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永石 隆二; 木村 貴海; Sinha, S. P.*
Molecular Physics, 101(7), p.1007 - 1014, 2003/01
被引用回数:20 パーセンタイル:54.48(Chemistry, Physical)高濃度炭酸溶液中で希土類(III)イオンは、4つの炭酸イオンが配位した錯体[Ln(CO)]を形成する。この炭酸錯体は8配位構造を持つため、水和イオン[Ln(HO)](n=8,9)とは異なり、その強度・位置ともに特徴的な励起・発光ピークを持ったスペクトルが観測できる。また、この錯体は第1配位圏に水分子を持たないため、より多くの希土類イオンの発光がより長寿命で観測できると考えられる。本研究ではPr(4f)からTm(4f)までの10元素(Pmを除く)について炭酸錯体の発光の有無を調べ、Pr,Ho及びErを除いた7元素の発光を観測した。ここで、励起・発光スペクトル中のそれぞれのピークを電子状態間の遷移として帰属し、炭酸錯体に特徴的な遷移を見いだすとともに、水和イオンと炭酸錯体の配位環境の違いを定量的に明らかにした。さらに、HO及びDO溶液中での発光寿命から、励起した炭酸錯体の無輻射緩和がエネルギーギャップ則に従うこと、発光寿命の水素同位体効果が金属の内圏に配位している炭酸イオンのC-O振動エネルギーと深く関連していることを明らかにした。
山口 徹治; 中山 真一; 岡本 久人
Radiochimica Acta, 90(12), p.863 - 868, 2003/01
被引用回数:4 パーセンタイル:29(Chemistry, Inorganic & Nuclear)地層処分場から漏えいした超ウラン元素が亀裂性の母岩材内を地下水によって移行するとき、岩石マトリクス内への拡散とそれに伴う鉱物表面への吸着により、その移行が著しく遅延されると期待される。この効果を安全評価に取り入れるためには、健全な岩石内における超ウラン元素の拡散のしくみを明らかにしなければならない。そこで、稲田花崗岩内におけるNpとPuの拡散を透過法で調べた。深地下を想定して、低酸素濃度かつ炭酸イオンが共存する条件、すなわちNpとPuが炭酸錯体として溶存する条件で実験を行った。Npの有効拡散係数として(4.41.1)10ms、Puについて(2.00.6)10msが得られた。これらの元素は岩石内において、細孔拡散モデルに調和的な拡散挙動をとることが明らかになった。
山口 徹治
京都大学大学院工学研究科博士学位論文, 136 Pages, 2001/01
地層処分場から漏えいした長寿命核種が亀裂性の岩盤内を地下水によって移行するとき、岩石マトリクス内への拡散とそれに伴う鉱物表面への吸着により、その移行が著しく遅延されると期待される。岩盤中の亀裂頻度が高い我が国においては、健全な岩石内へのイオンの拡散のしくみを解明し、これを安全評価に取り入れることが緊要である。そこで、日本の代表的な花崗岩について拡散経路となる間隙構造を解明するとともに、透過拡散実験によって陽イオン,陰イオン,アクチニド元素の炭酸錯体などについて拡散挙動を調べた。その結果、健全な岩石内をイオンが拡散することができ、その拡散には表面拡散が寄与することを証明することにより、天然の岩盤が放射性核種の移行を遅延させる効果を定量的に評価することを可能にした。
長崎 晋也*
JNC TJ8400 2000-004, 32 Pages, 2000/02
NpO2+のイライトへの吸着平衡ならびに吸着速度をpH=6において測定した。測定した吸着データはLangmuir型ではなく、Langmuir-Freundlich型の吸着等温線でフィッティングできることがわかった。フィッティングパラメータである不均質係数は0.89+-0.05であり、affinity spectraの半値幅(HWHM)はlog単位で0.19であった。このことは、本研究で使用したイライトの表面はNpO2+の吸着に対して比較的不均質性が弱いことを示している。またkinetic spectraから、NpO2+はイライトの外表面に吸着するが、層間には吸着しないことがわかった。kinetic spectraのHWHMは0.18logであった。HWHMがaffinity spectraと同程度であったことは、同じ吸着サイトの影響を受けている可能性を示唆するものである。平度であったことは、同じ吸着サイトの影響を受けている可能性を示唆するものである。平均の吸着速度の温度依存性から、吸着の見かけのエンタルピーとエントロピーはそれぞれ、37+-3kj/molと-69+-7j/mol・Kと評価された。このエンタルピーの値は、吸着プロセスがイライト表面の境膜における拡散律速であることを示している。また、Na型モンモリロナイトへのNpO2+とNp(V)炭酸錯体(主にNpO2CO3-)の吸着平衡と吸着速度についても、同様にaffinity spectraとkinetic spectraを適用して評価を行った。
