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田中 伸幸; 八巻 徹也*; 浅野 雅春*; 寺井 隆幸*
Journal of Membrane Science, 587, p.117171_1 - 117171_9, 2019/10
被引用回数:10 パーセンタイル:49.22(Engineering, Chemical)熱化学水素製造法ISプロセスでは、HI-I-H
O (HIx)溶液のHI濃縮のため、イオン交換膜を用いた電解電気透析法(EED)が適用されている。本報では、濃縮に伴う溶液濃度の変化が膜のH
透過性能に対して与える影響について、導電率(
)及び輸率(
)の2つの指標を用いて、Nafion212及び放射線グラフト膜に対して実験的及び理論的に評価した。EEDの数理モデルに基づく理論解析から、
及び
はH
及びI
イオンの膜に対する含有量及び膜中の拡散係数により決まることが示される。また、実験結果から、イオン含有量に対するHIx溶液濃度依存性は十分小さいことが示され、イオンの拡散係数に対する溶液濃度依存性が
及び
の濃度依存性に対する支配因子となることが明らかとなった。加えて、本報では膜中のH
及びI
の拡散機構について考察し、各イオンの拡散に対して、I
及びH
Oが強く関与していることが示唆された。これは、膜に対するI
及びH
Oの親和性を制御することで、H
透過性能を制御可能であることを示すものである。
澤田 真一; Ursino, C.*; Galiano, F.*; Simone, S.*; Drioli, E.*; Figoli, A.*
Journal of Membrane Science, 493, p.232 - 242, 2015/11
被引用回数:50 パーセンタイル:89.3(Engineering, Chemical)熱誘起相分離(TIPS)法によるポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜の作製において、人体に有害な溶媒を用いることが問題視されている。そこで本研究では、毒性が非常に低いことで知られているアセチルトリブチルシトレート(ATBC), アセチルトリエチルシトレート(ATEC), トリエチルシトレート(TEC)の3種類のクエン酸エステルを溶媒として初めて用い、TIPS法によってPVDF多孔膜を作製した。PVDF膜の空孔サイズは用いた溶媒の種類に依存し、ATBC(0.82-0.93m), ATEC(2.44-2.98
m), TEC(3.90-7.24
m)の順で大きくなった。PVDFとの相溶性もATBC, ATEC, TECの順で向上することから、相溶性の高い溶媒は高分子溶液中において分子運動性が高く、相分離過程で互いに凝集して巨大な相をつくるため、結果として大きなサイズの空孔を形成したと考えられる。PVDF膜を用いて純水のマイクロフィルトレーションを行ったところ、空孔サイズの違いに応じて水透過率を広範囲に渡って制御できた。
田中 伸幸; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 寺井 隆幸*; 小貫 薫
Journal of Membrane Science, 456, p.31 - 41, 2014/04
被引用回数:2 パーセンタイル:9.54(Engineering, Chemical)熱化学水素製造法ISプロセスの水素製造熱効率向上にはプロセス流体であるヨウ化水素酸の濃縮操作が肝要であり、ヨウ化水素濃縮を行う電解電気透析器に用いるイオン交換膜の性能が所要濃縮エネルギーを左右する。イオン交換膜を最適設計する上で重要な、膜のヨウ化水素-ヨウ素-水(HIx)溶液への浸漬時における各成分の膜内含有量を実験的に測定した。選択性や導電率の異なる開発中の放射線グラフト膜および市販膜を用いて、各成分の親和性を評価しHIx溶液各成分の吸収機構を調べた。その結果、イオン交換膜とヨウ素の親和性の差異がその他の成分含有量に影響し、ヨウ素との親和性が強いほど、ヨウ化水素や水の含有量が増加することが示唆された。このことから、イオン交換膜とヨウ素の親和性を調整することにより、イオン交換膜性能を最適化できる可能性を示した。
Tran, D. T.; 澤田 真一; 長谷川 伸; 勝村 庸介*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 447, p.19 - 25, 2013/11
