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関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 高橋 平七郎*
Journal of Nuclear Materials, 458, p.355 - 360, 2015/03
被引用回数:28 パーセンタイル:90.05(Materials Science, Multidisciplinary)PNC316における空格子の拡散性に及ぼす添加元素の影響を評価するために、粒界近傍で形成される照射誘起ボイド欠乏帯を調べた。供試材として、添加元素を含むPNC316と含まないFe-15Cr-15Ni(モデル合金)を使用し、ボイドの形成が顕著となる照射条件下で中性子照射及び電子線照射が行われた。両鋼種における中性子照射後及び電子線照射後の微細組織観察の結果、両鋼種ともにランダム粒界近傍でボイド欠乏帯が形成され、PNC316において形成されたボイド欠乏帯の幅はFe-15Cr-15Niよりも狭くなることが示された。更に、この両鋼種のボイド欠乏帯幅の違いに着目して、PNC316における空格子の拡散性(特に空格子移動エネルギー)の解析・評価を行った結果、PNC316において空格子の拡散性が低下することが示された。
関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 高橋 平七郎
Materials Transactions, 55(3), p.438 - 442, 2014/03
被引用回数:11 パーセンタイル:46.71(Materials Science, Multidisciplinary)316系ステンレス鋼における電子線照射下での点欠陥蓄積挙動に及ぼす添加元素の効果をボイド欠乏帯幅の解析から評価することを目的として、SUS316L及びSUS316Lベースの微量元素添加鋼(V, Zr)に対して電子線照射を行い、各鋼種で形成したボイド欠乏帯幅の解析から、空格子拡散係数、空格子フラックス及び実効空格子濃度を相対評価した。これらの結果、以下のことがわかった。(1)それぞれの鋼種において、ある一定の幅を持ったボイド欠乏帯幅が形成した。(2)ボイド欠乏帯幅は鋼種毎に異なり、添加元素を加えることによってその幅が低下した。(3)SUS316L及びSUS316L-Vのボイド欠乏帯幅の解析から、これらの鋼種間での空格子拡散係数、空格子フラックス及び実効空格子濃度の比を見積もると、Vを加えたことでそれぞれの比は0.50, 0.71, 1.41となり、点欠陥蓄積挙動に及ぼす添加元素の効果を数値的に評価することが可能となることを示唆する結果が得られた。
矢野 康英; 山下 真一郎; 大塚 智史; 皆藤 威二; 赤坂 尚昭; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 高橋 平七郎
Journal of Nuclear Materials, 398(1-3), p.59 - 63, 2010/03
被引用回数:11 パーセンタイル:58.20(Materials Science, Multidisciplinary)11Crフェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)についてFFTF/MOTAで炉内クリープ破断試験を823Kから943Kで実施した。また、引張及び急速加熱バースト試験用の被覆管は照射温度693から1013K、照射量3.5から102dpaで高速実験炉「常陽」を用いて照射された。引張及び急速加熱バースト試験では、照射温度873K以下での強度低下は確認されなかったが、照射温度903K以上では顕著な強度低下がみられた。一方、炉内クリープ破断強度は、すべての照射温度で炉外のクリープ強度と同等あるいはそれ以上の強度を示した。このクリープ破断特性は、短時間強度と異なる挙動を示すことが明らかとなった。
矢野 康英; 山下 真一郎; 吉武 庸光; 赤坂 尚昭; 高橋 平七郎
まてりあ, 47(12), P. 625, 2008/12
実用化段階の高速炉用炉心材料として開発された11Crフェライト/マルテンサイト鋼について、高速実験炉「常陽」を用いて照射温度7731013K,照射量11117dpaで照射した後、引張試験及び微細組織観察を実施した。117dpaまでの重照射環境においても、照射温度873Kまでは、旧オーステナイト粒界に炭化物の優先的析出は観察されるが、ラス組織は維持されていた。高温照射の938Kではラス組織の回復,再結晶が促進されていた。照射後の引張強度は、照射温度873Kまでは強度低下が小さく、903K以上では顕著な強度低下が生じていた。これらの結果を考慮すると、本鋼の強度は本照射範囲では照射量に依存せず、873Kまではラス組織の回復が抑制され強度低下が小さいこと、及び938K以上ではラス組織の回復,再結晶が促進される結果、強度低下が生じることが明らかになった。873Kまでのラス組織の回復の抑制は、粒内の過飽和な炭素が優先的に炭化物として旧オーステナイト粒界に析出し、粒内の炭素が最適化され、コットレル雰囲気を形成し、その結果、転位がトラップされ転位の上昇運動が抑制されることによると推察される。
矢野 康英; 吉武 庸光; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二; 渡辺 精一*; 高橋 平七郎
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(12), p.1535 - 1542, 2007/12
