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柳澤 華代; 横田 裕海*; 藤本 勝成*; 高貝 慶隆*
分析化学, 73(9), p.515 - 522, 2024/09
オンライン同位体希釈-レーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析法(オンラインID-LA-ICP-MS)はレーザーによって掘削した地点ごとの定量とその元素の定量マッピングが可能である。このフローピークとして得られるデータ容量は、取得するm/z数、走査時間、測定位置数等に乗じた数となるので膨大なデータ量になり、その処理に必要な人的・時間的負荷が大きかった。バックグラウンドノイズ(BGN)とレーザー照射に伴う時間的な強度変化(応答)を弁別するため、罰則項付き非対称最小二乗法を用いるピーク検出法を開発し、データ処理の効率化を目的として、Pythonを用いる独自のソフトウェアを作製した。オンラインID-LA-ICP-MSによるアカネズミ奥歯の分析を行い、547,200次元の計測データを本法により処理した結果、手動による約20時間の処理を約30秒に短縮した。本研究はオンラインID-LA-ICP-MSのみならず、さまざまなフローインジェクション分析への応用が期待できる。
柳澤 華代; 松枝 誠; 古川 真*; 石庭 寛子*; 和田 敏裕*; 平田 岳史*; 高貝 慶隆*
Analyst, 148(18), p.4291 - 4299, 2023/09
被引用回数:1 パーセンタイル:22.90(Chemistry, Analytical)固体表面の定量マッピングが可能なオンライン同位体希釈レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(オンラインLA-ICP-IDMS)を開発した。LAで生成された試料エアロゾルは、独自開発したサイクロン式スプレーチャンバーを介して、同位体濃縮液のミストとオンラインで混合され、ICP-MSへと導入される。その後、同位体比の計算などを通じて各スポットにおける定量イメージング像を作成した。モデル元素としてFeとSrを選択し、オンライン同位体希釈に基づく定量によって認証標準物質を定量したところ、認証値と定量値の結果は良好であった。本法を生体硬組織に適用し、電子プローブマイクロアナライザーのデータと比較した結果、鉄とSrのような微量元素の定量に有効であることを確認した。
柳澤 華代; 松枝 誠; 古川 真*; 高貝 慶隆*
Analytical Sciences, 38(8), p.1105 - 1114, 2022/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Analytical)本研究は超音波霧化と窒素混合ガス効果を組み合わせることで誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)の感度が向上することを実証したものである。本論文では市販のネブライザー(同軸ネブライザー、超音波ネブライザー)を用いて、ネブライザーガス中の窒素ガス濃度(0-5%)が63元素の感度に与える影響を示すとともに、各条件における検出限界を算出した。また、それぞれの感度、バックグラウンドノイズ強度、およびプラズマ内の3次元強度分布を比較することで、混合ガスプラズマと噴霧法の組み合わせによる感度向上効果への影響を明らかにした。
柳澤 華代*; 小田島 瑞樹*; 松枝 誠; 古川 真*; 高貝 慶隆*
Talanta, 244, p.123442_1 - 123442_7, 2022/07
被引用回数:3 パーセンタイル:30.98(Chemistry, Analytical)オンライン固相抽出(SPE)-ICP-QMSとSr-88/Sr-86比を用いた同位体希釈(ID)法の組合せにより、低濃度のSr-90定量を達成した。本法は放射性標準物質や検量線が不要でデータ取得もワンショットで行うことができる。また、同重体のZr-90などの有意な干渉が存在しても、Sr-90を15分以内で定量する。Sr-90の検出下限値は10mL注入で5.6Bq/Lであり、注入量を増やすとさらに改善する。
小荒井 一真; 松枝 誠; 青木 譲; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 寺島 元基
KEK Proceedings 2021-2, p.140 - 145, 2021/12
従来の放射能測定法は、緊急時の迅速な測定が困難な点や、大量の試料を短期間に測定できない点がSr分析の課題である。放射能測定以外の手法として、ICP-MSによるSrの定量が試みられている。土壌や水以外のSrの重要な分析対象として骨等のCaを多く含む高マトリックス試料も挙げられる。本研究では、ICP-MSによる歯や骨といった硬組織のSr分析方法を開発し、開発した手法をウシ骨に対して適用した。検出下限値19Bq/kgでウシ骨中Srを定量することが可能であり、実際の硬組織中のSrも定量することができた。
小荒井 一真; 松枝 誠; 青木 譲; 柳澤 華代*; 寺島 元基; 藤原 健壮; 木野 康志*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 鈴木 敏彦*; et al.
