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Pokor, C.*; Herbelin, A.*; Couvant, T.*; 加治 芳行
NEA/NSC/R(2016)5 (Internet), p.317 - 360, 2017/05
高経年化BWRプラントにおいて、炉心シュラウドの中心位置では照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の感受性を持つ照射レベルになる。BWR炉内プログラムでは、BWRの炉内構造物における粒界型応力腐食割れ(IGSCC)進展特性の評価体系の開発を行ってきており、また日本の原子力安全基盤機構では、原子力発電所の高経年化維持管理のための安全研究開発の一環としてIASCC進展速度データに関するプロジェクトを実施してきている。多くの研究者がオーステナイト系ステンレス鋼やNi基合金のSCCやIASCC進展速度予測モデルを提案しているが、これらのモデルはまだ初期段階のモデルであることから詳細な実験結果と比較することによるモデルの高度化が必要である。
三輪 幸夫; 塚田 隆; 實川 資朗
プラズマ・核融合学会誌, 80(7), p.551 - 557, 2004/07
環境助長割れは軽水炉炉心材料における問題の1つである。環境助長割れについては、多くの知見が軽水炉の分野で得られてきている。核融合炉の運転温度は軽水炉とは異なるが、核融合炉の水冷却型ブランケットシステムにおいて環境助長割れを予防するためには、軽水炉で得られた知見を活用することは有益である。これまでの知見から、オーステナイト系ステンレス鋼及び低放射化フェライト・マルテンサイト鋼については、水冷却型ブランケットシステムにおいて環境助長割れは重大な材料問題とはならないことが考えられる。しかし、水温,水質及び応力状態などに幾つか不確定な因子の環境助長割れへの影響も考えられる。これらの因子について、今後必要な考慮や試験結果について議論した。
日高 昭秀; 鈴木 雅秀
JAERI-Conf 2003-014, 178 Pages, 2003/09
国の原子力施設等安全研究年次計画に基づいて原研が進めている原子炉安全分野全課題について研究成果を報告するとともに、最近問題となっている沸騰水型炉シュラウド等の健全性評価に関して調査結果を紹介し討議することにより、今後の原子炉安全研究の推進や経年構造物の健全性にかかわる問題の解決に役立てることを目的として、標記ワークショップを2003年3月17日に東海研究所で開催した。本ワークショップには、報道関係の日本テレビ及び新いばらき新聞を含み、所外から38名,所内から57名,計95名の参加があった。本報告書は、上記ワークショップで使用したOHP,質疑応答,質問票・アンケートに対する回答等を取りまとめ、講演集としてまとめたものである。
塚田 隆
日本溶接協会「原子力構造機器の材料,設計,施工,検査に関する講習会」テキスト, 40 Pages, 2002/00
原子炉の炉内構造材は、高温高圧水と中性子・線照射という、他の工業プラントにはない特殊な環境で使用され、この環境の影響が材料に蓄積することにより、特有な経年劣化・損傷を生じる。炉内構造物の経年劣化事象としては、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)の検討が重要である。IASCCについては、炉内複合環境が材料へ及ぼす多様な影響を検討することが必要であり、1980年代中頃からの各国での研究により、現象論的な理解は進んでいる。しかし、劣化予測に必要な機構論的な理解は未だ十分ではない。本講演では、IASCCに関して現象論的,機構論的な観点から、現在の研究の状況,動向及び今後の課題などについて概観する。
菅野 勝; 鍋谷 栄昭; 森 雄一郎*; 松井 義典; 飛田 正浩*; 井手 広史; 板橋 行夫; 小森 芳廣; 塚田 隆; 辻 宏和
JAERI-Tech 2001-080, 57 Pages, 2001/12
高経年軽水炉の信頼性,安全性を確保するうえで、炉内構造物に発生するおそれのある照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、重要かつ緊急な検討課題とされており、このための材料照射研究が計画されている。このために、軽水炉(BWR)の炉内環境を模擬した照射試験を行うことができる高度材料環境照射装置をJMTRに設置するための設計検討を進めている。高度材料環境照射装置は、照射試験片を収納し炉内に装荷される飽和温度キャプセル,飽和温度キャプセルに高温高圧水を供給する水環境制御装置から構成される。本報告は、このうち、水質制御機能を備えた水環境制御装置に関し、各構成機器の仕様・性能等,主に、1999年に行った設計検討の結果をまとめたものである。
塚田 隆; 海老根 典也
日本AEM学会誌, 9(2), p.171 - 177, 2001/06
経年劣化とは、各種機器・材料の時間に依存する劣化を意味し、それはプラント構造物の信頼性・安全性及び使用寿命を決定する主要因である。わが国でも既に運転開始後30年を越える軽水発電プラントが出てきており、軽水炉プラントの高経年化に伴う保全技術開発及びその基礎となる材料の経年劣化機構の研究が重視されている。軽水炉本体を構成する材料は、炉内構造材と圧力容器鋼に大別されるが、これらは高温高圧水と中性子・線照射という、ほかの工業プラントにはない特殊な環境で使用される。軽水炉における材料の経年劣化は、主にこの特殊な環境の影響が材料に蓄積されることにより生じる。軽水炉の高経年化にかかわり考慮すべき経年劣化事象は、炉内構造物については疲労,応力腐食割れ,照射誘起応力腐食割れ,圧力容器については中性子照射脆化,疲労などであり、これらの現象の機構解明と対策技術の開発研究が進められている。さらに今後は、材料の経年劣化を損傷の発生前に検知すること、それに基づき損傷発生の予防策を講じることが重要となる。本報では、軽水炉の炉内構造材及び圧力容器鋼を対象とし、使用材料と環境、主要な劣化損傷現象について概観し、それらの電磁気的手法による非破壊評価の可能性にも触れる。
