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論文

Development of a chemical code applicable to ions based on the PHITS code for efficient and visual radiolysis simulations

松谷 悠佑; 吉井 勇治*; 楠本 多聞*; 小川 達彦; 大西 世紀*; 平田 悠歩; 佐藤 達彦; 甲斐 健師

Physical Chemistry Chemical Physics, 27(14), p.6887 - 6898, 2025/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)

水の放射線分解により生成されるラジカルは、DNA損傷誘発、染色体異常、発がんなど、放射線による生物影響の評価において重要な役割を果たす。粒子および重イオン輸送コードシステム(PHITS)では、あらゆる荷電粒子について水中の原子相互作用を推定できる飛跡構造解析モードと、ラジカルをシミュレート可能な電子線専用の化学コード(PHITS-Chem)が先行研究にて開発された。本研究では、あらゆるイオンビームに適用可能なPHITS-Chemコードを開発すると同時に、化学種間の反応をより効率的に検出する空間分割法や化学種の4次元可視化機能を整備した。更新されたPHITS-Chemコードは、文献にて報告される陽子線、$$alpha$$粒子線、炭素イオン線のG値と比較することにより検証され、PHITSオリジナル3次元描画ソフトPHIG-3Dによりラジカルの拡散動態を直感的に評価することに成功した。また、空間分割法の導入により、計算精度を維持しながら計算時間を大幅に短縮(約28倍高速化)することにも成功した。開発したPHITS-Chemコードは、粒子線治療においてラジカルにより誘発される生物効果の正確かつ直感的な理解に貢献することが期待される。

論文

Surface structure of the 3$$times$$3-Si phase on Al(111), studied by the multiple usages of positron diffraction and core-level photoemission spectroscopy

佐藤 祐輔*; 深谷 有喜; 他14名*

Physical Review Materials (Internet), 9(1), p.014002_1 - 014002_11, 2025/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

本研究では、陽電子回折と内殻光電子分光の複合利用により、Al(111)3$$times$$3-Si表面の構造を明らかにした。ロッキング曲線の解析では、3$$times$$3-Si相が平坦なハニカム構造から構成されること、また、第一原理計算に基づくSi内殻スペクトルの解析では、単位胞内のSi原子の一つがAl原子と置換されていることがわかった。すなわち、3$$times$$3-Si相の表面超構造はAl原子を内包したSi二次元層である。

論文

歯中炭酸ラジカルの電子スピン共鳴法測定におけるマイクロ波パワーの検討

岩見 聡音*; 山下 琢磨*; 光安 優典*; 小野 健太*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 木野 康志*; 関根 勉*; 清水 良央*; 千葉 美麗*; et al.

KEK Proceedings 2024-6, p.91 - 95, 2024/12

ESR線量計測法の検出限界線量の改善を目指している。本研究では、ESR測定時にマイクロ波出力を変化させ、各ラジカルの飽和挙動を調べた。炭酸ラジカルと有機ラジカルのスピン緩和時間の違いから、マイクロ波出力を4.0mWにすると、S/N比が改善し検出限界線量を引き下げることができるという見込みを得た。

論文

ガンマ線照射した歯エナメル質の電子スピン共鳴スペクトルの多成分解析法の改良

山下 琢磨*; 岩見 聡音*; 光安 優典*; 小野 健太*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 木野 康志*; 関根 勉*; 清水 良央*; 千葉 美麗*; et al.

KEK Proceedings 2024-6, p.85 - 90, 2024/12

東京電力・福島第一原子力発電所事故による生物への放射線影響を明らかにするためには、各個体の正確な被ばく線量推定が重要であり、我々は被ばくによって歯中に生成される炭酸ラジカルを測定することで線量推定を行っている。ESR測定で得たスペクトルから炭酸ラジカル由来の成分だけを抽出するため、乱数最適化を用いた多成分解析プログラムを整備した。

論文

Overview of PHITS Ver.3.34 with particular focus on track-structure calculation

小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 松田 規宏; et al.

