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今野 力; 太田 雅之; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.1889 - 1893, 2014/10
被引用回数:1 パーセンタイル:8.38(Nuclear Science & Technology)核データライブラリーは核融合炉の核設計の計算精度を左右する重要なデータの1つである。IAEAは核融合炉への応用のために核種毎に各国の核データから最も良いものを選定し編纂している。この核データがFENDLである。2008年に、現版のFENDL-2.1を改訂し、最大エネルギーを20MeVから60MeV以上にし、核種も180に増やすための研究調整プログラムをIAEAは開始した。この新しい版FENDL-3.0は2012年に公開された。そこで、我々は原子力機構FNSでの積分実験、阪大OKTAVIANでの飛行時間実験を使って、このFENDL-3.0のベンチマークテストを行った。このベンチマークテストではモンテカルロコードMCNP-5とIAEAが提供しているFENDL-3.0のACEファイルを用いた。また、比較のためにFENDL-2.1とJENDL-4.0を用いた計算も行った。その結果、FENDL-3.0はFENDL-2.1、JENDL-4.0と同等以上の精度を有することを確認した。
落合 謙太郎; 河村 繕範; 星野 毅; 枝尾 祐希; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 佐藤 聡; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 89(7-8), p.1464 - 1468, 2014/10
被引用回数:8 パーセンタイル:51.95(Nuclear Science & Technology)原子力機構核融合中性子源FNSを用いて、核融合炉ブランケットに関するトリチウム回収実験を実施している。今回、水冷却セラミック増殖ブランケット模擬体系中に、候補増殖材であるチタン酸リチウムを70g設置し、照射を行った。水素ガスあるいは水蒸気を1%含むヘリウムガスを流し、チタン酸リチウムペブル中から放出されたトリチウムを照射中に水バブラーで捕集した。またチタン酸リチウムペブルは照射中、573K, 873Kと1073Kの温度に保持した。トリチウム測定はガス成分と水成分の分離測定が可能なよう機器の調整を行った。実験の結果、トリチウム回収総量は計算による値と測定誤差範囲内でよく一致し、回収されたトリチウムのガス成分と水成分の比は回収ガスの種類とペブルの温度に依存することが明らかになった。
太田 雅之; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 89(9-10), p.2164 - 2168, 2014/10
被引用回数:6 パーセンタイル:41.53(Nuclear Science & Technology)チタンは、核融合炉のトリチウム増殖候補材であるチタン酸リチウムの主成分であり、精度の高い核データが求められている。しかし、チタンの核データベンチマーク実験例は少ない。そこで、JAEA/FNSのDT中性子を用いてチタンの積分実験を行った。実験体系は、45cm45cm40cmのチタンの周りを厚さ5から10cmの酸化リチウムで囲んだもので、体系内に設置したニオブ,アルミニウム,インジウム,金,タングステンの箔の放射化から、ドシメトリー反応の反応率を測定した。また、マイクロフィッションチェンバーを用いて、U及びUの核分裂率を測定した。この実験をENDF/B-VII.0, ENDF/B-VII.1, FENDL-2.1, JEFF-3.1.2, JENDL-3.3, JENDL-4.0, JENDL-4.0uの核データファイルを用いてモンテカルロ中性子輸送計算コードMCNP5-1.40で解析し、実験データとの比較からチタンの核データの妥当性を調べた。
今野 力; 落合 謙太郎; 高倉 耕祐; 佐藤 聡
Nuclear Data Sheets, 118, p.450 - 452, 2014/04
