*; 秋宗 秀俊*; 浅野 芳裕; Chang, W. C.*; 伊達 伸*; 江尻 宏泰*; 藤村 寿子*; 藤原 守; et al.

Physical Review Letters, 91(1), p.012002_1 - 012002_4, 2003/07

 被引用回数:938 パーセンタイル:0.13(Physics, Multidisciplinary)

$$K^{+}$$$$K^{-}$$の両粒子を前方で測定することにより、$$^{12}$$Cを標的にした$$gamma$$n $$rightarrow$$ $$K^{+}$$$$K^{-}$$n光反応を研究した。1.54GeV/C$$^{2}$$に25MeV/C$$^{2}$$以下の幅の鋭いバリオン共鳴ピークを観測した。この共鳴ピークのストレンジネス($$S$$)は+1であった。この状態は5つのクォーク($$uudd bar{s}$$)が$$K^{+}$$と中性子に崩壊した状態であると解釈される。

口頭

粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の照射特性,1

谷川 隆亮*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 木下 博嗣*; 粉川 博之*; 川合 將義*; 山下 真一郎

no journal, , 

粒界制御処理(高密度の対応粒界の導入)により耐食性の向上を実現した粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の照射下適応性を検討するために、電子線照射並びにヘリウムイオン照射試験を行い、結晶粒界近傍における照射特性を調査した。照射前における粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の方位像顕微鏡(OIM:Orientation Image Microscopy)観察から、対応粒界密度が8割以上であること、及びランダム粒界ネットワークが対応粒界により効率よく分断化されていること、などを確認した。一方、電子線照射したSUS316L粒界制御材のランダム粒界と{111}$$Sigma$$3対応粒界,非対称$$Sigma$$3対応粒界の粒界近傍の濃度分布測定から、{111}$$Sigma$$3対応粒界では照射に伴う組成変動はわずかしか生じなかったのに対し、ランダム粒界,非対称$$Sigma$$3対応粒界では程度の違いはあるもののCr濃度の低下とNi偏析の傾向が認められた。ヘリウムイオン照射試験後に行った各種粒界の濃度分布測定からも、他の粒界に比較して{111}$$Sigma$$3対応粒界で偏析が十分に抑制されていることが明らかになった。

口頭

粒界工学による高性能FBR炉心材料の創製,1; 材料試作

山下 真一郎; 矢野 康英; 遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 宮城 雅徳*; 佐藤 信也*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*; 川合 將義*

no journal, , 

高速炉用に開発されたオーステナイト系ステンレス鋼(PNC316)は、耐照射性と高温特性を兼備した材料として高速実験炉「常陽」や高速原型炉「もんじゅ」などで使用されている。この材料のさらなる高性能化には、耐照射性に関する本質的挙動解明に加えて、抜本的特性改善を期待し得る革新的技術の導入が必要と考えられている。われわれの研究グループでは、このような背景のもと、商用オーステナイト系ステンレス鋼のバルク特性(例えば、腐食特性など)の改良に実績のある「粒界工学的制御法」に注目し、PNC316への同手法の適用性を検討した。検討手順としては、まず初めに、系統的に熱処理条件(温度及び時間)を変え、結晶方位像顕微鏡法(OIM:Orientation Imaging Microscopy)を用いて溶体化のための最適条件を検討した。次いで、加工度と熱処理の組合せ条件を系統的に変え、溶体化の場合と同様、OIMによる粒界性格分布解析結果をもとに、高対応粒界密度が安定的に得られる加工熱処理条件範囲について検討した。これらの総合的な検討の結果、安定的に高対応粒界密度状態が得られる加工熱処理条件範囲を特定し、同手法の適用性に将来的な見通しを得た。

口頭

粒界工学による高性能FBR炉心材料の創製,2; 強度特性評価

矢野 康英; 山下 真一郎; 遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 宮城 雅徳*; 小山田 哲也*; 佐藤 信也*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*; et al.

no journal, , 

PNC316等の高速炉用オーステナイト鋼は、耐照射性と高温強度を備えた高速炉炉心材料として高速実験炉「常陽」や高速原型炉「もんじゅ」などで使用されている。このオーステナイト鋼炉心材料のさらなる高性能化のために、基本特性を抜本的に改善し得る革新的技術の導入が必要と考えられている。そこで、われわれの研究グループではこのような背景のもと、商用のオーステナイト系ステンレス鋼のバルク特性(例えば、腐食特性など)の改良に実績のある 「粒界工学的制御法」に注目し、PNC316への同手法の適用性を検討するために、GBEMの引張特性について評価を行った。その結果、以下の評価を得た。GBEMのYS及びUTSは、BMのそれぞれ約70%と約90%であった。この傾向は、室温と500$$^{circ}$$Cの両者の強度で同様であった。伸びは、GBEMとBMでおおむね同程度であった。強度特性は対応粒界割合より結晶粒径に依存していると考えられる。また、BMとGBEMの500$$^{circ}$$Cの応力歪曲線よりGBEMの方がBMに比べ不連続変形が少なかった。この違いは対応粒界割合等に起因することが示唆される。

