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安居院 あかね; 水牧 仁一朗*; 朝日 透*; 松本 幸治*; 森河 剛*; 佐山 淳一*; 逢坂 哲彌*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2148 - 2152, 2007/11
被引用回数:9 パーセンタイル:40.95(Chemistry, Multidisciplinary)強い垂直磁気異方性を示す磁性材料が高密度磁気記録媒体として不可欠となっている。DyCo
アモルファス膜は有望な光学磁気記録材料として注目されている。これまで、垂直磁化膜の磁気異方性エネルギーや保磁力など膜全体の磁気特性の報告が多くなされている。一方、膜の構成元素ごとの磁気特性について着目し元素選択的・軌道選択的に測定した物理量と、前述した系全体を表す物理量との相関について研究している例は少ない。本稿では軟X線磁気円二色性分光測定を用い、Dy
Co
垂直磁化膜の磁気特性を元素選択的・軌道選択的観点から研究した例を紹介する。
高橋 伸明; 柴田 薫; 佐藤 卓*; 田村 格良; 梶本 亮一; Harjo, S.; 及川 健一; 新井 正敏; Mezei, F.*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2199 - 2203, 2007/11
被引用回数:7 パーセンタイル:34.44(Chemistry, Multidisciplinary)J-PARC MLFに設置が計画されている逆転配置型分光器(DIANA)は非結合型減速材を線源とし、飛行距離32mを持つ装置として検討がすすめられてきた。最近われわれは、これまでの経験を元にした性能向上を目的に、JSNSの4種類の減速材を線源としたDIANA型の逆転配置型分光器を強度,分解能,S/N,特性エネルギーなどあらゆる観点から再構築し、計算機上で設計・シミュレーションを行った。その結果、非結合型減速材を線源とする飛行距離21.5m又は39mの選択肢、又は、結合型減速材を線源とする飛行距離45mの選択肢が新たに浮上した。特に結合型減速材を線源とする選択肢は、グラファイトやゲルマニウムをアナライザーとする通常測定において18-24%程度の分解能の低下は見込まれるものの6-8倍の強度増大が非減速材型に対し見込まれることがわかった。さらに、パルス整形とシリコンアナライザーを用いる高分解能測定においては同程度の分解能,24倍の強度増大,3倍の走査エネルギー範囲拡大が見込まれることが明らかとなった。
梶本 亮一; 横尾 哲也*; 古府 麻衣子*; 野田 耕平*; 桑原 英樹*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2087 - 2090, 2007/11
被引用回数:4 パーセンタイル:21.99(Chemistry, Multidisciplinary)EuY
MnO
は
K以下の温度で反強磁性転移を示す。
K以下で
軸方向に自発分極(
)が生じるが、
の向きは
K以下で
軸方向へ変化する。
と磁気構造の関係を調べるために、Eu
Y
MnO
の単結晶試料に対して中性子回折実験を行った。中性子回折実験は高エネルギー加速器研究機構(KEK)のパルス中性子研究施設KENSに設置されている熱外中性子回折計EXCEDで行った。非整合波数ベクトル
を持つ磁気ブラッグ反射を観測した。散乱ベクトル
がほぼ
軸に平行な磁気ブラッグピークと、ほぼ
軸に平行なものの強度を比較することで、
が出現する温度、及びその向きが変わる温度にて磁気構造が変化していることが確認できた。磁気散乱強度の変化は誘電特性の変化に応じてスパイラル磁気構造が形成され、また、その容易面が変化しているとして解釈でき、最近の理論とも整合する。
大石 一城; Heffner, R. H.; 伊藤 孝; 髭本 亘; Morris, G. D.*; Hur, N.*; Bauer, E. D.*; Sarrao, J. L.*; Thompson, J. D.*; MacLaughlin, D. E.*; et al.
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2068 - 2071, 2007/11
被引用回数:2 パーセンタイル:12.81(Chemistry, Multidisciplinary)正方晶HoCoGa
型結晶構造を有するCe
IrIn
は電子比熱係数
700mJ/molK
の重い電子系物質として知られており、0.6K以下で微小磁気モーメントによるスピングラス的磁性を示す。単結晶試料Ce
IrIn
で
=1T
の条件で行われたミュオンナイトシフト測定の結果、
プロットにおいて
=24(1)K以下で直線的な振る舞いからのずれが観測された。この振る舞いは
以下で発達する遍歴成分による磁化率
に起因すると考えられ、
以下で
が
に従う。今回、われわれはCe
IrIn
における
及び
のLa置換効果を調べるため、
=1T
の条件でミュオンナイトシフト測定を行った。その結果、Ce
IrIn
で観測されていたシフトがLa置換により二つに分裂し、新たに出現したシフトの強度はLa置換により増大した。また、
はLa置換量が増加するに連れて減少していくことから、La置換により
電子間の相関が弱められていることを確認した。
酒井 宏典; 神戸 振作; 徳永 陽; 藤本 達也; Walstedt, R. E.*; 安岡 弘志; 青木 大*; 本間 佳哉*; 山本 悦嗣; 中村 彰夫; et al.