被引用回数:6 パーセンタイル:41.95(Physics, Nuclear)核発熱定数KERMAは核解析において核発熱を算出するためのレスポンスデータとして使われている。KERMAは核データライブラリに含まれているわけではなく、モンテカルロ輸送計算コードMCNPで使われる炉定数ACEファイルに入っており、核データライブラリの中の全ての反応の断面積データをNJOYコードで処理して導出される。多くの人はこれらのデータを疑いもなく使っているが、ACEファイルに入っているKERMAデータは必ずしも正しくないことはほとんど知られていない。そこで、われわれは、最新の核データライブラリJENDL-4.0, ENDF/B-VII.1, JEFF-3.1.1等の公式のACEファイルに入っているKERMAデータを調べた。その結果、多くKERMAデータは必ずしも正しくないことを明らかにした。
今野 力; 加藤 祥成*; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.606 - 609, 2014/04
2007年の核データ国際会議で、自己遮蔽にかかわるJENDL-3.3の非分離共鳴データの問題を指摘した。今回、この非分離共鳴データの問題がJENDL-4.0でどのように変わったかを簡単なテスト計算で調べた。その結果、JENDL-3.3で見られた非分離共鳴データの上限エネルギー付近での中性子スペクトルの段差は解消されていることがわかった。一方、上限エネルギー付近の中性子束は、非分離共鳴による自己遮蔽効果で、JENDL-3.3を用いた場合よりも大きくなり、これほどの自己遮蔽効果には疑問が残る。非分離共鳴による自己遮蔽効果の妥当性を検証するベンチマーク実験はこれまでほとんど行われておらず、今後、このような実験を行う必要がある。
佐藤 聡; 前川 利雄*; 吉松 賢二*; 佐藤 孝一*; 野中 英*; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 今野 力
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.623 - 626, 2014/04
これまでに、核融合炉のような中性子発生装置に用いるコンクリート中の誘導放射能を減らすために、低放射化コンクリート,ボロン入り低放射化コンクリート,普通コンクリートから構成される多層コンクリート構造体の開発を行ってきた。本研究では、製作費用を減らすためにボロン入り低放射化コンクリートの替わりにBCとレジンから成るボロンシートを開発した。このボロンシートを入れた多層コンクリート構造体の遮蔽性能を調べるために4種類の構造体を用いて、FNSでDT中性子照射実験を行った。構造体は、幅30cm,高さ30cm,厚さ50cmであり、厚さ20cmの低放射化コンクリートと厚さ30cmの普通コンクリートから構成される。構造体1では、厚さ4mmのボロンシートを低放射化コンクリートと普通コンクリートの間に挿入した。構造体2では、構造体1の表面から深さ10cmの位置にボロンシートを追加した。構造体3では、構造体2の表面から深さ30cmの位置にボロンシートを追加した。比較のために、構造体4では、ボロンシートを挿入しない構造体を用いて実験を行った。金とニオブの放射化箔を用いて、深さ5cmごとに反応率を測定した。ボロンシートを挿入することにより、低エネルギー中性子で生成される金の反応率が約1/4に減少しており、ボロンシート付多層コンクリート構造体は低エネルギー中性子を効率的に減少させることを実証した。
加藤 祥成*; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.596 - 600, 2014/04
2010年に公開された核データライブラリJENDL-4.0の遮蔽、核融合分野でのベンチマークテストを進めている。今回、20年以上前に大阪大学強力14MeV中性子工学実験装置OKTAVIANで行われた種々の球体系からの漏洩中性子スペクトル測定実験の解析をJENDL-4.0を用いて行った。今回、JENDL-4.0で改定された核種を含むCF, Si, Ti, Cr, Mn, Co, Cu, As, Se, Zr, Nb, Mo, W実験の解析を、モンテカルロ中性子・光子輸送計算コードMCNP5及びJENDL-4.0を用いて行った。また、比較のために、JENDL-3.3, JEFF-3.1, ENDF/B-VII.0を用いた解析も実施した。その結果以下のことがわかった。(1)Si, As, Se, Mo, W実験:JENDL-3.3を用いた解析結果と比較し、全体的に実験との一致が良くなった。(2)CF, Ti, Co, Cu, Zr実験:JENDL-3.3を用いた解析結果とほぼ同じ。(3)Cr, Mn, Nb実験:JENDL3.3を用いた解析結果とほぼ同じであるが、一部、実験との一致は悪くなった。
