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江口 悠太; 菅原 隆徳; 西原 健司; 田澤 勇次郎; 辻本 和文
Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 8 Pages, 2018/07
加速器駆動核変換システム(ADS)の基礎核特性研究のため、J-PARC計画において核変換物理実験施設(TEF-P)の建設が検討されている。本研究では、崩壊熱の大きなマイナーアクチノイド(MA)燃料を多く使用するTEF-Pにおいて、炉心冷却システムが停止した場合の自然冷却特性の評価、及びその際に炉心が損傷しない設計条件検討を行った。TEF-Pの炉心温度評価においては、炉心周辺部の空格子管領域が断熱層として大きく影響を及ぼすことから、空格子管領域の熱伝達特性を測定するモックアップ試験装置を製作して実験を行い、実験的な熱伝達率を得た。この結果を元に、TEF-P炉心の三次元伝熱解析を実施し、制限温度である327Cを下回る294Cという結果を得た。
田澤 勇次郎; 西原 健司; 菅原 隆徳; 辻本 和文; 佐々 敏信; 江口 悠太; 菊地 将司*; 井上 昭*
JAEA-Technology 2016-029, 52 Pages, 2016/12
大強度陽子加速器施設J-PARCに建設が予定されている核変換物理実験施設(TEF-P: Transmutation Physics Experimental Facility)ではマイナーアクチノイド(MA)を含む燃料を用いた実験が計画されている。MA含有燃料は高い放射能を有するため、燃料取扱設備は遠隔操作によるシステムとする必要がある。これらの設備の設計製作に必要なデータを取得する試験装置群(MA燃料遠隔取扱試験設備)のうち、燃料装填試験装置の製作及び試験結果について報告する。燃料装填装置で要求される遠隔操作を模擬した試験装置を製作し、模擬炉心に対するMA燃料ピン模擬体の装荷、取出し試験を実施した。製作、試験により、MA燃料を取扱う燃料装填装置の基本概念の成立性が確認された。
江口 悠太; 菅原 隆徳; 西原 健司; 田澤 勇次郎; 井上 昭; 辻本 和文
JAEA-Technology 2015-052, 34 Pages, 2016/03
大強度陽子加速器施設J-PARC計画で建設が予定されている核変換物理実験施設(TEF-P: Transmutation Physics Experimental Facility)では、MAを含む崩壊熱の大きな燃料を大量に取り扱うため、炉心冷却ブロワ停止時の炉心温度上昇の評価が不可欠である。冷却ブロワ停止時の炉心温度変化は全炉心熱伝導解析によって評価されるが、燃料及びブランケット領域の外側の空格子管領域に適用されている熱通過パラメータの適用性の検証が必要である。本報告書では、空格子管内部における伝熱量の算出モデルである、鉛直等温平面の上下を断熱材で囲った密閉流体層の自由対流モデルの精度検証のため、TEF-P炉心の格子管形状を模擬した試験装置を製作し、試験装置の格子管内部を通過する一次元熱流と温度分布を測定した。これにより、実際の空格子管内部の等価熱伝導率は密閉流体層の自由対流モデルよりも大きいことが明らかになった。また、空格子管内部にアルミニウムブロックを充填することで空格子管体系よりも高い等価熱伝導率となることを確認した。本実験により、TEF-P炉心の温度評価に供することができる熱通過パラメータを実験的に取得した。
西原 健司; 田澤 勇次郎; 井上 昭; 菅原 隆徳; 辻本 和文; 佐々 敏信; 大林 寛生; 山口 和司; 菊地 将司*
JAEA-Technology 2015-051, 47 Pages, 2016/03
J-PARCに建設が計画されている核変換物理実験施設(TEF-P)で用いる高線量のMA含有燃料の取扱い設備の設計製作に必要なデータを取得する試験装置群(MA燃料遠隔取扱試験設備)の内、燃料冷却試験装置の製作及び試験結果についてとりまとめる。試験によりTEF-Pの設計に用いる圧力損失及び温度上昇の評価式が妥当であることが確認され、冷却概念の成立性が示された。
辻 延昌*; 大橋 一孝*; 田澤 勇次郎*; 橘 幸男; 大橋 弘史; 高松 邦吉
FAPIG, (190), p.20 - 24, 2015/07
強制冷却喪失事故時、高温ガス炉の崩壊熱は輻射、熱伝導および自然対流で除去される。そのため、受動的な除熱量を評価し高温ガス炉の固有の安全性を確認することは重要である。本論文では、汎用熱流動解析コードを用いて、通常運転時の強制対流および強制冷却喪失事故時の自然対流を解析した。その際、燃料温度は自然対流に大きく影響されるため、炉心領域の自然対流を精度良く評価することが重要である。また、マルチホール型燃料とピンインブロック型燃料の熱流動特性についても比較を行った。