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2103 - 2106, 2007/11
被引用回数:1 パーセンタイル:7.33(Chemistry, Multidisciplinary)最近見つかったプルトニウム化合物超伝導体はその高い超伝導転移温度から非常に注目されている。われわれは、PuRhGaにおいて、核磁気共鳴(NMR/NQR)を用いた研究を行っている。結晶学的に異なる2つのGa位置について、おのおのに対応するNQR信号を発見し、NQR緩和率測定を行った。その結果から、スピン揺らぎの異方性についての情報を得た。
徳永 陽; Walstedt, R. E.*; 本間 佳哉*; 青木 大*; 神戸 振作; 酒井 宏典; 藤本 達也; 池田 修悟; 山本 悦嗣; 中村 彰夫; et al.
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2016 - 2019, 2007/11
被引用回数:2 パーセンタイル:12.81(Chemistry, Multidisciplinary)現在、八極子秩序基底状態の可能性が示唆され注目を集めているNpOについて発表を行う。発表では特に酸素核での核磁気緩和時間の測定結果を中心に報告を行う。発表者は0.5テスラから10テスラまでの広い磁場領域において測定を行い、その結果、低磁場領域においては、非常に広い温度領域にわたって大きな磁場依存性が存在することを見いだした。一方、5テスラ以上の高磁場領域ではそのような磁場依存性は全く観測されなかった。われわれはこの特異な緩和時間の磁場依存性はネプツニウム核と酸素核との間の異種核緩和によるものとして理解できることを示した。併せてネプツニウム核の核磁気緩和時間の見積りも行った。
山田 洋一; 山本 博之; 大場 弘則; 笹瀬 雅人*; 江坂 文孝; 山口 憲司; 鵜殿 治彦*; 社本 真一; 横山 淳; 北條 喜一
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2204 - 2208, 2007/11
被引用回数:6 パーセンタイル:30.55(Chemistry, Multidisciplinary)シリコン同位体濃縮材料は、同位体の純度を上げることによる熱伝導性の向上、Siの核スピンを利用した量子素子の作製など、ユニークな物性の期待されるものが少なくない。この中で、
Siは熱中性子により
Pに核変換することからドーパントとして機能することが知られている。本研究ではこの現象を応用し、原子力機構において開発された高効率な同位体濃縮法により得られた
Si濃縮SiF
を原料として用い、高精度ドーピング手法の開発を目指して
Si濃縮薄膜を作製した。薄膜の質量分析の結果から天然同位体存在比の約2倍の
Si: 7.1%であることがわかった。また組成解析の結果から不純物のFは約0.6%以下であった。これらの結果と併せて薄膜及び界面の構造,中性子照射に伴う電気特性の変化についても議論する。
伊藤 孝; 髭本 亘; 大石 一城; Heffner, R. H.; 西田 信彦*; 佐藤 一彦*; 菅原 仁*; 青木 勇二*; 菊地 大輔*; 佐藤 英行*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2072 - 2075, 2007/11
被引用回数:1 パーセンタイル:7.33(Chemistry, Multidisciplinary)充填スクッテルダイト化合物SmRuP
は
=16.5Kにおいて磁気的な異常を伴った金属-絶縁体転移(MI転移)を示す。この物質の結晶場基底準位は
四重項であると考えられており、これが多極子の自由度を有することから軌道秩序がMI転移の起源である可能性がある。われわれはMI転移に付随する磁気的な異常と基底状態を調べるために零磁場中においてミュオンスピン緩和法による測定を行った。温度の低下に伴い、零磁場におけるミュオンスピン緩和率が
から単調増加して行く様子が観測された。この結果は、MI転移が磁気的な自由度にかかわる現象であることを端的にあらわしている。緩和率はさらに増加し続け、3Kからミュオンスピンの回転が観測されるようになる。ミュオンによって観測された内部磁場は遅い揺らぎを伴っており、この揺らぎは0.02Kにおいてほぼ凍結されて磁気的な基底状態に至る。内部磁場の分布から、磁気基底状態における秩序構造は非整合な反強磁性であると考えられる。