Journal of Analytical Atomic Spectrometry, 36(8), p.1678 - 1682, 2021/08
被引用回数:7 パーセンタイル:59.92(Chemistry, Analytical)ウシの硬組織用のSr分析法をICP-MS用いて開発した。0.1gの硬組織に対して、従来の放射能測定法より低い検出下限値で、11時間での分析を可能とした。そのため、ICP-MS法は微小な骨や歯試料を対象とした迅速かつ有効な分析手法となり得る。
松枝 誠; 柳澤 華代*; 小荒井 一真; 寺島 元基; 藤原 健壮; 阿部 寛信; 北村 哲浩; 高貝 慶隆*
ACS Omega (Internet), 6(29), p.19281 - 19290, 2021/07
被引用回数:3 パーセンタイル:11.15(Chemistry, Multidisciplinary)多段階分離を用いた干渉物質(Ru及びMo)の除去を利用した完全自動のオンライン固相抽出ICP-MS分析法を開発した。TcのICP-MS分析では試料中に大過剰に含まれるMo由来の同重体(MoH)が定量を阻害するが、本法はTc/Mo = 1.510のアバンダンス比を得ており、ICP-MSの適用範囲を拡張した。検出下限値は50 mL導入で9.3pg/L、測定時間は24分であった。
小荒井 一真; 松枝 誠; 青木 譲; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 寺島 元基; 北村 哲浩; 阿部 寛信
KEK Proceedings 2020-4, p.180 - 185, 2020/11
従来の放射能測定法は、緊急時の迅速な測定が困難な点や、大量の試料を短期間に測定できない点がSr分析の課題である。放射能測定以外の手法として、ICP-MSによるSrの定量が試みられている。土壌や水以外のSrの重要な分析対象として骨等のCaを多く含む高マトリックス試料も挙げられる。本研究では、ICP-MSによる歯や骨といった硬組織のSr分析への適用性を検討した。魚の骨試料を対象にカラムを用いて化学分離を行ったところ、カラムへの試料導入と2.6M硝酸での洗浄の段階で、安定Srは効率よく回収し、Ca, Feはほぼ全て除去できた。Mg, Baは完全に除去できなかったが、安定Srの濃度に比べ2桁以上低濃度であり、マトリックス効果は確認されなかった。もともと低濃度のZr, Ge, Seの除去の程度の見積もりが困難であったが、質量数90でのアバンダンス感度は確認されず、ICP-MSでのSr測定時の干渉がないことがわかった。本手法は安定Srを効率よく回収しながらICP-MS測定の干渉元素を除去できるため、今後、硬組織中のSrをICP-MSで分析する際の化学分離法への適用が期待される。
柳澤 華代*; 松枝 誠; 古川 真*; 高貝 慶隆*
Analytical Sciences, 36(9), p.1131 - 1135, 2020/09
被引用回数:4 パーセンタイル:18.91(Chemistry, Analytical)固相抽出とO酸化反応を組み合わせた誘導結合プラズマ質量分析(カスケードICP-MS)を用いたSr-90の迅速分析におけるオンライン水希釈システムを開発した。このシステムは分析時間を延ばすことなく、自動で最大3.3倍の高い希釈倍率を得ることができる(15分以内)。検出下限値は2.7Bq/kg生である。回収試験結果においては2種類の異なるスパイク濃度で実施した。
藤原 健壮; 柳澤 華代*; 飯島 和毅
Environmental Radiochemical Analysis VI, p.89 - 96, 2019/09
ストロンチウム90は核分裂生成物のうち収率と毒性が高いため、環境試料の測定では低濃度での測定が必要となる。特に事故時においては迅速な環境モニタリングと健康影響の評価が必要である。環境中の放射性核種の移行挙動の評価のためには、溶液のみならず、生物や土壌中の分析が必要である。溶液中におけるストロンチウム90のICP-MSによる迅速分析手法が近年確立されている。しかしながら本手法では、土壌や魚等の分析については、同位元素や対象外物質を多く含むため、重核が測定に影響を与えるなどの理由によりまだ確立されていない。よって本研究では、魚や土壌中に含まれるストロンチウム90の分析手法をっかうりつするため、ストロンチウムの同位体やカルシウムのような共存イオンの影響を評価した。
三枝 純; 柳澤 華代; 波澄 篤; 清水 武徳; 内田 芳昭*
Radiation Physics and Chemistry, 137, p.210 - 215, 2017/08
被引用回数:1 パーセンタイル:9.95(Chemistry, Physical)福島第一原子力発電所事故に伴い、県内各地で放射線モニタリングや環境修復活動が実施されている。現場の気温は夏期に40C、冬期に-20Cに達し、各種サーベイメータの想定使用温度の範囲外である。そこで福島で多く用いられている国産サーベイメータ4機種を対象として、恒温槽を用いた温度特性試験を実施し、指示値の温度依存性を調べた。
松枝 誠; 柳澤 華代*; 小荒井 一真; 寺島 元基; 藤原 健壮; 阿部 寛信; 北村 哲浩; 高貝 慶隆*
no journal, ,