菅原 隆徳; 西原 健司; 佐々 敏信; 辻本 和文; 田澤 勇次郎; 大井川 宏之
JAEA-Technology 2014-044, 59 Pages, 2015/03
J-PARCにおいて建設が計画されている核変換物理実験施設(TEF-P)は、低出力の臨界集合体であるが、高い発熱・放射能を有するマイナーアクチノイド(MA)を含んだ燃料を多量に取り扱うことを想定している。本報ではTEF-Pで使用を想定しているMA燃料の貯蔵、移送、装荷の各段階に対して、取扱い概念を検討し、臨界性、線量率、冷却性を評価した。臨界安全性については、貯蔵、移送、装荷の各段階で十分に低い実効増倍率となることがわかった。線量率に関しては、線量の高い作業を抽出し、これらの作業に遠隔操作を取り入れることで、十分に作業者の被ばく量を低減できる見通しを得た。除熱性については、通常運転時には十分に低い温度に保てることが示されたが、貯蔵室及び炉心装荷時に、貯蔵室空調あるいは炉心冷却ブロアが長期間停止した場合には燃料破損の恐れがあり、それに対する対策が必要なことを明らかにした。
大橋 弘史; 佐藤 博之; 田澤 勇次郎; 相原 純; 野本 恭信; 今井 良行; 後藤 実; 井坂 和義; 橘 幸男; 國富 一彦
JAEA-Technology 2013-017, 71 Pages, 2014/02
原子力機構は、小型高温ガス炉システムの開発途上国等への2030年代の世界展開を目指し、蒸気タービンによる発電、工業プロセスへの高温蒸気、及び地域暖房への低温蒸気供給を目的とした小型高温ガス炉システムの商用1号機あるいは実証炉と位置づけられるリファレンスの原子炉として、原子炉熱出力50MWtの小型高温ガス炉システム(HTR50S)の概念設計を進めている。安全設計では、早期の建設を目指して、我が国において既に設置許可を取得している高温工学試験研究炉(HTTR)の安全設計の内容を基本としながらも、強制循環冷却系の残留熱除去設備である停止時冷却設備の非「工学的安全施設」化による防護の最適化、安全上の機能を有する系統・機器である炉容器冷却設備の受動設備化等を行った。さらに、主要な事故事象として選定した1次冷却設備二重管破断事故、及び蒸気発生器伝熱管破損事故についての安全予備評価を実施し、判断基準を満足することを確認した。本報では、小型高温ガス炉システムの安全設計及び安全予備評価の結果について報告する。
大橋 弘史; 佐藤 博之; Yan, X.; 角田 淳弥; 野本 恭信; 田澤 勇次郎; 野口 弘喜; 今井 良行; 橘 幸男
JAEA-Technology 2013-016, 176 Pages, 2013/09
原子力機構は、小型高温ガス炉システムの開発途上国等への2030年代の世界展開を目指し、蒸気タービンによる発電、工業プロセスへの高温蒸気、及び地域暖房への低温蒸気供給を目的とした小型高温ガス炉システムの商用1号機あるいは実証炉と位置づけられるリファレンスの原子炉として、原子炉熱出力50MWtの小型高温ガス炉システム(HTR50S)の概念設計を進めている。本検討では、HTR50Sのプラント設計として、原子炉出口温度750Cで発電,蒸気供給,地域暖房を行うシステムを対象としたうえで、原子炉出口温度900Cへの高温化及び中間熱交換器の追設を考慮に入れ、プラント基本仕様及び各設備の設計要件に基づき、炉内構造物,原子炉圧力容器,炉容器冷却設備,停止時冷却設備,中間熱交換器,蒸気発生器及びヘリウムガス循環機,蒸気発生器隔離及びドレン設備,原子炉格納容器,発電設備及び熱供給設備の概念設計、並びに配置概念検討を実施した。これらの結果、各設備ともに設計目標を達成でき、小型高温ガス炉システムの概念設計の技術的成立性を示すことができた。本報は、小型高温ガス炉システムのプラント設計及び技術的成立性評価の結果について報告する。
佐藤 博之; 大橋 弘史; 田澤 勇次郎; 今井 良行; 中川 繁昭; 橘 幸男; 國富 一彦
JAEA-Technology 2013-015, 68 Pages, 2013/06
本報告では、熱化学法ISプロセスによる水素製造施設を高温ガス炉に接続するうえでの安全設計に対する考え方を具体化するとともに、安全設計方針及び適合のための設計方針、水素製造施設を非「原子炉施設」として扱うための条件とこれに応じた設計対応を示した。また、HTTR-IS水素製造システムを対象に、水素製造施設の非「原子炉施設」化のための設計対応及び安全設計方針適合のための設計方針が工学的に成立することを明らかにした。
大橋 弘史; 佐藤 博之; 後藤 実; Yan, X.; 角田 淳弥; 田澤 勇次郎*; 野本 恭信; 相原 純; 稲葉 良知; 深谷 裕司; et al.
