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川井 弘之*; 関川 卓也; 尾崎 泰助*; 大野 義章*
Journal of the Physical Society of Japan, 94(12), p.124003_1 - 124003_15, 2025/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Multidisciplinary)第一原理電子状態計算ソフトウェアOpenMXは密度汎関数理論に基づく計算コードであり、主に物質の安定構造や電子状態を求める際に利用される。本研究では、OpenMXを、通常は画像処理に使われるGPU (Graphics Processing Unit)を用いて、計算を高速化する手法開発を試みた。ダイヤモンド構造のシリコン512原子系におけるテスト計算の結果、CPUを用いた計算時間との比較で約2倍の高速化に成功した。また、磁気構造計算に使われるノンコリニア計算ではシリコン384原子系においてCPUの2.6倍の高速化に成功した。特にノンコリニア計算のGPUによる高速化はこれまでに例が無い。本研究で得られた成果によって、第一原理電子状態計算でこれまでより大規模な系を扱うことが可能になる。
Ti
)
NiSe
土田 駿*; 廣瀬 雄介; 関川 卓也; 大野 義章*; 平原 卓也*; 佐野 純佳*; 河口 彰吾*; 小林 慎太郎*; 上床 美也*; 摂待 力生*
Journal of the Physical Society of Japan, 94(11), p.114703_1 - 114703_7, 2025/10
被引用回数:1 パーセンタイル:44.91(Physics, Multidisciplinary)本研究では、励起子絶縁体Ta
NiSe
へのキャリアドープ効果を調べるために、(Ta
Ti
)
NiSe
の単結晶合成し、電気抵抗
ホール係数
およびバンド計算を行った。TaサイトのTi元素置換により、結晶構造は変化せず励起子絶縁体転移温度
は連続的に抑制され
=0.104で83Kまで抑制された。置換量
を増やしていくと、半導体的な
や
の低温での増大が著しく抑制され、
では金属的な振る舞いに変わることを見出し、励起子相関のある金属状態が実現されている可能性がある。この金属化はバンド計算により、キャリアドーピング効果によって説明できる。このキャリアドープ物質を加圧していくと、2.6GPa以上で超伝導となることを明らかにした。この圧力は母物質Ta
NiSe
の圧力誘起超伝導が現れる8GPaよりもはるかに小さく、Ti置換によるキャリアドープが超伝導に有利に働いたと考えられる。
関川 卓也; 高田 和樹*; 甲斐 健師; 大野 義章*
Journal of Applied Physics, 137(20), p.203901_1 - 203901_10, 2025/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Applied)不揮発性磁気メモリは情報を保持するために電力が不要な次世代の磁気メモリとして注目されている。鉄と酸化マグネシウムの界面はその候補材料の一つである。近年の実験により、鉄と酸化マグネシウムの界面に単原子層フッ化リチウムを挿入すると磁気メモリの特性の指標である垂直磁気異方性が二倍に増加することが報告された。本研究では、鉄-酸化マグネシウムの界面と鉄-フッ化リチウム-酸化マグネシウムの界面の磁気モーメントを第一原理電子状態計算ソフトウェアOpenMXを用いて計算した。その結果から我々は、フッ化リチウムをその界面に挿入すると、界面付近の鉄原子の電子軌道が、フッ化リチウムの極小電子密度領域に向けて傾くように分布することで、磁気モーメントが挿入前の二倍になることを示す。本研究で得られた科学的知見は、高性能な不揮発性磁気メモリの候補材料を探索する新たな指針となる。
小川 達彦; 平田 悠歩; 松谷 悠佑; 甲斐 健師; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 松田 規宏; et al.
