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内藤 磨
Fusion Technology 1996, Vol.1, p.215 - 220, 1997/09
JT-60Uにおける最近の定常化研究の成果いついて報告する。これまでの高ポロイダルベータHモードに加えて、定常トカマクで想定される負磁気シア運転、プラズマの安定性を高めるための高三角度運転についての研究を進めた。負磁気シア運転では中心部での顕著な閉じ込めの改善を実現し、核融合増倍率0.63を達成した。また、負磁気シア運転の持続、高密度ダイバータとの共存にも成功した。高三角度運転では閉じ込めと安定性の向上により準定常的な高性能放電を持続させることに成功した。この他、負NBI装置の進展状況、ダイバータ改造計画、JT-60SU構想についての報告を行う。
中道 勝; 山村 千明*; 河村 弘; 佐川 尚司; 中澤 正治*
Fusion Technology 1996, 0, p.1591 - 1594, 1997/00
現在、核融合炉ブランケット設計において、工学データを取得するために、ブランケット構造等を模擬した、ブランケット炉内要素試験を計画している。本炉内要素試験は、核熱特性、トリチウム放出/回収特性等の評価を目的としており、これら特性評価のために、各種設計機器が照射試験体内に装荷されている。計測機器の一つである自己出力型中性子検出器(SPND)は、トロイダル増殖材または中性子増倍材領域内に装荷されるため、照射期間中高温にさらされる。このため、SPNDの高温中性子照射下における特性評価を実施している。本報告書ではSPNDとして、標準型及び高温型の2種類を用いて行った、高温下での中性子照射支援結果について報告する。
坂本 直樹*; 河村 弘; R.R.Solomon*
Fusion Technology 1996, 0, p.407 - 410, 1997/00
ITERプラズマ対向機器では、ベリリウムと銅合金が接合された形態で使用される。このときの接合技術については、今までに多くの研究が行われてきたが、両者が高温下に置かれたときの化学的反応性については、十分明らかにはされていない。そこで、銅合金として第一壁候補であるアルミナ分散強化銅とベリリウムの反応素過程を明らかにするため、拡散対による反応性試験を行った。本試験の結果、400C以上で2種の反応生成物、即ちBeCu()相及びBeCu()相が生成し、さらに700C以上でBe-Cu()相が生成することが明らかとなった。また、Be-Cu()相が生成する際に非常に大きな体積膨張を伴うこと、冷却過程で相分解による体積収縮で相内にクラックが生成すること等が明らかとなり、両者を拡散接合するためには、Be-Cu()相の生成を極力抑える工夫が必要であるとの知見が得られた。
河村 弘; 蓼沼 克嘉*; 長谷川 良雄*; 坂本 直樹*; R.R.Solomon*; 西田 精利*
Fusion Technology 1996, 0, p.1499 - 1502, 1997/00
ITERでは、ブランケット及びプラズマ対向機器において大量のベリリウムが使用される。そこで、資源の有効利用及び放射性廃棄物低減の観点から、使用済ベリリウムの再処理技術開発を開始した。未照射ベリリウムを試料とした予備的試験の結果、塩素ガスとベリリウムを反応させて高純度の塩化ベリリウムを得ることで、放射化等が懸念される不純物元素との分離が可能であることが明らかとなった。この時の塩化ベリリウムの収率は99%以上であった。また、乾式法によって塩化ベリリウムを熱分解させることで、ベリリウムの回収が可能であるとの見通しを得ることができた。そして、照射済ベリリウムを試料とした実証試験の結果、やはり99%以上の高収率で塩化ベリリウムが得られること、不純物として含まれていたCo-60の約96%が除去されること等が明らかとなった。
F.M.G.Wong*; N.A.Mitchell*; R.L.Tobler*; M.M.Morra*; R.G.Ballinger*; 中嶋 秀夫
Fusion Technology 1996, 0, p.1115 - 1118, 1997/00
ニオブ・スズ超電導導体用のジャケット材料としてはインコロイ908、316LNステンレス、チタンの3つがある。本論文では、これら3つの材料の長所・短所の比較及び、極低温での機械特性について述べている。
栗原 研一; 川俣 陽一
Fusion Technology 1996, 1, p.795 - 798, 1997/00
DT長時間燃焼を行うトカマク型装置では、高中性子束場中で、プラズマ近傍の高精度磁場測定が要求されている。JT-60等多くの核融合装置でこれまで用いられてきた「磁場変化率を微小コイルで電圧に変換し時間積分する方式」は、センサーの構造が単純で一旦取付けた後は保守の必要がなく、また放射線による機能変化が小さく耐放射線性に優れていると予想されるなど、他の方式に比べ有利である。しかし、その信号処理に不可欠な積分器がドリフトするため長時間に亘る高精度計測は困難とされてきている。これを解決する目的で、新型のデジタル積分素子の使用を含む様々なドリフト抑制策を施したデジタル積分器を試作開発し、JT-60で試験を行った結果とそこでの問題点の検討を行った結果を報告する。