International Journal of Nuclear Energy, 2013, p.918567_1 - 918567_18, 2013/00
原子力機構は、開発途上国等による2020年代の実証的高温ガス炉システムの建設を目指して、送電網が整備されていない中小都市向けの熱出力50MWの小型高温ガス炉(原子炉出口温度750C及び900C)の概念設計を実施した。設計思想は、地域暖房,プロセス熱供給,ガスタービン発電及び熱化学法による水素製造の実証試験等の多目的熱利用に係るユーザーの要請に応えることが可能なこと、HTTRの設計を基に特段の研究開発なしでHTTRより性能を向上させること、高温ガス炉の固有の特性及び受動的崩壊熱除去系を用いて安全性をより向上させることである。設計目標に対する設計結果及び代表的な事象に対する安全予備評価の結果、設計した小型高温ガス炉の技術的成立性を示すことができた。
中野 正明*; 高田 英治*; 辻 延昌*; 徳原 一実*; 大橋 一孝*; 岡本 太志*; 田澤 勇次郎; 橘 幸男
Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2012/10
安全性を高めた実用高温ガス炉として、熱出力600MW、原子炉冷却材出口温度950Cのマルチホール型燃料を使用したブロック型炉心の概念設計を進めている。炉停止後の崩壊熱除去は、受動的システムである自然循環による炉容器冷却系(RCCS)のみで、仮に全電源喪失を仮定した場合でも対応可能な設計としている。本研究では、炉心の基本仕様を満たす核熱設計を行った後、代表的な事故事象を想定して安全解析を実施した。1次系の減圧事故を想定した原子炉冷却挙動解析の結果、RCCSのみで燃料及び原子炉圧力容器温度が安全評価上の判断基準を下回ることを示した。また、実用炉として考慮すべきプラント保守性に関して、通常運転中の燃料からの核分裂生成物放出量を評価して、タービン等の1次冷却系機器のメンテナンス性に問題ないことを確認した。このことより、受動的システムを採用した高温ガス炉は、その固有の安全特性により高度な安全性を確保できることが示された。
辻 延昌*; 中野 正明*; 高田 英治*; 徳原 一実*; 大橋 一孝*; 岡本 太志*; 田澤 勇次郎; 稲葉 良知; 橘 幸男
Proceedings of 6th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2012) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2012/10
固有の安全性を高めた高温ガス炉では、炉心の崩壊熱を動的機器に頼ることなく、熱伝導,ふく射及び自然対流により除熱する受動的冷却システムとして、原子炉圧力容器を外表面から冷却する炉容器冷却系(RCCS)が採用される。また、炉心高性能化として冷却材温度を高温化した場合、原子炉圧力容器の信頼性の高い温度評価が要求される。本研究では、温度評価手法の高度化を目的に、高温工学試験研究炉(HTTR)炉心を模擬してCFD解析ツールを用いた熱流動解析を行い、その適用性を評価した。原子炉内部から炉容器冷却系までを3次元30度セクターモデル化し、定常解析及び冷却材循環停止時の過渡解析を実施した。定常解析結果から、炉内構造物の温度計算値と実測値との比較を行い、固定反射体ブロック温度が実測値とおおむね一致することを確認した。また、過渡解析結果から、冷却材循環停止後の炉内自然循環挙動と圧力容器温度の変化を明らかにした。これにより、実機規模での温度評価手法として3次元熱流動解析が十分適用可能であることを示すことができた。
大橋 弘史; 佐藤 博之; 田澤 勇次郎; Yan, X.; 橘 幸男; 國富 一彦
Proceedings of ASME 2011 Small Modular Reactors Symposium (SMR 2011) (CD-ROM), 10 Pages, 2011/09