EPJ Nuclear Sciences & Technologies (Internet), 10, p.13_1 - 13_8, 2024/11
放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる放射線挙動解析計算コードである。その最新版であるPHITS version 3.34の、飛跡構造解析機能に焦点を置いて説明する。飛跡構造解析とは、荷電粒子が物質中を運動する挙動を計算する手法の一つで、個々の原子反応を識別することにより原子スケールでの追跡を可能にするものである。従来の飛跡構造解析モデルは生体を模擬する水だけにしか適用できず、遺伝子への放射線損傷を解析するツールとして使われてきた飛跡構造解析であるが、PHITSにおいてはPHITS-ETS、PHITS-ETS for Si、PHITS-KURBUC、ETSART、ITSARという飛跡構造解析モデルが補い合うことにより、生体の放射線影響だけでなく、半導体や材料物質など任意物質に対する適用が可能になっている。実際にこれらのモデルを使って、放射線によるDNA損傷予測、半導体のキャリア生成エネルギー計算、DPAの空間配置予測など、新しい解析研究も発表されており、飛跡構造解析を基礎とするボトムアップ型の放射線影響研究の推進に重要な役割を果たすことが期待できる。
C ions based on first-principles calculations関川 卓也; 松谷 悠佑; Hwang, B.*; 石坂 優人*; 川井 弘之*; 大野 義章*; 佐藤 達彦; 甲斐 健師
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 548, p.165231_1 - 165231_6, 2024/03
被引用回数:1 パーセンタイル:24.85(Instruments & Instrumentation)放射線の人体に与える影響の主な原因として、遺伝情報を担うDNAの損傷が考えられている。しかし、DNAが放射線損傷によりどのような分子構造変化を示すかは十分理解されていない。DNAに放射線を照射すると様々な種類のDNA損傷が形成されることが報告されていることから、我々のグループではDNAが受ける損傷と放射線によって引き起こされる様々なパターンのイオン化の関係を調べてきた。これまでDNAを模した剛体モデルを用いた簡易な体系における解析を行っていたが、人体への影響を考える上で重要と考えられるDNAの分子構造変化を解析するためにはより詳細な計算を必要とする。そこで、本研究では分子構造に基づいて電子状態を議論できる第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いてDNAの分子構造変化を明らかにすることを試みた。具体的には、放射線により1電子及び2電子が電離した状況のDNAを仮定し、最安定構造、バンド分散、及び波動関数を計算した。発表では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて計算した放射線の線種及びエネルギーとDNAの分子構造変化の関係とともに議論する。また、放射線物理・固体物理の双方の観点から、放射線がもたらすDNAの基礎物性変化(DNA損傷の最初期過程に相当)について議論する。
佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.127 - 135, 2024/01
被引用回数:320 パーセンタイル:99.98(Nuclear Science & Technology)放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる。その最新版であるPHITS version 3.31を開発し公開した。最新版では、高エネルギー核データに対する親和性や飛跡構造解析アルゴリズムなどが改良されている。また、PHIG-3DやRT-PHITSなど、パッケージに組み込まれた外部ソフトウェアも充実している。本論文では、2017年にリリースされたPHITS3.02以降に導入された新しい機能について説明する。
Ti
)
NiSe
への圧力効果土田 駿*; 広瀬 雄介*; 関川 卓也; 大野 義章*; 摂待 力生*
no journal, ,
励起子絶縁体は、結晶中で電子と正孔が結合し、それらが集団的に振る舞うことで結晶全体が絶縁体化する性質を有し、新規物性として注目され始めた。本研究では、励起子絶縁体の候補物質の一つであるが合成自体が困難で物性解明が進んでいないTa