被引用回数:12 パーセンタイル:62.97(Nuclear Science & Technology)高速実験炉「常陽」で燃料照射をした高強度フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)及びHT9M被覆管の照射後強度試験、具体的には、引張及び急速加熱バースト試験を実施し、両鋼の照射後強度特性評価を行った。
矢野 康英; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 渡辺 精一*; 高橋 平七郎
Proceedings of 9th China-Japan Symposium on Materials for Advanced Energy Systems and Fission & Fusion Engineering jointed with CAS-JSPS Core-university Program Seminar on Fusion Materials, System and Design Integration, p.2 - 5, 2007/10
PNC-FMS被覆管の照射後引張特性に及ぼす高速中性子照射効果の影響を組織面から調査した。試験片は高速実験炉「常陽」の材料照射リグを用いて照射した。照射温度は、7731013Kで、照射量は11102dpaであった。組織の安定性については、北海道大学超高圧電子顕微鏡を用いた電子線照射試験により中性子照射後の組織との比較検討を行った。
矢野 康英; 吉武 庸光; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 小野瀬 庄二; 高橋 平七郎*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(1), p.127 - 131, 2007/08
被引用回数:11 パーセンタイル:60.39(Materials Science, Multidisciplinary)被覆管の引張特性及び急速加熱バースト特性に及ぼす高速中性子照射効果の影響を調査した。試験片は、材料照射リグを用いて照射した。照射温度は、7731013Kで、照射量は11102dpaであった。照射後引張試験と急速加熱バースト試験を実施した。873K以下の照射温度では、引張強度と破裂強度の低下は見られなかった。このように強度を維持した理由は析出物が優先的に旧オーステナイト粒界に析出し、粒界強化に寄与したためだと考えられた。また、903K以上の照射温度では、両強度とも低下していた。これは、ラス組織の回復と再結晶に起因していると考えられる。
河村 弘; 高橋 平七郎*; 吉田 直亮*; 三島 良直*; 石田 清仁*; 岩立 孝治*; Cardella, A.*; Van der Laan, J. G.*; 内田 宗範*; 宗像 健三*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 329-333(1), p.112 - 118, 2004/08
被引用回数:37 パーセンタイル:89.26(Materials Science, Multidisciplinary)ベリウム金属間化合物研究の現状と今後の研究計画について紹介する。ベリリウム金属間化合物が、微小球形状の中性子増倍材料として利用できるか否かを明らかにするため、低放射化性等の利点を有するBeTiを用いた研究が1997年から日本で開始された。まず、回転電極法による微小球製造性に関しては、BeとTiの状態図研究から開始し、組成と組織の相関を明らかにした。それらの結果から、回転電極法で製造するために必要な電極棒の製造方法として、(1)BeとBeTiの固溶体を用いる方法と(2)BeTiとBeTiの固溶体を用いる方法を選定し、(1)の方法により試作試験を行った。その結果、微小球が得られることが明らかになった。さらに、BeTiの核的特性や各種特性評価を行った。それらの結果から、Be金属に比べて、トリチウムのインベントリーが小さく、構造材料やトリチウム増殖材料との両立性も優れており、水蒸気や空気中における化学反応性も小さいことが明らかになった。また、加速器を用いた照射損傷試験の結果、Be金属よりも照射損傷を受けにくいことが明らかになった。今後は、IEA国際協力の元、ヘリウムがベリリウム金属間化合物中に6000appm生成するまで中性子照射を行い、スエリング特性等を明らかにする予定である。
柴山 環樹*; 中道 勝*; 内田 宗範*; 河村 弘; 木下 博嗣*; 鬼柳 善明*; 高橋 平七郎*; 野村 直之*
JAERI-Conf 2004-006, p.216 - 219, 2004/03
Beは中性子増倍材料の候補材料であるが、14MeVの中性子照射を受けるブランケット内では、はじき出し損傷だけではなく核変換による劣化も起こる。近年、BeTiがBeよりも優れた機械的特性を有する材料として開発された。本研究ではBeTiの20000appmHe, 700CまでのHe照射効果、特にミクロ組織の挙動をマルチビーム超高圧電子顕微鏡を用いてその場(In-situ)観察で評価した。また、機械的特性をナノインデンタで評価した。その結果、BeTiはBeに比べてHe及び電子線の照射による欠陥生成が少ないことを明らかにした。また、機械的特性の劣化が小さいことを明らかにした。
河村 弘; 石塚 悦男; 土谷 邦彦; 中道 勝; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中村 和幸; 伊藤 治彦; 中沢 哲也; 高橋 平七郎*; et al.
