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中野 寛子; 藤波 希有子; 山浦 高幸; 川上 淳; 花川 裕規
JAEA-Review 2023-036, 33 Pages, 2024/03
材料試験炉部では、発電用原子炉の導入を検討しているアジア諸国をはじめとした海外の原子力人材育成及び将来の照射利用拡大、並びに国内の原子力人材の育成及び確保を目的とし、国内外の若手研究者・技術者を対象に、JMTR等の研究基盤施設を活用した実践型の実務研修を実施している。本研修は、国立研究開発法人科学技術振興機構の国際青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に採択され、2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、オンラインでの開催とした。アジア地域の6か国から53名の若手研究者・技術者が参加した。また、2022年度は海外から日本国への入国規制が緩和されたことにより、アジア地域の4か国から7名の若手研究者・技術者が参加し、オンサイト研修を実施した。開催した研修の共通したカリキュラムとして、原子力エネルギー、照射試験、原子炉の管理、JMTRの廃止措置計画等に関する講義を行った。2021年度におけるオンラインでの研修では各国のエネルギー事情に関する情報交換を実施し、2022年度におけるオンサイト研修ではシミュレータを用いた運転、環境モニタリング等の実習やJMTR等の施設見学を行った。本報告書は、2021年度及び2022年度に実施した研修についてまとめたものである。
堂田 哲広; 上羽 智之; 根本 俊行*; 横山 賢治; 田中 正暁
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 26, 4 Pages, 2021/05
高速炉の設計最適化に向け、従来の設計解析では考慮できなかった炉心温度上昇時の炉心の熱変形によるフィードバック反応度を考慮するため、核-熱-構造連成解析法を開発した。本手法では、核特性,プラント動特性,構造力学の各解析コードをPythonスクリプトの制御モジュールを用いて連成させる。本稿では、本連成手法と実プラント試験へ適用した結果について概説する。
堂田 哲広; 浜瀬 枝里菜; 横山 賢治; 田中 正暁
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 25, 4 Pages, 2020/06
高速炉の設計を最適化するため、3次元核特性コード(MARBLE)とプラント動特性解析コード(Super-COPD)をPythonプログラミングによってプラットフォーム上で連成させ、炉心の中性子束分布の時間変化を考慮できる核-熱流動連成解析手法を開発した。本稿では、解析コードの連成方法、実プラントの仮想事故解析への適用結果、今後の展開について概説した。
横山 賢治; 杉野 和輝; 石川 眞; 丸山 修平; 長家 康展; 沼田 一幸*; 神 智之*
JAEA-Research 2018-011, 556 Pages, 2019/03
高速炉用統合炉定数ADJ2010の改良版となるADJ2017を作成した。統合炉定数は、核設計基本データベースに含まれる臨界実験解析等で得られるC/E値(解析/実験値)の情報を、炉定数調整法により実機の設計に反映するためのものであり、核データの不確かさ(共分散)、積分実験・解析の不確かさ、臨界実験に対する核データの感度等の情報と統合して炉定数を調整する。ADJ2017は、前バージョンのADJ2010と同様に、我が国の最新の核データライブラリJENDL-4.0をベースとしているが、マイナーアクチニド(MA)や高次化Puに関連する積分実験データを重点的に拡充した。ADJ2010では合計643個の積分実験データを解析評価し、最終的に488個の積分実験データを採用して統合炉定数を作成した。これに対して、ADJ2017では、合計719個の核特性の解析結果に対する総合評価を行い、最終的に620個の積分実験データを採用して統合炉定数を作成した。ADJ2017は、標準的なNa冷却MOX燃料高速炉の主要な核特性に対してADJ2010とほぼ同等の性能を発揮するとともに、MA・高次Pu関連の核特性に対しては、積分実験データのC/E値を改善する効果を持っており、核データに起因する不確かさを低減することができる。ADJ2017が今後、高速炉の解析・設計研究において広く利用されることを期待する。ADJ2017の作成に用いた積分実験データは、高速炉の炉心設計の基本データベースとして有効活用できると期待される。
後藤 実
JAEA-Review 2014-058, 103 Pages, 2015/03