EPJ Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 10, p.13_1 - 13_8, 2024/11

放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる放射線挙動解析計算コードである。その最新版であるPHITS version 3.34の、飛跡構造解析機能に焦点を置いて説明する。飛跡構造解析とは、荷電粒子が物質中を運動する挙動を計算する手法の一つで、個々の原子反応を識別することにより原子スケールでの追跡を可能にするものである。従来の飛跡構造解析モデルは生体を模擬する水だけにしか適用できず、遺伝子への放射線損傷を解析するツールとして使われてきた飛跡構造解析であるが、PHITSにおいてはPHITS-ETS、PHITS-ETS for Si、PHITS-KURBUC、ETSART、ITSARという飛跡構造解析モデルが補い合うことにより、生体の放射線影響だけでなく、半導体や材料物質など任意物質に対する適用が可能になっている。実際にこれらのモデルを使って、放射線によるDNA損傷予測、半導体のキャリア生成エネルギー計算、DPAの空間配置予測など、新しい解析研究も発表されており、飛跡構造解析を基礎とするボトムアップ型の放射線影響研究の推進に重要な役割を果たすことが期待できる。

論文

ベントナイトの変形挙動に及ぼす温度の影響

高山 裕介; 佐藤 大介*; 杉田 裕

Kansai Geo-Symposium 2024; 地下水地盤環境・防災・計測技術に関するシンポジウム論文集, p.115 - 119, 2024/11

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設閉鎖後初期には、緩衝材中の温度が高くなることが想定されるため、緩衝材に用いられるベントナイトの基本特性の温度依存性に関する試験が実施されてきた。しかし、温度が膨潤圧や透水係数に及ぼす影響と比較すると、変形挙動に及ぼす影響に関する知見は少ない。そこで本論文では、温度制御可能な圧密試験機を用い、室温から80$$^{circ}$$Cまでの温度一定条件で載荷・除荷・再載荷を行う試験、載荷圧一定条件で室温から80$$^{circ}$$Cまでの範囲で温度変化を与える試験の2種類の試験を実施した。高温状態でより大きな圧縮変形が生じることや、温度変化に伴う変形は過去の応力履歴の影響を受け、正規圧密状態の場合には非可逆的な変形が生じることが明らかとなった。

論文

放射線挙動解析コードPHITSの生命科学分野への応用

松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦

しょうとつ, 21(3), p.R008_1 - R008_8, 2024/11

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、放射線の挙動をコンピュータで模擬するモンテカルロコードであり、2018年以降、生体の主成分である水中において個々の原子との反応を模擬できる飛跡構造解析モードが開発された。この開発により、DNAスケールにおける高空間分解能な放射線の飛跡構造解析が可能となった。一方、飛跡構造解析モードで計算される原子衝突の空間情報を活用し、様々なタイプのDNA損傷数を効率的かつ高精度に推定する解析コードの開発にも成功している。本稿では、最新版PHITSに搭載されている飛跡構造解析モード及びDNA損傷推定手法について概説し、PHITSの生命科学分野への応用例を紹介する。

論文

${it In vitro}$ and ${it in silico}$ study of biological effects on cancer cells in the presence of metallic materials during radiotherapy

長野 拓也*; 松谷 悠佑; 戒田 篤志*; 野島 瞳*; 古田 琢哉; 佐藤 薫; 吉村 亮一*; 三浦 雅彦*

Journal of Radiation Research (Internet), 65(5), p.628 - 639, 2024/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Biology)

X線治療では、正常組織への副作用を最小限に抑えつつ腫瘍を治療するように照射計画が計画される。頭頚部への放射線照射により、歯の金属製の詰め物周辺において重度の粘膜炎(放射線増感作用)が誘発されることがある。しかしながら、この放射線増感メカニズムは不明なままである。本研究では、細胞実験と計算シミュレーションを使用して放射線増感メカニズムを調査した。その結果、細胞実験で観測された増感比は1.2-1.4であり、これは金属近傍の局所線量増加が主要因であることがわかった。一方、臨床前試験としてCT画像に基づく生体内線量評価を実施した結果、人体の複雑な解剖構造により線量増加が過小評価され、微視的な線量評価が必要であることが分かった。本成果は、金属周辺における正常細胞への副反応の正確な理解に貢献するものである。

論文

Evaluation of relative biological effectiveness for diseases of the circulatory system based on microdosimetry

佐藤 達彦; 松谷 悠佑; 浜田 信行*

Journal of Radiation Research (Internet), 65(4), p.500 - 506, 2024/07

 被引用回数:3 パーセンタイル:82.15(Biology)

