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高松 邦吉
革新的冷却技術; メカニズムから素子・材料・システム開発まで, p.179 - 183, 2024/01
高温ガス炉は優れた安全性を有しており、原子炉冷却材が喪失するような事故時においても、炉心における崩壊熱や残留熱を原子炉圧力容器(RPV)外表面から放熱でき、燃料温度は制限値を超えることなく静定する。一方、RPVから放出された熱を最終ヒートシンクまで輸送する冷却システムに関しては、ポンプ等による水の強制循環を用いた能動的システムや、大気の自然循環を用いた受動的システムが提案されている。しがしながら、冷却性能が動的機器の動作や気象条件の影響を受けるという課題があった。本稿では、これらの課題解決を目的に提案されている放射冷却を用いた新たな冷却システム概念の概要や、当該概念の成立性確認を目的とした解析と実験の結果を紹介する。
坂野 雅樹*; 舩谷 俊平*; 高松 邦吉
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 7 Pages, 2023/05
本研究では、放射冷却を採用した原子炉圧力容器(RPV)の受動的冷却設備の安全性に関する基礎的研究を行う。本研究の目的は、自然災害が発生した場合でも、放射冷却を採用したRPVの受動的冷却設備は、安全で信頼できることを実証することである。そこで、いくつかのステンレス製の容器を使って、実機の受動的冷却設備の約1/20スケールである実験装置を製作した。実験装置内の発熱体の表面はRPVの表面を模擬しており、その発熱体は実験装置内で自然対流と輻射を発生させる。そこで実機と実験装置のグラスホフ数を比較したところ、いずれも乱流であることを確認し、スケールモデルである実験装置から価値の高い実験結果を得られることに成功した。また実験の結果から、定格運転時にRPV表面から放散される熱を確実に除去できることを実証できた。
高松 邦吉; 舩谷 俊平*
Proceedings of 2023 International Congress on Advanced in Nuclear Power Plants (ICAPP 2023) (Internet), 17 Pages, 2023/04
受動的安全性を持つRCCSは、大気を冷却材として使用するため、冷却材を喪失することはないが、大気の擾乱の影響を受けやすいという欠点がある。そのため、大気放射を利用したRCCSと、大気自然循環を利用したRCCSを実用化するためには、想定される自然災害や事故状態を含むあらゆる状況下で、原子炉からの発熱を常に除去できるのかについて安全評価を実施する必要がある。そこで本研究では、2種類の受動的RCCSについて、熱除去のための受動的安全性の余裕(裕度)について同一条件で比較した。その結果、提案した大気輻射を利用したRCCSは、外気(大気)の擾乱に対して原子炉圧力容器(RPV)の温度を安定的に維持できる利点を明らかにすることができた。さらに、RPV表面から放出される廃熱をすべて利用できる方法も提案した。
坂野 雅樹*; 舩谷 俊平*; 高松 邦吉
山梨講演会2022講演論文集(CD-ROM), 6 Pages, 2022/10
本研究では、放射冷却を採用した原子炉圧力容器(RPV)の受動的冷却設備の安全性に関する基礎的研究を行う。本研究の目的は、自然災害が発生した場合でも、放射冷却を採用したRPVの受動的冷却設備は、安全で信頼できることを実証することである。そこで、いくつかのステンレス製の容器を使って、実機の受動的冷却設備の約1/20スケールである実験装置を製作した。実験装置内の発熱体の表面はRPVの表面を模擬しており、その発熱体は実験装置内で自然対流と輻射を発生させる。実験の結果、実験装置内の自然対流を詳細に可視化することに成功した。
高松 邦吉; 松元 達也*; Liu, W.*; 守田 幸路*
Annals of Nuclear Energy, 162, p.108512_1 - 108512_10, 2021/11
被引用回数:1 パーセンタイル:15.09(Nuclear Science & Technology)受動的安全性を持つRCCSは、大気を冷却材として使用するため、冷却材を喪失することはないが、大気の擾乱の影響を受けやすいという欠点がある。大気放射を利用したRCCSと、大気自然循環を利用したRCCSを実用化するためには、想定される自然災害や事故状態を含むあらゆる状況下で、常に原子炉からの発熱を除去できるのか、安全性を評価する必要がある。本研究では、2種類の受動的RCCSについて、熱除去のための受動的安全性の大きさを同一条件で比較した。次に、自然災害により自然対流による平均熱伝達率が上昇するなどの偶発的な条件をSTAR-CCM+でシミュレーションし、除熱量の制御方法を検討した。その結果、受動的安全性に優れ、伝熱面の除熱量を制御できる、大気放射を利用したRCCSが優れていることを明示できた。最後に、自然対流と輻射を再現するためにスケールダウンした除熱試験装置の肉厚(板厚)を決定する方法を見出し、加圧室及び減圧室を用いた実験方法も提案した。