HTTRの試験結果を用いて、以下の検討を行った。(1)核データライブラリの高温ガス炉の核特性解析に対する適用性、(2)改良した高温ガス炉核特性解析手法の適用性、(3)棒状可燃性毒物の高温ガス炉の反応度制御に対する有効性。これらの結果を用いて、2030年代の開発途上国等への導入を目指した熱出力50MWの小型高温ガス炉HTR50Sの核設計を行った。HTR50Sの核設計は、出力密度の向上および燃料濃縮度数の削減を、HTTRの核設計からの主な改良項目として検討を進めた。その結果、HTTRでは12種類あった燃料濃縮度を3種類に削減し、出力密度をHTTRの約1.4倍に向上した炉心を設計することができた。
佐藤 聡; 中尾 誠*; Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; 和田 政行*; 久保田 直義; 近藤 恵太郎; 山内 通則*; 西谷 健夫
Nuclear Fusion, 45(7), p.656 - 662, 2005/07
被引用回数:8 パーセンタイル:27.97(Physics, Fluids & Plasmas)タングステンアーマの核融合炉ブランケットトリチウム増殖率(TBR)への影響を実験的に評価するため、原研FNSを用いたDT核融合線源による中性子工学実験を行った。F82H, LiTiO, Beから成る試験体を組立、DT核融合中性子照射実験を行った。タングステンアーマ無しの場合、及び有りの場合(厚さ12.6及び25.2mm)の3種類の試験体を用いた。金属箔をあらかじめ試験体中の各境界面に設置し、照射後、高純度Ge検出器を用いて、各種反応率を評価した。同様に、炭酸リチウムペレットを、LiTiO中に設置し、照射後、液体シンチレーションカウンターを用いて、トリチウム生成率(TPR)を評価した。25.2mm厚のタングステンを設置することにより、LiTiO中のNb, Al, Auの反応率は、各々2030%, 30%, 1030%減少した。12.6mm厚のタングステンを設置した場合は、各々20%, 20%, 530%減少した。25.2及び12.6mm厚のタングステンを設置することにより、TPRは最大で15及び13%、積算で8及び3%減少した。原研が提案しているブランケット設計においては、5mm厚以下のタングステンアーマであるならば、本実験結果からTBRの減少は2%以下と予測できる。
核融合工学部; 物質科学研究部
JAERI-Review 2005-012, 143 Pages, 2005/03
原研は、原子力委員会核融合会議が平成12年8月に策定した「核融合炉ブランケットの研究開発の進め方」に基づき、固体増殖方式のブランケットの開発の中核的な機関として、増殖ブランケットの開発を進めている。本報告は、原研で実施している増殖ブランケット開発計画とこれまでの成果及び今後の展望と計画を取りまとめたものである。本報告では、核融合炉の最も重要な機器の一つである増殖ブランケットの開発に関して、原研が果たすべき責務を明確に示し、増殖ブランケットの開発目標及び増殖ブランケット実現のために必要な開発課題とロードマップを明らかにした。また、これまで原研で実施してきた増殖ブランケットの研究開発の成果を概観し、現在までに達成した技術開発のレベルが、要素技術開発の段階から工学試験の段階に進むべきレベルに達したことを示した。さらに、今後、工学試験として実施するべき開発目標と開発計画を定量的に明らかにし、実現の可能性を明確に示した。今後、増殖ブランケットの工学試験を実施し、ITERのテストブランケット・モジュール試験を完遂することが、核融合炉の増殖ブランケット開発において必要不可欠である。
曽野 浩樹; 深谷 裕司; 柳澤 宏司; 三好 慶典
JAERI-Tech 2003-065, 61 Pages, 2003/07
日本原子力研究所の定常臨界実験装置STACYでは、2003年度に、非均質炉心での臨界実験が計画されている。当該炉心は、硝酸ウラニル溶液(U濃縮度6wt%)及び格子間隔1.5cmの二酸化ウラン棒状燃料(U濃縮度5wt%)333本で構成される。その実験に先立ち、当該炉心の核的安全性及び核的制限値の評価を目的とする核特性解析を行った。解析対象とした項目は、臨界,反応度及び原子炉停止余裕に関するパラメータである。解析には、モンテカルロコードMVP及び核計算コードシステムSRAC,断面積ライブラリにはJENDL-3.3を用いた。計算された核特性値からそれらを補間するための簡易推定式及び当該炉心の核的制限値を評価した。また、当該実験のすべての燃料条件下において、原子炉停止余裕が安全基準に適合する見通しであることを確認した。
柳澤 宏司; 曽野 浩樹
JAERI-Tech 2003-057, 39 Pages, 2003/06