Nuclear Fusion, 43(8), p.675 - 680, 2003/08
被引用回数:28 パーセンタイル:63.23(Physics, Fluids & Plasmas)核融合原型炉を実現するために、先進ブランケットの設計研究が行われている。これらの設計では、より高い発電効率を目指して冷却材温度を500以上としており、高温に耐え、また高中性子照射量まで使用できるブランケット材料(トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料)の開発が求められている。本論文では、原研及び国内の大学、産業界が共同で実施してきたこれら先進ブランケット材料の開発の現状について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、トリチウム放出特性に悪影響を及す高温での結晶粒径成長を抑制できる材料の開発として、TiOを添加したLiTiOに注目し、湿式造粒法による微小球の製造技術開発を実施した。この結果、固体ブランケットに用いる微小球製造に見通しが得られた。中性子増倍材料に関しては、融点が高く化学的に安定な材料としてベリリウム金属間化合物であるBeTi等に注目し、回転電極法による微小球の製造技術開発及び特性評価を実施した。この結果、ベリリウムの含有量を化学量論値より多くすることにより、延性を増すことによって、微小球の製造に見通しが得られた。また、BeTiはベリリウムより中性子照射によるスエリングが小さいことなど、優れた特性を有していることが明らかとなった。
赤坂 尚昭; 田中 康介; 大貫 惣明*; 高橋 平七郎*; 渡辺 精一*
Effects of Radiation on Materials (ASTM STP 1447), 516- Pages, 2003/00
中性子照射環境下で生じるFe-Cr-Ni系ステンレス鋼の溶質元素照射促進拡散現象を解析し、ステンレス鋼の主要構成元素であるCrおよびNiの照射下平均実効相互拡散係数を評価した。照射下では溶質原子の拡散が促進され、その拡散係数は拡散元素、ステンレス鋼の組成および照射温度に対し依存性を有し、その原因は溶質原子と相互作用し拡散を促進する効果を有する点欠陥のフラックスの量が異なるためであることが示唆された。
河村 弘; 高橋 平七郎*; 吉田 直亮*; Shestakov, V.*; 伊藤 義夫*; 内田 宗範*; 山田 弘一*; 中道 勝; 石塚 悦男
Fusion Engineering and Design, 61-62, p.391 - 397, 2002/11
被引用回数:42 パーセンタイル:90.49(Nuclear Science & Technology)高温ブランケット用の中性子増倍材として期待されているベリリウム金属間化合物に関し、日本国内での開発現状について報告する。ベリリウム金属間化合物の開発は、原研,大学,企業が協力して実施している。ベリリウム金属間化合物の一つであるBeTiに関し、従来のベリリウム金属より、構造材との両立性が良いこと,スエリングが小さいこと,機械強度が高いこと,トリチウムインベントリが小さいことなどの優れた特性を有することが明らかとなった。また、ベリリウム金属間化合物は機械的に脆く、熱応力が生じる回転電極法で微小球を製造することができなかったが、組織制御によって延性を持たせることによって、微小球を製造できる見通しが得られた。
斎藤 滋; 深谷 清*; 石山 新太郎; 佐藤 育男*; 楠橋 幹雄*; 畠山 剛*; 高橋 平七郎*; 菊池 満
JAERI-Tech 2002-047, 51 Pages, 2002/05
