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見掛 信一郎
地下水学会誌, 65(4), p.323 - 331, 2023/11
深地層の研究施設である瑞浪超深地層研究所は、2本の立坑及び水平坑道で構成された深度500mに及ぶ研究坑道が掘削され、深度500mでは、湧水箇所の水圧は概ね3MPaを超え最大4MPaの高水圧という施工条件であった。地下深部における高い湧水圧の条件下において、十分な湧水抑制対策を行うことができる技術の確立は、高レベル放射性廃棄物の地層処分事業の実施において重要な技術開発課題の一つとされている。このため、研究坑道掘削時に、深度500mまでの範囲で工事の安全確保とともに坑道内への湧水を抑制するため、湧水抑制対策技術の開発を実施した内容について発表し、学会誌に投稿する。
望月 陽人
地下水学会誌, 61(4), P. 346, 2019/11
日本地下水学会2018年秋季講演会における発表「深部地下水における酸化還元電位の不確かさに関する事例研究」が評価され、若手優秀講演賞を受賞した。今回の受賞に関する所感を同学会誌に寄稿する。
望月 陽人; 笹本 広; 女澤 徹也*; 宮川 和也
地下水学会誌, 61(1), p.3 - 20, 2019/02
北海道・幌延地域の深部地下水における酸化還元電位の測定値を整理し、その測定および熱力学的解釈における不確かさの評価方法を検討した。地下研究施設の坑道より掘削されたボーリング孔を利用して測定された地下水の酸化還元電位はおおむね-250mVから-100mVの範囲にあり、経時変化を示すものの、坑道掘削による影響は直接的には及んでいないことが示唆された。地下水の酸化還元状態はSO/FeS, SO/HSおよびCO(aq)/CH(aq)の酸化還元反応に支配されており、その平衡電位との比較から、Eh測定値の不確かさを50mVと設定することが適切であると考えられた。
村上 裕晃; 田中 和広*
地下水学会誌, 57(4), p.415 - 433, 2015/11
島根県津和野地域では、塩濃度の高い鉱泉水がガスを伴い自噴している。この高塩濃度流体について、湧出箇所と地化学的特徴を調査した。津和野地域の鉱泉水は最大で海水の約半分の塩濃度を示す。自噴するガスは二酸化炭素が主成分である。これらの特徴に加え、鉱泉水の水素・酸素同位体比は天水線から外れる組成を示し、希ガス同位体比からマントル由来のヘリウムの混入が示唆される。これらの地化学的特徴と周辺の地質構造から津和野地域の高塩濃度流体の成因を考察すると、地下深部から供給される流体が含まれていると考えられる。しかし、津和野地域の高塩濃度流体に深部流体が含まれているとしても、その寄与量は最大でも4分の1程度である。また、高塩濃度流体の指標となる塩化物イオンのフラックスが活断層周辺で最も高いことから、高塩濃度流体は活断層を主要な水みちとして移動していると推測される。ただし地表付近において、高塩濃度流体は活断層周辺の亀裂も利用していると考えられる。
天野 由記; 南條 功; 村上 裕晃; 藪内 聡; 横田 秀晴; 佐々木 祥人; 岩月 輝希
地下水学会誌, 54(4), p.207 - 228, 2012/11
北海道幌延町において、堆積岩を対象とした深地層の研究施設を利用して、地上からの地球化学調査技術の妥当性を検証した。また、地下施設建設が周辺の地球化学状態に及ぼす影響について考察した。地上からのボーリング調査数量と水質の深度分布の推定品質の関係を整理した結果、3本程度の基本ボーリング調査と断層・割れ目帯など高透水性の水理地質構造を対象とした追加ボーリング調査により、数キロメータースケールの調査解析断面の水質分布について不確実性も含めて評価できることが明らかになった。地下施設建設に伴う地下水の塩分濃度,pH,酸化還元状態の擾乱を観察した結果、一部の高透水性地質構造の周辺において、地下坑道への湧水により水圧や塩分濃度の変化が確認された。この変化量は事前の予測解析結果と整合的であった。これらの成果は、他の堆積岩地域における地上からのボーリング調査や地下施設建設時の地球化学調査の計画監理にも参照可能と考えられる。
