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Paulbeck, C. J.*; 佐藤 達彦; 船本 幸代*; Lee, C.*; Griffin, K. T.*; Cullings, H. M.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; Hertel, N. E.*; Bolch, W. E.*
Radiation and Environmental Biophysics, 62(3), p.317 - 329, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Biology)胎児被ばくした原爆生存者に対する線量評価は、放射線被ばくリスクを評価する上で極めて重要となる。原子力機構、放射線影響研究所、フロリダ大学、米国がんセンターらで構成する研究チームは、これまで、1945年の日本人体型を反映した成人、小児及び胎児を含む妊婦の人体模型を作成し、前方照射や等方照射など理想的な照射条件に対してその被ばく線量を評価してきた。本研究では、原爆線量評価システムDS02に含まれる現実的な照射条件に対して、胎児及び母体の被ばく線量を評価した。その結果、現実的な照射条件においては、胎児の臓器線量は、胎児内での臓器の位置や週齢に大きく依存することが分かった。このような胎児に対する詳細被ばく線量解析結果は、将来の胎児被ばくリスク評価モデルの改訂に役立つと考えられる。
佐藤 達彦; 松谷 悠佑*; 小川 達彦; 甲斐 健師; 平田 悠歩; 津田 修一; Parisi, A.*
Physics in Medicine & Biology, 0 Pages, 2023/06
被引用回数:0PHITSには、マイクロドジメトリ機能と呼ばれるモンテカルロ法と解析関数を組み合わせて巨視的な空間内における微視的な領域の線量分布を計算する機能が備わっている。本論文では、そのマイクロドジメトリ機能を同じくPHITSに組み込まれた最新の飛跡構造解析モードを使って改良した結果について報告する。
松谷 悠佑; McMahon, S. J.*; Butterworth, K. T.*; 谷内 淑恵*; 嵯峨 涼*; 佐藤 達彦; Prise, K. M.*
Physics in Medicine & Biology, 68(9), p.095008_1 - 095008_12, 2023/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Engineering, Biomedical)低酸素症は腫瘍の放射線抵抗性を誘導し、強度変調放射線治療後に悪性進行を招く可能性がある。また、照射野内外に位置する細胞間のシグナル効果が、低酸素下の放射線感受性に影響を与えることも近年わかってきた。しかし、低酸素下において誘導される細胞間シグナリングとその細胞応答メカニズムは完全には解明されていない。そこで本研究では、低酸素症下における細胞間シグナリングと細胞殺傷効果をモデリングし、不均一な放射線治療後の放射線感受性メカニズムの解明を行った。DNA損傷数から与えられた酸素増感効果比(OER)を使用し、照射野内外の細胞の放射線感受性を推定できる統合的な細胞応答モデル(IMKモデル)を開発した。その結果、細胞間シグナルを放出する細胞内ターゲットへのヒット確率は酸素濃度に依存する一方、放射線照射場の不均一性に依存しない共通のOERの使用により照射野内外の両方の放射線感受性を再現できることがわかった。これらの成果は、強度変調放射線治療による不均一被ばく下で発生する細胞間シグナリングのより正確な理解に貢献するものである。
Domal, S. J.*; Correa-Alfonso, C. M.*; Paulbeck, C. J.*; Griffin, K. T.*; 佐藤 達彦; 船本 幸代*; Cullings, H. M.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; Hertel, N. E.*; et al.