芦田 敬; 澁谷 朝紀; 佐藤 治夫; 舘 幸男; 北村 暁; 河村 和廣
JNC TN8400 99-083, 63 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する第2次取りまとめにおいて設定されている核種移行データの妥当性の確認と信頼性の向上を目的として、地層処分放射化学研究施設(クオリティ)においてデータ取得を行った。実施した試験は、核種移行に係わる溶解度、収着、拡散に関する研究であり、以下に示す5テーマについて実施した。各試験の内容および成果の概要は以下に示す通りである。(1)Np(IV)の溶解度に及ぼす炭酸の影響に関する研究 還元条件、炭酸共存下におけるNp(IV)の溶解度をpHおよび炭酸濃度をパラメータに測定した。得られた溶解度曲線から2種類の水酸化炭酸錯体の存在が示唆され、その安定度定数を試算するとともに、既存の熱力学データと比較した。その結果、既存のデータと比較的近いことが分かった。(2)スメクタイトに対するNp(IV)の収着挙動に及ぼす炭酸の影響に関する研究 炭酸濃度をパラメータとしたスメクタイトに対するNp(IV)の分配係数(Kd)を測定した。Kdは、炭酸濃度(0.040.15M)の影響を受けずほぼ一定であった。1MKC1およびHC1による脱離挙動を調べた結果、低酸素濃度側ではHC1により、高炭酸濃度側ではKC1により脱離され、2つの異なる脱離挙動が見られた。(3)岩石に対するCs,Pb,Cmの分配係数測定国内の主要岩石(玄武岩、泥岩、砂岩、花崗閃緑岩、凝灰岩)に対するCs,Pb,CmのKdをイオン強度をパラメータに測定した。得られたKdを、第2次取りまとめにおける降水系および海水系での設定値と単純に比較してみると、いずれの条件においても設定値と同程度か高めの値になっており、第2次取りまとめにおける設定値の妥当性あるいは保守性が示された。(4)圧縮ベントナイト中のPbの拡散挙動に関する研究 圧縮ベントナイト中のPbの見掛けの拡散係数(Da)をベントナイトの乾燥密度、珪砂混合率、温度をパラメータに測定した。その結果、バックグラウンドの測定精度が重要であることが分かった。現状で得られた結果より概算したDaからKdを求め、第2次取りまとめにおける設定値と比較した結果、同程度であり、設定値の保守性が示された。(5)圧縮スメクタイト中のCsの拡散に及ぼすイオン強度の影響に関する研究 ベントナイトに不純物として含まれている可溶性塩を除去した圧縮スメクタイト中のCsのDaを乾燥密度
金持 真理子*; 佐藤 治夫; 笹平 朗*
JNC TN8400 99-059, 59 Pages, 1999/10
天然の地下水中に存在する有機酸は、ガラス固化体から漏洩した放射性核種と錯体を形成し溶解度を上昇させることが懸念されている。一方、これまでに報告されている核種と有機物との錯形成は、主に酸性領域で取得されたデータがほとんどであり、処分環境で予測されるような比較的高いpHで測定されたデータは少ない。本研究では、高pH領域において、有機物の共存によってサマリウムの溶解度が影響を受けるかどうかを把握するため、市販のフミン酸(アルドリッチ製)あるいはベントナイト起源の水溶性有機物の共存下におけるサマリウムの溶解度変化を実験と熱力学計算を併用して検討した。その結果、液相中で共存するフミン酸の濃度が高いと見かけ上サマリウムの溶解度も高くなる傾向が認められた。しかし、熱力学計算では炭酸イオンが共存する系では炭酸錯体が支配的化学種となり、フミン酸の効果は炭酸と比較して小さいことが示された。また、全有機炭素濃度を指標として、ベントナイト起源の有機物と市販のフミン酸(アルドリッチ製)の効果を比較すると、ベントナイト起源の有機物の方がサマリウム溶解度に与える影響は小さかった。ベントナイト起源の有機物の中には、錯形成の安定度定数の小さい単純な有機物も含まれていたため、フミン酸と比較して効果が小さかったものと考えられる。