谷藤 隆昭; O.D.Slagle*; F.D.Hobbs*; 八巻 大樹; Hollenberg, G. W.*; 野田 健治
Fusion Technology 1996, 0, p.1455 - 1458, 1997/00
核融合炉固体増殖材からのブランケット環境におけるトリチウム放出特性を評価するには、トリチウム拡散に及ぼす照射効果を知る必要がある。ここでは、トリチウム拡散挙動を調べるために最も適した単結晶試料を用い、LiOにおけるトリチウム拡散挙動の高速中性子重照射効果を調べ、JRR-4で実施した中性子効果の結果と比較した。これにより、高速中性子照射効果とJRR-4における熱中性子照射効果との違いを明らかにした。
喜多村 和憲*; 小泉 興一; 高津 英幸; 伊藤 裕*; 中平 昌隆; 多田 栄介; 常松 俊秀
Fusion Technology 1996, 0, p.1403 - 1406, 1997/00
国際熱核融合炉(ITER)のブランケット及び真空容器の支持構造系のプラズマ崩壊時の電磁力下における機械的挙動の把握と健全性評価を目的に3次元FEM構造解析を行い、自重、電磁力、熱荷重等の負荷時における各部の構造健全性を評価した。その結果、真空容器及びブランケット支持構造系の大部分の部位は使用材料(SS316)の許容応力内であったが、インボード及びアウトボード後壁下部については、板圧増加等の補強、もしくはプラズマ崩壊時のVDE荷重の見直しが必要であることが分かった。
古谷 一幸; 佐藤 聡; 三浦 秀徳*; 黒田 敏公*; 倉沢 利昌; 戸上 郁英*; 秦野 歳久; 高津 英幸; 大崎 敏雄*; 佐藤 真一*; et al.
Fusion Technology 1996, 0, p.1343 - 1346, 1997/00
遮蔽ブランケットモジュール小規模モデルと円管内蔵型第1壁パネルを製作した。小規模モデルは第1壁のポロイダル方向に曲率2000mmを有する高さ500mm、幅400mm、奥行き150mmの箱形形状構造体で、第1壁と遮蔽ブロック体から構成される。第1壁はDSCu、SS316L冷却配管、及びSS316L裏板より構成される。遮蔽ブロック体は冷却水流路用にドリル穴加工を施したSUS316塊である。第1壁及び第1壁と遮蔽ブロック体は同時HIPにより接合された。接合状態は良好で、HIP処理後の小規模モデルの寸法精度は1mm以下であった。円管内蔵型第1壁パネルは厚さ27mm、幅130mm、長さ300mmの板状で、DSCu及びSUS316L裏板より構成され、DSCu内部にはSUS316冷却配管を埋め込んである。第1壁パネルにおけるDSCu/DSCu,DSCu/SUS316L、及びSUS316L/SUS316L同士の接合には同時HIPを適用した接合状態は良好であり、寸法誤差も最大0.52mmであった。
佐藤 聡; 高津 英幸; 真木 紘一*; 内海 稔尚*; 飯田 浩正; R.Santoro*
Fusion Technology 1996, 0, p.1587 - 1590, 1997/00
ITERトカマク本体の核特性を、トーラス軸を回転軸としたポロイダル断面モデルを用いての、2次元S遮蔽解析により評価した。遮蔽ブランケット、真空容器、上部ポート、水平ポート、下部ポート、ダイバータカセット、トロイダルコイル、ポロイダルコイル、クライオスタット、及び生体遮蔽体を含む解析モデルに対して、中性子及びガンマ線輸送解析を行い、コイル等の核的応答を評価した。開口部に遮蔽プラグを有する水平ポートと、有さない水平ポート(NBIポートを想定)の各々の断面に対して、解析を行った。その結果、トロイダルコイルの核的応答は、絶縁材の吸収線量等のピーク値は、設計基準値を満足したものの、コイル全体の核発熱量は、基準値を上回った。今後、ポート近傍等の遮蔽構造の見直しが必要である。
中平 昌隆; 岡 潔; 角舘 聡; 深津 誠一*; 田口 浩*; 多田 栄介; 柴沼 清; 松日楽 信人*; Haange, R.*
Fusion Technology 1996, 0, p.1653 - 1656, 1997/00
国際熱核融合実験炉(ITER)の設計に基づき、ブランケット交換試験用にエンドエフェクタの縮小モデルを制作し、既存の1.2トン用マニピュレータ及び模擬ブランケットモジュールを用いて基本試験を行った。エンドエフェクタは姿勢決定、把持及び仮止め用のボルト締めで合計9軸を有し、把持対象であるモジュールの重心回りに回転するなど出力とサイズの低減が工夫されている。モジュールの把持部は、把持位置とボルトの挿入位置が相対的に決められており、エンドエフェクタの位置決め自由度を低減する工夫がされている。また、位置決めピンを有し、遠隔操作の位置決め誤差を吸収する。初期試験の結果、本システムでの設置制度は0.3mmであった。今後センサによる自動運転試験を行い、実重量4トン用マニピュレータの制作に反映する。
三浦 秀徳*; 喜多村 和徳*; 伊藤 裕*; 高津 英幸; 黒田 敏公*; 佐藤 聡; 古谷 一幸; 秦野 歳久; 倉沢 利昌; 戸上 郁英*; et al.