Health Physics, 15 Pages, 2023/00
原爆被爆者に対する線量評価は、大人・小児・幼児の3体の単純な数学ファントムに基づいて構築されたDS02システムが利用されており、妊婦や胎児に対する詳細な線量評価は行われていかなった。そこで、放射線影響研究所を中心とする日米共同研究チームは、最新の計算科学に基づいて1945年の日本人体型を再現した様々な人体模型(J45シリーズ)を開発し、より精度の高い線量評価を実施してきた。本研究では、様々な週齢の胎児・妊婦人体模型を用いて、その姿勢が被ばく線量に与える影響を検討した。その結果、妊婦の姿勢は、特に胎児の被ばく線量に大きな影響を与えることが分かった。
片岡 龍峰*; 佐藤 達彦; 加藤 千尋*; 門倉 昭*; 小財 正義*; 三宅 晶子*; 村瀬 清華*; 吉田 理人*; 冨川 喜弘*; 宗像 一起*
Journal of Space Weather and Space Climate (Internet), 12, p.37_1 - 37_11, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Astronomy & Astrophysics)20192020年の太陽活動極小期における銀河宇宙線の変動は、2次中性子及びミューオンで異なる傾向を示す。その違いの原因を明らかにするため、Echo State Network (ESN)と呼ばれる機械学習法を用いて、中性子モニタ及びミューオン検出器計数率から周辺環境による依存性を取り除く補正方法を構築した。その結果、周辺環境の影響を補正した後であっても、ミューオン検出器の計数率は2019年後半から減少し始め、その年の前半から減少し始めていた中性子モニタの計数率とは異なる傾向を示すことが確認できた。この結果は、太陽活動による宇宙線フラックスの変動が、そのリジディティに依存していることを示唆している。
岩元 洋介; 佐藤 達彦
PLOS ONE (Internet), 17(11), p.e0276364_1 - e0276364_16, 2022/11
被引用回数:1 パーセンタイル:0.01(Multidisciplinary Sciences)宇宙探査等の放射線環境下で使用される半導体デバイスの寿命を決定する指標として、非電離エネルギー損失から算出される変位損傷量(DDD)が利用されている。近年は、分子動力学シミュレーションから得られる材料の欠陥生成効率を考慮した、新しい指標の実効DDDが提案されている。そこで本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードシステムPHITSにおいて、代表的な半導体材料である炭化ケイ素(SiC)、ヒ化インジウム(InAs)、ヒ化ガリウム(GaAs)、及び窒化ガリウム(GaN)に対して、従来のDDDと実効DDDを計算できる手法を開発した。その結果、ヒ素化合物であるInAs及びGaAsにおいて、アモルファス化により欠陥数が増える効果を含む実効DDDが従来のDDDよりも約2倍大きくなること、SiCにおいては欠陥の再結合によりその関係が逆転することがわかった。本計算手法とPHITSの宇宙線線源機能を活用することで、宇宙探査等の放射線環境下における半導体デバイスの放射線損傷評価が可能となる。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; Parisi, A.*; 吉井 勇治*; 佐藤 達彦
Physics in Medicine & Biology, 67(21), p.215017_1 - 215017_13, 2022/11
被引用回数:3 パーセンタイル:44.35(Engineering, Biomedical)陽子線治療は、X線治療と比較して、正常組織への副作用を低減しつつ腫瘍を照射することが可能である。陽子線照射後に発生する細胞死などの生物影響は、陽子線の運動エネルギーに依存し、初期のDNA損傷の誘発に本質的に関係する。そのため、モンテカルロシミュレーションに基づくDNA損傷収率の推定は、世界的に関心の高い研究トピックとなっている。本研究では、放射線輸送計算コードであるPHITS飛跡構造解析モードの応用、ならびに電子線用に開発された単純なモデルの陽子線への適用により、陽子線エネルギーと一本鎖切断(SSB)、二本鎖切断(DSB)および複雑なDSBの収量との関係性を評価した。その結果、PHITSに基づく推定結果は、約30keV/m以下の線エネルギー付与(LET)の特性を有する陽子線により発生する様々なタイプのDNA損傷収量の実験値や他コードの推定値を正確に再現することが分かった。これらの結果は、PHITSに実装されている現在のDNA損傷モデルが、1MeV未満の非常に低いエネルギーを除いて、陽子照射後に誘発されるDNA損傷収量を推定するのに十分であることを示唆している。