組織反応に対する生物学的効果比(RBE)の評価は、次期ICRP(国際放射線防護委員会)勧告に向けて不可欠となっている。本研究では、新たに組織応答として定義された循環器疾患に対するRBEをマイクロドジメトリモデルで評価した。その結果、循環器疾患に対するRBEは皮膚反応に対するRBEよりもやや低いことが分かった。また、人体内に対して計算した場合、その差は広がることが分かった。これらの知見は、ICRPによるRBE加重係数評価に有用となる。

論文

Cell-cycle dependence on the biological effects of boron neutron capture therapy and its modification by polyvinyl alcohol

松谷 悠佑; 佐藤 達彦; 楠本 多聞*; 谷内 淑恵*; 清野 良輔*; 三輪 美沙子*; 石川 正純*; 松山 成男*; 福永 久典*

Scientific Reports (Internet), 14, p.16696_1 - 16696_14, 2024/07

 被引用回数:3 パーセンタイル:82.15(Multidisciplinary Sciences)

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、細胞レベルで不均一に取り込まれるホウ素化合物(例: 4-ボロノ-L-フェニルアラニン[BPA])を使用して腫瘍細胞を選択的に治療するユニークな放射線療法である。一方で、ホウ素化合物の時間空間的不均一性が細胞殺傷効果に与える影響は依然として不明である。そこで本研究では、放射線追跡検出器、細胞周期解析、生物物理学的シミュレーションの技術を組合わせた研究手法により、Fucci細胞周期可視化システムを発現するHeLa細胞における細胞周期依存的BPA取り込み不均一性と$$^{10}$$B(n, $$alpha$$)$$^{7}$$Li反応の生物学的影響、さらにはポリビニルアルコール(PVA)の修飾効果を定量的に評価した。その結果、S/G2/M期の細胞内BPA濃度がG1/S期よりも高く、PVAが細胞周期依存性を修飾することを明らかにした。また、BPA-PVA実測値を使用することでBNCT治療効果を予測する新たなモデルを開発に成功した。本成果は、BNCTとPVAおよび/または細胞周期特異的抗がん剤を組み合わせた治療が、治療効果の精度向上に寄与する可能性を示している。

論文

Monte Carlo simulation study on the dose and dose-averaged linear energy transfer distributions in carbon ion radiotherapy

石川 諒尚; 古場 裕介*; 古田 琢哉; Chang, W.*; 米内 俊祐*; 松本 真之介*; 橋本 慎太郎; 平井 悠大*; 佐藤 達彦

Radiological Physics and Technology, 17(2), p.553 - 560, 2024/06

At the Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba (HIMAC), a series of retrospective studies are ongoing in patients treated with carbon ion radiotherapy (CIRT) to obtain the knowledge to improve tumor control and reveal the mechanism of the low risk of secondary cancer after CIRT. Dose-averaged linear energy transfer (LET$$_{rm d}$$) is generally used as a measure of treatment effectiveness or biological effects in such retrospective studies; however, it is conventionally evaluated from the relative biological effectiveness (RBE)-LET$$_{rm d}$$ fitted function used in the treatment planning system. In this study, we calculated the physical doses and their linear energy transfer (LET) distributions for a series of treatment plans for a homogeneous rectangular phantom and a human body phantom with typical CIRT beams using Monte Carlo (MC) simulation. The LET$$_{rm d}$$ was then deduced from the MC simulation and compared with the corresponding data obtained using the conventional method. The comparison suggested that the two types of LET$$_{rm d}$$ agreed well with each other, except around the distal end of the spread-out Bragg peak, where the MC simulation yielded significantly higher LET$$_{rm d}$$ values than that of the conventional method. This is because the RBE-LET$$_{rm d}$$ fitted function adopted in the conventional method ignores the contribution of the high-LET components, causing an overkill effect. Furthermore, an MC simulation was conducted to determine the material composition of water and realistic materials from the CT number in the planned image. The profiles of physical dose and LET$$_{rm d}$$ were in good agreement for both techniques. These results indicate the possibility of enhancing the efficiency of retrospective studies of CIRT using MC simulations in the future.

