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Cs) on the coastal seafloor near the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant inferred from radiocesium distributions in long cores中西 貴宏; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 尻引 武彦; 卜部 嘉*; 眞田 幸尚
Journal of Coastal Research, 116(SI), p.161 - 165, 2024/01
2012年から2022年までに福島第一原子力発電所(FDNPP)周辺で観測された表層海底堆積物中のCs-137濃度の連続データをとりまとめた結果、全体的にCs-137濃度は時間とともに徐々に低下していた。しかし、浅海域のいくつかのモニタリングポイントでは、Cs-137濃度の長い環境半減期や大きなばらつきが認められた。浅海域海底におけるセシウムの動態についての理解を深めるために、FDNPP近くの浅海域で長尺の堆積物コアを採取し、Cs-137濃度と粒径分布の鉛直分布を得た。海岸付近では、Cs-137の濃度と粒径分布は数十cmから1m以上の深さまで非常に均一化されていたことから、現在、海岸付近の堆積物には深い層に相当量のCs-137が蓄積している。陸域だけでなく深層からのCs-137供給が、海岸付近の表層海底土のCs-137濃度の時間的低下を抑制している可能性が示唆された。沖合の崖や窪地に位置する地点ではCs-137濃度の鉛直分布は不均質であり、数年間に同一地点で得られたCs-137鉛直分布はまったく異なっていた。この不均質性が、表層堆積物のCs-137濃度の経時的な大きな変化を引き起こすと推測された。
鶴田 忠彦; 尻引 武彦; 御園生 敏治; 中西 貴宏; 眞田 幸尚; 卜部 嘉*
Journal of Coastal Research, 114(SI), p.320 - 324, 2021/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)福島県沿岸域の海底土中の放射性セシウム(Cs)の移動挙動の評価にあたっては、河川から供給される放射性Csの影響評価が必須である。河川からの供給の影響が大きい河川河口の近傍では、沖合と比較して海底土中の放射性Csの分布層厚が大きいことから、海底土中の鉛直方向のプロファイルを把握することが重要である。そこで、最大100cm程度の鉛直方向の海底土が採取可能な手法により調査を行い、海底土中の放射性Csの鉛直分布とその経時変化に関する情報を取得した。調査の結果、2015年から2019年にかけて、鉛直方向全般にわたって放射性Cs濃度及び放射性Cs量の低下が確認されるとともに、放射性Csの深さ方向への移動は確認されなかった。河川河口の近傍では、台風等に伴う河川高水後に、海底土中の放射性Cs濃度が増加する事例が報告される場合があるものの、その影響は一時的であり、少なくとも年オーダーでは、海底土中の放射性Csは低減傾向にあると考えられる。
中西 貴宏; 大山 卓也; 萩原 大樹; 佐久間 一幸
Journal of Coastal Research, 114(SI), p.310 - 314, 2021/10
被引用回数:7 パーセンタイル:35.48(Environmental Sciences)福島県請戸川の観測結果に基づき、2019年10月の台風イベントに伴う河川からの粒子態
Cs流出量を評価した。台風イベントによる土砂粒子の流出量は年間の90%を占め、それまで福島原子力発電所事故後最大だった2015年9月出水イベントの約2倍だった。しかし、期間中の粒子態
Cs濃度低下により、粒子態
Cs流出量は2015年の約2/3であった。また、2019年10月の粒子態
Cs流出量は流域の沈着量のわずか0.1%であり、沿岸の
Cs蓄積量への影響は非常に限られたものだった。
御園生 敏治; 鶴田 忠彦; 尻引 武彦; 中西 貴宏; 長尾 誠也*; 落合 伸也*; 眞田 幸尚
Journal of Coastal Research, 114(SI), p.315 - 319, 2021/10
被引用回数:2 パーセンタイル:9.52(Environmental Sciences)福島県沿岸域における将来の放射性セシウムの動態とその分布を理解するためには、河川からの放射性セシウムの供給を評価することが重要である。しかし、洪水時の沿岸域における懸濁態セシウムの動態に関する研究は少ないのが現状である。豪雨を伴う台風(ブアロイ)が福島県を襲った際にセジメントトラップで捕集された沈降粒子の
Cs濃度を測定した結果、河川前に設置された観測点では、
Cs濃度が上昇する傾向を示した。しかしながら、台風の2日後に捕集した試料の
Cs濃度は、台風前とほぼ同じ水準であった。そのため、豪雨期間の沿岸地域への河川の影響は非常に限られていることが示唆された。