更に、主として酸性領域で取得されたデータに基づいて提案されている、既存の有機物錯体モデルとの比較を行った。Kimにより提案された、イオンの価数と同数のサイトを1ユニットとして電荷が中和される1対1錯体の形成を前提に、フミン酸による溶解度上昇を試算した。その結果、フミン酸錯体よりも炭酸錯体の方が支配的となり、熱力学計算結果を支持したが、フミン酸の解離度の影響が明確になっておらず、Loading Capacityによるフミン酸濃度の規格化の有効性を確認できなかった。サマリウムと有機物との錯体の濃度を測定するため、紫外吸収法の適用を試みた。しかし、フミン酸の強い吸収が錯体の吸収帯と重なっていたため、錯体濃度を評価するに至らなかった。
山口 徹治; 中山 真一
Journal of Contaminant Hydrology, 35, p.55 - 65, 1998/00
被引用回数:29 パーセンタイル:62.89(Environmental Sciences)アクチニド元素は地下水中で炭酸錯体として溶存するという説が有力であり、放射性廃棄物の地層処分の安全評価計算への入力データとして、炭酸錯体の岩石内拡散係数が必要とされている。そこで、稲田花崗岩中におけるU,Pu,Am炭酸錯体の拡散係数を透過法で調べた。実験は大気雰囲気中、25Cにおいて、0.1M NaHCO/0.01M NaNO水溶液を媒体として、直径40mm、厚さ5mmの花崗岩ディスクを透過拡散させた。この条件下ではU,Pu,AmはそれぞれUO(CO),Pu(OH)(CO),及びAm(CO)として溶存すると考えられる。ウランとプルトニウムの実効拡散係数はそれぞれ、(1.420.24)10及び(5.12.0)10m/sと求められた。アメリシウムの透過は検出されず、Amの見かけの拡散係数の上限値は1.310m/sと見積もられた。UO(CO)の実効拡散係数は過去に取得したUOの実効拡散係数に比べて4倍大きい値であった。
G.Meinrath*; 加藤 義春; 木村 貴海; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 82, p.115 - 120, 1998/00
地球化学的に重要なU(VI)の単独化学種の吸収及び蛍光スペクトルは、天然環境におけるウランの挙動を予測するための精度の高い熱力学データの取得、ならびに天然に含まれるウランをトレーサーとして使用する可能性の評価において必要となる。時間分解レーザー誘起蛍光法(TRLFS)は10mol dm以下の濃度でU(VI)が検出できることを実証してきた。また、ほとんどの天然水系におけるU(VI)濃度は10mol dmであることが知られている。このように、原理的に検出可能な低濃度のU(VI)に対して、TRLFSは励起スペクトル、蛍光スペクトル及び蛍光寿命の特徴的な3つのパラメータを提供する。さらにこれに加え、U(VI)化学種の吸収スペクトルと蛍光スペクトル間のエネルギー差(ストークス・シフト)がパラメータとなる。この関係をU(VI)の加水分解種及び炭酸錯体を用いて実証する。
山口 徹治; 中山 真一
放射性廃棄物研究, 3(1), p.49 - 61, 1996/08
炭酸イオン共存系におけるAm(III)の熱力学データを報告した5ヶ国の6研究機関による7件の研究報告をレビューし、データの妥当性を検討した。Am(III)の1炭酸錯体、AmCoについては複数の研究グループの見解がかなりよく一致している。しかし高次の錯体については炭酸錯体だけが生成するとする説と、炭酸錯体とヒドロオキシ炭酸錯体の両方が生成するとする説の2つが存在する。それぞれの原著をレビューしてこの相違の原因を検討した結果、後者の説のように炭酸錯体のみでなく、ヒドロオキシ炭酸錯体も生成することがわかった。炭酸錯体とヒドロオキシ炭酸錯体の両方の存在を仮定して、例示的にスペシエーションを行った。
木村 貴海; 加藤 義春; G.Meinrath*; 吉田 善行; Choppin, G. R.*
JAERI-Conf 95-005, Vol.2, 0, p.473 - 485, 1995/03
高感度かつ高選択的定量法の時間分解レーザー誘起蛍光分光法(TRLFS)を、水溶液中のアクチノイドのスペシエーション(化学種の状態分析)に適用し、i)U(VI)の加水分解、炭酸錯体形成及び、ii)Cm(III)の水和数の直接決定法について研究した結果を報告する。
山口 徹治; 坂本 義昭; 大貫 敏彦
