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寺澤 知潮; 松永 和也*; 林 直輝*; 伊藤 孝寛*; 田中 慎一郎*; 保田 諭; 朝岡 秀人
Vacuum and Surface Science, 66(9), p.525 - 530, 2023/09
Au(001)表面は擬一次元周期性を持つHex-Au(001)に再構成することから、この表面にグラフェンを成長させると、その周期性がグラフェンの電子構造を変化させると予測された。特に、グラフェンとAuの軌道混成により、グラフェンにバンドギャップやスピン偏極が導入されると考えられていた。本研究では、Hex-Au(001)表面上のグラフェンの角度分解光電子分光と密度汎関数理論計算の結果を報告する。グラフェンのDiracコーンとAu 6sp軌道の交点に0.2eVのバンドギャップが観測され、バンドギャップ形成の起源がグラフェンのDiracコーンとAu 6sp軌道の混成であることが示された。この軌道混成の機構について考察し、グラフェンのDiracコーンへのスピン注入を予想した。
寺澤 知潮; 松永 和也*; 林 直輝*; 伊藤 孝寛*; 田中 慎一郎*; 保田 諭; 朝岡 秀人
Physical Review Materials (Internet), 7(1), p.014002_1 - 014002_10, 2023/01
被引用回数:4 パーセンタイル:82.04(Materials Science, Multidisciplinary)金(001)表面は、六角形の表面と正方形のバルク格子からなる複雑な再構成構造[Hex-Au(001)]を示し、擬一次元的な波状表面を形成している。この表面上にグラフェンを成長させると、波状表面の周期性がグラフェンの電子構造を変化させ、バンドギャップや新しいディラックポイントを形成することが予測された。さらに、グラフェン-金界面はバンド混成によるバンドギャップ生成やスピン注入の可能性が期待される。ここでは、Hex-Au(001)表面上のグラフェンについて、角度分解光電子分光と密度汎関数計算を行った結果を報告する。元のグラフェンとレプリカのグラフェンのバンドの交点はバンドギャップを示さず、一次元ポテンシャルが小さすぎて電子構造を変更できないことが示唆された。グラフェンバンドとAu バンドの交点では0.2eVのバンドギャップが観測され、グラフェンバンドとAu バンドの混成を利用してバンドギャップが生成していることが示された。また、グラフェンとAu の混成により、グラフェンへのスピン注入が起こることが予想される。
永石 隆二; 木村 貴海; Sinha, S. P.*
Molecular Physics, 101(7), p.1007 - 1014, 2003/01
被引用回数:20 パーセンタイル:54.48(Chemistry, Physical)高濃度炭酸溶液中で希土類(III)イオンは、4つの炭酸イオンが配位した錯体[Ln(CO)]を形成する。この炭酸錯体は8配位構造を持つため、水和イオン[Ln(HO)](n=8,9)とは異なり、その強度・位置ともに特徴的な励起・発光ピークを持ったスペクトルが観測できる。また、この錯体は第1配位圏に水分子を持たないため、より多くの希土類イオンの発光がより長寿命で観測できると考えられる。本研究ではPr(4f)からTm(4f)までの10元素(Pmを除く)について炭酸錯体の発光の有無を調べ、Pr,Ho及びErを除いた7元素の発光を観測した。ここで、励起・発光スペクトル中のそれぞれのピークを電子状態間の遷移として帰属し、炭酸錯体に特徴的な遷移を見いだすとともに、水和イオンと炭酸錯体の配位環境の違いを定量的に明らかにした。さらに、HO及びDO溶液中での発光寿命から、励起した炭酸錯体の無輻射緩和がエネルギーギャップ則に従うこと、発光寿命の水素同位体効果が金属の内圏に配位している炭酸イオンのC-O振動エネルギーと深く関連していることを明らかにした。
寺澤 知潮; 保田 諭; 松永 和也*; 林 直輝*; 田中 慎一郎*; 乗松 航*; 伊藤 孝寛*; 町田 真一*; 朝岡 秀人
no journal, ,
擬一次元周期構造を持つHex-Au(001)基板上に形成したグラフェンはバンドにエネルギーギャップを持つ。これまではHex-Au(001)基板の周期ポテンシャルによると考えられていた。本研究では、詳細な角度分解光電子分光の結果、Hex-Au(001)基板のspバンドとグラフェンのバンドの軌道混成しエネルギーギャップを形成することが確認されたため報告する。
寺澤 知潮; 松永 和也*; 林 直輝*; 伊藤 孝寛*; 田中 慎一郎*; 保田 諭; 朝岡 秀人
no journal, ,
Hex-Au(001)表面は一次元の波形を持ち、化学的に不活性であるため、グラフェンに対する一次元ポテンシャルの効果を調べるために採用されてきた。このようなポテンシャルは、グラフェンのバンド構造を異方的にし、ポテンシャルを横切るゾーン境界でのミニギャップやポテンシャルに沿った高い群速度を示すと予想される。しかし、Hex-Au(001)上のグラフェンにおけるバンドギャップは、走査型トンネル分光によって間接的に示唆されたに過ぎなかった。ここでは、角度分解光電子分光法(ARPES)と密度汎関数理論(DFT)計算を用いて、Hex-Au(001)基板上のグラフェンのバンド構造について報告する。ARPESでは、グラフェンのバンドがAuの6spバンドに近いバンドギャップを示している。また、DFT計算によるバンド構造では、バンドギャップはグラフェンバンドの交点ではなく、グラフェンバンドとAu 6spバンドの交点にあることが示された。したがって、このバンドギャップはグラフェンとAuの混成に由来すると結論づけられる。この混成は、SiC基板上のグラフェンとAuの界面で観測されたものと類似している。SiC基板上グラフェンとAuのギャップ付近で100meVのラッシュバ分裂が観測されたことから、グラフェンとAuの混成が重要であることが予想される。