定常臨界実験装置(STACY)の次期実験炉心構成の核的安全設計を検討するために、6%濃縮硝酸ウラニル溶液を燃料とした80cm直径円筒炉心の核特性を計算解析によって評価した。本解析では、中性子断面積データとして最新の核データライブラリJENDL-3.3を使用した。SRACコードシステムの拡散コードCITATIONと連続エネルギーモンテカルロコードMVPを用いて中性子拡散及び輸送計算を行った。ウラン濃度(最大500gU/l),遊離硝酸濃度(0~8mol/l),ガドリニウム及びホウ素の可溶性中性子毒物の濃度をパラメータとして炉心の臨界液位を得た。評価の結果、すべての臨界炉心はSTACYの運転に要求される過剰反応度,反応度添加率,安全棒による停止余裕に関する安全基準に適合することが確認された。
飯島 進; 岡嶋 成晃
JAERI-Data/Code 2002-023, 44 Pages, 2002/12
高速炉体系における核特性解析を目的として、多群拡散理論に基づく摂動計算コードPERKYを開発した。PERKYは、高速炉の炉心を2次元及び3次元体系で記述した計算モデルにおいて、多群拡散理論に基づく摂動計算により反応度価値を計算する。さらに、核特性解析における動特性パラメータとして、実効遅発中性子割合,即発中性子寿命及びFCA実験において反応度の測定に使用する基準反応度(0)を絶対単位(k/k)に変換する係数を計算する。
佐々 敏信; 辻本 和文; 金子 邦男*; 高野 秀機
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.2), p.1183 - 1186, 2002/08
現行の主要な断面積データライブラリである、JTNDL-3.2,JEF-2.2及びENDF/B-VIを用いたときの加速器駆動システムの核特性及び燃焼特性の相違を解析した。加速器駆動システムの未臨界度等の解析の信頼性を向上するには、現行のNp,Am,Cmなどのマイナーアクチノイドの核データの精度を把握しておくことが重要である。解析モデルには、OECD/NEAの加速器駆動核変換システムベンチマーク問題を選択し、ATRASコードシステム及びMVPコードを用いて計算を行った。群断面積データはJENDL-3.2,JEF-2.2及びENDF/B-VIから新たに作成したものを用いた。このとき、マイナーアクチノイドのデータの違いを明確化するため、冷却材及び構造材の断面積データは、全てJENDL-3.2から作成したものを使用した。解析結果から、JENDL-3.2とJEF-2.2は、実効増倍率,燃焼反応度変化ともに類似の傾向を示したが、ENDF/B-VIは他の2ライブラリとは異なる実効増倍率及び燃焼反応度変化を示した。
Klix, A.; 落合 謙太郎; 寺田 泰陽; 森本 裕一*; 山内 通則*; 堀 順一; 西谷 健夫
Fusion Science and Technology, 41(3, Part2), p.1040 - 1043, 2002/05
核融合原型炉ブランケット増殖材の最有力候補の一つはリチウム-6濃縮チタン酸リチウムである。それゆえ、核融合中性子照射によって生成されるリチウム-6濃縮チタン酸リチウム中のトリチウム生成量を実験と計算から評価することはトリチウム増殖率の精度評価を行う際に必要である。原研FNSではベリリウムと低放射化フェライト鋼による層構造のブランケット模擬体系中にリチウム-6(95%)濃縮チタン酸リチウムペレットを設置し核融合中性子照射によって生成されるペレット中のトリチウム量を化学処理とシンチレーションカウンター法の組合せによる線測定を行い、トリチウムの生成量を測定し、核データとモンテカルロ輸送計算との比較を行った。実験及び計算結果から、トリチウムの全生成量精度は誤差10%程度で一致する結果を得た。また、各試料位置に対する局所的なトリチウム生成量の精度も誤差約10%程度の精度で得られており、核融合中性子のすべてのエネルギー領域に対して、トリチウム生成量の精度が10%程度の誤差範囲であることが明らかとなった。本発表にて実験体系と測定システム及び検証精度について詳細に紹介する。
西谷 健夫; 沓掛 忠三; 堀 順一
プラズマ・核融合学会誌, 77(6), p.609 - 610, 2001/06
