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海老原 健一; 藤原 比呂*; 清水 一行*; 山口 正剛; 戸田 裕之*
International Journal of Hydrogen Energy, 136, p.751 - 756, 2025/06
被引用回数:0高強度のAl-Zn-Mg合金へのSn添加は水素脆化を抑制する効果があるとの実験的報告があり、これは、Snの第二相粒子による水素吸収に起因すると考えられる。この事実を検証するため、第一原理計算で評価した水素の固溶エネルギーを取り入れた反応拡散方程式に基づくモデルを用い、アルミ中のSn相への水素侵入のシミュレーションを実施した。その結果、Sn第二相粒子による水素吸収が水素脆化を抑制するには、第二相粒子の水素固溶サイト濃度がAl相の5倍以上必要であることが分かった。このことから、実際にはSn第二相粒子のHE抑制効果は限定的であり、実験における水素脆化抑制には他の要因の影響が考えられる。
寺田 宏明; 都築 克紀; 門脇 正尚; 永井 晴康
日本原子力学会誌ATOMO, 67(2), p.113 - 117, 2025/02
2011年に発生した福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が大気中に放出され、広く拡散して環境汚染が生じた。このような原子力緊急時の対応と準備に有用な情報となる精緻な大気拡散計算結果を様々な条件に対して迅速に取得可能な数値シミュレーションシステムとして、大気拡散データベースシステム(WSPEEDI-DB)が完成した。本稿では、このWSPEEDI-DBの開発経緯、システムの概要および活用例を紹介する。
Qin, T. Y.*; Hu, F. F.*; 徐 平光; Zhang, H.*; Zhou, L.*; Ao, N.*; Su, Y. H.; 菖蒲 敬久; Wu, S. C.*
International Journal of Fatigue, 185, p.108336_1 - 108336_13, 2024/08
被引用回数:9 パーセンタイル:93.27(Engineering, Mechanical)Gradient distribution of triaxial residual stresses to a depth of several millimeters is retained in middle carbon steel S38C axles after high-frequency induction hardening, which has become a critical concern for fatigue structural integrity. To address this, the axial, hoop, and radial gradient residual strains inside the axles were measured for the first time by advanced neutron diffraction. The SIGINI Fortran subroutine was then adopted to reconstruct the global initial residual stress field from the measured data. Experimental and simulation results show that residual stresses of about -520 MPa (axial), -710 MPa (hoop), and -40 MPa (radial) residual stress were retained below the axle surface. Subsequently, the fatigue crack propagation behavior of S38C axles was numerically investigated in the framework of fracture mechanics. The calculated results clearly show that the compressive residual stresses at a depth of 0?3 mm from the axle surface lead to a low crack growth driving force, and that fatigue cracks do not propagate as long as the crack depth is less than 3.7 mm for hollow S38C axles. These results further indicate that the maximum defect size allowed in routine inspections is acceptable from a safety and economic point of view. Accurate measurement and characterization of the global gradient residual stress field through experiments and simulations can provide an important reference for optimizing the mileage intervals of nondestructive testing (NDT) of surface defects in these surface-strengthened railway axles.
内堀 昭寛; 岡野 靖
Isotope News, (793), p.32 - 35, 2024/06
AI支援型革新炉ライフサイクル最適化手法ARKADIAの基盤技術として、ナトリウム冷却高速炉のシビアアクシデント発生時に原子炉容器内外で進展する事象を一貫してシミュレーションする手法(SPECTRAコード)を開発している。本手法は、安全性と経済性を両立させる最適な機器設計条件を探索することに有用である。本研究では、Na漏えい・燃焼を含む仮想的な事故を例題として、複数の設計条件に対する解析を実施し、安全性を保ったまま経済性を向上できる小型格納容器及び安全対策の設計条件を発見できた。これにより、ARKADIAの設計最適化プロセスに対する本手法の有効性を確認した。
田中 正暁; 江沼 康弘; 岡野 靖; 内堀 昭寛; 横山 賢治; 関 暁之; 若井 隆純; 浅山 泰
Mechanical Engineering Journal (Internet), 11(2), p.23-00424_1 - 23-00424_13, 2024/04
安全性や経済性に関する要求、カーボンフリーエネルギー源としての要求に適合する革新的原子炉の設計を創出する統合評価システムであるARKADIAについて、その概要とともに、要素開発及び設計最適化プロセスの開発状況についてまとめたものである。ARKADIAは、安全設備を含めたプラント設計及び運転を最適化するための、人工知能(AI)を活用した数値解析を実現するとともに、最先端の数値解析技術と、過去の研究開発プロジェクトで得たデータや知見を格納した知識ベースを、AIと融合させるシステムであることについて概要を紹介する。
内堀 昭寛; 堂田 哲広; 青柳 光裕; 曽根原 正晃; 曽我部 丞司; 岡野 靖; 高田 孝*; 田中 正暁; 江沼 康弘; 若井 隆純; et al.