平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦
Japanese Journal of Applied Physics, 61(10), p.106004_1 - 106004_6, 2022/10
被引用回数:1 パーセンタイル:0(Physics, Applied)検出器や半導体メモリなどのSiデバイスにおいて、パルス波高欠損やソフトエラーなどの放射線影響が問題となっている。このような放射線影響のメカニズムを解明するためには、放射線による精密なエネルギー付与情報が必要である。そこで、Siにおける電子線のエネルギー付与をナノスケールで計算できる電子線飛跡構造解析機能を開発しPHITSに実装した。開発した機能の検証として電子の飛程や付与エネルギー分布を計算したところ、既報のモデルと一致することを確認した。また、一つのキャリア生成に必要なエネルギー(値)について、実験値を再現する二次電子生成のエネルギー閾値は2.75eVであることを見出すとともに、このエネルギー閾値は解析的に計算された結果および実験値と一致することがわかった。本研究で開発した電子線飛跡構造解析機能はSiデバイスに対する放射線影響の調査に応用することが期待される。
佐藤 達彦; 松谷 悠佑; 浜田 信行*
International Journal of Radiation Oncology, Biology, Physics, 114(1), p.153 - 162, 2022/09
被引用回数:5 パーセンタイル:86.56(Oncology)放射線皮膚反応に対する生物学的効果比(RBE)の評価は、粒子線治療やホウ素中性子補足療法(BNCT)の治療計画、及びJCO事故のような中性子を含む緊急時被ばくや宇宙飛行士被ばくの放射線防護指針を決定する際、極めて重要となる。本研究では、マイクロドジメトリに基づく放射線皮膚反応に対するRBE評価モデルを開発し、そのモデルパラメータを過去数10年に渡って発表されてきた細胞実験や動物実験結果より決定した。その結果、細胞実験から推定したRBEは、動物実験から推定した値と比べて低い傾向にあることが分かった。また、開発したモデルを用いて様々な放射線被ばくに対する皮膚反応RBEの平均値及びその誤差範囲を計算した結果、20-30年前に国際放射線防護委員会(ICRP)や米国放射線審議会(NCRP)が評価した値は、最新の実験値とも整合性があることが明らかになった。本成果は、粒子線治療やBNCTの治療計画のみならず、放射線防護に用いる皮膚反応RBEの奨励値を決定する際にも有用となる。
渡部 直史*; Liu, Y.*; 兼田 加珠子*; 佐藤 達彦; 白神 宜史*; 大江 一弘*; 豊嶋 厚史*; 下瀬川 恵久*; Wang, Y.*; 羽場 宏光*; et al.
International Journal of Molecular Sciences (Internet), 23(16), p.9434_1 - 9434_11, 2022/08
被引用回数:5 パーセンタイル:68.18(Biochemistry & Molecular Biology)線放出核種であるAt-211(
At)は、甲状腺がん治療に従来使われてきた
線放出核種である
Iよりも高い治療効果を有することが期待されている。そこで本研究では、担癌マウスを用いた動物実験、及びK1-NIS細胞を用いたDNA損傷収率及び細胞生存率測定を実施し、
Atと
Iの効果の違いを検証した。その結果、いずれの実験においても
Atの方が高い効果があることが認められた。
佐藤 大樹; 佐藤 達彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(8), p.1047 - 1060, 2022/08
被引用回数:2 パーセンタイル:49.42(Nuclear Science & Technology)実験により取得した中性子スペクトルの絶対値を決定する際、測定に広く利用される液体有機シンチレータの中性子応答と検出効率を精度よく評価することが重要となる。本研究では、汎用放射線挙動解析コードPHITSへ中性子検出効率評価コードSCINFUL-QMDの手法を組み込み、任意形状の液体有機シンチレータの中性子応答解析を可能とした。さらに、最新の評価済み核データを参照して、PHITSにおける中性子と水素及び炭素原子核との断面積データベースを更新した。その結果、改良したPHITSの計算により、実験データを従来よりも正確に再現することを確認した。また、100MeV以下の入射中性子エネルギーにおいて、改良したPHITSで計算される中性子検出効率の不確かさは15%未満であることを示した。本成果により、これまでのSCINFUL-QMDでは計算不可能であった複雑なエネルギー分布を持つ中性子源に対する検出効率の評価も可能となり、有機シンチレータを用いた中性子測定を行う研究者に広く活用されることが期待できる。