口頭

オーステナイト系ステンレス鋼における照射効果並びに腐食挙動に及ぼす粒界性質依存性

遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 木下 博嗣*; 渡辺 精一*; 山下 真一郎; 矢野 康英; 川合 將義*

no journal, , 

本研究では、粒界制御材(GBEM)の耐IASCC特性の基礎的調査として、Heイオン照射後の粒界偏析挙動及び腐食挙動を明らかにすることを目的とし、SUS316L GBEMに対し、鋭敏化処理(700$$^{circ}$$C, 120h)あるいはHeイオン照射(400$$^{circ}$$C, 2.2dpa)した後、TEM-EDSを用いて評価した。さらに、10%シュウ酸水溶液中で電解エッチングを行い、再びTEM観察することで粒界部の腐食挙動を調査した。Heイオン照射材に対しシュウ酸水溶液中で電解エッチングを行ったところ、ランダム粒界では粒界腐食により膜厚が減少している様子が観察された。一方、双晶粒界では膜厚の変化は全く見られなかった。さらに、双晶粒界を含む階段状の$$Sigma$$3対応粒界や粒界三重点近傍においては、双晶粒界により粒界腐食のネットワークが分断化されることが明らかとなった。これより、低$$Sigma$$値対応粒界を高密度に含むGBEMは、照射下においても優れた耐粒界腐食特性を示すことが期待される。

口頭

オーステナイト系ステンレス鋼の照射後腐食特性に及ぼす粒界性質依存性

遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 木下 博嗣*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 山下 真一郎; 矢野 康英; 川合 將義*

no journal, , 

オーステナイト系ステンレス鋼を原子炉構成材料として用いる場合の問題点の一つに照射促進応力腐食割れ(IASCC)が挙げられる。この主原因の一つとして、照射誘起偏析(RIS)による粒界でのCr濃度低下に起因した耐食性の劣化が考えられている。近年、オーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化対策の一つとして、高密度の対応粒界を有する粒界制御材(GBEM)が開発された。本研究では、GBEMの原子力プラントへの応用を見据え、耐IASCC特性の基礎的調査としてHeイオン照射後の粒界偏析挙動と腐食挙動の相関を検討した。商用SUS316L鋼に対し粒界制御処理を施し、鋭敏化処理またはHeイオン照射し、内部組織や粒界近傍の濃度分布をTEM-EDSを用いて評価し、10%シュウ酸水溶液中で電解エッチングを行い、粒界部の腐食挙動を調査した。Heイオン照射材に対しシュウ酸水溶液中で電解エッチングを行ったところ、ランダム粒界では粒界腐食により膜厚が減少している様子が観察された。一方、双晶粒界では膜厚の変化は全く見られなかった。さらに、双晶粒界を含む階段状の$$Sigma$$3対応粒界や粒界三重点近傍においては、粒界腐食のネットワークが双晶粒界により分断化されることが明らかとなった。これら粒界の偏析挙動を調査したところ、粒界腐食が生じたすべての粒界で照射誘起偏析によるCr枯渇が認められた。これより、低$$Sigma$$値対応粒界を高密度に含む粒界制御鋼は、照射下においても優れた耐粒界腐食特性を示すことが期待される。

口頭

耐照射用オーステナイト鋼粒界制御材料の照射効果

坂口 紀史*; 谷川 隆亮*; 遠藤 正樹*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 川合 將義*; 山下 真一郎; 矢野 康英

no journal, , 

照射促進応力腐食割れの主原因の一つとして、照射誘起偏析による粒界でのCr濃度低下に起因した耐食性劣化が挙げられる。近年、オーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化対策の一つとして、高密度の対応粒界を有する粒界制御材が開発された。本研究では、粒界制御材の原子力プラントへの応用を見据え、耐IASCC特性の基礎的調査としてHeイオン照射後の粒界偏析挙動と腐食挙動の相関を検討した。供試材としてSUS 316L鋼及び高速炉用PNC316鋼に対して粒界制御処理を施した材料を用いた。これらに対し鋭敏化処理又はHeイオン照射を行い、内部組織と粒界近傍の濃度分布を評価した。さらに、電解エッチングにより粒界部の腐食挙動を調査した。Heイオン照射材に対し電解エッチングを行った結果、ランダム粒界では粒界腐食による膜厚減少が観察された。一方、双晶粒界では膜厚変化は生じなかった。さらに、双晶粒界を含む階段状の$$Sigma$$3対応粒界や粒界三重点近傍では、粒界腐食のネットワークが双晶粒界により分断化されることが示された。これら粒界偏析挙動の調査により、粒界腐食が生じたすべての粒界で照射誘起偏析によるCr枯渇が認められた。これより、低$$Sigma$$値対応粒界を高密度に含む粒界制御鋼は、照射下においても優れた耐粒界腐食特性を示すことが期待される。