Tcの主要なモニタリング手法として誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)が用いられるが、同重体(RuやMoH)が定量を妨害するのが問題となる。特に、環境中のMoはTcに対して最大10倍存在するため、完全な分離は困難だった。本研究では、高効率かつ迅速な同重体除去を目的とした自動分析法を構築した。フローインジェクション(FI)装置に装着したTcを選択的に吸着する樹脂を充填したカラムではMo, Ruを粗分離し、ICP-MS内部の反応セル内にOを導入することでMoを精密に除去した。これらの一連の分離工程を自動化し1.510のTc/Mo比まで測定可能となった。さらに既知濃度のTcを含む海水(IAEA-443, Tc報告値: 159-250mBq/L)を測定し、本法の適用性を調べた結果、200.19.6mBq/Lの値を得たことから良好な定量性を有することが実証された。
小荒井 一真; 松枝 誠; 青木 譲; 柳澤 華代*; 寺島 元基; 藤原 健壮; 木野 康志*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 鈴木 敏彦*; et al.
no journal, ,
ウシの硬組織用のSr分析法をICP-MS用いて開発した。0.1gの硬組織に対して、従来の放射能測定法より低い検出下限値で、11時間での分析を可能とした。そのため、ICP-MS法は微小な骨や歯試料を対象とした迅速かつ有効な分析手法となり得る。上記の成果について、福島県環境創造センター成果報告会において発表する。
小荒井 一真; 松枝 誠; 青木 譲; 柳澤 華代*; 寺島 元基; 藤原 健壮; 木野 康志*; 岡 壽崇; 高橋 温*; 鈴木 敏彦*; et al.
no journal, ,
ウシの硬組織用のSr分析法をICP-MS用いて開発した。0.1gの硬組織に対して、従来の放射能測定法より低い検出下限値で、11時間での分析を可能とした。また、ICP-MS/MSや酸素、アンモニア混合ガスを用いたリアクション反応を用いて分析手法をさらに改良した。以上の成果を、環境放射能計測に関わるSr-90分析法に関わる依頼講演として発表する。
柳澤 華代; 松枝 誠; 古川 真*; 平田 岳史*; 高貝 慶隆*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の廃止措置において、燃料デブリや放射性廃棄物などの放射性核種分析はそれらの処理処分方法の検討や炉内状況把握のために重要である。Sr-90などの難分析核種は従来、放射能分析法や誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)により定量されてきたが、固体試料を分析する際、前処理において試料を溶解して溶液とするため、固体試料の表面に付着する分析対象物の分布情報が完全に失われる欠点があった。レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析法(LA-ICP-MS)は固体試料を直接分析可能な分析法であるが、妨害元素による質量スペクトル干渉の問題や試料組成の違いによってアブレーションされる試料量が変わるマトリックス効果の問題のため、LA-ICP-MSを定量分析として用いることは非常に困難だった。これらの問題を克服するため、本研究では同位体希釈法に基づく新しいLA-ICP-MS定量法を開発した。さらに、この方法の有用性を示すため、Sr-90の定量イメージング分析に適用した。
長沼 和希*; 松枝 誠; 柳澤 華代; 及川 博史*; 橋本 淳一*; 高貝 慶隆*
no journal, ,
In this study, the adsorption of niobium (Nb) on silica gel was investigated and the application to the Nb analysis was demonstrated. Here, a solution containing 67 elements was passed through a column packed with silica gel. The impact of acidic concentration (HCl or HNO) and pH on the adsorption was investigated. Adsorption property was evaluated using inductively coupled plasma mass spectrometry and the efficiencies of adsorption and recovery processes were calculated. The element selectivity for Nb was very high, and the efficiency of adsorption was over 90% under strong acid conditions. Also the adsorbed Nb was successfully eluted from the silica gel column. The adsorption capacities on silica gels depended on the particle diameter and pore size of the adsorbent.