論文

The Impact of dose rate on responses of human lens epithelial cells to ionizing irradiation

松谷 悠佑; 佐藤 達彦; 谷内 淑恵*; 伊達 広行*; 浜田 信行*

Scientific Reports (Internet), 14, p.12160_1 - 12160_14, 2024/05

 被引用回数:2 パーセンタイル:70.65(Multidisciplinary Sciences)

電離放射線による被ばく後のヒト水晶体上皮細胞(HLEC)の反応に関する知識は、放射線防護や治療分野で懸念される放射線白内障の発生メカニズムを理解するために重要である。しかし、長期にわたる放射線被ばく後のHLECにおける生物学的影響は未だ十分に研究されていない。本研究では、様々な線量率を用いて光子線を照射した後のHLECのDNA二本鎖切断(DSB)の時間変化と細胞生存率を測定し、ヒト肺線維芽細胞(WI-38)と比較するとともに、照射中や照射後のDSB修復動態を考慮した細胞応答を予測可能モデルにより解析した。その結果、HLECの修復率はWI-38より低いことが明らかになった。また、0.033$$sim$$1.82Gy/minの線量率の範囲では、両細胞の生存率に対して線量率の有意な影響は認められなかった。一方、修復後に残存するDSBは、モデル予測と比較して逆線量率効果を示し、水晶体に対する放射線の影響を評価する際の逆線量率効果の重要性を浮き彫りにした。

論文

Changes in molecular conformation and electronic structure of DNA under $$^{12}$$C ions based on first-principles calculations

関川 卓也; 松谷 悠佑; Hwang, B.*; 石坂 優人*; 川井 弘之*; 大野 義章*; 佐藤 達彦; 甲斐 健師

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 548, p.165231_1 - 165231_6, 2024/03

 被引用回数:1 パーセンタイル:52.60(Instruments & Instrumentation)

放射線の人体に与える影響の主な原因として、遺伝情報を担うDNAの損傷が考えられている。しかし、DNAが放射線損傷によりどのような分子構造変化を示すかは十分理解されていない。DNAに放射線を照射すると様々な種類のDNA損傷が形成されることが報告されていることから、我々のグループではDNAが受ける損傷と放射線によって引き起こされる様々なパターンのイオン化の関係を調べてきた。これまでDNAを模した剛体モデルを用いた簡易な体系における解析を行っていたが、人体への影響を考える上で重要と考えられるDNAの分子構造変化を解析するためにはより詳細な計算を必要とする。そこで、本研究では分子構造に基づいて電子状態を議論できる第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いてDNAの分子構造変化を明らかにすることを試みた。具体的には、放射線により1電子及び2電子が電離した状況のDNAを仮定し、最安定構造、バンド分散、及び波動関数を計算した。発表では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて計算した放射線の線種及びエネルギーとDNAの分子構造変化の関係とともに議論する。また、放射線物理・固体物理の双方の観点から、放射線がもたらすDNAの基礎物性変化(DNA損傷の最初期過程に相当)について議論する。

論文

ベントナイト中でのナトリウムシリケート水和物によるセメンテーションとその評価

西塔 祐稀*; 石渡 翔丸*; 堀内 美里*; 西木 悠人*; 菊池 亮佑*; 大竹 翼*; 川喜田 竜平; 高山 裕介; 三ツ井 誠一郎; 佐藤 努*

資源・素材講演集(インターネット), 11(1), 7 Pages, 2024/03

地下を利用した様々な工学技術(地層処分、地下貯留、石油増進回収等)において、人工バリアや岩盤のセメンテーションが注目されている。しかし、どのような鉱物でどのようにセメンテーションが進行して、どのような物性に変化するのかについての理解は不十分である。それらの理解のためには、実験室でセメンテーションを再現すること、セメンテーション後の構造の変化や物性の変化を詳細に調べることが重要となる。そこで本研究では、難透水性のベントナイト(乾燥密度0.6Mg/m$$^{3}$$)と、Na$$_{2}$$SiO$$_{3}$$溶液を用いて70$$^{circ}$$Cで浸漬および通水実験を行い、その後の内部構造、鉱物組成、透水係数の変化等を調べた。走査電子顕微鏡での観察結果から、浸漬および通水実験ともに、ベントナイトの空隙を埋めるようにナトリウムシリケート水和物(NSHあるいはNASH)が確認された。また、通水実験では、通水時間が長くなるにつれて透水係数の低下が認められた。本研究で示されたセメンテーション法やセメンテーション後の物性変化の詳細な検討法は、セメントとともに地下に設置されるベントナイトの物性変化や、貯留岩へのアルカリ攻法による帽岩への影響を調べる上で有用なものになると考えられる。