NiSe
に着目し、まずキャリアドープを目的とした元素置換試料(Ta
Ti
)
NiSe
の育成を行い、圧力効果を調べた。(Ta
Ti
)
NiSe
はx=0.03の試料は、常圧では半導体的な振る舞いを示すが、圧力の増加に伴い半導体から絶縁体に変化する温度Tcが単調に減少していく。一方で、x=0.08の試料は常温では金属的な振る舞いを示し、0.7GPa以上の圧力でTcがほぼ一定となった。x=0.03の試料のTcの振る舞いは先行研究で行われたV置換に、x=0.08の試料は先行研究で行われたCo置換の振る舞いに類似していることを明らかにした。本研究で示した相転移は、励起子絶縁体を実現するための新たな知見となりうる。
NiSe
のTi, Hf置換試料の圧力効果土田 駿*; 広瀬 雄介*; 関川 卓也; 大野 義章*; 摂待 力生*
no journal, ,
励起子絶縁体は、結晶中で電子と正孔が結合し、それらが集団的に振る舞うことで結晶全体が絶縁体化する性質を有し、新規物性として注目され始めた。本研究では、励起子絶縁体の候補物質の一つであるが合成自体が困難で物性解明が進んでいないTa
NiSe
に着目し、まずキャリアドープを目的とした元素置換試料(Ta
M
)
NiSe
(M = Ti, Hf)の育成を行い、圧力効果を調べた。結果、(Ta
M
)
NiSe
はx=0.08の試料の高圧領域で超伝導が観測された。超伝導転移温度は圧力の増加に伴い上昇することが明らかになった。本研究で示した相転移は、励起子絶縁体と超伝導の関係に関する新たな知見となりうる。
Wang, Y.*; 関川 卓也; 大野 義章*; 甲斐 健師
no journal, ,
DNA(デオキシリボ核酸)は、遺伝情報の保存および伝達に不可欠な役割を果たす分子であり、その構造と電子状態は、生物学的機能に深く関与している。DNAはヌクレオチドという基本単位から構成され、放射線によるDNA損傷やホール生成が、ヌクレオチド分子の電子状態にどのような影響を与えるかが近年注目されている。そこで本研究では、水中および真空環境下におけるヌクレオチド分子の電子状態を、第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いて詳細に解析した。特に、分子が中性状態、1つの電子を失った状態、および2つの電子を失った状態における電子状態の変化を計算した結果、水溶液環境で、かつ分子がホールを持つ状態では、ヌクレオチド分子の化学反応領域の形状が変化し、分子の物理的性質に大きな変化が生じることが示された。本研究成果は、放射線生物影響の最初期過程の解明に貢献する。
川井 弘之*; An, S.*; 尾崎 泰助*; 関川 卓也; 大野 義章*
no journal, ,
X線光電子分光法(X-ray Photoemission Spectroscopy: XPS)は、材料表面近傍の化学組成や電子状態を研究する上で、最も広く使われている技術の一つである。XPSで測定される物理量は、本質的には内殻電子のエネルギー値である。一方、内殻電子エネルギーを理論的に計算するには、励起された内殻電子と周りに位置する原子核、他の電子の間の相互作用エネルギーである擬ポテンシャル(内殻励起擬ポテンシャル)が必要であった。そこで本研究ではSeについて内殻励起擬ポテンシャルを求めるために必要な多数のパラメータをモンテカルロ的な手法で最適化し、高精度なSeの内殻励起擬ポテンシャルを作成した。この内殻励起擬ポテンシャルを用いて四種類のSe化合物の内殻電子のエネルギー値を計算した結果、XPS測定値を高精度に再現できていることが分かった。本研究成果は今後、XPS測定の理論計算のスタンダードになると考えられる。
伊海田 陸*; 関川 卓也; 樋川 智洋; 大野 義章*; 甲斐 健師
no journal, ,
高レベル放射性廃液の中からマイナーアクチノイド(MA)や希土類元素(RE)を抽出する際に、Tetra-Octyl-DiGlycol-Amide (TODGA)と呼ばれる有機分子が利用される。実際の抽出プロセスではTODGAを溶かした油性の有機溶媒と高レベル廃液を撹拌することで、有機層にTODGAと結合したMA、REを抽出する。しかし、TODGAを長時間使用すると