口頭

高エネルギー量子場の材料損傷機構研究と高性能材料の開発,4; 粒界制御材料のイオンとHVEM照射とその特性

坂口 紀史*; 遠藤 正樹*; 木下 博嗣*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 矢野 康英; 山下 真一郎; 川合 將義*

no journal, , 

粒界制御処理により高密度の対応粒界を導入したオーステナイト系ステンレス鋼の耐照射特性をイオン/電子線照射試験により調査した。粒界制御を施すことにより、ランダム粒界ネットワークが対応粒界により効率的に分断化され、照射に伴うCr欠乏に起因した粒界腐食の進展が対応粒界で停止する可能性が示された。

口頭

粒界組織制御によるFBR炉心材料の高性能化に関する研究

山下 真一郎; 矢野 康英; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 川合 將義*

no journal, , 

高速炉(FBR)のオーステナイト系炉心材料の一つであるSUS316相当鋼(PNC316)に対して、粒界性格分布を最適化する条件の絞込みを行い、試作材を作成した。この試作材に対して、強度特性,高温組織安定性,照射特性を評価し、従来材料の改良,高性能化について総合的に検討を進めた。粒界性格分布を制御したPNC316では、ランダム粒界と対応粒界を合わせた全粒界長さにおける対応粒界長さの割合が80%以上となり、追加の冷間圧延を施した場合でも70%以上になっていることが示された。一方、試作材(粒界性格制御したPNC316とその冷間加工材)及び参照材(PNC316)に対して実施した二重イオン照射試験,比較評価から、(1)冷間加工の導入によりボイド核形成・成長が抑制されること、また、参照材に比べて(2)析出物の粒内析出割合が増加する傾向にあること等が示され、粒界性格制御したPNC316ではこれらの効果が重畳してボイドスエリングが抑制されていることが明らかとなった。強度特性や高温組織安定性の評価結果を踏まえた総合的な考察から、粒界性格制御法の適用によりPNC316相当以上に耐照射性を高められる可能性が示された。

口頭

The Effects of irradiation defect distribution and the steel compositions on void denuded zone formations during neutron irradiation and electron irradiation

関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 高橋 平七郎*

no journal, , 

結晶粒界近傍に形成される照射誘起のボイド欠乏帯に及ぼす照射欠陥分布と合金元素の効果を調べる目的で、Fe-15Cr-15Ni(モデル合金)とPNC316について中性子照射後並びに電子線照射後の微細組織観察を実施した。その結果、ボイド欠乏帯の幅は、照射欠陥分布には影響されなかったものの、合金元素には大きく影響を受け、照射欠陥の易動度の減少によりボイド欠乏帯が小さくなることがわかった。PNC316は耐スエリング特性向上のために添加元素を積極的に導入している鋼種であることから、これらの結果は、ボイド欠乏帯の減少と耐ボイドスエリング特性向上が密接に関係していることを示唆している。

口頭

Void denuded zone formations under electron irradiation in austenitic stainless steels modified with oversized elements

関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 高橋 平七郎

no journal, , 

ボイド核生成や成長の抑制に関する添加元素導入の有効性を評価するうえでは、一般的なボイド径やボイド数密度の比較評価のみならず、空格子拡散係数及び空格子濃度に関する比較評価を行う必要がある。したがって、本研究では、添加元素を加えた場合の空格子拡散係数及び空格子濃度の基合金に対する変化をボイド欠乏帯幅から推測することを目的として、SUS316L鋼, V添加SUS316L鋼及びZr添加SUS316L鋼に対して、450$$^{circ}$$Cでの電子線照射を行った。その結果、ボイド欠乏帯は添加元素の種類に応じて変化し、SUS316L鋼では116nm、V添加SUS316L鋼では95nm、Zr添加SUS316L鋼ではほとんど観察されなかった。このことは、VやZrのオーバーサイズ原子の導入が、空格子とそれらの添加元素との相互作用に関連して、ボイド欠乏帯を狭める役割があることを意味している。このボイド欠乏帯縮小の要因は、添加元素の導入による空格子拡散係数の低下によるものと考えられ、特にZr添加SUS316L鋼においてボイド欠乏帯が観察されなかった要因は、空格子濃度の上昇であることも示唆された。