日本原子力研究開発機構は、小型高温ガス炉システムの開発途上国等への2030年代の世界展開を目指し、蒸気タービンによる発電,工業プロセスへの高温蒸気、及び地域暖房への低温蒸気供給を目的とした原子炉熱出力50MWt,原子炉出口温度750Cの発電・蒸気供給用小型高温ガス炉システム(HTR50S)の概念設計を開始した。設計の基本思想は、HTTRの試験・運転で得られた知見及びGTHTR300設計の成果を活用することで、商用化に向けた性能向上,コスト低減を図りながら高い先進性を持つ原子炉とすることである。これをもとに、基本仕様を定めるとともに、技術実証の目標を定めた。また、蒸気タービン発電,蒸気タービン発電と地域熱供給、及び蒸気タービン発電と高温蒸気供給のコジェネレーションシステムを対象として、それぞれの系統構成を定めた。さらに、小型高温ガス炉システムの利用に関するエネルギー需要を調査し、開発途上国において小型高温ガス炉システムの需要があることを示した。
大橋 弘史; 佐藤 博之; 田澤 勇次郎; Yan, X.; 橘 幸男
JAEA-Technology 2011-013, 67 Pages, 2011/06
原子力機構では、開発途上国等への2030年代の世界展開を目指した小型高温ガス炉システムの概念設計を開始した。本報告では、HTTRで得られた知見及びGTHTR300設計の成果を活用し、極力、研究開発要素を排除し、かつ、商用化に向けた性能向上,コスト低減を図りながら高い先進性を持つ小型高温ガス炉システムの基本仕様を定めるとともに、高出力密度化,燃料の濃縮度数の低減等の技術実証の目標を定めた。さらに、蒸気タービン発電,蒸気タービン発電と地域熱供給のコジェネレーション、及び蒸気タービン発電と高温蒸気供給のコジェネレーションシステムを対象として、それぞれの系統概念設計を行い、系統構成を定めた。加えて、開発途上国を中心に調査対象国を選定し、各国のエネルギー消費量について調査を行い、それらのエネルギー消費量に基づき調査ケースごとに小型高温ガス炉システムの導入基数を試算し、エネルギー需要の観点から、十分な市場規模が存在することを明らかにした。
佐藤 博之; 大橋 弘史; 田澤 勇次郎; 坂場 成昭; 橘 幸男
Journal of Engineering for Gas Turbines and Power, 133(2), p.022902_1 - 022902_8, 2011/02
被引用回数:6 パーセンタイル:34.77(Engineering, Mechanical)高温工学試験研究炉(HTTR)からの高温核熱を用いて、熱化学法ISプロセスにより水素製造を実証するHTTR-IS水素製造システムの安全評価を実施した。HTTRへの水素製造設備接続における設備変更に伴い、安全審査時における事象の代表性もしくは包絡性に変更が生じる可能性がある事象について、システム評価コードを用いて安全解析を実施し、中間熱交換器用1次ヘリウム循環機の回転数上昇,2次ヘリウム冷却設備二重管破断などの各事象において、HTTR安全審査時に定められている運転時の異常な過渡時及び事故時の判断基準を満足することを明らかにした。
佐藤 博之; 大橋 弘史; 田澤 勇次郎; 坂場 成昭; 橘 幸男
JAEA-Technology 2010-012, 65 Pages, 2010/06
原子力機構では、高温工学試験研究炉(HTTR)からの高温核熱を用いて、熱化学法ISプロセスにより水素製造を実証するシステム(HTTR-IS水素製造システム)の設計研究を進めている。これまでの検討により、HTTRへの水素製造設備接続における設備変更に伴い、安全評価において新たな事象として解析が必要な事象(運転時の異常な過渡及び事故)及びHTTR安全審査時における事象の代表性もしくは包絡性に変更が生じる可能性がある事象を抽出した。そこで、これらの事象について、将来の国による安全評価に先立ち、システム評価コードを用いて安全予備解析を実施した。解析の結果、中間熱交換器用1次ヘリウム循環機の回転数上昇、2次ヘリウム冷却設備二重管破断などの各事象において、HTTRの安全審査時に定められている運転時の異常な過渡時及び事故時の判断基準を満足することを明らかにした。
佐藤 博之; 大橋 弘史; 田澤 勇次郎; 坂場 成昭; 橘 幸男
