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鈴木 崇史; 皆川 昌幸*; 天野 光; 外川 織彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 268, p.1229 - 1231, 2010/04
被引用回数:26 パーセンタイル:84.48(Instruments & Instrumentation)ヨウ素129(I)は半減期1570万年の長寿命放射性核種であり、核実験や核燃料再処理工場の稼動により人為起源Iが環境中に放出される。六ヶ所村に新たに使用済核燃料再処理工場が定常運転を開始予定でありIの放出が予想される。そこで再処理工場の定常運転前における海水中のIの分布を把握することは長期的な環境影響評価の観点から重要である。また人為起源Iは海水循環のトレーサーとして利用できる可能性がある。そこで本研究では太平洋,日本海におけるIの鉛直分布を明らかにした。太平洋及び日本海におけるIの濃度は表層及び亜表層で最も高く水深とともに減少した。太平洋においては水深1500m以下において人為起源Iは観測されなかった。この結果は従来トレーサーとして利用されているCやCsと同様の結果を示した。Iは放出源及び放出量がより明確であることや分析に使用する供試量が少ないことから海水循環を解明する有用なトレーサーになり得ると考えられる。また日本海におけるIの水柱における総量は太平洋に比べて3倍高かった。これは日本海固有の海底地形及び海水循環によるものと考えている。
田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 脇田 昌英*; 天野 光*; 外川 織彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 268(7-8), p.1219 - 1221, 2010/04
被引用回数:9 パーセンタイル:53.60(Instruments & Instrumentation)海水中溶存有機炭素(DOC)は、地表面で最大の有機炭素貯蔵庫であり、大気中二酸化炭素量に匹敵する量の炭素が存在する。この量的な重要性により、DOCの動態は地球の炭素循環を考えるうえで重要な課題となっている。DOCの動態を研究するうえで、時間軸を与え得る溶存有機炭素中放射性炭素(DOC)が非常に有用であるが、測定の困難さから、世界的に見てもデータ数が極めて少ない。本研究の対象海域である西部北太平洋は、深層大循環の終点、高生物生産の海域であるという観点から、海洋炭素循環において大きな役割を担っている。しかし、西部北太平洋におけるDOCのデータはこれまで、全く測定されていない。本研究では、炭素循環において重要海域である西部北太平洋で、世界に先駆けてDOCの鉛直分布を得ることに成功した。
荒巻 能史*; 外川 織彦; 渡邉 修一*; 角皆 静男*; 平 啓介*
no journal, ,
西部北太平洋における海水中放射性炭素の時間変動を把握し、それによって同海域における海水循環を推定するため、広範囲の表層及び東経165度線に沿って、1991年から1993年まで放射性炭素データ(C)を測定した。表層におけるCの南北方向の変動は東西方向の変動より大きく、北緯40度以北ではCは北に向かって急激に減少した。東経165度線に沿ったCデータを、1973年のGEOSECSデータと比較すると、核実験起源のCは20年間に表層から亜熱帯領域の中層に移行し、1993年時点では深層で検出されないことがわかった。核実験起源のC分布及び深層水の「年齢」から、亜熱帯における核実験起源Cの増加は、亜寒帯領域における鉛直混合により生成された中層水が「北太平洋中層水」として南下したことによって生じたことが明らかになった。