口頭

粒界制御技術を適用したニッケル基合金PE16の高温引張強度特性評価

関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 鴇田 駿*; 藤井 啓道*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*

no journal, , 

高温安定性が期待されるニッケル基合金の高性能化を目的に、高温・高照射線量に曝される際に問題となる粒界脆化による延性低下が「粒界制御技術」の適用で抑制可能であることを実証する研究の一環として、粒界制御型PE16を試作し、本技術適用による高温引張強度特性(非照射下)への影響を調査した。その結果、粒界制御型PE16とPE16標準材の降伏応力の温度依存性は同様の傾向を示すものの、粒界制御型PE16の降伏応力はPE16標準材と比べて低下し、一様伸びはわずかに増加した。これは本技術熱処理工程に伴う結晶粒粗大化に起因した強度変化であると推察され、結晶粒径を同程度に調整できた場合、粒界制御型PE16の強度特性はPE16標準材と同程度以上に改善されるものと考えられ、本技術適用により良好な高温強度特性を維持しつつ、耐粒界割れ特性の改善が可能となる見通しが得られた。

口頭

Evaluation of mechanical property in grain boundary character distribution-optimized Ni-based alloy

山下 真一郎; 関尾 佳弘; 坂口 紀史*; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*

no journal, , 

高密度化した対応粒界の最適分布とそれに伴うランダム粒界ネットワークの分断は、耐粒界腐食性を高める非常に有効な手法の一つであることが最近の粒界構造に関する研究で示されている。耐粒界腐食性に優れるという利点は、原子炉構造材料にとって材料選択上の重要な要素の一つであり、微量元素を含め、化学組成を一切変えることなく、単純な加工・熱処理という冶金学の基本処理のみで取得可能である点は魅力的である。本研究では、粒界工学プロセスの適用により高性能化した原子炉材料として、粒界性格分布を最適化したNi基合金(PE16)を開発し、機械的特性に及ぼす粒界工学プロセスの効果を評価するために引張強度試験を実施した。室温での引張試験の結果、粒界性格制御したPE16の引張強度は、PE16受入材のそれよりも幾分低くなったが、伸び特性においては有意な変化は認められなかった。今後は、各種試験により材料特性評価を行い、粒界性格制御による既存材料の高性能化の可能性を見極める予定である。

口頭

粒界制御技術を適用したニッケル基合金の高温引張強度特性評価

山下 真一郎; 関尾 佳弘; 坂口 紀史*; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 鴇田 駿*; 藤井 啓道*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*

no journal, , 

商用ニッケル基合金のPE16は、照射環境下でのボイドスエリングによる変形量が少なくNa耐食性にも優れることから、英国の高速原型炉(PFR)で燃料被覆材として使用された実績を有する。一方、高温・高照射量まで使用された燃料被覆材では、粒界におけるHeバブルの析出や母相中に分散させていたNi$$_{3}$$Al$$_{x}$$Ti$$_{1-x}$$($$gamma$$'相)の固溶・粒界再析出等が生じ、粒界劣化に起因した強度特性の低下が確認されている。この粒界劣化に起因した課題に対して、本研究では種々の材料で粒界特性の改善効果が実証されている粒界制御技術に着目し、PE16で生じた粒界劣化の抑制、粒界特性の改善を目的に、対応粒界頻度80%以上の粒界性格制御したPE16及びその冷間加工材を試作し、高温での引張試験から粒界性格制御したPE16の強度特性に及ぼす冷間加工等の影響について評価した。引張試験の結果から、粒界性格制御したPE16と粒界性格制御した後に冷間加工を加えたPE16の引張強さの温度依存性は、いずれの供試材とも試験温度の上昇とともに強度が単調に低下し、800$$^{circ}$$Cでは急激な低下がみられた。破断伸びは、冷間加工度が高くなるほど低下する傾向が示され、冷間加工による転位導入に伴う加工硬化に起因している可能性が示唆された。

口頭

Evaluation of mechanical property in grain boundary character distribution-optimized Ni-based alloy

山下 真一郎; 関尾 佳弘; 坂口 紀史*; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*

no journal, , 

Recent grain boundary structure studies have shown that optimal distribution of a high frequency of coincidence site lattice boundaries and consequent discontinuity of random boundary network in the material is one of very effective methods to enhance the intergranular corrosion resistance. This advantageous property, one of important ones for structural material of nuclear reactor, can be obtained through simple thermomechanical treatment process without any change of original chemical composition. In this study, grain boundary character distribution(GBCD)-optimized Ni-based alloy (PE16) has been developed as a prospective high-performance nuclear reactor material by grain boundary engineering processing, and then tensile behavior of GBCD-optimized Ni-based alloy was investigated to evaluate the effects of grain boundary engineering processing on mechanical property. The results of tensile test at the temperature ranging from room temperature to 1073K showed that tensile strengths of the GBCD-optimized PE16 uniformly decreased with increasing test temperature. From these results, it was implied the possibility that the change in tensile properties would be attributed to an increment of dislocation structure.

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