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渡辺 勝利; 小川 豊; 近藤 達男
鉄と鋼, 68(6), p.682 - 689, 1982/00
中性子照射したハステロイーXの高温延性について試験温度、歪速度および熱中性子照射量依存性を調べた。(n,)反応によるHe生成に関してはB(n,)Li反応に加えて比較的近年になって発見されたNi(n,)Ni(n,)Fe反応にも着目して脆化との関係を検討した。得られた主な結果は次の通りである。(1)照射後延性の低下は歪速度の減少とともに、また1000Cまでの範囲で試験温度の上昇とともにその傾向は強まった。(2)He脆化は低照射領域ではBの核変換によるHeによるが、高照射量になるにしたがってNi2段反応によるHeの効果が支配的となる。(3)10n/cmの照射量に達すると、破断伸びは900Cにおいては約3.5%以下、1000Cにおいては約1.5%以下となることが予測された。(4)延性低下のしきい照射量は900Cにおいては610n/cm、1000Cにおいては210n/cm、またそれぞれのしきいHe量(原子比)は9.410および3.210となることが予測された。