線による放射線分解のために抽出性能が低下することが報告されている。また、TODGA抽出剤の放射線分解に関する物理・物理化学過程は十分に解明されていない。そこで本研究では第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いて、電離が引き起こされたTODGAの物理・物理化学過程における分子構造変化を計算した。その結果、実験で得られている分解生成物に対応した分子構造変化や、分子内プロトン移動が見られた。この過程の解明はTODGAの劣化挙動や
線による水素発生のメカニズムを明らかにすることに繋がる。
の超伝導転移温度のキャリア密度依存性; テトラへドロン法を用いた解析II伊海田 陸*; 関川 卓也; 大野 義章*; 佐野 和博*; 枡田 佳美*
no journal, ,
Nbなどを希薄に混ぜたSrTiO
は、自由電子が最も希薄な超伝導体の1つとして研究されてきた。同時にSrTiO
は低温で巨大な誘電率を示すが、酸素16の酸素18置換や、SrのCa置換により強誘電転移が起こる物質でもある。さらに強誘電転移が起こる付近の置換濃度で超伝導転移温度Tcの増加が観測されている。しかし、強誘電性と超伝導の関係は解明されていない。そこで本研究では第一原理計算ソフトウェアQuantum ESPRESSOを用いて超伝導転移温度の最高値を示す近傍の自由電子密度領域で強誘電性、超伝導に関する物理量を計算した。その結果、自由電子密度の減少とともに強誘電転移の兆候と見られる結晶振動の周波数低下が得られた。さらに自由電子密度の減少とともにTcが増大する結果も得られた。この結果は、SrTiO
における強誘電性と超伝導の関係の理論解明につながる。
中井 望瑛; 浦島 周平; 渡邉 雅之; 関川 卓也; 日下 良二
no journal, ,
溶媒抽出は、特定の金属イオンを水相から油相へ移動させ、他の金属イオンから分離する手法である。この反応では油水界面が重要な役割を果たしているが、界面における金属イオンの詳細な移動メカニズムについては、いまだ十分に解明されていない。本研究では、抽出剤としてジ-2-エチルヘキシルリン酸(HDEHP)を用いたランタノイドイオンの溶媒抽出を対象とし、振動和周波発生分光法(VSFG)により油水界面の分子構造を調査した。その結果、界面に特異的なEu-HDEHP錯体の存在を確認するとともに、その錯体中のランタノイドイオンの脱水和反応が、ドデカン相の存在によって促進されることを明らかにした。
関川 卓也; 猪熊 祐輔; 大野 義章*; 徳永 陽; 甲斐 健師
no journal, ,
デオキシリボ核酸(DNA)は生物の遺伝情報を担う分子として注目されているが、磁性や超伝導を含む様々な新規物性の可能性が議論されている。本研究では、放射線照射などによってホールドープされたDNAの構造変化やバンド分散を、第一原理電子状態計算によって求めた。次に、その電子状態を希土類化合物で見られる重い電子系の最も基本的な模型である一次元近藤格子模型で再現することを試みた。その結果、11価DNAの電子状態が一次元近藤格子模型で再現された。これは、11価DNAに電子間相互作用が非常に強く、電子が重くなったように振る舞う重い電子状態が発現することを意味する。本研究成果は、DNAの電子状態の解明や重い電子状態の解明に貢献すると考えられる。
関川 卓也; 甲斐 健師; 小沼 草太*; 芳賀 芳範; 横谷 明徳*
no journal, ,
ウラシルはリボ核酸(RNA)を構成する塩基の一種である。RNAは生物の遺伝情報を担うデオキシリボ核酸(DNA)から遺伝情報を写し取り、タンパク質合成を行うリボソームまで情報を運ぶ役割を担う。これまで、ウラシルの一部に臭素が置換した臭化ウラシルに対する放射線影響増感効果が期待されてきた。本研究では、ウラシルの一部をハロゲンに置換した効果を調べるため、第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いた。ウラシルの一部をフッ素、臭素で置換した分子を標的として計算した結果、フッ素、臭素の順にハロゲン化ウラシル中の電子が電離しやすいことがわかった。本研究成果は、放射線治療における放射線増感剤の開発に貢献することが期待できる。
関川 卓也; Hwang, B.*; 石坂 優人*; 松谷 悠佑*; 川井 弘之*; 大野 義章*; 佐藤 達彦; 甲斐 健師
no journal, ,
デオキシリボ核酸(DNA)はグアニン、シトシン、アデニン、チミンの多様な組み合わせによって生物の遺伝情報を担い、放射線生物影響は主にこのDNAの損傷に起因する。本研究ではDNA損傷が定着するまでの過渡的な分子構造変化を理論的に調べるため、第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いた。1