太田 雅之; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 88(9-10), p.2160 - 2163, 2013/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)3次元モンテカルロ輸送計算コードは、放射線防護、遮蔽、臨界安全性、核分裂及び核融合炉設計や核計装など、広い分野で使われている。MCNPはその標準的な計算コードとして広く使われている。TRIPOLIはITER中性子工学計算コードの一つとして採用されているが、MCNPほど広く使われているわけではなく、特に日本における使用例は少ない。本研究では、TRIPOLIの基本性能を単純なモデル計算とJAEA/FNSにおけるDT中性子源を使用した鉄体系実験の解析を通して調べた。ほとんどの計算において、TRIPOLIによる計算結果はMCNPによる計算結果と良い一致を示した。しかしながら、一部の計算において、おもに非弾性散乱のデータの取り扱いによると見られる差異が生じることを示した。
金 政浩*; 永井 泰樹; 岩本 信之; 湊 太志; 岩本 修; 初川 雄一; 瀬川 麻里子; 原田 秀郎; 今野 力; 落合 謙太郎; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 82(3), p.034201_1 - 034201_8, 2013/03
被引用回数:33 パーセンタイル:80.42(Physics, Multidisciplinary)分子イメージングと核医学治療に期待されている放射性同位体CuとCuの生成断面積を14MeVの加速器中性子を用い測定した。この結果とZn同位体の断面積評価値を用いて、40MeVで5mAの重陽子ビームによるC(d,n)反応からの速中性子を用いて生成されるCuとCuの量を計算した。Cuの生成量は、12時間照射で175gのZnについて1.8テラベクレルであり、Cuの生成量は2日間の照射で、Zn(n,p)Cu反応では184g Znに対して249ギガベクレルであり、Zn(n,x)Cuでは186g Znに対して287ギガベクレルである。以上より、Cuの生成には、極微量不純物放射性同位体しか生成しないZn(n,x)Cu反応を新しく提唱した。また、Cuの生成には、Zn(n,p)Cu反応が期待できる反応であることを示した。
枝尾 祐希; 河村 繕範; 落合 謙太郎; 星野 毅; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 岩井 保則; 山西 敏彦; 今野 力
JAEA-Research 2012-040, 15 Pages, 2013/02
核融合中性子源施設FNSにおいて、トリチウム増殖材のLiTiOに中性子を照射して生成したトリチウムを回収する実験を行った。核融合炉ブランケットを模擬するため、LiTiO充填容器の周囲をBeブロック及びLiTiOブロックで覆った。トリチウム生成量計算による予測値と実験値はほぼ一致した。照射容器は300Cに加熱し、パージガスとしてヘリウム,水素添加ヘリウム,水蒸気添加ヘリウム,水素及び水蒸気添加ヘリウムを選択した。生成トリチウムはHT及びHTOとして放出され、パージガス条件を変えることによりその割合が変わった。水蒸気添加ヘリウムパージでは、98%がHTOで放出された。水蒸気及び水素添加ヘリウムでは80%がHTOで放出され、このHTO放出は水蒸気との同位体交換反応により起こると考えられる。乾燥ヘリウムでは、トリチウムはほとんど放出されなかった。水素添加乾燥ヘリウムでは、6070%がHTとして放出され、このHT放出は水素との同位体交換反応により起こると考えられる。水素添加により起こる水分生成反応によって生じた水蒸気とトリチウムが交換反応を起こすため、水素添加ヘリウムでもHTOが放出された。LiTiO表面が水素による還元状態にある場合はHTOの放出は起こりにくかった。LiTiOからのトリチウム放出化学形はパージガス成分に依存し、LiTiO表面状態の影響を強く受けることが明らかになった。
坂佐井 馨; 藤 健太郎; 中村 龍也; 高倉 耕祐; 今野 力; 岩元 洋介
Proceedings of 2013 IEEE Nuclear Science Symposium and Medical Imaging Conference (2013 NSS/MIC), Vol.3, p.2024 - 2030, 2013/00