三枝 純; 柳澤 華代; 山口 敏夫; 眞鍋 早知; 依田 朋之; 前田 智史; 内海 あずさ; 柴道 勝; 江尻 明; 栗田 義幸; et al.
no journal, ,
原子力機構は2011年6月に福島市内に活動拠点を設け、環境放射線(能)モニタリングや環境回復活動を実施してきた。2012年9月には福島市笹木野地区に分析所(笹木野分析所)を開設し、環境試料の放射能分析を行うための体制を整えてきた。このうち、線スペクトロメトリに基づく放射能定量について、2015年10月にISO/IEC17025国際標準規格に基づく試験所としての認定を得た。本発表では当分析所の目的、保有機器、業務の概要、分析の信頼性向上に向けた各種取り組みについて紹介する。
桑田 遥*; 萩原 大樹; 柳澤 華代; 眞鍋 早知*; 武石 稔; 渡辺 均; 植頭 康裕
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所からの排水にトリチウムが含まれるが、海水中と海産物中のトリチウム濃度は異なる可能性がある。そのため、海産物に取り込まれた有機結合型トリチウム(OBT)と組織自由水(TFWT)トリチウムを区別して評価することが重要である。OBT分析は、前処理工程が複雑なため非常に長い分析時間を要する。そこで海産物中のOBTの迅速分析法を開発した。本法では、従来の乾燥工程とは異なる凍結乾燥に加温乾燥を組み合わせた手法により、乾燥工程及び試料形状の検討を行った。凍結乾燥は組織自由水の回収率が約70%以上になるまで行い、前日との重量の比が1.0%未満になるまで加温乾燥を行った。これらの結果、乾燥工程に要する時間が約14日から約7日に短縮した。供試料量を減らしたところ、乾燥時間は4日程度であった。乾燥に要した時間について、試料形状はミンチ、ブロックともに差異は認められなかった。しかし、迅速試料燃焼装置の燃焼において、ミンチ状よりもブロック状にしたほうが燃焼水量も多く、燃焼の残存物も少ないためブロック状の試料が適していることが分かった。なお、本法における定量下限値はTFWTが0.84Bq/kg・生、OBTが0.15Bq/kg・生であった。
小荒井 一真; 松枝 誠; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 北村 哲浩
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故によって放出された核種の1つとしてSrが挙げられる。放射能測定によらない新しい手法として、ICP-MSによってSrの定量が試みられている。これまでに、ICP-MSを含む測定システムを開発し、土壌や水試料を対象とし迅速にSrを測定可能であることが示された。これまでにICP-MSを用いて骨などの硬組織を測定した例はない。本研究ではICP-MSによる硬組織中Sr分析に固相抽出法を最適化させる。MW分解後の魚骨は蒸発乾固し、10mLの2.6M硝酸に溶解した。Srの固相抽出はフローインジェクション装置を用いて行った。魚骨分解後の2.6M硝酸溶液、各フラクションは100-10000倍に希釈し、ICP-MS(NEXION300X、Perkin Elmer)によって溶液内の元素濃度を定量した。測定の結果、Srの回収率を担保しながら測定の妨害元素を除去できた。以上のように、ICP-MSによる硬組織中Sr測定に適した固相抽出法を開発した。本手法はフローインジェクション装置内で行ったため、オンライン固相抽出/ICP-MSに適用できる。一連の行程での所用時間は数十分であり、迅速な硬組織中Srの測定が可能となる。
松枝 誠; 小荒井 一真; 柳澤 華代*; 藤原 健壮; 北村 哲浩
no journal, ,
Sr-90は人体や動物の体内に取り込まれると骨や歯などの硬組織に蓄積することから、被ばく評価の観点から硬組織の分析ニーズは高いと考えられるが、従来の放射能分析では1ヶ月程度の期間を必要とすることから、多量のサンプルを処理するのは難しい。よって今回、放射能分析と比較して迅速分析が可能であるオンライン固相抽出/ICP-MS法への適用を検討した。本法は主に雨水などの環境試料水中に含まれるSr-90の分析において活用されており、サンプル中のマトリックスによって生ずるICP-MSの感度変化やシステム内に組み込まれているSr吸着樹脂の回収率変動に対応する補正法により、精度よく定量値を求められることが報告されている。しかしながら、今回対象とする硬組織においては環境試料水と比較して多量のマトリックスが含まれている。そのため、同重体干渉物質, 安定同位体Sr及びその他高濃度元素について定量値への影響評価及びその補正方法について調査を行った。