加藤 治一*; 鶴田 拓也*; 西岡 孝*; 松村 政博*; 酒井 宏典; 神戸 振作
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 68(11), p.2187 - 2190, 2007/11
被引用回数:8 パーセンタイル:37.91(Chemistry, Multidisciplinary)f電子を含まない重い電子系化合物と考えられているCaCuRu
O
についてCu核の核四重極共鳴(NQR)を用いた研究を行った。Cu核NQRスペクトルは、ローレンツ型の曲線になっており、少なくとも5Kの低温まで、なんらの磁気秩序も示さないことを示唆する。Cu核のスピン格子核磁気緩和率は、Cuの3
電子状態の変化を捉え、低温でフェルミ液体的挙動をすることがわかった。このことは、この系の重い電子描像を強く支持する。
武田 全康; 中村 充孝; 下条 豊; 加倉井 和久; Lelivre-Berna, E.*; Tasset, F.*; Regnault, L. P.*
no journal, ,
JRR-3のTAS-1中性子分光器における偏極中性子利用に関して現状を報告する。TAS-1は改3号炉に設置された熱中性子三軸分光器で、1991年に改3号炉の稼動とともに運転を開始した。今から5年前に最近の偏極中性子技術の進展を考慮すべく、この分光器の偏極中性子高度化が開始された。ダブル集光型偏極中性子モノクロメーター及びアナライザーが導入され、CRYOPADと呼ばれる3次元偏極中性子解析装置が開発,設置された。上記の新しい偏極素子により、約1桁程度の偏極中性子強度の増加が達成され、1次元及び3次元偏極中性子解析がTAS-1分光器を使用して行われるようになった。
脇本 秀一; 山田 和芳*; Tranquada, J. M.*; Frost, C. D.*; Birgeneau, R. J.*; Zhang, H.*
no journal, ,
過剰ドープしたLaSr
CuO
(
)の磁気励起を、三軸型分光器と飛行時間解析型分光器の両方を用いて、中性子散乱により調べた。三軸分光器を用いた低エネルギー領域(
meV)の実験結果から、超伝導を示す試料(
)の磁気励起スペクトルは
meV付近に極大を持ち、その極大値がドープ量の増加に伴って超伝導転移温度
の低下に比例して減少することが示された。さらに、磁気散乱は
において、超伝導と同時に消滅することがわかった。飛行時間分光器を用いた
と0.30の試料の高エネルギー領域の測定では、
meVにおいて磁気散乱が非常に弱まっていることが示された。これはストライプ的磁気秩序が実現しているLa
Ba
CuO
の結果と非常に対照的であり、過剰ドープ試料では全エネルギー領域で磁気散乱が弱まっていることを表している。これらの結果は高温超伝導と格子非整合なスピン揺らぎが協力的に直接関係していることの証拠となる。
髭本 亘
no journal, ,
超伝導電子対対称性は超伝導発現機構を理解するうえで最も重要な性質の一つである。この講演ではSR法を用いて調べた重い電子系超伝導体CePt
SiとPrOs
Sb
の電子対対称性の可能性について報告する。CePt
Siは結晶構造に反転対称性を持たない初めての超伝導体である。この物質において調べたミュオンナイトシフトは超伝導転移温度以下20mKまで変化が見られなかった。この結果は局所スピン帯磁率が超伝導転移によって変化しないことを示しており、可能な対対称性に制限を与える。PrOs
Sb
は非通常型の超伝導を示す重い電子系である。クーパー対のスピン状態を調べるためにミュオンナイトシフトを測定したところ、超伝導点移転を超えてもナイトシフトは減少しないことが見られた。この詳細と置換効果や異方性について報告する。
水牧 仁一朗*; 安居院 あかね; 吉井 賢資; 魚住 孝幸*
no journal, ,
Euイオンは基底状態J=0を持つが、第一励起状態J=1とのエネルギー差が室温程度と小さい。このため、他の希土類元素イオンと比べ、磁気モーメントの大きさが小さい。Eu
イオン中での励起状態の起源を明らかにするために、Eu M
吸収端での軟X線吸収測定及び磁気円二色性測定をEu
Sr
MnO
, Eu
Sr
CoO
及びEu
O
において行った。理論計算スペクトルと併せて検討し、熱励起状態と内部磁場励起状態の振る舞いについて調べたので報告する。
石井 賢司; 筒井 健二*; 遠山 貴己*; 稲見 俊哉; 水木 純一郎; 村上 洋一*; 遠藤 康夫*; 前川 禎通*; 工藤 一貴*; 小池 洋二*; et al.