20個のホールを生成したDNAを標的とした計算を行い、ホールが少ない場合はDNAのグアニン塩基にホールがトラップされ、ホールが多いDNAでは主鎖が主に化学反応に寄与することを明らかにした。本研究成果は、放射線生物影響の最初期過程の解明に貢献する。
関川 卓也; 松谷 悠佑; 川井 弘之*; Hwang, B.*; 石坂 優人*; 大野 義章*; 佐藤 達彦; 甲斐 健師
no journal, ,
デオキシリボ核酸(DNA)はグアニン、シトシン、アデニン、チミンの多様な組み合わせによって生物の遺伝情報を担い、放射線生物影響は主にこのDNAの損傷に起因する。本研究ではDNA損傷が定着するまでの過渡的な分子構造変化を理論的に調べるため、炭素線照射によって生成されるホールの数を放射線輸送計算コードParticle and Heavy Ion Transport code System (PHITS)を用いて計算したのち、第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いて、ホールを生成した様々な配列のDNAを標的として構造変化、化学反応を担う部位を計算した。その結果、少ないホール生成ではDNAの中でも遺伝情報を担う基質分子にホールが広がる実験結果を再現すること、さらに大量のホール生成ではDNAの全体の構造を支える糖鎖分子と基質分子の混成軌道にトラップされることを明らかにした。本研究成果は、電離したDNA分子の更なる理解に繋がることが期待できる。
関川 卓也; 猪熊 祐輔*; 大野 義章*; 徳永 陽; 甲斐 健師
no journal, ,
デオキシリボ核酸(DNA)は、グアニン-シトシンとアデニン-チミンの塩基対の多様な配列によって生物の遺伝情報を担うが、固体物理のステージとしても磁性や超伝導を含む様々な可能性が議論されている。本研究では、放射線照射などによってホールドープされたDNAの構造変化やバンド分散を、第一原理計算ソフトウェアOpenMXを用いて計算した。その結果、特に10価以上の多くの電子を失った領域で、遺伝情報を担う塩基対の比較的大きく広がる分子軌道と、DNAの構造を支える主鎖の非常に狭い分子軌道が混成し、希土類化合物で見られる重い電子系に類似した電子状態が発現することが分かった。また、DNAを行き来する電子の有効質量などの強相関効果を取り込んだ議論も行う。本研究成果は、DNAの電子状態の解明や重い電子状態の解明に貢献すると考えられる。
based on the first-principles calculations伊海田 陸*; 佐野 和博*; 枡田 佳美*; 関川 卓也; 大野 義章*
no journal, ,
太陽電池や光触媒として利用されるSrTiO
はNbなどによる電子注入(ドープ)を行った系で超伝導を示す一方、ドープによる結晶不安定性も示し、超伝導の実現はドープと結晶不安定性と競合関係にある。結晶不安定性はよく理解されていないため、本研究では第一原理計算ソフトウェアQuantum ESPRESSOを用いて、電子ドープ量をパラメータとしたSrTiO
の電子状態を計算した。その結果、電子ドープ量を減らすことで強誘電転移が原因と考えられる結晶振動の周波数低下(ソフト化)の解を得ることに成功し、同時に超伝導転移温度が上昇する結果を得た。この結果とは先行研究の実験結果とも整合している。本研究は、長年の未解決問題であったSrTiO
の超伝導メカニズムを解明するための新たな知見となる。
関川 卓也; 甲斐 健師
no journal, ,
超伝導の工学応用の一つとして、超伝導量子ビットを利用した量子コンピュータの実用化が期待されている。しかし、超伝導が実現する極低温(1-5 K)では、環境放射線による付与熱が超伝導状態を崩壊させると予想されているが、定量的な評価は行われていない。そこで本研究では、物質中の放射線輸送を支配する電子モードのエネルギー損失関数に注目し、超伝導量子ビット材料であるSi, Al, TiNの極低温及び常温におけるエネルギー損失関数を計算した。その結果、放射線輸送に関しては極低温と常温で変化は認められなかったが、伝熱計算に必要な格子振動モードのエネルギー損失関数に関しては温度依存性が現れる可能性が示唆された。本研究課題は今後、超伝導量子ビットの放射線耐性技術の開発に貢献することが期待される。