Nuclear Engineering and Design, 413, p.112492_1 - 112492_10, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:43.92(Nuclear Science & Technology)ナトリウム冷却高速炉に代表される革新炉に対し、安全性評価やそれに基づく設計最適化を自動で行うARKADIAを開発している。通常運転もしくは設計基準事象の範囲で設計最適化を行うARKADIA-Designについては、核特性-熱流動-炉心変形のマルチレベル連成解析手法等を中心技術として開発し、その基本的機能を確認した。シビアアクシデントまで含む範囲で安全性評価を行うARKADIA-Safetyの基盤技術として、炉内/炉外事象一貫解析手法の整備を進め、仮想的なシビアアクシデント事象を解析することで基本的機能を確認した。また、炉外事象に対する解析モデルの高度化、設計最適解の探索工程を合理化するAI技術の開発に着手した。
海老原 健一; 関根 大貴*; 崎山 裕嗣*; 高橋 淳*; 高井 健一*; 大村 朋彦*
International Journal of Hydrogen Energy, 48(79), p.30949 - 30962, 2023/09
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)鉄鋼材料の応力腐食割れの1つである水素脆化を理解するには、鋼材中の水素分布を知る必要があり、それには昇温脱離スペクトルの数値シミュレーションによる解釈が有効である。溶接金属やTRIP鋼において残留オーステナイト(RA)は昇温脱離スペクトルに顕著な影響を与えるが、明確な水素分布についてはこれまでよく知られていない。本研究では、高炭素フェライト-オーステナイト二相鋼の既報の水素昇温脱離スペクトルを、独自にコード化した二次元モデルによって数値シミュレーションし、水素は、その鋼材に含まれる量が少ないときは炭化物表面に、その量が多くなると二相界面に、主にトラップされることを明らかとした。また、界面トラップの水素の脱離ピークの試料厚さ依存性が、従来とは異なる理由で発現することも明らかとなった。
堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Physics of Fluids, 35(7), p.073309_1 - 073309_17, 2023/07
被引用回数:3 パーセンタイル:41.58(Mechanics)非混和液液系における液体ジェットの微粒化は、原子力産業分野の安全上重要である。日本原子力研究開発機構は、数値シミュレーションを用いて非混和性液液系における液体ジェットとして振る舞う溶融燃料の挙動を評価する手法を開発し、数値シミュレーションと実験により浅水プール中の液体ジェット挙動を調査してきた。本論文は、壁面衝突液体噴流における微粒化の機構を明らかにする。ここでは、非混和液液系の浅水プール中壁面衝突液体噴流における微粒化挙動について、数値シミュレーションと分散相追跡法を用いて、液滴形成とその流れ場の観点から研究した。その結果、壁面衝突液体噴流に見られる液膜流における液滴形成は、三つのパターンがあることを明らかにし、液滴形成直後の液滴物理量を取得し、無次元数を用いた液滴形成の理論的基準領域を開発した。液滴形成パターンとこの領域との比較により、パターンの特徴と発生源に応じた液滴形成機構を解明した。
堀口 直樹; 吉田 啓之; 北辻 章浩; 長谷川 信*; 岸本 忠史*
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 7 Pages, 2023/05