高松 邦吉; 松元 達也*; Liu, W.*; 守田 幸路*
Annals of Nuclear Energy, 151, p.107867_1 - 107867_11, 2021/02
被引用回数:2 パーセンタイル:29.53(Nuclear Science & Technology)受動的安全性を備えた新しい炉容器冷却システム(RCCS)を提案する。RCCSは連続した2つの閉じた領域から構成される。1つは原子炉圧力容器(RPV)を囲む領域、もう1つは大気と熱交換をする冷却領域である。新しいRCCSはRPVから発生した熱を輻射や自然対流によって除去する。最終的なヒートシンクは大気であるため、電気的または機械的に駆動する機器は不要である。RCCSの特徴を理解するために、受動的安全性および除熱量の制御方法について、大気放射を用いたRCCSと大気の自然循環を用いたRCCSを比較した。受動的安全性の大小関係は、熱伝導輻射自然対流の順である。よって、前者のRCCSは後者のRCCSより、受動的安全性が高いことがわかった。また、除熱量を制御する方法については、前者のRCCSは伝熱面積を変えるだけである一方、後者のRCCSは煙突効果を変える必要がある。つまり、ダクト内の空気抵抗を変える必要がある。よって、前者のRCCSは後者のRCCSより、簡単に除熱量を制御できることがわかった。
高松 邦吉; 松元 達也*; Liu, W.*; 守田 幸路*
Annals of Nuclear Energy, 133, p.830 - 836, 2019/11
被引用回数:2 パーセンタイル:20.94(Nuclear Science & Technology)輻射及び自然対流による受動的安全性を持つ革新的な原子炉圧力容器冷却設備(RCCS)を提案した。このRCCSは、連続した2つの閉空間(RPV周囲にある圧力容器室、大気と熱交換を行う冷却室)から構成される。また、RPVからの放出熱を、できるだけ輻射を用いて効率的に除去するため、今までに無い新しい形状を採用している。さらに、崩壊熱除去を行う際、作動流体及び最終ヒートシンクとして空気を用いることで、それらを失う可能性が大幅に低減される。そこで、本冷却設備の優れた除熱性能を示すために、等倍縮小した除熱試験装置を製作し、実験を開始した。本研究では、実機のRCCSと等倍縮小した除熱試験装置を比較する方法を提案する。
太田 宏一*; 大釜 和也; 山野 秀将
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.30 - 39, 2019/09
A detailed core-bowing analysis code, ARKAS_cellule, has been developed. The detailed shell model applied to ARKAS_cellule was verified with a conventional beam model for the IAEA benchmark problems. As a result, ARKAS_cellule was properly verified for the thermal bowing analysis of the core. In addition, it was confirmed that ARKAS_cellule simulates the change in duct stiffness with the contact conditions.
高松 邦吉; 松元 達也*; Liu, W.*; 守田 幸路*
Annals of Nuclear Energy, 122, p.201 - 206, 2018/12
被引用回数:4 パーセンタイル:37.66(Nuclear Science & Technology)輻射及び自然対流による受動的安全性を持つ革新的な原子炉圧力容器冷却設備(RCCS)を提案した。このRCCSは、連続した2つの閉空間(RPV周囲にある圧力容器室、大気と熱交換を行う冷却室)から構成される。また、RPVからの放出熱を、できるだけ輻射を用いて効率的に除去するため、今までに無い新しい形状を採用している。さらに、作動流体及び最終ヒートシンクとして空気を用いることで、崩壊熱除去を行う際、それら作動流体及びヒートシンクを失う可能性が大幅に低減される。本研究では、熱伝導を利用したRCCSの除熱能力の向上を目指した結果、除熱できる熱流束が2倍となり、RCCSの高さを半分に、または熱出力を2倍にすることが可能となった。