被引用回数:31 パーセンタイル:73.27(Engineering, Chemical)燃料電池に用いられる電解質膜は、異なる加湿条件下で良好な膜特性を発現する必要がある。そこで本研究では、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を基材とするグラフト型電解質膜(ETFE電解質膜)のプロトン伝導性及び機械的特性の相対湿度(RH)依存性を調べた。温度80Cにおいて、イオン交換容量1.3-2.9mmol/gをもつ電解質膜のプロトン伝導度は、RH30%において0.001-0.013S/cm、RH98%において0.16-0.52S/cmであった。芳香族炭化水素高分子を基材とする電解質膜と比較して、ETFE電解質膜のプロトン伝導性の相対湿度に対する依存性は小さかった。これは、低湿度下においても親水性領域(ポリスチレンスルホン酸グラフト鎖と水)と疎水性領域(ETFE主鎖)が明確に相分離し、プロトン伝導経路が維持されるからであると考えられる。機械的特性に関しては、温度80
C、RH100%において、ETFE電解質膜は全てのIECにおいてNafionと同等もしくはそれ以上の破断強度を有することがわかった。
Park, J.; 榎本 一之; 山下 俊*; 高木 康行*; 戸高 勝則*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 438, p.1 - 7, 2013/07
被引用回数:13 パーセンタイル:42.89(Engineering, Chemical)芳香族ポリイミド膜と同等の耐熱性,機械特性を示す脂環式ポリイミド膜(A-PI膜)への放射線グラフト重合による燃料電池用電解質膜の作製とそのグラフト重合機構の解析を試みた。芳香族ポリイミドが放射線グラフト重合性を示さないのに対し、その一部を脂環式構造に置換したA-PI膜は放射線グラフト重合性を示した。得られたグラフト膜をスルホン化することで、ナフィオンより高いイオン伝導度と機械・熱的安定性を示す電解質膜が作製できた。照射A-PI膜の紫外・可視光分光(UV-VIS)スペクトルより、420, 600nmに吸収極大を持つ長寿命中間体の存在が確認できた。UV-VISスペクトルの減衰と電子スピン共鳴によるラジカルの減衰の比較から、この中間体が脂環式部位に生じたアルキルラジカルであり、A-PI膜の放射線グラフト重合における開始部位であることが確定できた。
榎本 一之; 高橋 周一; Rohani, R.; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 415-416, p.36 - 41, 2012/10
被引用回数:15 パーセンタイル:47.94(Engineering, Chemical)次世代燃料電池に不可欠な高温低加湿下でも高イオン伝導性と機械強度を併せ持つグラフト型電解質膜の合成を目的に、イオン伝導を担うスルホン酸と低加湿下での保水性が期待できる親水性水酸基を有するアルキルグラフト鎖を導入した電解質膜を作製し、その導電率の相対湿度依存性を評価した。VAcモノマーのETFE基材への放射線グラフト重合とその鹸化反応により得られたグラフト鎖の水酸基の1,3-プロパンスルトンへの求核開環付加反応で、スルホン化率が39%で目的のグラフト型電解質膜が得られた。同じイオン交換容量(IEC)のグラフト型電解質膜について、低加湿下(30%RH, 80C)での導電率を比較したところ、これまで報告してきた従来型のポリスチレンスルホン酸電解質膜を凌ぐ1.2
10
S/cmを示した。さらに、ナフィオンや芳香族炭化水素電解質膜の機械強度を凌ぐことから、水酸基を有するグラフト型電解質膜は、低膨潤(機械強度)を維持したまま、低加湿下での高導電性を実現することを明らかにした。
田中 伸幸; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 前川 康成; 寺井 隆幸*; 小貫 薫
Journal of Membrane Science, 411-412, p.99 - 108, 2012/09
被引用回数:14 パーセンタイル:45.46(Engineering, Chemical)熱化学水素製造法ISプロセスのエネルギー効率向上のため、イオン交換膜を用いた電解電気透析法によるヨウ化水素濃縮において、イオン交換膜性能の温度依存性について検討した。膜中のイオン輸送に関する理論等を考慮することで、膜性能を表す輸率,セル電圧,水の透過量の温度依存性を定式化した。また、放射線グラフト膜及び市販膜を用いた実験結果をよく再現できることから、その妥当性を確認した。
岩井 保則; 廣木 章博; 玉田 正男
Journal of Membrane Science, 369(1-2), p.397 - 403, 2011/03