我が国のエネルギー安全保障の観点および環境負荷低減の観点から、軽水炉の連続運転が不可欠である。PWRの水質管理にはLi-7イオンを濃縮したpH調整剤が必要であり、Li-7濃縮技術の開発が重要課題の一つである。環境負荷の少ない技術としてマルチチャンネル向流電気泳動(MCCCE)法が開発されている。これを実用化するためには、チャネル内のLi-7イオン挙動を把握し、Li-7と他同位体を分離させるため実験条件を最適化する必要がある。本報告では、実機の単一チャンネル内のLi-7イオン挙動を把握することを目的に、原子力機構で開発した粒子追跡機能を有するCFDコードTPFIT-LPTをベースとしたイオン挙動の数値シミュレーション手法を開発した。本手法では、電場下のイオンの運動を、電場による速度を粒子に付加して運動させることで模擬した。同位体の運動の差異は付加速度の大きさを変更して表現した。また、個々のイオン挙動を実験計測することは不可能であるが、数値シミュレーションの検証の為に、バルク流体の流速を測定することが重要であると考えた。そこで、実機の単一チャンネルを簡略化したラボスケール実験装置を開発し粒子画像流速計測法(PIV)により流速を測定することとした。実験装置には、実機の実験条件の一つであり数値シミュレーションで難しい条件の一つである脈動流条件を設定し、流速を測定した。結果として、脈動流が再現されることを確認した。この脈動流の実験データを数値シミュレーションの入口境界条件として設定し、数値シミュレーションを実施した。この結果として、電場の影響を受けたイオンが脈動しながら上流へ移動することを確認した。また、電場下の同位体の挙動の差異も確認した。
大島 宏之; 浅山 泰; 古川 智弘; 田中 正暁; 内堀 昭寛; 高田 孝; 関 暁之; 江沼 康弘
Journal of Nuclear Engineering and Radiation Science, 9(2), p.025001_1 - 025001_12, 2023/04
本論文は、安全性や経済性に関する要求、カーボンフリーエネルギー源としての要求に適合する革新的原子炉の設計を創出するためのARKADIAについて、概要及び開発計画をまとめたものである。ARKADIAは、安全設備を含めたプラント設計及び運転を最適化するための、人工知能(AI)を活用した数値解析を実現する。最先端の数値解析技術と、過去の研究開発プロジェクトで得たデータや知見を格納した知識ベースを、AIと融合させるシステムである。開発の第一フェーズでは、ナトリウム冷却高速炉を対象としてARKADIA-DesignとARKADIA-Safetyを個別に開発する。続く第二フェーズでは、既存の軽水炉に加え、コンセプト,冷却材,構造,出力の異なる多様な革新炉に適用可能な一つのシステムに統合する計画である。
吉田 啓之; 堀口 直樹
日本機械学会関東支部第29期総会・講演会講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2023/03
福島第一原子力発電所(1F)における汚染水の低減、取り出し工法の検討等で必要とされる燃料デブリ熱挙動の推定のために開発している、三次元二流体モデルに基づく多相CFD数値シミュレーション手法の概要やその結果について報告する。
海老原 健一
材料, 71(5), p.481 - 487, 2022/05
日本材料学会誌「材料」における「水素ぜい化の評価・解析法」講座の一部として、水素の昇温脱離分析(TDA)法に関して解説している。TDAでは、水素を含む金属材料の一定割合の加熱によって脱離する水素を測定し、得られる材料温度に対する水素放出割合の関係である昇温脱離曲線から、材料中の水素の存在状態を推定する方法であり、水素ぜい化研究において欠くことのできない測定手法である。内容は、TDAによる水素存在状態の推定に関する実験の概要、及び昇温脱離曲線の数値シミュレーションによる解釈についてである。数値シミュレーションに関しては、TDAにおける水素脱離の原子レベルでの機構、及び数値モデルを詳細に説明し、さらに、純鉄及びアルミニウムの昇温脱離曲線の解釈に関する最近の報告を紹介している。本稿によってTDAの原理や最近の動向について広く理解が進むと思われる。
森口 祐一*; 佐藤 陽祐*; 森野 悠*; 五藤 大輔*; 関山 剛*; 寺田 宏明; 滝川 雅之*; 鶴田 治雄*; 山澤 弘実*
KEK Proceedings 2021-2, p.21 - 27, 2021/12