Spiegl, T. C.*; 余田 成男*; Langematz, U.*; 佐藤 達彦; Chhin, R.*; 納多 哲史*; 三宅 芙沙*; 草野 完也*; Schaar, K.*; Kunze, M.*
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 127(13), p.e2021JD035658_1 - e2021JD035658_21, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Meteorology & Atmospheric Sciences)巨大な太陽放射遷移ベントが発生すると、大量の宇宙放射線起因核種が大気圏内に生成され、それらは大気を循環ながら地表に沈着し、氷床や古木の年輪に取り込まれる。本研究では、西暦775年に発生した巨大な太陽放射線イベントの条件を模擬し、地質年代学のみならず、太陽物理学や気候モデリングの検証を実施した。その結果、イベントが発生した季節、大気循環における成層圏の役割、宇宙線起因核種の地表面分布に関する新たな知見を得た。本研究において、原子力機構は、太陽放射線被ばく線量警報システムWASAVIESの技術を活用し、イベント発生時の宇宙線起因核種の初期分布を推定した。
平田 悠歩; 佐藤 達彦; 渡辺 賢一*; 小川 達彦; Parisi, A.*; 瓜谷 章*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(7), p.915 - 924, 2022/07
被引用回数:5 パーセンタイル:90.5(Nuclear Science & Technology)放射線測定において、検出器の線量応答を高い信頼性を持って評価することは、放射線治療,放射線防護,高エネルギー物理学など、多様な分野で共通した課題となる。しかし、多くの蛍光現象を利用する放射線検出器では、高い線エネルギー付与(LET)を持つ放射線に対して消光効果と呼ばれる検出効率の低下を示すことが知られている。また、この消光現象は、異なる種類の粒子線による微小領域へのエネルギー付与分布の変化にも依存する。先行研究では、PHITSコードのマイクロドジメトリ計算により消光現象を予測する手法が開発されていた。本研究では、この成果を活用して、PHITSのマイクロドジメトリ計算により、BaFBr:Eu検出器の光刺激蛍光(OSL)効率を予測した。また、He,
C,
Neのイオンビーム照射実験を行い、BaFBr:Eu検出器の発光効率変化を測定し、計算による予測値を検証した。本検証では、PHITSのマイクロドジメトリ計算でターゲット球の直径を30-50nmと設定することで、発光効率の予測値が実験値を再現した。また、計算によりBaFBr:Euの発光効率の粒子線種に対する依存性を明らかにし、PHITSのマイクロドジメトリ計算がBaFBr:EuのOSL測定結果を正確に予測できることを示した。
古田 琢哉; 古場 裕介*; 橋本 慎太郎; Chang, W.*; 米内 俊祐*; 松本 真之介*; 石川 諒尚*; 佐藤 達彦
Physics in Medicine & Biology, 67(14), p.145002_1 - 145002_15, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Engineering, Biomedical)炭素線治療は従来の放射線治療よりも腫瘍部への線量集中性に関する優位性を持つが、二次的ながんの発生原因となり得る正常組織への照射を完全に無くすことは困難である。そのため、発がんリスクを照射炭素ビームの核反応によって生成される二次粒子による線量まで含めて評価するには、計算シミュレーション解析が有効となる。本研究では、PHITSコードを中核とした炭素線治療の線量再構築システムを開発した。このシステムでは、治療計画を記録したDICOMデータから自動でPHITSの入力ファイルを作成し、PHITSシミュレーションの実行によって腫瘍および周辺正常組織での線量分布を計算する。PHITSの様々な機能を利用することで、粒子毎の線量寄与や二次粒子の発生場所の特定など、詳細な解析が実施可能である。開発したシステムの妥当性は、水中での線量分布の実験結果や人体等価ファントムへの治療計画との比較により確認した。今後、本システムは量子科学技術研究開発機構において、過去の治療データを用いたシミュレーション解析による遡及的研究に利用される予定である。
Walter, H.*; Colonna, M.*; Cozma, D.*; Danielewicz, P.*; Ko, C. M.*; Kumar, R.*; 小野 章*; Tsang, M. Y. B*; Xu, J.*; Zhang, Y.-X.*; et al.