no journal, ,
(La,Sr,Ca)Cu
O
は銅酸化物高温超伝導体との関連で注目されている物質である。ほとんどの銅酸化物超伝導体の共通ユニットであるCuO
面を持たないにもかかわらず、Sr
Ca
Cu
O
は高圧下で超伝導体となる。銅の
吸収端で行った(La,Sr,Ca)
Cu
O
の共鳴非弾性X線散乱の結果について報告する。モットギャップを越えるバンド間励起とギャップ内に現れるバンド内励起の運動量依存性がホール濃度に対してどのように変化するかに注目する。得られた実験結果は理論の予想とよく一致している。
藤本 達也; 芳賀 芳範; 酒井 宏典; 徳永 陽; 神戸 振作; 池田 修悟; 松田 達磨; 大貫 惇睦*
no journal, ,
磁気・四極子複合秩序を示すUPdについて、
Pd核の核四重極共鳴(NQR)を用いた分析・評価を報告した。この物質は
K,
K,
Kのそれぞれで逐次相転移を示す。今回は
以下で生じる四極子秩序状態について議論を行った。報告した点は次の2点である。(1)NQRスペクトルの温度変化より、不連続な秩序変数の変化を見いだし、
が一次転移であることを微視的観点から明らかにした。(2)六方対称性を有するPdサイトは四極子秩序により2つに分かれ、そのサイト比は1:2であった。これまでUPd
では、中性子回折や共鳴X線散乱を用いて異なる四極子秩序構造が提案されているが、どちらもNQRスペクトルを再現できるため、現段階ではどちらが正しい提案か判断するには至らなかった。今後、さらなる情報を引き出すため、立方対称の位置を占めるPdサイトのNQR測定や、配向試料を使った核磁気共鳴測定を行う予定である。
松田 雅昌; 植田 浩明*; 吉川 明子*; 田中 良和*; 勝又 紘一*; 鳴海 康雄*; 稲見 俊哉; 上田 寛*; Lee, S.-H.*
no journal, ,
フラストレート反強磁性体は、磁性と構造の自由度が相互に深くかかわり合い、興味ある現象を示すことが大きな特徴である。特にACrO
(A=Cd, Hg)は磁場中の広い領域で磁化1/2のプラトー状態を示すことが磁化の研究から明らかになっている。この現象はスピン-格子相互作用に起因していることが理論的研究から示唆されていたが、実験はまだ行われていなかった。われわれは、HgCr
O
粉末を用いて磁場中での中性子回折実験とX線回折実験を行った。その結果、プラトー状態では
の対称性を持つ磁気構造が安定になるように結晶構造も
の対称性を持つ構造に転移することを明らかにした。これは、フラストレート反強磁性体における強いスピン-格子相互作用をあらわす重要な結果である。
長壁 豊隆; 小島 健一*; 平岡 耕一*
no journal, ,
YbInCuは、高温でYbの4f電子がよく局在した3価の状態から、42Kで約0.5%の体積膨脹を伴って平均価数が約2.9の価数揺動状態へと転移する。この転移はよく知られたCe金属元素の
-
転移にもよく似ている。この物質に圧力を加えて行くと体積膨脹が抑えられ、約2.5GPaでは価数転移が完全に抑制されて低温まで3価の磁性状態が生き残る。最近、このような状態において、低温でYb3価の磁気モーメントが長距離秩序を示すことがNMRにより指摘された。われわれはこの磁気秩序を直接観測する目的で、新規に開発したハイブリッドアンビルを用いて4GPaまでの高圧力下において単結晶試料を用いた中性子回折実験を行った。その結果、4GPaの圧力下で約2.5K以下で強磁性長距離秩序の直接観測に成功した。秩序状態でのYbあたりの磁気モーメントは0.6
で、これまでに報告された希釈系Yb
Y
InCu
が示すYbあたり0.05
の磁気モーメントに比べて非常に大きいことが明らかとなった。
飯久保 智; 古屋仲 秀樹*; 社本 真一; 竹内 謙*; 小原 真司*; 樹神 克明; Loong, C.-K.*
no journal, ,
海水中から金を吸着するマンガン酸化物ナノ粒子の結晶構造解析を、X線と中性子回折で行った。その結果マンガン酸化物ナノ粒子は、R-MnOであることがわかった。