福島第一原子力発電所事故時の呼吸由来の内部被ばく線量評価において、I-131等の短寿命核種は重要であるが、被ばく線量や大気中濃度の実測値が少ない。そのため、他の核種の環境中濃度の実測値、大気移流拡散沈着モデル(ATDM)による推計値、空間線量率の測定値等に基づく総合解析が必要である。本研究では、Cs-137を対象として、これまでに構築してきた大気中濃度と地表沈着量に基づく空間線量率推計手法をATDM相互比較に供された国内外の多数のモデルに適用し、これまで検証が困難であった福島県内外の地域を中心に選定した計64地点を対象にATDMの再現性の検証を行った。その結果、初期被ばくの評価上特に重要な3月12日の原発から北方向へ輸送されたプルームについて、これまで対象としていた原発から25km地点より近傍の約10km地点における線量率のピーク値やそのタイミングを比較的良好に再現するATDMが複数存在することが分かった。また、実測値がなくこれまで検証が困難であった北関東地域でのプルームの輸送状況の再現性の検証に見通しが得られた。
海老原 健一; 杉山 優理*; 松本 龍介*; 高井 健一*; 鈴土 知明
Metallurgical and Materials Transactions A, 52(1), p.257 - 269, 2021/01
被引用回数:9 パーセンタイル:39.83(Materials Science, Multidisciplinary)応力腐食割れの原因の1つと考えられている水素脆化に関し、近年、材料の変形時に水素により過剰生成した空孔が直接の原因と考える水素助長ひずみ誘起空孔モデルが提案されている。しかし、その定量的考察はあまりなされておらず、誘起空孔の挙動の定量的評価が必要である。このことから、本研究では、水素添加と同時にひずみを与えた純鉄の薄膜試料の水素熱脱離スペクトルを、空孔及び空孔クラスターの挙動を考慮したモデルでシミュレーションした。モデルでは、9個の空孔からなる空孔クラスター()までを考慮し、空孔及び空孔クラスターの水素トラップエネルギーとして、分子静力学で見積もった値を用いた。また、拡散に関するパラメータも原子レベル計算で評価した値を用いた。結果として、モデルは、全体としてスペクトルを再現し、時効処理の温度に対するスペクトルの変化も再現した。一方、実験との2つの特徴的な違いも現れ、その考察から、
及び
の拡散はモデルより遅いこと、また、水素と共にひずみを与える際に、空孔クラスターも生成されることの可能性が見出された。本モデルは、照射で生成した空孔の挙動の考察にも応用可能と考える。
瀬川 智臣; 川口 浩一; 石井 克典; 鈴木 政浩; 深澤 智典*; 福井 国博*
粉体工学会誌, 57(9), p.485 - 494, 2020/09
使用済燃料の再処理工程において、硝酸ウラニル・硝酸プルトニウム混合溶液をマイクロ波加熱脱硝法により混合酸化物粉末に転換している。ラボスケールの基礎実験において研究開発された知見に基づき、工学規模への適用性の評価や金属硝酸塩水溶液の様々なマイクロ波加熱脱硝特性データを取得するため、硝酸セリウム,硝酸コバルト,硝酸銅水溶液を用いてマイクロ波加熱特性及び金属酸化物粉末特性の研究を行った。脱硝反応の進行速度は位置により差がみられ、周縁部の方が中心部に比べて脱硝反応が速く進行した。硝酸セリウム水溶液ではポーラスな硬い乾固体、硝酸コバルト水溶液では発泡乾固体、硝酸銅水溶液では粉末状生成物が得られることが分かった。生成物の脱硝率及び平均粒子径は、硝酸セリウム水溶液,硝酸コバルト水溶液,硝酸銅水溶液の順に大きくなることを確認した。数値シミュレーションにより、金属硝酸塩水溶液の底面周縁部はマイクロ波により加熱されやすく、脱硝反応が周縁部から開始する実験結果と一致することを明らかにした。
曽根原 正晃; 青柳 光裕; 内堀 昭寛; 高田 孝; 大島 宏之; Clark, A. J.*; Louie, D. L. Y.*
Proceedings of 2020 International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 2020) (Internet), 4 Pages, 2020/08
ナトリウム燃焼における多次元効果の検証のために、原子力機構においてSNL T3ナトリウム燃焼試験をAQUA-SFおよびSPHINCSコードを用いて検証を行った。解析において、試験中の燃焼停止期間を模擬し、ナトリウム液滴径の最適化を行うことで、試験結果の再現を行った。その際、AQUA-SFにおけるBest estimateの液滴径は2.5mmとなり、ハイスピードカメラによる測定と矛盾しない結果を得ることができた。