核融合中性子工学研究室は1980年に原研東海研究所原子炉工学部に核融合炉物理研究室として発足し、1999年4月に那珂研究所核融合工学部の組織となった。本研究室では、D-T中性子源Fusion Neutronics Source(FNS)を用いて、核融合の中性子に関連する、各種断面積測定,遮蔽特性,中性子計測法開発,増殖ブランケット核特性等の研究を行っている。FNSは整流器型の加速器を用いた中性子源で、Dを約400keVに加速し、トリチウムターゲットに当てて、D-T反応により14MeV中性子を発生している。FNSにはターゲット室が2つあります。第1ターゲット室は0.37TBq(10Ci)のトリチウムを吸着させた固定トリチウムターゲットを使用しており、2nsパルスからDCまでの運転が可能で、おもに中性子計測法開発,増殖ブランケット核特性等に使用している。第2ターゲット室には本施設の目玉である37TBq(1000Ci)の回転トリチウムターゲットがあり、おもに材料の中性子照射損傷や各種断面積測定に使用している。
佐々 敏信; 辻本 和文; 滝塚 貴和; 高野 秀機
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 463(3), p.495 - 504, 2001/05
被引用回数:15 パーセンタイル:71.11(Instruments & Instrumentation)加速器駆動消滅処理システム(ADTS)の核特性及び燃焼特性を解析するATRASコードシステムの開発を行った。ATRASは、核破砕中性子源の影響を考慮した燃焼解析を行う独自の機能を備えている。ATRASは、核破砕解析コード、中性子輸送コード及び燃焼解析コードから構成される。燃料交換、入力データ作成、計算結果の解析を行うユーティリティプログラムもあわせて開発した。ATRASを用いて核破砕中性子ターゲットの核特性解析を行った。また、ATRASを用いて、ナトリウム冷却型ADTSの核特性及び燃焼特性の解析を行った。
小田野 直光; 石田 紀久
JAERI-Research 2001-004, 36 Pages, 2001/03
熱出力750kWの超小型原子炉DRX (Deep Sea Reactor X)は、深海科学調査船の動力源として用いられる一体型加圧炉である。DRXの炉心設計として、原子炉負荷率30%を仮定した場合に燃料無交換で4年間の炉心寿命を達成する炉心の核的検討を行った。燃料のU濃縮度、反射体材質について検討し、8.3wt%の濃縮度で設計条件を満足できる炉心仕様を得た。特に、超小型炉においては中性子の漏れが大きくなるので、反射体の設計は濃縮度とともに炉心寿命を左右する重要な因子である。本設計では、反射体材質としてBe金属を使用することにした。また、燃料棒配列については、正方配列と三角配列の検討を行い、制御棒駆動装置の構造の観点から前者を採用した。また、種々の核的安全性にかかわるパラメータについて確認を行うとともに、反応度係数、出力分布等の核特性を評価し、設計条件を十分満足するものであることを明らかにした。
中島 健
JAERI-Research 2001-003, 29 Pages, 2001/03
溶液燃料を用いたパルス炉SILENEの核特性(静特性及び動特性)評価を行った。静特性評価では、SRAC95コードシステム及び核データライブラリJENDL-3.2の組み合わせによる核計算を実施し、臨界性、中性子束分布、/比、反応度係数、液位反応度価値を求めた。この結果を用いて、SILENEの動特性解析に必要なパラメータを整備した。また、動特性評価では、Nordheim-Fuchsモデル及び反応度バランスモデルを用いて、動特性パラメータ(/比、温度反応度係数)を評価するとともに、ピーク出力、エネルギー等の特性量評価の妥当性を検討し、モデルの適用範囲を明らかにした。
庄野 彰; 佐藤 若英*; 栗原 国寿
JNC TN9400 2000-037, 87 Pages, 2000/03
水冷却型増殖炉の核特性の特徴を把握するために、公開文献に基づいて沸騰軽水を冷却材とした炉心、それをベースに冷却材を非沸騰重水及び非沸騰軽水に置換した炉心、ならびに高速炉の代表炉心として大型Na冷却MOX燃料炉心の仕様を設定し、基本的な核特性の比較検討を実施した。高速炉用非均質セル計算コードSLAROMと軽水炉解析に汎用的に用いられているSRACの解析結果を比較し、転換比・中性子スペクトル・エネルギー領域別反応割合・1群断面積等について、両コード間の差は小さく、高速炉核特性評価システムが水冷却型増殖炉の基本的核特性の検討に適用可能であることを確認した。SLAROMコードを用いて上記4種類の炉心の核的パラメータ及び増殖性に見られる相違を考察した。冷却材の変更によって、中性子スペクトル・値・主要エネルギー領域等が変化する傾向を把握した。水冷却型増殖炉では、冷却材中に存在する水素(または重水素)の影響で低エネルギー成分の中性子束が高速炉に比べて増大し、その結果、主要エネルギー領域が低エネルギー側に移行し、核分裂性核種の値が低下するが、MOX燃料を稠密に配置して増殖性を担保する設計であることが理解できた。Pu同位体組成が増殖特性に及ぼす影響をSRACコードの燃焼解析機能を用いて検討し、Pu-240含有率が大きい組成のPuを装荷した場合には転換比が大きく算定される傾向にあることを定量的に評価した。臨界性及び反応率比に対する感度解析により、沸騰軽水冷却増殖炉では、高速炉に比べて、1KeV以下のエネルギー領域における感度が増加することがわかった。断面積不確かさに起因する核設計予測精度評価については、現在核データセンターで共分散データの見直し中であるため、現状の共分散データを用いて暫定解析結果を得た。見直し後の最新共分散データを用いた内部転換比予測精度評価が今後の課題である。