横田 秀晴; 山本 陽一; 前川 恵輔
地下水学会誌, 53(2), p.193 - 206, 2011/05
高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全性評価には、物質移動を規定する浅部から深部までの地下水流動特性の把握が必要とされる。原子力機構は、北海道幌延地域で浅部地下水流動系把握のための表層水理調査・研究を行っている。浅層ボーリング孔を用いた地下水位観測結果等から地下浅部の地下水位分布や地表から地下浅部への水の浸透を検討した結果、地下施設建設が周辺の地下水位に影響を及ぼしていないこと、積雪期にも地表から水の浸透が生じていること、大曲断層に沿って地表から地下への水の浸透が生じていることが明らかとなった。今後、土壌水分計等による観測結果等と併せて、地下への水の浸透・涵養を定量的に評価する必要がある。
酒井 隆太郎; 宗像 雅広; 木村 英雄
地下水学会誌, 51(4), p.311 - 329, 2009/11
広域地下水流動に関する評価手法確立のための調査の一環として、千葉県養老川流域の支流域において、河川流量観測、及び観測点付近の河川水,湧水,井戸水の水質,酸素・水素同位体比等の分析を行い、これらに基づいて当該領域の地下水流動に関する水文学的及び地化学的考察を行った。その結果、高透水性を持つ砂岩優勢互層(大福山)で涵養された(Na)Ca-HCO型地下水の大部分は、地層の走向方向に流動した後、Ca-HCO型地下水として中・下流域において流出するが、一部は深部まで流動してNa-HCO型地下水に進化した後、低透水性の砂泥互層の亀裂等を通じて下流域において流出する可能性が推定された。
岩月 輝希; 森川 佳太*; 細谷 真一*; 吉川 英樹
地下水学会誌, 51(3), p.205 - 214, 2009/08
地下水の物理化学パラメータは、金属元素の挙動や物質循環にかかわる重要なパラメータである。しかしながら、その測定では電極の応答性に依存して安定値の取得に長時間を要するとともに、地下水揚水時に溶存ガスの脱ガス等により値が変化する。本研究では、深度約500mの地下水を対象として、原位置及び地上において形状の異なる複数の電極を用いて物理化学パラメータを測定し、各電極の応答性について知見を得るとともに、溶存ガスの脱ガスに伴う物理化学パラメータの変化について補正方法の構築を試みた。測定の結果、地下水揚水時の脱ガスに起因して生じるpHの変化は約0.4であり、脱ガス量を補正することで原位置の値を見積もることができた。また、酸化還元電位は約-100mVであり、おもに二価鉄,硫酸イオンと硫化鉱物,炭酸鉄鉱物の酸化還元反応が支配反応であると考えられた。pHと酸化還元電位にかかわる主要なプロセスを解析する際は、脱ガス量とその成分を把握しpHを補正することにより、誤解釈を防ぐことが重要である。電極の選択に関しては、点状電極よりも面状電極,棒状電極の方がより短時間に酸化還元電位値を取得できることが明らかになった。
尾上 博則; 三枝 博光; 大山 卓也; 竹内 真司
地下水学会誌, 50(4), p.251 - 274, 2008/11
断層などの不連続構造が複数存在する地下深部の地下水流動場を三次元的に把握するにあたっては、物理探査やボーリング調査などの原位置調査を実施するとともに、それらの結果に基づく水理地質構造モデルの構築及び地下水流動解析が有効と考えられる。このうち、複数のボーリング孔を用いた孔間水理試験は、ボーリング調査では把握することができていないボーリング孔間に分布している不連続構造の水理特性や水理学的な連続性を推定できる手法である。本研究では、日本原子力研究開発機構が岐阜県瑞浪市で進めている超深地層研究所計画における調査研究の一環として実施した孔間水理試験を事例として、地下深部の地下水流動に影響を与える重要因子である水理地質構造を推定するための地下水流動解析を実施した。その結果、研究所用地周辺における水理境界や主要な水みちとして機能する断層の特定、並びにそれらの断層の水理特性を推定することができた。また、地下深部の水理地質構造を推定するにあたっては、非定常データを用いた地下水流動解析が有効であることを示した。