Proceedings of 18th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-18) (CD-ROM), 10 Pages, 2010/05
高温ガス炉を熱源とした水素製造システムの安全評価手法確立を目的として、HTTRを熱源としてISプロセスによる水素製造を行うHTTR-ISシステムの安全解析評価を行った。摘出された5つの運転時の異常な過渡変化及び3つの事故事象に対してプラント過渡挙動評価を行った結果、評価項目である燃料最高温度,原子炉冷却材圧力バウンダリ温度及び圧力は評価基準を上回ることがないことを明らかにした。
武井 早憲; 大内 伸夫; 佐々 敏信; 濱口 大; 菊地 賢司*; 倉田 有司; 西原 健司; 大林 寛生; 斎藤 滋; 菅原 隆徳; et al.
Proceedings of International Topical Meeting on Nuclear Research Applications and Utilization of Accelerators (CD-ROM), 11 Pages, 2009/05
原子力機構は長寿命放射性核種の核変換処理を目指した加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を進めている。原子力機構が提案するADSは、超伝導陽子加速器で熱出力800MWの鉛ビスマス冷却タンク型未臨界炉を駆動するものである。将来のADSの設計研究としては、超伝導陽子加速器用クライオモジュールの製作と試験、現存する加速器の運転データに基づく陽子加速器の信頼性評価などを行っている。J-PARCプロジェクトの核変換実験施設計画については、マイナーアクチノイド燃料を取り扱うための実験装置を含めた設計研究を進めている。
大橋 一孝*; 西原 哲夫; 田澤 勇次郎; 橘 幸男; 國富 一彦
JAEA-Technology 2008-093, 56 Pages, 2009/03
日本原子力研究開発機構で開発を進めているHTTR-ISシステムやGTHTR300Cに代表される高温ガス炉水素製造システムは、原子炉に化学プラントを結合するという世界的にも前例のないものであるため、その安全設計上のロジックや安全規制の枠組みについて、新たに構築を図っていく必要がある。そこで、高温ガス炉水素製造システムの安全評価において考慮すべき現象や事故解析の対象とすべき評価事象について検討を行い、さらに、その結果に基づき、爆発事故と毒性ガス漏えい事故に対する新たな判断基準を設定するための検討を実施した。特に、爆発事故については、建屋の健全性を判断する基準を具体的に定め、試計算を実施することにより、その適用性を確認した。また、水素製造設備の非「原子炉施設」化のためには、水素製造設備で発生する異常事象は外部事象として扱う必要が生じるが、その際の評価の基本方針についても明らかにした。
大井川 宏之; 西原 健司; 佐々 敏信; 辻本 和文; 菅原 隆徳; 岩永 宏平; 菊地 賢司; 倉田 有司; 武井 早憲; 斎藤 滋; et al.
Proceedings of 5th International Workshop on the Utilisation and Reliability of High Power Proton Accelerators (HPPA-5), p.387 - 399, 2008/04
原子力機構は長寿命放射性核種の核変換処理を目指した加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発を進めている。原子力機構が提案するADSは、30MWの超伝導陽子加速器で熱出力800MWの鉛ビスマス冷却タンク型未臨界炉を駆動するものである。将来のADSの設計研究としては、燃料被覆管の最高温度低減とビーム窓の成立性検証を行っている。J-PARCプロジェクトの核変換実験施設計画については、マイナーアクチニド燃料を取り扱うための実験装置を含めた設計研究を進めている。ADSの研究開発を促進するためには研究開発ロードマップを国際的に共有することが必要である。核変換実験施設計画は、このような国際協力体制の下、基礎的で多様な実験を行うための基盤施設として重要な役割を担うことができる。