細見 成祐*; 明石 知泰*; 松元 達也*; Liu, W.*; 守田 幸路*; 高松 邦吉
Proceedings of 11th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-11) (Internet), 7 Pages, 2018/11
受動的安全性を備えた新しい炉容器冷却システム(RCCS)を提案する。RCCSは連続した2つの閉じた領域から構成される。1つは原子炉圧力容器(RPV)を囲む領域、もう1つは大気と熱交換をする冷却領域である。新しいRCCSはRPVから発生した熱を輻射や自然対流によって除去する。最終的なヒートシンクは大気であるため、電気的または機械的に駆動する機器は不要である。RCCSの性能を理解するためにスケールモデルを使用して実験を開始した。ヒーター壁と冷却壁に異なる放射率を設定し、3つの実験を実施した。ヒーターから放出された総熱出力および壁面温度分布に関するデータが得られた。モンテカルロ法を使ってヒーターから放出された総熱出力に対する放射の寄与を評価した。ヒーター壁を黒く塗った場合、総熱出力に対する放射の寄与は約60%まで増加できた。つまり、実機においてRPVの壁面の放射率を高くすることは有効である。同時に、冷却領域の壁面の放射率も高くすれば、大気への放射を増加できるだけでなく、RCCS内の対流熱伝達も促進できることがわかった。
高松 邦吉; Hu, R.*
Proceedings of 10th International Topical Meeting on Nuclear Thermal Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-10) (USB Flash Drive), 12 Pages, 2014/12
東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、福島事故)後、深層防護の観点から炉心損傷の防止対策が重要になった。安全上優れた特性を有する冷却設備に関する研究は、極めて重要なテーマである。そこで、動的機器および非常用電源等を必要とせず、福島事故のようにヒートシンクを喪失することのない、受動的安全性を持つ原子炉圧力容器の冷却設備を提案する。本冷却設備は変動がなく、安定して冷却できるため、定格運転時の一部の放出熱、および炉停止後の一部の崩壊熱を、常に安定的に受動的に除去できることがわかった。特に事故時において、本冷却設備が持つ冷却能力の範囲まで崩壊熱が減少した際、それ以降は非常用電源等が必要なくなり、長期間(無限時間)に渡って受動的な除熱が可能となる。
原子力船研究開発室
JAERI-Tech 97-045, 601 Pages, 1997/10
原子力船「むつ」の研究開発により得られた知見を十分活用しつつ、経済性及び信頼性に優れた改良舶用炉MRXの研究開発を進めた。MRXは砕氷船及び一般商船への搭載を想定した熱出力100MWの改良舶用炉であり、試設計、概念設計の後、平成5年度から4年間工学設計を実施した。本報告書はその成果をとりまとめたものである。設計されたMRXの特徴は次の通りである。(1)1次系機器を原子炉容器に内装する一体型PWRの採用により小型化と大口径配管破断事故及び制御棒飛び出し事故の排除、(2)水張式格納容器の採用による冷却材喪失事故時の受動的炉心冠水維持と格納容器外補助遮蔽の排除、(3)自然循環式受動的安全系による異常時の崩壊熱除去、(4)系統の簡素化、受動的工学安全系、高度自動化等の採用による運転性の向上、等を達成している。
本多 琢郎*; 岡崎 隆司*; 真木 紘一*; 宇田 達彦*; 関 泰; 青木 功; 功刀 資彰
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(4), p.265 - 274, 1995/04
被引用回数:8 パーセンタイル:63.04(Nuclear Science & Technology)ダイバータ冷却系での真空容器外冷却材喪失事故時における核融合実験炉の受動的安全性を検討した。この目的のためプラズマ動特性と炉構造体の伝熱特性を同時に計算できるコードを開発し、拡散モデルを用いてエッジプラズマでの不純物輸送を扱えるように改良した。このコードで受動的安全性の解析を行い、次の結果を得た。ダイバータ冷却系のコールドレグでギロチン破断が生じた場合、黒鉛のプラズマ対向壁から照射誘起昇華により不純物がプラズマ中に混入し、不純物密度が2秒以内で2倍になる。このプラズマ対向壁からの不純物により、約4秒後には受動的にプラズマ停止する。一方、ダイバータ受熱部の銅冷却管は約3秒後に溶融温度に至る。このように事象の進展が早い事故の場合、受動的なプラズマ停止だけでは炉の健全性を保てず、更に能動的な停止システムが求められる。
村尾 良夫
原子力工業, 41(1), p.31 - 35, 1995/00
