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久米 民和
JAERI-Conf 2000-003, p.87 - 93, 2000/03
多糖類の放射線処理に関するこれまでの成果を報告する。放射線処理の目的は、(1)放射線殺菌と(2)放射線改質に大別できる。放射線殺菌に関しては、マレーシア原子力研究所(MINT)との二国間研究協力により進めてきた「オイルパーム空果房(繊維質廃棄物)の飼料化」に関する成果について述べる。また、放射線改質に関しては、(1)植物生育促進、(2)エリシター活性の誘導、(3)殺菌活性、(4)重金属などの生育阻害の抑制効果について、得られた成果を紹介する。用いた多糖類は、アルギン酸、カラギーナン、ペクチン、セルロース、キトサンであり、放射線分解産物によって誘導される生物活性について述べる。
Relleve, L. S.*; 吉井 文男; Dela Rosa, A.*; 久米 民和
Angewandte Makromolekulare Chemie, 273, p.63 - 68, 1999/07
放射線分解型多糖類のカラギーナンと親水性モノマーのN-ビニルピロリドン(VP)との水溶液を照射し、得られたハイドロゲルの特性を調べた。重合橋かけポリVP(PVP)ハイドロゲルの気泡生成が4%カラギーナン添加により防止できた。PVP/カラギーナンハイドロゲルは、PVP単独のハイドロゲルよりもゲル分率、水膨潤率、ゲル強度が大幅に増加する興味ある結果を得た。これは、重合橋かけによるPVP網目構造にカラギーナンのグラフト化や分解したカラギーナンの絡み合い効果によると考えられる。
C.T.Aranilla*; 吉井 文男; Dela-Rosa, A. M.*; 幕内 恵三
Radiation Physics and Chemistry, 55(2), p.127 - 131, 1999/00
被引用回数:49 パーセンタイル:94.06(Chemistry, Physical)天然高分子のカラギーナン(KC)ゲルの耐熱性を圧縮試験によるゲル強度により評価した。KC水溶液は塩化カリの添加によりゲル化するが、ゲル強度は非常に弱い。このため、水溶液中でよく混合するポレエチレンオキサイド(PEC)との複合ゲルを照射により調製した。KCの単独の水溶液は照射により分解が起こるため、ゲル強度が低下するが、PEOを添加すると、10kGyに強度の最大値が現われる。この場合PEOとKCの割合は、等量が最も高いゲル強度を与える。このゲルを20分間オートクレーブ滅菌を行ったところ88%の強度を保持していた。以上の結果から、カラギーナン-PEOゲルが医用材料への応用が期待できるようになった。
久米 民和; 武久 正昭
Agricultural and Biological Chemistry, 47(4), p.889 - 890, 1983/00
アルギン酸ソーダおよびカラギーナンを照射した場合の粘度、表面電荷および凝集剤としての効果における変化について検討した。アルギン酸ソーダおよびカラギーナン粉末に完全殺菌線量である50Mradまでの照射を行うと、著しい粘度低下が認められ、とくにカラギーナンの粘度低下が著しかった。表面電荷は照射に対して安定であり、50Mradの高線量照射しても10数%の表面電荷が低下したにすぎなかった。一方、10Mradおよび50Mrad照射したアルギン酸ソーダおよびカラギーナンでは、清酒のオリ下げ促進効果が認められた。これらの結果から、放射線殺菌法は増粘剤やゲル化剤としての多糖類に用いることはできないが、吸着剤や凝集剤には適用できると考えられた。さらに、高線量照射による凝集剤としての改質が可能であった。