論文

Development of a model for evaluating the luminescence intensity of phosphors based on the PHITS track-structure simulation

平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑; 佐藤 達彦

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 547, p.165183_1 - 165183_7, 2024/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)

蛍光体の粒子線に対する発光効率は消光効果により低下することが知られている。蛍光体検出器を用いて正確な線量分布を得るためには、消光効果のメカニズムを理解することが不可欠である。本研究では、PHITSに実装された任意の物質に対する飛跡構造解析モードに基づいて蛍光体の発光強度を推定する新しいモデルを開発した。開発したモデルにより、BaFBr検出器の消光効果のシミュレーションが可能となり、その結果を対応する測定データと比較することにより検証した。このモデルは、様々なの蛍光体検出器の開発に貢献することが期待される。

論文

A Step-by-step simulation code for estimating yields of water radiolysis species based on electron track-structure mode in the PHITS code

松谷 悠佑; 吉井 勇治*; 楠本 多聞*; 赤松 憲*; 平田 悠歩; 佐藤 達彦; 甲斐 健師

Physics in Medicine & Biology, 69(3), p.035005_1 - 035005_12, 2024/02

 被引用回数:4 パーセンタイル:88.58(Engineering, Biomedical)

水の放射線分解における化学生成物の時間依存性は、電離放射線へ被ばくした後のDNA損傷応答を評価する際に重要な役割を果たす。粒子および重イオン輸送コードシステム(PHITS)は、放射線輸送のための汎用モンテカルロシミュレーションコードであり、物理過程であるイオン化や電子励起などの原子相互作用を計算することができる。しかし、水の放射線分解生成物をシミュレートするための化学コードはPHITSパッケージには存在しない。本研究では、電子線による水の放射線分解生成物(OHラジカル、e$$_{aq}$$$$^{-}$$、H$$_{2}$$、H$$_{2}$$O$$_{2}$$など)のG値を計算できるPHITS専用の化学シミュレーションコード(PHITS-Chemコード)を開発した。その結果、開発したPHITS-Chemコードは1 $$mu$$sまでのG値の測定値や他のシミュレーション値と一致することが確認できた。また、このコードは、OHラジカルスカベンジャー存在下での様々な化学生成物のシミュレーションや、DNA損傷誘発に対する直接的および間接的な影響の寄与を分析にも役立つ。このコードは原子力機構が主となり開発を進めるPHITSパッケージに内包され、8000名以上のユーザーに提供される予定である。

論文

Recent improvements of the Particle and Heavy Ion Transport code System; PHITS version 3.33

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.127 - 135, 2024/01

 被引用回数:144 パーセンタイル:99.97(Nuclear Science & Technology)

放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる。その最新版であるPHITS version 3.31を開発し公開した。最新版では、高エネルギー核データに対する親和性や飛跡構造解析アルゴリズムなどが改良されている。また、PHIG-3DやRT-PHITSなど、パッケージに組み込まれた外部ソフトウェアも充実している。本論文では、2017年にリリースされたPHITS3.02以降に導入された新しい機能について説明する。

論文

Development of an electron track-structure mode for arbitrary semiconductor materials in PHITS

平田 悠歩; 甲斐 健師; 小川 達彦; 松谷 悠佑*; 佐藤 達彦

Japanese Journal of Applied Physics, 62(10), p.106001_1 - 106001_6, 2023/10

 被引用回数:4 パーセンタイル:47.87(Physics, Applied)

半導体検出器の設計を最適化するには、半導体物質内において放射線がキャリア(励起電子)に変換されるまでの過程を理論的に解析する必要がある。本研究では、任意の半導体物質に対し、放射線により生じる二次電子の挙動を極低エネルギー(数eV)まで追跡し、励起電子が生成される過程を模擬できる機能(ETSART)を開発し、PHITSに実装した。具体的には、ETSARTを用いて計算した電子の飛程はICRU37で推奨されたデータ別の計算結果と一致することを確認した。さらに、半導体検出器の特性を表す重要な指標である、一つの励起電子の生成に必要な平均エネルギー($$varepsilon$$値)について検討し、これまで$$varepsilon$$値とバンドギャップエネルギーの関係は単純な直線モデルで考えられていたが、その関係は非線形関数であることを明らかにした。ETSARTは半導体検出器の最適化設計や応答解析に留まらず、新しい半導体物質の特性評価への応用も期待できる。