日本原子力研究所と(株)日本製鋼所は、共同でNi,Coが無添加のMn-Cr系低放射化鋼の開発を進めてきた。初めに合金成分と製造工程の検討を行い、平成9年度までにVCシリーズと名付けられた数鋼種を試作した。本報告書ではこれらの鋼種の特性評価試験の一つとして、耐食性試験を行った。ステンレス鋼の腐食試験の結果、各鋼種の相やMn量,C量と耐食性の関係,鋭敏化による腐植度の変化量などを調べた。また、非磁性の鋼種については、JT-60等の真空容器や遮蔽体の使用環境を想定した耐食試験(純水・80・3500時間)の結果、全面・間隙腐食試験では重量変化は殆ど無かった。ダブルU-ベンド試験でも割れの発生は見られなかった。
斎藤 滋; 深谷 清; 石山 新太郎; 衛藤 基邦; 佐藤 育男*; 楠橋 幹雄*; 畠山 剛*; 高橋 平七郎*; 菊池 満
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part1), p.593 - 596, 2000/12
被引用回数:1 パーセンタイル:11.91(Materials Science, Multidisciplinary)現在、日本原子力研究所(以下原研)では、JT-60UのITER高性能化試験の終了後に定常炉心試験装置(以下JT-60SU)の検討・評価作業を進めている。このJT-60SUの真空容器鋼としては高強度、低放射化かつ非磁性であることが求められており、原研と(株)日本製鋼所は共同でNi,Coが無添加で低Mn型の低放射化非磁性鋼の開発を進めてきた。現在までにVC9と呼ばれる鋼種が有望であるという結果を得ている。本研究ではVC9の機械的特性や溶接性などの特性評価を行った。機械的特性試験は高温引張り,シャルピー試験,疲労及び破壊靭性試験を行った。その結果、VC9の室温~500の引張り強度はSUS316Lを大きく上回り、真空容器鋼として十分な高温強度を持つ鋼種であることがわかった。また、疲労試験(室温)でもSUS316Lの約2倍の疲労寿命を持つことがわかった。溶接性評価としては組織観察、硬さ及びフェライト量測定などを行った。
斎藤 滋; 深谷 清; 石山 新太郎; 佐藤 育男*; 楠橋 幹雄*; 畠山 剛*; 高橋 平七郎*; 菊池 満
JAERI-Tech 2000-047, 64 Pages, 2000/08
現在、日本原子力研究所(以下原研)では、核融合炉の実現に向けて定常炉心試験装置(以下JT-60SU)の検討・評価作業を進めている。このJT-60SUの真空容器鋼としては、高強度、低放射化かつ非磁性であることが求められている。しかし既存の鋼種でそれらの要求を満たすものはないため、原研と(株)日本製鋼所は共同でNi,Coが無添加で低Mn型の低放射化非磁性鋼の開発を進めてきた。はじめに合金成分と製造行程の検討を行い、平成9年度までにVC9と名付けた鋼種が有望であるという結果を得た。平成10年度以降はこのVC9のJT-60SU真空容器鋼としての適性評価として、機械的特性・溶接性・耐食性・時効特性などさまざまな特性試験を行っている。本報告書はそれらの結果の中から物理的特性及び時効特性についてまとめたものである。
石山 新太郎; 深谷 清; 衛藤 基邦; 菊池 満; 佐藤 育男*; 楠橋 幹雄*; 畠山 剛*; 高橋 平七郎*
日本原子力学会誌, 42(2), p.116 - 123, 2000/02
被引用回数:2 パーセンタイル:19.30(Nuclear Science & Technology)本研究では、JT-60SUの使用条件に基づき、将来の核融合炉大型構造材料として、低放射化、高比強度、非磁性であり、核発熱の少ない低コスト材料の開発を目標にMn及びCrを主成分とし、CとNを低減化した鋼種の製造並びに評価を行った。その結果、下記の結論が得られた。(1)Mn-Cr鋼種の新しい組織状態図を得るとともに、これをもとに安定したオーステナイト単相が得られる15.5Mn-16Cr-0.2C-0.2N組織を見いだし、その最適製造条件を把握した。(2)JT-60SU計画運転停止から約20年後において放射化レベルは、SUS316L等既存材料に比較して、1桁以上低い。(3)比強度は、SUS316Lに比して約2倍以上である。(4)熱伝導率は従来材より高く、運転中並びに運転停止後の核発熱による実験装置の異常温度上昇の危険性は少ない。