横山 賢治; 沼田 一幸*
JNC TN9400 2000-036, 138 Pages, 2000/03
高速炉の設計精度の向上を目指して、核燃料サイクル開発機構(旧動力炉・核燃料開発事業団)ではこれまでにJUPITER実験解析の結果を反映した統合炉定数を作成し、大型炉心の核設計精度の大幅な向上を達成する見通しを得た。現在、核燃料サイクル開発機構では、引き続き、更なる精度向上と信頼性の確保を目指して、最新の研究成果を反映し、JUPITER実験以外の積分データの整備を進めている。本報告書では、高速実験炉「常陽」の積分データ整備の一環として、「常陽」MK-I炉心で測定された性能試験データや運転データに対してC/E値の評価及び感度解析を行った。解析対象とした核特性は、臨界性(最小臨界炉心)、Naボイド反応度、燃料・ブランケット置換反応度、燃焼係数である。JUPITER標準解析手法に基づくC/E値評価を行った結果、臨界性、燃料・ブランケット置換反応度については、解析値と測定値は良い一致を示すことを確認した。一方で、Naボイド反応度については、解析値が過大評価傾向であることが分かった。また、燃焼係数については、各運転サイクル間でC/E値のばらつきが大きくなった。今後、測定誤差の観点から詳細な検討が必要であるが、統合炉定数のための積分データとして利用できる見通しを得た。更に、臨界性、Naボイド反応度、燃料・ブランケット置換反応度に関して感度解析を行い、「JUPITER実験のZPPR-9炉心の感度係数と比較し、「常陽」MK-I炉心の特徴を感度係数の面から明らかにした。
金子 邦男*
JNC TJ9400 2000-005, 182 Pages, 2000/03
本年度は汎用超微細群スペクトル計算モジュールPEACOを高速炉セル計算コードSLAROMに組み込んだ。この改良SLAROMコードを使用する決定論手法と確率論的手法である連続エネルギーモンテカルロコードMVPにより、2次元RZ均質モデルを用いて径方向非均質炉心であるZPPR-13Aの反応率分布計算を実施した。両者の計算結果を比較検討する事によりPEACOモジュールが高精度の共鳴実効断面積機能を有すること、決定論手法とMVPコードの反応率分布計算結果を1%以内で一致させるには、鉄等の構造材核種と酸素の断面積変化を反映する高エネルギー領域を細かくした群構造を持つライブラリーを使用する必要がある事が明らかになった。また、次世代炉定数作成のため、NJOY97.V107コードを導入し、NJOY97.V107コードの前処理コードと後処理コードを作成して汎用炉定数作成システムを構築した。そして、この汎用炉定数作成システムを使用し、JENDL-3.2評価済核データを用い、70群の新JFS3ライブラリーを作成した。更に、この汎用炉定数作成システムの検証を行うため、新JFS3ライブラリーを使用し2次元RZ均質モデルによるZPPR-9炉心の核特性解析とZPPR-9炉心の非均質セル計算を決定論手法で実施した。同時に、MVPコードによる解析も実施した。両者の計算結果の比較から、PEACOモジュールによる共鳴断面積を用いる決定論手法は、ZPPR-9炉心の反応率分布およびNaボイド反応度計算精度を向上させることが明らかになった。そして、本研究で作成した新JFS3ライブラリーは、従来使用されてきたJFS3-J3.2ライブラリーと同程度の核特性計算性能を持つことが確認された。
安藤 真樹; 飯島 進; 岡嶋 成晃; 桜井 健; 大井川 宏之
JAERI-Research 2000-017, p.36 - 0, 2000/03
窒化物燃料高速炉の核特性に対する計算精度評価を目的としてFCAを用いた模擬実験を行った。本研究では、臨界性他の特性量に関してFCAの高速炉標準解析手法を用い標準解を求め、その予測精度について検討した。実験は、1領域炉心であるFCA XIX-2炉心において行った。解析の結果、臨界性(k)では従来のFCA炉心での解析結果と同程度の予測精度が得られた。Pu燃料板の径方向反応度価値分布では炉心周辺部ほど過大評価となる傾向となった。Naボイド反応度価値の解析では、炉心中心部において約10~20%の過大評価となり、漏洩項が支配的な炉心周辺部においてC/E値が1に近づいた。輸送補正や非漏洩項の計算精度に問題があると考えられる。