KCl:Eu輝尽性蛍光体を広領域の中性子検出に応用するため、本輝尽性蛍光体にLiFとポリエチレンを混合したサンプルを製作し、FNSにて14MeV中性子照射実験を行った。その結果、ポリエチレン濃度が約5%で最大の輝尽性蛍光強度が得られることがわかった。これはモンテカルロ計算及び理論式によるエネルギー付与計算結果と一致した。また、低速・中速エネルギー範囲においては、Li(n,)反応によるものが支配的であることもわかった。さらに、Li(n,)反応において、相対論を用いて粒子のエネルギーを中性子エネルギーの関数として計算したところ、中性子エネルギーが高い場合、実験室系では粒子は一定のエネルギーを有するのではなく、ある幅を持った一様分布になることがわかった。これを用いて粒子の平均の付与エネルギーを計算したところ、5MeV以上の中性子エネルギーではLi(n,)反応だけでなく、K(n,)反応のような核破砕反応がエネルギー付与に寄与することがわかった。
大西 世紀*; 近藤 恵太郎*; 東 哲史*; 佐藤 聡; 落合 謙太郎; 高倉 耕祐; 村田 勲*; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 87(5-6), p.695 - 699, 2012/08
被引用回数:11 パーセンタイル:62.06(Nuclear Science & Technology)散乱断面積データの検証のために、DT中性子ビームを用いた新たな積分実験を開始した。最初に、コリメーターでDT中性子ビームを構築し、その特性を調べた。次に、このDT中性子ビームを用いて、SUS316体系を用いた新しい積分実験を行った。体系内中心軸上及び中心軸から15cm, 30cm離れた点でNb(n,2n)Nb反応の反応率を放射化箔法で測定し、モンテカルロコードMCNP及び核データライブラリJENDL-4.0, JENDL-3.3, ENDF/B-VI.8を用いた計算との比較を行った。実験値に対する計算値の比はどの核データを用いても中心軸から離れるにつれて1より小さくなった。0度よりも大きな角度に散乱する断面積に問題がある可能性を指摘した。
今野 力; 和田 政行*; 近藤 恵太郎; 大西 世紀; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Fusion Engineering and Design, 86(9-11), p.2682 - 2685, 2011/10
被引用回数:4 パーセンタイル:31.74(Nuclear Science & Technology)2010年春、日本の核データライブラリJENDLは大改訂が行われ、JENDL-4.0として公開された。今回、JENDL-4.0の鉄データの詳細ベンチマークテストとして、原子力機構FNSのDT中性子入射鉄積分ベンチマーク実験を、JENDL-4.0を用いてMCNP4Cコードで解析した。その結果、JENDL-3.3の 鉄データで指摘されていた問題点(例えば、Feの第1励起非弾性散乱断面積,Feの弾性散乱の角分布)がJENDL-4.0の鉄データでは適切に修正されていることがわかった。JENDL-4.0の鉄データはENDF/B-VII.0やJEFF-3.1の鉄データと比べても遜色ないだけでなく、部分的には凌駕していると言える。
近藤 恵太郎; 八木 貴宏*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 高倉 耕祐; 大西 世紀; 今野 力
Fusion Engineering and Design, 86(9-11), p.2184 - 2187, 2011/10
被引用回数:2 パーセンタイル:17.88(Nuclear Science & Technology)原子力機構のFNS施設で、ITERのテストブランケットモジュールのため、Li濃縮LiTiOとベリリウムを用いて行われたブランケット核特性実験で、中性子源をステンレス316の反射体で囲んだ場合、トリチウム生成率(TPR)の計算値が実験値をおよそ10%系統的に過大評価する傾向が見られていた。しかし、最近実施した天然組成のLiTiOとベリリウムを用いたブランケット核特性実験では、反射体はTPRの予測精度に影響を及ぼさなかった。過去の実験値について詳細に調べた結果、測定されたTPR分布に物理的におかしな点があることがわかった。過去の実験値に問題があったかどうかを確かめるため、過去の実験と同じ体系を用いたブランケット核特性実験を再度実施した。その結果、TPRの測定値は測定誤差6%の範囲内で計算値とよく一致した。以上の結果から、過去の実験データには何らかの問題があった可能性が高く、反射体によるTPRの予測精度の悪化は起こらないと結論した。