被引用回数:17 パーセンタイル:51.07(Engineering, Chemical)ナフィオンN117CS膜内に放射線により架橋を形成させることに成功したことを引張試験,メタノール膨潤率測定,熱機械分析(TMA),F19 MAS NMRにより実証した。今までナフィオン膜の耐熱性は低く、H型ナフィオン膜側鎖の熱分解が523Kから始まることからナフィオンN117CS膜内に放射線により架橋を形成することは不可能であると考えられていた。まずナフィオン膜の耐熱性を向上させるため、照射前のナフィオン膜を塩化ナトリウム溶液に浸漬させ、ナフィオン膜をNa型とした。耐熱性が大幅に向上したNa型ナフィオン膜を室温から618Kの温度範囲でアルゴン雰囲気下にて線照射した。照射後膜はH型に再置換した。アルコールで膨潤させたナフィオン膜のF19 MAS NMR測定から放射線による架橋に起因するピークが生じていることを確認した。未照射膜に比べ、598Kで照射した膜の破壊時伸び率の向上やメタノール膨潤率の低下,TMAによる軟化点温度の低下などの観測もわれわれの新たな発見を裏付けている。
Chen, J.; Li, D.; 越川 博; 浅野 雅春; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 362(1-2), p.488 - 494, 2010/10
被引用回数:38 パーセンタイル:75.85(Engineering, Chemical)高導電性と高機械強度を両立するため、スーパーエンプラ芳香族炭化水素高分子であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルムを用い、放射線架橋・グラフト重合、及びスルホン化反応の手法を組合せた技術により高性能な架橋PEEK電解質膜を合成し、その合成条件と燃料電池特性を調べた。その結果、電子線照射により架橋したPEEKフィルムは、グラフト溶液やスルホン化溶液に対して、溶解性が抑制された。また、ジビニルベンゼンを熱グラフトしたことで、その後のスチレン放射線グラフト重合性が大幅に促進した。これは、反応の足場として導入したジビニルベンゼンが、放射線照射により多くのラジカルを生成し、結果的に重合を促進したと考えた。グラフトした架橋PEEKフィルムをスルホン化することで強靭な電解質膜を合成できた。
田中 伸幸; 小貫 薫
Journal of Membrane Science, 357(1-2), p.73 - 79, 2010/06
被引用回数:18 パーセンタイル:53.27(Engineering, Chemical)熱化学水素製造法ISプロセスのための電解電気透析法に関して、HIx溶液(HI-I-H
O混合溶液)におけるカチオン交換膜Nafion117を介した平衡電位を測定した。電極反応,ドナン平衡及びイオンの膜透過に関する理論を考慮して、本系における平衡電位を表式化し、これを用いた実測値の相関により、液組成及び温度と平衡電位を関連付ける実験式を得た。得られた実験式は実測した平衡電位を0.03V以内の精度で再現した。また、取得した回帰パラメータはHIx溶液の気液平衡データをもとにして評価した値と整合したことから、解析の妥当性を確認した。
田中 伸幸; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 前川 康成; 小貫 薫
Journal of Membrane Science, 346(1), p.136 - 142, 2010/01
被引用回数:20 パーセンタイル:56.37(Engineering, Chemical)熱化学水素製造法ISプロセスにおけるHI-I-H
O(HIx)溶液の濃縮操作に対する新規な高分子電解質膜の適用性を評価した。電解質膜はエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を基材として、イオン交換容量(IEC)が1.1-1.6mmol/gになるようにスチレンを放射線グラフト重合して作製した。40
CにおけるHI濃縮試験を行い、電解質膜の主要な性能指標である輸率,プロトンに対する水の透過量,電流効率及び電気抵抗のIEC依存性を調べた。その結果、従来のNafionと比較して、本報で使用した電解質膜はイオン選択性が劣るものの電気抵抗が低く、HIx溶液の濃縮操作に必要な消費電力を最大で32%削減できることがわかった。
長谷川 伸; 佐藤 賢*; 成田 正*; 鈴木 康之; 高橋 周一; 森下 憲雄; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 345(1-2), p.74 - 80, 2009/12