村松 壽晴
JAEA-Research 2019-008, 111 Pages, 2019/11
レーザー光を熱源とした材料加工などに対する数値解析的な評価手法の確立を図ることを目的として、レーザー溶融・凝固計算科学シミュレーションコードSPLICEを開発した。本コードは、レーザー加工分野における多品種少量生産を行う上で、レーザー照射条件などの設定に費やすオーバーヘッドを適切に低減させるため、レーザー-物質相互作用、半溶融帯を介した溶融金属-固体材料間の熱的機械的相互作用、溶融・凝固相変化過程などの複合物理過程を取扱うために必要となる物理モデル, 数学モデルなどを導入した気-液-固統一非圧縮性粘性流汎用多次元コードである。本コードの主要な特徴は以下の通りである。(1)ミクロ挙動とマクロ挙動とを多階層スケールモデルにより接続し、固体材料へのレーザー光照射から、固体材料の溶融・凝固過程までの一連の複合物理過程を、汎用ワークステーション上で評価することが可能、(2)レーザー光を熱源とする材料加工として、溶接, 溶断, 穿孔, コーティング, 金属光造形などを対象に、数値解析評価が可能、(3)SPLICEコードユーザーへの負荷を低減させるため、グラフィックユーザーインターフェースを整備し、対話形式でのコード運用が可能なことである。
村松 壽晴
スマートプロセス学会誌, 8(1), p.4 - 8, 2019/01
本解説論文では、加工材料にレーザー光が照射されてから加工が完了するまでの複合物理過程を定量的に取扱えるようにするために開発中の計算科学シミュレーションコードSPLICEの概要と各種レーザー加工プロセスへの適用例を実験結果などとともに紹介する。さらに、加工プロセスに対する設計空間を可視化することにより、レーザー加工に付随するオーバーヘッドを大幅に低減させ得る方法として、SPLICEコードをディジタルモックアップ装置として利用するフロントローディングツールとして効果的であることを述べる。
海老原 健一; 山口 正剛; 都留 智仁; 板倉 充洋
軽金属, 68(11), p.596 - 602, 2018/11
水素脆化は応力腐食割れの原因の1つとして考えられている。鉄鋼材料と同様に高強度アルミニウム合金の開発では水素脆化は重大な問題となっている。アルミニウム合金における水素脆化の研究は鉄鋼材料における水素脆化機構の解明に示唆を与えると考えられる。水素脆性を理解するためには、合金中の水素トラップ状態を知ることは避けられず、それは水素の熱脱離分析法を用いて同定することができる。本研究では、円筒状試料および板状試料について報告されたアルミニウム中の水素の熱脱離スペクトルを数値シミュレーションし、それらに含まれる脱離ピークをトラップサイト濃度およびトラップエネルギーに基づいて解釈した。その結果、最低温度側の脱離ピークは粒界から生じることが明らかとなり、他の脱離ピークは報告された解釈が合理的であることが確認された。さらに、試料を加熱する過程で転位や空孔のトラップサイト濃度が変化する可能性を示す結果を得た。この結果は、鉄鋼材料において昇温脱離曲線から水素トラップ状態を解釈する上で有意な示唆を与えるものである。
海老原 健一; 齋藤 圭*; 高井 健一*
「水素脆化の基本要因と特性評価」研究会報告書, p.57 - 61, 2018/09
本発表は、3年間の日本鉄鋼協会における「水素脆化の基本要因と特性評価」研究会で実施した研究に関する最終報告である。水素脆化は応力腐食割れの原因のひとつと考えられているが、その機構はいまだ明確になっていない。近年、水素を添加したマルテンサイト鋼にひずみを付与することで空孔が生成されることが報告され、この現象は水素ひずみ誘起空孔生成と呼ばれ、水素脆化の機構の1つと関係すると考えられている。この空孔生成は昇温脱離分析における脱離ピークの出現によって確認されているが、空孔が昇温時に拡散・消滅するためそのピークの生成過程はあまり明らかでない。本研究では、空孔の拡散、消滅および空孔クラスターの成長、解離を考慮したモデルによる数値シミュレーションによって、空孔の脱離ピークの生成過程を調査検討した。結果として、空孔に関する脱離ピークには単空孔の寄与が大きいことが分かった。