佐藤 聡; 前川 利雄*; 吉松 賢二*; 佐藤 孝一*; 野中 英*; 高倉 耕祐; 落合 謙太郎; 今野 力
Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.1131 - 1134, 2011/10
被引用回数:11 パーセンタイル:62.72(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉等の中性子発生施設に用いるコンクリート壁に関し、建設コストや廃棄コストの増加を抑制しながら誘導放射能を低減させることを目的として、ボロン含有コンクリート層を有する多層コンクリート構造体を開発した。本構造体は、中性子線源側から順に、低放射化コンクリート,ボロン含有低放射化コンクリート,普通コンクリートから構成されている。本研究では、多層コンクリート構造体の有効性を確認するために、原子力機構の核融合中性子源施設FNSを用いて、多層コンクリート構造体試験体の14MeV中性子照射実験を行い、金とニオブの反応率分布,コンクリート中の誘導放射能分布を測定した。比較のために、普通コンクリート単一構造体及びボロン含有低放射化コンクリート単一構造体に対しても、照射実験を行った。多層構造コンクリート構造体では、試験体表面から深さ15cmの位置での金の反応率は、普通コンクリート単一構造体のおおむね1/3程度となった。また、その値は、ボロン含有コンクリート単一構造体での金の反応率とほぼ同じ値であり、開発した多層コンクリート構造体を用いることにより費用の高いボロン量を抑制しながら、誘導放射能を低減させることができることを確認した。
今野 力; 高倉 耕祐; 和田 政行*; 近藤 恵太郎; 大西 世紀*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.346 - 357, 2011/10
2010年の春、日本の核データライブラリJENDLは大改訂が行われ、JENDL-4.0として公開された。今回、遮蔽分野,核融合分野でのJENDL-4.0のベンチマークテストの一つとして、原子力機構FNSで以前実施した種々のDT中性子入射積分ベンチマーク実験(体系内実験,飛行時間法実験)を、JENDL-4.0を用いてMCNP4Cコードで解析した。解析は、JENDL-3.3からJENDL-4.0で改訂された核種(ベリリウム,炭素,ケイ素,バナジウム,銅,タングステン,鉛)を含むFNSの積分実験を対象にした。解析の結果、JENDL-4.0ではJENDL-3.3の問題点の多くが修正され、ENDF/B-VII.0やJEFF-3.1と比べても遜色ないことがわかった。
今野 力; 高倉 耕祐; 近藤 恵太郎; 大西 世紀*; 落合 謙太郎; 佐藤 聡
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 2, p.341 - 345, 2011/10
これまでに、断面積の自己遮蔽補正の観点で、多群ライブラリVITAMIN-B6, JSSTDL-300はバックグランド断面積及び荷重フラックスが不適切であることを指摘してきた。今回、最近の多群ライブラリMATXS-J33, MATJEFF3.1.BOLIB, VITJEFF3.1.BOLIB, VITENEA-J, HILO2k, SCALE6のENDF/B-VII.0のAMPXファイル、ADS-2.0のMTXSファイルについて、同様の問題があるかどうかを調べた。簡単なテスト計算の結果、MATXS-J33では問題はなかったものの、VITJEFF3.1.BOLIB, VITENEA-J, HILO2k, SCALE6のENDF/B-VIIのAMPXファイルは不適切な荷重フラックスを使って作られており、VITJEFF3.1.BOLIB, MATJEFF3.1.BOLIBとADS-2.0のMTXSファイルは、バックグランド断面積が適切でないことがわかった。VITJEFF3.1.BOLIB, VITENEA-J, HILO2k, SCALE6のENDF/B-VIIのAMPXファイル、MATJEFF3.1.BOLIBとADS-2.0のMTXSファイルを用いた計算では自己遮蔽補正が必ずしも適切に行われず、計算結果に大きな影響を与えることに注意する必要がある。
初川 雄一; 永井 泰樹; 金 政浩; 瀬川 麻里子; 原田 秀郎; 岩本 修; 岩本 信之; 落合 謙太郎; 高倉 耕祐; 今野 力; et al.