被引用回数:32 パーセンタイル:70.39(Engineering, Chemical)高温での機械特性に優れた芳香族炭化水素高分子である結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)膜へのスチレンの放射線グラフト重合において、示差走査熱量測定法(DSC),熱重量分析(TGA),X-線回折(XRD),電子スピン共鳴(ESR)を用いてその固相反応機構と膜構造を詳細に調べた。熱分析によりスチレンのグラフト重合が、PEEKの非晶質領域で進行していることがわかった。このことは、ポリスチレングラフト鎖が、基材であるPEEK膜と類似の炭化水素構造を持つため、PEEK膜の非晶相と相容性を有しているためであると考えられる。グラフトPEEK膜は、後スルホン化することで0.01S/cmの電気伝導度と、100%以上の高い含水率を示し、PEEK基材電解質膜に転換可能であることがわかった。
Chen, J.; Li, D.; 越川 博; Zhai, M.*; 浅野 雅春; 奥 浩之*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 344(1-2), p.266 - 274, 2009/11
被引用回数:15 パーセンタイル:47.53(Engineering, Chemical)直接メタノール燃料電池(DMFC)用電解質膜を開発するために、超薄膜フィルムポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用い、モノマーであるジビニルベンゼン(DVB)及びエチルスチレンスルホンファイド(ETSS)をそれぞれ熱重合及び放射線重合によるグラフトを行った。DVBグラフト率は7%未満にもかかわらず、その後のETSSグラフトを大幅に促進させることがわかった。熱水による加水分解により超薄膜電解質膜を得た。得られた電解質膜は、フーリエ変換型赤外分光(FT-IR),熱重量(TG)分析又はイオン交換容量,含水率,導電性,機械強度及びメタノール透過性の測定により評価した。さらに、得られた電解質膜は燃料電池評価により、優れた電池性能を有することがわかった。したがって、このように作製した電解質膜はDMFCへ適用できることがわかった。
Qiu, J.*; Zhai, M.*; Chen, J.; Wang, Y.*; Peng, J.*; Xu, L.*; Li, J.*; Wei, G.*
Journal of Membrane Science, 342(1-2), p.215 - 220, 2009/10
被引用回数:73 パーセンタイル:90.79(Engineering, Chemical)二段階放射線グラフト法によるETFEをベースにした両性イオン交換膜を作製した。まず、スチレンモノマーをETFEフィルムに放射線グラフトした後、スルホン化反応によりカチオン型イオン交換膜とした。次に、得られたカチオン型イオン交換膜をベースフィルムとして、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)を放射線グラフトし、プロトン化反応により両性イオン交換膜を作製した。作製した両性イオン交換膜は、高いイオン交換容量と伝導率、低いバナジウムイオンの透過率を有することがわかった。さらに、このような両性イオン交換膜のレドックスフロー電池評価から、300時間以上の耐久性があり、ナフィオン117膜より高いエネルギー効率を示すこともわかった。
Qiu, J.*; Zhang, J.*; Chen, J.; Peng, J.*; Xu, L.*; Zhai, M.*; Li, J.*; Wei, G.*
Journal of Membrane Science, 334(1-2), p.9 - 15, 2009/05
被引用回数:85 パーセンタイル:93.07(Engineering, Chemical)放射線グラフト重合法により、モノマーであるスチレン(St)とメタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)をポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルムへグラフトした後、そのグラフトフィルムをスルホン化とプロトン化反応により両性イオン交換膜とした。グラフト率は、照射線量とともに増加し、約60kGyで最大グラフト率が得られた。両性イオン交換膜の特性はグラフト組成に密接に依存することが確認できた。すなわち、グラフト鎖中DMAEMAの成分が高いほど、バナジウムイオン透過性とプロトン導電性は低くなった。また、作製した両性イオン交換膜をレドックスフロー電池に組み込んで、電池性能をテストした結果、両性イオン交換膜は、1.2Vの開路電圧の状態で68時間の耐久性があるのに対し、ナフィオン117膜では14時間であった。
越川 博; 臼井 博明*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 327(1-2), p.182 - 187, 2009/02
被引用回数:3 パーセンタイル:17.51(Engineering, Chemical)導電性細線が埋め込まれた絶縁性高分子膜から成る複合膜を、耐熱性,耐候性に優れたポリイミド(PI)イオントラック膜のエッチングされた穿孔に銅を電気メッキすることによって作製した。膜厚12mのPI膜にフルエンス3