Progress in Particle and Nuclear Physics, 125, p.103962_1 - 103962_90, 2022/07
被引用回数:32 パーセンタイル:96.94(Physics, Nuclear)原子核-原子核衝突や原子核の状態方程式の研究において、反応計算モデルは重要なツールとなり、世界中で開発が進んでいる。本論文は、原子力機構のJQMD-2.0を含め、現在開発中の複数のコード開発者の協力により、これらコードを同じ条件で比較することで共通点や差異を明らかにしたプロジェクトTransport Model Evaluation Project (TMEP)を総括したものである。参加したコードはBoltzmann-Uehling-Uhlenbeck(BUU)法に基づく13のコードと、Quantum Molecular Dynamics (QMD)法に基づく12のコードであった。プロジェクトでは、Au原子核同士を衝突させてその終状態を観測する現実的な計算や、一辺が640nmの箱に核子を詰めて時間発展させる仮想的な計算を行った。その結果、BUU法コードとQMD法コードは計算原理が異なるため、計算の設定に関係なく系統的な差異が生じることが明らかになった。その一方で、同じ方法を採用するコード間の比較では、時間発展を細かく計算することでコード間の差は埋まっていき、一定の収束値を持つことが示された。この結果は今後開発される同分野のコードのベンチマークデータとして有用なものであるだけでなく、原子核基礎物理学の実験や理論研究の標準的な指針としても役に立つことが期待される。
村瀬 清華*; 片岡 龍峰*; 西山 尚典*; 西村 耕司*; 橋本 大志*; 田中 良昌*; 門倉 昭*; 冨川 喜弘*; 堤 雅基*; 小川 泰信*; et al.
Journal of Space Weather and Space Climate (Internet), 12, p.18_1 - 18_16, 2022/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Astronomy & Astrophysics)巨大な太陽フレアによってもたらされる太陽風により磁気圏内にエネルギーが溜まり、そのエネルギーが一気に解放されるサブストームが発生する。そのサブストームが発生する際、高エネルギー電子が大量に中間圏まで降り注ぐ事象(EEP)がしばしば観測されるが、その詳細な発生メカニズムは解明されていない。本研究では、あらせ衛星により観測された2つのEEPに対して、3次元グローバル電磁流体力学的(MHD)シミュレーションや放射線挙動解析コードPHITSを使った解析によりその発生メカニズムを検討した。その結果、カレントシート散乱とwave-particle散乱がEEPの初期及びサブストーム発生後に重要な役割を果たしていることが示唆された。
岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 松田 規宏; 国枝 賢; elik, Y.*; 古立 直也*; 仁井田 浩二*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(5), p.665 - 675, 2022/05
被引用回数:3 パーセンタイル:56.29(Nuclear Science & Technology)粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、加速器施設の放射線遮蔽設計に広く利用されている。本研究では、NEA/NSCの遮蔽積分実験ベンチマーク・アーカイブデータベース(SINBAD)の中から、陽子加速器施設の中性子遮蔽実験に関するデータを用いて、最新のPHITSバージョン3.24の精度検証を行った。検証では、中性子源に用いる陽子入射核反応が(1)43及び68MeV陽子-リチウム、(2)52MeV陽子-炭素、(3)590MeV陽子-鉛、(4)500MeV陽子-タングステン、及び(5)800MeV陽子-タンタルの条件で、遮蔽体における中性子エネルギースペクトル及び反応率を計算した。その結果、PHITSの標準設定である核反応モデルINCL4.6を用いた計算結果は(1)及び(2)のケースの100MeV以下で実験値を再現しなかったが、高エネルギー核データライブラリJENDL-4.0/HEを用いた場合は全ケースで実験値を良く再現した。本検証により、陽子加速器施設における中性子遮蔽設計において、JENDL-4.0/HEを用いたPHITSの計算が有効であることが明らかになった。