Proceedings in Radiochemistry, 1(1), p.327 - 329, 2011/09
核医学において最もよく用いられているTcの供給は危機に面しており、新たな製造プロセスの開発は喫緊の問題である。本研究はTcをFNSより発生される14MeV高速中性子を用いて効率よく製造することを提案するものであり、試験的に作成したチタン酸ゲルを用いたTc/Moジェネレータについても併せて発表を行う。
田中 照也*; 佐藤 聡; 近藤 恵太郎; 落合 謙太郎; 村田 勲*; 高倉 耕祐; 佐藤 文信*; 加田 渉*; 飯田 敏行*; 今野 力; et al.
Fusion Science and Technology, 60(2), p.681 - 686, 2011/08
被引用回数:1 パーセンタイル:10.53(Nuclear Science & Technology)Li/V合金ブランケット設計における核計算精度を調べるため、内部に5cm厚のV合金層を設けた465151cmの固体Liブロック体系に対する14MeV中性子照射実験を実施した。体系内にはNb, Ni, In, Au箔、及びLi濃縮(Li: 95.5%), Li濃縮(Li: 99.9%)LiCOペレットを設置し、Nb(n,2n)Nb, Ni(n,p)Co, In(n,n')In, Au(n,)Au反応の反応率とトリチウム生成率を測定した。測定結果はMCNP5, JENDL-3.3, JENDL/D-99を用いた中性子輸送,反応率計算結果と比較した。Nb, Ni, In箔の反応率についての比較は、高速中性子輸送に関しておおむね10%以内で実験と計算が一致していることを示した。Au箔の反応率についてはV合金層表面において15%程度計算値が過小となり、過去に指摘されているVの4keV付近の弾性散乱断面積の問題に起因している可能性がある。トリチウム生成率についてはLi濃縮,Li濃縮LiCOペレットで各々、2-8%及び1-4%で計算値と実験値は一致した。
落合 謙太郎; 近藤 恵太郎; 大西 世紀; 高倉 耕祐; 佐藤 聡; 阿部 雄一; 今野 力; 鈴木 ちひろ*; 八木 貴宏*
Journal of the Korean Physical Society, 59(2), p.1953 - 1956, 2011/08
被引用回数:4 パーセンタイル:33.24(Physics, Multidisciplinary)鉛は核融合炉ブランケットの中性子増倍材として重要な候補材料の一つである。われわれはDT中性子源施設である原子力機構FNS施設で、DT中性子による鉛のベンチマーク実験を実施し、鉛の評価済み核データの妥当性検証を実施した。45.3cm立方体の鉛体系に距離20cmの位置からDT中性子を照射した。鉛体系内の中性子場の評価として、Al(n,)Na, Nb(n,2n)Nb, Zr(n,2n)Zr及びIn(n,n')In反応による放射化箔法と2MeV以上の中性子スペクトル測定を行った。検証した核データはJENDL-3.3, ENDF/B-VII.0, JEFF-3.1及びFENDL-2.1で、モンテカルロコードMCNPを用いて、上記の反応率と中性子スペクトルを計算し、実験値との比較を行った。その結果、ENDF/B-VII.0, JEFF-3.1及びFENDL-2.1による計算結果は実験と良い一致を示した。一方、JENDL-3.3を用いた計算結果は実験と明らかな不一致があり、JENDL-3.3の(n,2n)及び非弾性散乱断面積データがこの不一致に大きく寄与していることを明らかにした。