10
3
10
ions/cm
のXeイオン3.5MeV/nを照射し、次亜塩素酸ナトリウム溶液でエッチングして、直径0.2
2.9
mの穿孔を作製した。電気メッキによって穿孔内に銅線を析出させ、膜厚方向のみに導電性を持ち、熱に安定な複合膜を作製した。4端子測定による銅細線一本あたりの電気伝導率は計算値と大きな差はなかった。また、抵抗及び複合膜の構造が少なくとも400
Cの熱処理に対して安定した状態を保持していた。このような高い耐熱性を持つ異方導電性膜は、電子機器への幅広い応用が期待される。
高橋 周一*; 小此木 裕行*; 萩原 時男*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 324(1-2), p.173 - 180, 2008/10
被引用回数:37 パーセンタイル:73.9(Engineering, Chemical)燃料電池用電解質膜の高温作動時の耐久性向上を目的に、アルキルスルホン酸をグラフト鎖に有する電解質膜の合成を試みた。ETFEにアクリル酸メチル(MA)をグラフト重合後、クロロスルホン酸とジオキサンの当量錯体で処理することで、副反応なしにスルホン化が進行し、低含水率で高いイオン伝導性を示す電解質膜が合成できた。得られた電解質膜の重量及び滴定法による定量分析より、スルホン化と同時に脱カルボン酸も起こる置換/脱離反応が進行し、アルキルスルホン酸30%とアルキルカルボン酸70%の共重合グラフト鎖を有するグラフト型電解質膜であることが確認できた。
岩井 保則; 廣木 章博; 玉田 正男; 山西 敏彦
Journal of Membrane Science, 322(1), p.249 - 255, 2008/09
被引用回数:28 パーセンタイル:66.06(Engineering, Chemical)ナフィオンの機械強度及びイオン交換能の放射線による劣化に及ぼす酸素の影響を調査した。室温又は343Kの温度下にて酸素飽和水に浸漬したナフィオン膜を線及び電子線にて1600kGyまで順次照射した。室温における照射の結果、機械強度の劣化では酸素が関与しない反応が支配的となることを示した。空気雰囲気とは異なり、浸漬下では溶存している酸素濃度が小さいため、酸素が関与する劣化反応は大幅に抑制された。また、線源の種類の違いや線量率の影響は小さかった。343Kにおける照射では、酸素が関与しない反応が室温より活性化する一方、酸素が関与する反応の寄与は無視小となった。溶出するフッ素量はナフィオンの放射線による劣化を非破壊で評価する指標となることを示した。イオン交換能は1600kGyの照射においても2割の低下にとどまり、ナフィオンの側鎖は放射線に対して強いことがわかった。
Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成; 吉田 勝
Journal of Membrane Science, 319(1-2), p.1 - 4, 2008/07
被引用回数:34 パーセンタイル:71.43(Engineering, Chemical)高温低加湿高分子型燃料電池に適用する電解質膜を開発するため、スーパーエンジニアリングプラスチックであるポリエーテルエーテルケトン芳香族炭化水素系高分子フィルム(PEEK)を基材として、二段階のグラフト重合を経由して高分子電解質膜を合成した。すなわち、PEEK基材フィルムにジビニルベンゼンを足場高分子として熱グラフト重合し、次いで、スルホン酸基へ変換できる官能基を有するETSSモノマーを放射線グラフト重合し、加水分解処理により高分子電解質膜を合成した。合成した高分子電解質膜はナフィオン膜より優れた導電性,機械的強度があり、高温低加湿の条件における高い電池性能を示した。
Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成; 吉田 勝
Journal of Membrane Science, 296(1-2), p.77 - 82, 2007/06
被引用回数:36 パーセンタイル:71.73(Engineering, Chemical)高導電性及び高耐熱性を同時に持つハイブリッド電解質膜を作製するために、芳香族ビニルシランであるスチリルトリメトキシシランのエチレン-テトラフロオロエチレン共重合体フィルムへの放射線グラフト重合を試みた。グラフトしたスチリトリメトキシシランをクロロスルホン酸によりスルホン化し、次に塩酸水溶液中で加水分解・シラン縮合することにより高性能ハイブリッド型電解質膜を合成することができた。このハイブリッド型電解質膜は従来のナフィオン電解質膜と比べ、導電性,含水性及び耐熱性などに優れた特性を持つことがわかった。