斎藤 滋; 深谷 清; 石山 新太郎; 衛藤 基邦; 佐藤 育男*; 楠橋 幹雄*; 畠山 剛*; 高橋 平七郎*; 菊池 満
JAERI-Tech 99-076, p.53 - 0, 1999/10
現在、日本原子力研究所(以下原研)では、核融合炉の実現に向けて定常炉心試験装置(以下JT-60SU)の検討・評価作業を進めている。このJT-60SUの真空容器鋼としては、高強度、低放射化かつ非磁性であることが求められている。しかし既存の鋼種でこれらの要求を満たすものはないため、原研と(株)日本製鋼所は共同でNi,Coが無添加で低Mn型の低放射化非磁性鋼の開発を進めてきた。初めに合金と製造工程の検討を行い、平成9年までにVC9と名付けた鋼種が有望であるという結果を得た。平成10年度以降はこのVC9のJT-60SU真空容器鋼としての適性評価として、機械的特性・溶接性・耐食性・相安定性などさまざまな特性試験を行っている。本報告書はそれらの結果の中から機械的特性と溶接性についてまとめたものである。
Saito, J.*; 須田 孝徳*; 山下 真一郎*; 大貫 惣明*; 高橋 平七郎*; 赤坂 尚昭; Nishida, M.; 鵜飼 重治
Journal of Nuclear Materials, 258-263(Part 2), p.1264 - 1268, 1998/10
被引用回数:40 パーセンタイル:92.58(Materials Science, Multidisciplinary)異なった再結晶処理を施したODSフェライト鋼の照射損傷のため,超高圧電子顕微鏡にて12dpaまで電子線照射した。再結晶処理により転位密度は減少したが,分散粒子は大きさ,数密度ともに明確な変化は無かった。再結晶材を電子線照射した結果,分散粒子は安定に存在し,転位密度もほぼ一定であったが,少量のボイド形成が認められた。しかし加工材ではボイド形成が減少したことから,高密度の転位はボイドの抑制効果があることが確認された。
関尾 佳弘; 山下 真一郎; 吉武 庸光; 西野入 賢治; 高橋 平七郎
no journal, ,
原子炉炉心材料(オーステナイト系ステンレス鋼)では、照射欠陥集合体の蓄積の結果として、ボイドスエリングや照射硬化が起こることが一般的に知られているが、これらの現象を引き起こす転位やボイドの形成過程がどのような微細組織因子(シンクの種類等)の影響を受けているかなどについては十分に明らかにされていない。このようなことから、本研究ではオーステナイト系ステンレス鋼における粒界近傍での照射欠陥集合体、特にボイド組織の蓄積過程を明らかにするために、3元系モデル合金Fe-15Cr-15Ni及びPNC316を用いて、「常陽」で中性子照射を行い、照射後微細組織観察からボイド組織の蓄積過程と粒界構造との関係性の評価を行った。その結果、整合性の低いランダム粒界近傍にはボイド欠乏帯が生じ、整合性の高い対応粒界近傍には生じないことが示され、粒界近傍のボイド組織の蓄積過程が粒界構造の違いによって変化することが明らかになった。また、両鋼種のボイド欠乏帯の評価から、PNC316におけるスエリング潜伏期間は、空格子濃度及び拡散係数の減少に起因していることが示された。
矢野 康英; 山下 真一郎; 赤坂 尚昭; 高橋 平七郎; 渡辺 精一*
no journal, ,
PNC-FMS被覆管の照射後強度特性に及ぼす高速中性子照射効果の影響を組織面から調査した。試験片は高速実験炉「常陽」の材料照射リグを用いて照射した。照射温度は、7731013Kで照射量は11102dpaであった。組織の安定性については、北海道大学超高圧電子顕微鏡を用いた電子線照射試験により中性子照射後の組織との比較検討を行った。