軽水炉の近未来での問題点と、その克服のための課題を述べた。軽水炉は、ウランからのエネルギ発生の絶対量の大きさでは、実績としてかなうものがなく、軽水炉技術の社会基盤は十分に整備されている。その社会基盤を脅かす可能性のある要因としては、立地難、コスト上昇による推進意欲の低下、経年劣化の影響、発展途上国での事故の影響、技術者の確保、ウラン資源の高騰とプルトニウムの蓄積がある。それに対処するには、現行軽水炉の自動化等の改良、炉心設計の改良、プルトニウム炉心、苛酷事故対策、受動的安全設備の採用、システム全体の大幅変更による簡素化と運転保守性、安全性、経済性の向上が必要であることを述べた。
朝日 義郎; 渡辺 正; 若林 宏明*
Nuclear Science and Engineering, 96, p.73 - 84, 1987/00
被引用回数:3 パーセンタイル:51.52(Nuclear Science & Technology)原子炉の安全性を向上する新受動的装置が提案されている。現在のプラントをわずかに修正することによって、新装置を付置できる。新装置が、PWRの安全性をどういう具合に向上させるかを示すために、交流電源喪失条件下でのATWS(スクラム不動作を伴なう過渡事象)を解析してある。解析結果は、新装置がPWRの安全性を非常に向上させるということを示している。しかし、新装置を実用化するには、解決すべきいくつかの技術的項目がある。
太田 宏一*; 尾形 孝成*; 楠見 紘司*; 大釜 和也; 山野 秀将; 二神 敏; 中川 直樹*; 川畠 竜*; 儀間 大充*; 松原 慎一郎*
no journal, ,
高速炉の炉心変形挙動を精度よく評価するため、集合体ダクトを多数のシェル要素でモデル化する詳細炉心湾曲解析コードを開発している。一方で、コード検証に要する試験データは限定的であるため、炉心体系に配置された模擬集合体群の温度勾配下での変形や相互作用データを取得する熱湾曲実験を実施している。
中川 直樹*; 川畠 竜*; 儀間 大充*; 松原 慎一郎*; 太田 宏一*; 尾形 孝成*; 楠見 紘司*; 大釜 和也; 山野 秀将; 二神 敏
no journal, ,
詳細炉心湾曲解析コードの検証データ蓄積のため、模擬集合体群が熱変形により相互干渉する挙動を、単体から段階的に試験体数を増やして取得する計画である。本計画の初期段階として、単体の模擬集合体熱湾曲実験を実施した。本報告では、試験にて得られた知見を紹介する。
高松 邦吉; 舩谷 俊平*; 坂野 雅樹*
no journal, ,
自然災害により発生した福島第一原子力発電所事故(以下、福島事故)の後、深層防護の観点から炉心損傷の防止対策が重要になった。安全上優れた特性を有する冷却設備に関する研究は、極めて重要なテーマである。そこで福島事故のようにヒートシンクを喪失することもなく、動的機器及び非常用電源等も必要とせず、事故時の崩壊熱を受動的に除去できる、極めて信頼性が高く、メルトダウンが起こりえない、新たな原子炉圧力容器の冷却設備(以下、RPV冷却設備)を提案する。一方、外気の自然循環を用いた除熱方法は、外乱の影響を受けやすいため、自然災害が発生した場合、除熱能力が著しく減少する可能性がある。そこで本研究では、自然対流や自然循環よりも、できるだけ放射冷却や輻射を用いたRPV冷却設備を開発した。放射冷却を用いたRPV冷却設備は、自然災害発生時でも、安全に確実に除熱できることを実証した。
高松 邦吉; 沖田 将一朗; 橘 幸男; 西村 洋亮*; 岡本 孝司*
no journal, ,
本研究では、SiC母材の燃料コンパクトを採用した高出力密度高温ガス炉の事故解析を行い、実機の成立性を評価した。具体的には、高温ガス炉の安全評価で用いた2次元非定常伝熱解析コードを用いて減圧事故解析を行った結果、高出力密度高温ガス炉の燃料温度分布及びRPV温度分布等が明らかとなり、燃料最高温度は1400Cを超えないことを確認できた。つまり、減圧事故が発生しても、SiC母材の燃料コンパクトを採用した高出力密度高温ガス炉は、優れた受動的安全性の特徴を持つことがわかった。
高松 邦吉; 松元 達也*; 守田 幸路*
no journal, ,
東京電力の福島第一原子力発電所事故(以下、福島事故)後、深層防護の観点から炉心損傷の防止対策が重要になった。安全上優れた特性を有する冷却設備に関する研究は、極めて重要なテーマである。そこで、動的機器および非常用電源等を必要とせず、福島事故のようにヒートシンクを喪失することのない、受動的安全性を持つ原子炉圧力容器の冷却設備を提案する。本冷却設備は変動がなく、安定して冷却できるため、定格運転時の一部の放出熱、および炉停止後の一部の崩壊熱を、常に安定的に受動的に除去できることがわかった。特に事故時において、本冷却設備が持つ冷却能力の範囲まで崩壊熱が減少した際、それ以降は非常用電源等が必要なくなり、長期間(無限時間)に渡って受動的な除熱が可能となる。