論文

Development of an areal density imaging for boron and other elements

土川 雄介; 甲斐 哲也; 阿部 雄太; 及川 健一; Parker, J. D.*; 篠原 武尚; 佐藤 一憲

Journal of Physics; Conference Series, 2605, p.012022_1 - 012022_6, 2023/10

中性子断面積の大きいホウ素の面密度分布を、エネルギー分析型中性子イメージングにより取得する方法を開発した。一般に、中性子感度が非常に高い元素の測定では、元素量が多くなると中性子の自己遮蔽効果が無視できず、定量的な測定が困難になる。この効果を回避するために、既知の断面積データを用いたエネルギースペクトル解析を試み、J-PARCの物質・生命科学実験施設において、定量的な二次元イメージング像の取得を実証した。本発表では、一例として福島第一原子力発電所のシビアアクシデントの研究において得られた模擬溶融試験体デブリの測定結果を紹介する。この取り組みは、溶融過程における制御棒からのホウ素の挙動を調査するものである。ホウ素の中性子断面積は、広い範囲で中性子エネルギーの平方根に反比例し、模擬燃料集合体に含まれる他の物質とは大きく異なる。試料の中性子透過率を中性子イメージング検出器で測定し、二次元的なホウ素の面密度分布を得た。同様に、鉄やジルコニウム等比較的感度の低い他元素の面密度分布も導出することを試みた。

報告書

不飽和圧縮ベントナイト中での塩水浸潤挙動データの取得

佐藤 久*; 高山 裕介; 鈴木 英明*; 佐藤 大介*

JAEA-Data/Code 2023-010, 47 Pages, 2023/09

JAEA-Data-Code-2023-010.pdf:1.45MB

高レベル放射性廃棄物の処分場を沿岸部に建設した場合、沿岸部の地下水は海水の影響を受けて塩濃度が高くなるため、海水系の地下水が緩衝材を含む人工バリアに与える影響を十分に考慮して評価する必要がある。本報告では、緩衝材が飽和に至るまでの過渡的な期間において、海水系の地下水が緩衝材中での水分や溶質の移行現象に与える影響を評価することを目的として、異なる乾燥密度の圧縮ベントナイト試料を対象に、浸潤水のNaCl濃度を変えた一次元の塩水浸潤試験を実施し、浸潤水のNaCl濃度と浸潤速度の関係や浸潤試験後の圧縮ベントナイト試料中の含水比分布データを取得した。また、浸潤試験後の試料中の塩化物イオンの濃度分布を分析することにより、不飽和な圧縮ベントナイト中での溶質の移行挙動の理解に資するデータを取得した。その結果、浸潤水のNaCl濃度が高くなるに従い浸潤は速くなり、乾燥密度1.4Mg/m$$^{3}$$から1.8Mg/m$$^{3}$$、浸潤水のNaCl濃度が0(蒸留水)から4.0mol/dm$$^{3}$$までの範囲において、浸潤時間と浸潤量の関係は浸潤水の拡散現象とみなして評価できることが確認された。また、浸潤水が蒸留水の場合、含水比は給水側から浸潤距離に応じてなだらかに低下する分布となるが、浸潤水がNaCl水溶液の場合、含水比は給水側から浸潤の先端近くまで比較的高い状態を保ちながら浸潤の先端で低下する分布となり、NaCl濃度が高くなるに従いその傾向が強くなることが確認された。浸潤試験後試料の塩化物イオン濃度の分析結果から、給水側よりも浸潤方向側の領域で給水側より塩化物イオンの濃度が部分的に高くなる現象(塩化物イオンの濃縮)が起きており、この傾向は供試体の乾燥密度が低くなるに従い強くなることや、浸潤水のNaCl濃度が高くなるに従い強くなることが確認された。また、浸潤に伴い塩化物イオンが濃縮する現象は供試体の初期含水比に依存することが確認されており、浸潤に伴う塩化物イオンの濃縮が生じない条件を設定可能な見通しが得られた。

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