Titarenko, Yu. E.*; Batyaev, V. F.*; Pavlov, K. V.*; Titarenko, A. Yu.*; Malinovskiy, S. V.*; Rogov, V. I.*; Zhivun, V. M.*; Kulevoy, T. V.*; Chauzova, M. V.*; Khalikov, R. S.*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1026, p.166151_1 - 166151_9, 2022/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)0.04から2.6GeVの陽子入射によるPb及び天然Biからの
Hg生成断面積を直接
線スペクトロメトリの手法を用いて測定した。測定した結果は、モンテカルロ計算コードMCNP6.1, PHITS, Geant4及び核反応コードTALYSと比較した。
Griffin, K. T.*; 佐藤 達彦; 船本 幸代*; Chizhov, K.*; Domal, S.*; Paulbeck, C.*; Bolch, W.*; Cullings, H. M.*; Egbert, S. D.*; 遠藤 章; et al.
Radiation and Environmental Biophysics, 61(1), p.73 - 86, 2022/03
被引用回数:3 パーセンタイル:47.68(Biology)原爆生存者に対する線量評価は、放射線被ばくリスクを評価する上で極めて重要となる。原子力機構,放射線影響研究所,フロリダ大学,米国がんセンターらで構成する研究チームは、これまで、1945年の日本人体型を反映した成人,小児及び胎児を含む妊婦の人体模型を作成し、前方照射や等方照射など理想的な照射条件に対してその臓器線量を評価してきた。本研究では、原爆線量評価システムDS02に含まれる現実的な20照射条件に対して、成人及び小児の臓器線量を詳細に評価した。その結果、全線量は、造血組織,結腸,胃壁に関しては、従来手法(DS92)と比較してそれぞれ20%, 20%、及び15%の違いがあることが分かった。また中性子線量だけに着目すると、最大で2倍程度の差があることが分かった。
松谷 悠佑; 浜田 信行*; 谷内 淑恵*; 佐藤 志彦; 石川 正純*; 伊達 広行*; 佐藤 達彦
Cancers (Internet), 14(4), p.1045_1 - 1045_15, 2022/02
被引用回数:7 パーセンタイル:92.62(Oncology)福島原子力発電所の事故後、不溶性の放射性セシウム含有微粒子(Cs-BMP)が発見された。放射性Cs摂取後の内部被ばくのリスクに関しては、従来、可溶性Csが全身へ均一に分布した条件を想定した臓器線量から推定されてきた。一方、Cs-BMPは正常組織に長期的に付着し、慢性的な不均一被ばくを引き起こす可能性がある。本研究では、Cs-BMPによる不均一被ばく後の放射線影響の解明へ向けて、炎症応答とDNA損傷誘発との関係を調査した。炎症性シグナル経路であるNF-B p65とCOX-2に焦点を当てた実験により、
線による均一被ばくと比較して、Cs-BMPの近位の細胞ではNF-
B p65が活性化される一方、遠位の細胞ではNF-
B p65と同時にCOX-2も有意に活性化する傾向を観察した。また、炎症性シグナルの阻害剤を用いた実験により、Cs-BMP近位の細胞の放射線感受性の低下と遠位の細胞の放射線感受性の増強の双方に対し、炎症性シグナルの活性が深く関与することがわかった。これらの結果は、Cs-BMPによる被ばく後の放射線影響は、従来の均一被ばくに基づく推定とは異なることを示唆している。