水野 崇; Metcalfe, R.*; 岩月 輝希; 彌榮 英樹*
地下水学会誌, 49(2), p.139 - 152, 2007/05
地下水を取得する方法やその品質管理手法は統一されておらず、データの品質にも差が生じている。本稿では、調査時の品質管理や得られたデータを客観的に評価するための、国内におけるさまざまな調査研究機関が利用できる標準的な品質評価手法を確立することを目的とし、多様な環境で取得された地下水試料から得られる地下水データの品質評価手法を提案した。その結果、本研究で用いた品質評価手法は有効であり、品質評価を行ったデータを用いることで、より正確に地下深部の地球化学環境を議論できる可能性を示した。
Sohail, A. R.*; 渡辺 邦夫*; 竹内 真司
地下水学会誌, 48(4), p.233 - 262, 2006/11
流域の管理を行ううえで重要な河川流出量の予測を行うための流出解析を3つの方法を用いて行った。その方法として、遺伝的アルゴリズムを組み込んだニューラルネットワークモデル(GAANN),誤差伝播法を用いたニューラルネットワークモデル(BPANN)及び多変量自己回帰モデル(MARMA)を用いた。これらのうち、後2者は前者のモデルの妥当性を検討するために実施した。その結果、小流域での流出特性には季節変化があること,夏季の強度の大きい降雨ではニューラルネットワークによる予測がMARMAよりも精度が高いことを明らかにした。また予測精度は予測時間が長いほど低下することなどがわかった。
稲葉 薫; 三枝 博光; White, M. J.*; Robinson, P.*
地下水学会誌, 44(2), p.105 - 123, 2002/00
核燃料サイクル開発機構では平成9年度よりGEOMASSシステムを開発している。このシステムは地質構造のモデル化から数値解析までが統合された環境となっており、労力と時間の大幅な節減が期待できると同時に、情報量の増加、変化に伴うモデルの更新に迅速に対処することが可能である。本報告ではこのシステムの概要と、岐阜県東濃地域において実際に適用した例を紹介し、システムの有用性が確認できたことを報告する。
三枝 博光; 浅井 和見*; 中田 智浩*; 谷口 真人*; 嶋田 純*
地下水学会誌, 43(4), p.279 - 287, 2001/00
沿岸海底下からの地下水採取技術の開発を行なった。ここでは、ダイバーによる潜水によって調査が可能な水深(約3040m)程度までの領域において、海水との混合を防ぎ、かつ大量の地下水採取を可能にすることを目的とした。具体的には、海底下に長さ60cm程度の採水用針を刺し、複数の三方コックとプラスチックシリンジ、マイラーバッグを組み合わせることにより、1回の作業で1リットル以上の採水を行なうことを可能にした。この手法を黒部川扇状地沖合の淡水湧水地点において適用した。その結果、本手法では、海水との混合をすることなく淡水の地下水を採取することが可能であることを確認した。また、今回の採水では、採水地点(2箇所)から各々約1リットルの地下水を採水することができた。採取された地下水の主成分組成および安定同位体の値は、今までに黒部川扇状地の陸域で報
梅田 浩司; 柳沢 孝一
地下水学会誌, 37(1), p.69 - 77, 1995/00
我が国における広域な地下水理特性を把握するためには、日本全国に分布しているさまざまな地盤の透水性に関するデータが必要である。そのため、日本各地において実施された原位置水理試験によって取得された透水係数データを既存の公開文献から収集し、透水係数データベースを作成した。