Radiochimica Acta, 66-67, p.9 - 14, 1994/00
プルトニウム(IV)の溶解度を炭酸イオンが共存する条件で測定した。COが支配的な条件(pH12及び13)では溶解度は炭酸イオン濃度の二乗に比例しており、HCOが支配的なpH領域では溶解度は重炭酸イオン濃度の二乗に比例しており、これを説明できる反応として3種類が考えられたが、Pu(OH)CO(am)の沈殿や、炭酸錯体Pu(CO)は従来言われているよりも不安定であると考えられる。
G.Meinrath*; 木村 貴海
Journal of Alloys and Compounds, 202, p.89 - 93, 1993/00
被引用回数:35 パーセンタイル:89.21(Chemistry, Physical)CO雰囲気下、0.1MNaClO水溶液中(25C)でのU(VI)/HO/CO系の平衡を、溶解度測定法によって検討した。各種錯体の生成定数を以下のように決定した。log(UOCO)=9.230.04、log(UO(CO))=15.380.17、log(UO(CO))=21.860.05。なお平衡状態にある固相はUOCO(s)であることを確認した。UOCOの溶解度積; logKsp=-14.180.03を得た。さらに中間生成種であるUOOHの錯形成定数は、log(UOOH)8.6であると結論した。
斉藤 昭; 上野 馨
Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry, 42, p.1301 - 1305, 1980/00
被引用回数:1 パーセンタイル:5.8(Chemistry, Inorganic & Nuclear)ネプツニウムの炭酸および硫酸錯体、〔Co(NH)〕〔NpL〕・nHO,〔Co(NH)〕〔NpOL〕・〔Co(NH)〕(L)・nHO,{〔Co(NH)〕}・〔NpOL〕・nHO(L=CO,SO,X=NO,HSO)の熱的性質を調べた。示差熱分析曲線と熱重量曲線を空気中で、室温から900Cまで測定した。結果を検討し、錯体の組成と熱分解挙動の関係について論じた。
斉藤 昭; 上野 馨
Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry, 41(4), p.507 - 511, 1979/00
被引用回数:6KCOおよび(NH)CO溶液中のIII価希土類元素の、ヘキサアンミンコバルト(III)イオンによる沈澱生成について調べた。KCO溶液からはCeを除き、La~Tb錯体が生成し、(NH)CO溶液からはLa~LuおよびYのすべての錯体が生成した。三つの異なった組成の錯体が生成した。すなわち、〔?〕〔Co(NH)〕〔Ln(CO)〕・nHO,〔II〕〔Co(NH)〕〔Ln(CO)〕・1-2〔Ln(CO)〕・nHO,〔III〕〔Co(NH)〕〔Ln(CO)〕・〔Co(NH)〕(CO)nHO(=0.1~0.3)組成と生成条件について調べた。
斉藤 昭; 上野 馨
Journal of Inorganic and Nuclear Chemistry, 41(4), p.513 - 516, 1979/00
被引用回数:4ヘキサアンミンコバルト(III)イオンによるCe(IV)錯体の沈澱生成を、硫酸塩溶液および炭酸塩溶液について調べた。(NH)SO,NaO,および(NH)CO溶液から、水に難溶性の沈澱を生成する。生成率に対する、塩濃度、沈澱剤濃度、pHの影響を調べた。硫酸から生成する沈澱は〔Co(NH)〕〔Ce(SO)〕・5HOの組成で、硫酸アンモニウム溶液でpH1.7以下の場合、沈澱は〔Ce(SO)〕・〔Co(NH)〕(SO)・nHOで表された。pH1.7以上では沈澱はOHを含んでいる。
上野 馨; 斉藤 昭
Radiochem.Radioanal.Lett., 22(2), p.127 - 133, 1975/02
ネプツニウム(V)の炭酸錯体、NaNpOCO,を合成し、その炭酸ナトリウム溶液への溶解度を調べた。さらに、炭酸ナトリウム溶液中の、ネプツニウム(V)の吸収スペクトルを可視・および近赤外領域で測定した。吸収の極大は、700,800および970nmにあり、各ピークでの吸収は、Np(V)の濃度に比例することを見いだした。
北村 暁; 伊藤 美貴*; 赤木 洋介*; 吉田 泰*
no journal, ,
地層処分環境中におけるウランの溶解度に及ぼす炭酸および酸化還元状態の影響を調査するとともに、熱力学データベースを用いた予測値の適用性を確認した。