Fusion Technology 1996, 0, p.1339 - 1342, 1997/00
国際熱核融合実験炉(ITER)の高性能段階(EPP)で装荷される増殖ブランケットの設計を日本ホームチームの提案するペブルベッド概念に基づいて実施した。その結果、基本性能段階(BPP)と同寸法のままで、PFコイルに対する遮蔽性能はGDRDの要求値を満足し、EPPでの運転に必要なトリチウムを確保するために要求されるトリチウム増殖比(TBR)0.8を達成できることが分かった。また構造解析においても、電磁力および熱応力値は、許容値以下に抑えられる見通しを得られた。
岡 潔; 角舘 聡; 中平 昌隆; 田口 浩*; 多田 栄介; 伊藤 彰*; 柴沼 清; Haange, R.*; A.Tesini*
Fusion Technology 1996, 0, p.1649 - 1652, 1997/00
国際核融合実験炉(ITER)では、D-T燃焼により炉内機器は放射化されるため、遠隔機器による保守・交換作業が必要となる。これら炉内機器には、冷却配管が付属しているためこれまでに、配管内からのアクセスによる溶接・切断・検査装置の開発を行ってきた。今回、ブランケットの冷却配管を対象とし、曲がり部を通って枝管を溶接・切断することを可能とした加工ヘッド及び移動機構を製作した。駆動試験の結果、半径400mmの曲がり部を持つ配管内をスムーズに移動し、枝管部での位置決めが正常に行われることを確認した。また、出力の異なる発振器での溶接・切断試験を実施し、配管及び厚板での最適な加工パラメータの取得を行った。非破壊検査装置については、試作したEMATにより基礎試験を行い、その性能を評価し、合わせて、検査ヘッドの設計を行った。今後は、総合遠隔機器(モックアップ)試験を展開する予定である。
中道 勝; 佐川 尚司; 山口 勝義*; 石塚 龍雄*; 河村 弘
Fusion Technology 1996, 0, p.1351 - 1354, 1997/00
現在、核融合炉ブランケット開発の一環として、核融合炉パルス運転下におけるブランケット炉内機能を明らかにするため、中性子パルス運転モードを模擬する照射試験体の設計・製作研究を行っている。今回その第1段階として行った窓付き中性子吸収体を用いたJMTRでのキャプセル照射実験結果に対して、3次元モンテカルロ計算コードMCNP4aによる実証解析評価を行った結果について報告する。その結果、このキャプセルに装荷した中性子検出器の照射データと比較して、計算結果は良い一致を示した。
安藤 俊就; 小泉 徳潔; 伊藤 智庸*; 布谷 嘉彦; 辻 博史; 中平 昌隆; 塚本 英雄*; 中嶋 秀夫; 杉本 誠
Fusion Technology 1996, 0, p.1083 - 1086, 1997/00
NbAl導体のITERトロイダル・コイルの適用性について、巻線方法、コンジット材の選択から検討し、NbSn導体よりもすぐれていることを示した。
奥野 健二; 小西 哲之; 山西 敏彦; 大平 茂; 榎枝 幹男; 中村 博文; 岩井 保則; 林 巧; 河村 繕範; 小林 和容
Fusion Technology 1996, p.1277 - 1280, 1997/00
原研トリチウムプロセス研究棟では、核融合炉のためのトリチウム技術の研究開発をグラムレベルのトリチウムを用いて約9年にわたって実施している。トリチウムプロセス技術については、気相電気化学反応を利用したプラズマ排ガス処理、深冷分離法及び熱拡散法による同位体分離、ZrCoによるトリチウム貯蔵と輸送、液相同位体欠損によるトリチウム廃液処理法などの研究を集中的に行い、トリチウム燃料サイクル技術の実証をはかってきた。近年はトリチウム安全工学研究の充実をはかり、気体透過膜を利用した空気からのトリチウム除去法、通気式熱量測定法によるトリチウム計量機能を持つ貯蔵ベッド、レーザーラマン分光によるプロセスガスの遠隔多点分析、プラズマ対向材中のトリチウム挙動の研究などを進めている。
新井 貴; 本田 正男; 小池 常之; 西堂 雅博; 清水 正亜
Fusion Technology 1996, 0, 4 Pages, 1996/00
JT-60では、外径6mのトロイダル磁場コイル(TFC)を18個配置して強磁場(4テスラ)を作りプラズマ実験を行っている。TFCは、交換することが非常に困難であるため、定期的に冷却管等を、その場で調査する技術を開発する必要があった。小断面(8mm24mm)で長い配管(約30m)を検査するために2種類の方法を開発した。ひとつは、水浸み出し位置を同定する技術であり、粘性流状態を利用した真空リーク検査を改良したものでソープションスニファー法と呼んでいる。ふたつ目は、直接、水浸み出し箇所を観察することができるファイバースコープを使用する方法である。これらの技術を組合せてTFC冷却管の水浸み出し検査に応用し、適宜、運転に反映している。
佐藤 文信*; 大山 幸夫; 飯田 敏行*; 前川 藤夫; 伊達 道淳*; 高橋 亮人*; 池田 裕二郎
Fusion Technology 1996, 0, p.857 - 860, 1996/00
ITERにおいて、プラズマ診断用窓材料の14MeV中性子照射効果を調べることは重要である。その照射効果の1つに窓材料からの発光がプラズマ診断を低下させることが考えられる。従って、14MeV中性子あたりの窓材料からの発光量を測定することは重要な課題である。本研究は原研FNSを利用して、窓材料として代表的な石英ガラス、サファイアからの14MeV中性子誘起による発光量を測定した。また、14MeV中性子誘起発光の効率はCo線照射に比べて、効率が低く、窓材料の発光効率にも線質効果があることがわかった。本研究で求められた14MeV中性子誘起による発光特性は核融合実験炉のために有効なデータの1つである。
荒木 政則; 中村 和幸; 鈴木 哲; 秋場 真人; 久手 幸徳*; 早田 喜穂*; 佐藤 浩一*
Fusion Technology 1996, 0, p.359 - 362, 1996/00
次期核融合実験炉、例えばITER等では、高熱伝導率を有するプラズマ対向機器材料が必要である。特に、ダイバータ耐熱保護タイルは熱特性のみならず、機械的特性に優れた構造が要求されている。このような要求を満たすために、3次元構造をもつ炭素繊維強化複合材が開発されてきた。しかしながら、これら複合材は一般的に多孔質でり、真空環境への適用性が問題視されている。そこで、従来他の分野で利用されているHIP法を適用することにより、高熱伝導・高強度特性を合せもつ3次元炭素繊維強化複合材の開発に成功した。さらに、構造を工夫することにより、従来問題となっていた熱膨張率が金属に近い、より核融合分野に適した3次元炭素繊維強化複合材も開発し、目下、接合試験や加熱試験により検証中である。
春日井 敦; 坂本 慶司; 恒岡 まさき; 高橋 幸司; 前原 直; 今井 剛; 假家 強*; 林 健一*; 満仲 義加*; 平田 洋介*
Fusion Technology 1996, 1, p.549 - 552, 1996/00
原研では、ITERにおける電子サイクロトロン共鳴加熱・電流駆動用大電力ジャイロトロンの開発を行っている。ITERでは周波数170GHz、出力1MW以上で連続動作可能な、高効率ジャイロトロンを用いたシステムが要求されており、原研においてもITER/EDAにおいて170GHz/1MWレベルのジャイロトロンの開発を進めている。今回はモード変換器を内蔵したエネルギー回収型長パルスジャイロトロンの発振実験について報告する。ビーム電流30Aのとき最大出力525kWが得られ、このときの発振効率は19%であった。エネルギー回収により32%までは効率が改善できることが確かめられた。また、加速電圧を72kVに下げた動作では、ビーム電流32Aのとき出力460kWながら、総合効率は38%まで改善できた。また、長パルスにおける動作試験では、主力525kWにおいてパルス幅0.6秒、230kWでは2.2秒のパルス幅が得られた。