加治 芳行; 三輪 幸夫; 塚田 隆; 辻 宏和; 中島 甫
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(11), p.949 - 958, 2000/11
これまで日本原子力研究所では、原子力用材料の種々の特性データを有効に利用するために、原子力材料総合データベース(JMPD)の開発を行ってきた。原子炉の炉内構造物(おもにオーステナイト系ステンレス鋼製)の経年劣化・損傷機構の一つである照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Craking)は、現用発電軽水炉の損傷要因としてばかりでなく、放射線と腐食の作用するシステムにも共通する材料問題と考えられる。本報告では、一部インターネットを通して利用可能なJMPDの現状を述べ、さらにIASCCに関するデータについて新たな視点からの解析を実施し、照射後試験結果及び透過電子顕微鏡(TEM)観察結果と併せて得られた知見として、IASCC感受性、機械的性質及びSCC成長速度における合金元素、溶存酸素及び照射量の効果について明らかにした。
加治 芳行; 塚田 隆; 三輪 幸夫; 辻 宏和; 中島 甫
Environmentally Assisted Crarking (ASTM STP 1401), p.191 - 209, 2000/00
これまで日本原子力研究所では、原子力用材料の種々の特性データを有効に利用するために、原子力材料総合データベース(JMPD)の開発を行ってきた。原子炉の炉心構造物(おもにオーステナイト系ステンレス鋼製)の経年劣化・損傷機構の一つである照射誘起応力腐食割れ(IASCC: Irradiation Assisted Stress Corrosion Cracking)は、現用発電軽水炉の損傷要因としてばかりでなく、放射線と腐食の作用するシステムにも共通する材料問題と考えられる。本報告では、一部インターネットを通して利用可能なJMPDの現状を述べ、さらにIASCCに関するデータについて新たな視点からの解析を実施し、照射後試験結果及び透過電子顕微鏡(TEM)観察結果と併せて得られた知見として、IASCC感受性及びSCC成長速度における合金元素、溶存酸素及び照射量の効果について明らかにした。
實川 資朗; 井岡 郁夫; 菱沼 章道
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.167 - 172, 1999/00
被引用回数:6 パーセンタイル:45.48(Materials Science, Multidisciplinary)オーステナイトステンレス鋼は核融合実験炉に使用されることになっているが、受ける照射損傷のレベル及び温度はコンポーネントにより異なる。一方、これまで得られた結果の照射条件は限られているため、照射損傷レベル等に関して機械的性質の内挿や外挿が要求され得る。外挿のための考えを得るため、照射による機械的性質の変化の結果を、照射量、照射温度、核変換生成ヘリウム量及び材料組成の点から、照射誘起応力腐食割れも含めてレビューする。主なデータのソースは原研とORNLによるHFIRでの共同照射実験結果である。また、照射を受けた構造物の強度の推定に有用と考えられるシミュレーションの方法についても言及する。
塚田 隆
JAERI-Research 98-007, 187 Pages, 1998/03
炉内構造物の経年的な劣化・損傷機構の一つである、照射誘起応力腐食割れ(IASCC)に関する研究を行った。IASCCは現用発電炉の損傷要因であるだけでなく、放射線と腐食の作用が共存する系の共通問題である。本研究では、IASCCの発生と材料及び環境条件の関係を明らかにし、その発生機構の検討を目的とした。このため、2種類の異なる供試材:(1)研究炉JRR-3M及び材料試験炉JMTRで照射したモデルステンレス鋼、(2)米国オークリッジ研究炉ORRでスペクトル調整照射したステンレス鋼、(3)高速実験炉「常陽」燃料集合体のラッパー管ステンレス鋼を用いて、高温水中応力腐食割れ試験及び電気化学腐食試験等を実施した。その結果、IASCCに及ぼす添加合金元素の効果、照射・照射後試験温度の効果、材料の焼鈍・冷間加工の効果等について詳しい知見を得た。さらに、炉内構造物のIASCCに対処する方策を考察した。
塚田 隆; 三輪 幸夫; 辻 宏和; 中島 甫
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1669 - 1674, 1998/00
被引用回数:3 パーセンタイル:31.81(Materials Science, Multidisciplinary)照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、ステンレス鋼等が中性子照射をある程度以上受けたときに高温水中で応力腐食割れ(SCC)を起こすようになる現象である。IASCCは、おもに軽水炉の炉内構造物の損傷要因として研究が行われているが、核融合炉の水冷却構造物の設計においても検討課題である。本研究では、添加元素を調整したモデルステンレス鋼をJRR-3Mにおいて中性子照射した試料及びJMTRにて低温(323K)で照射した試料について、高温水中においてSCC感受性を調べた結果を報告する。JRR-3M(513K)照射材の試験結果から各種添加元素の効果及び冷間加工の効果について検討した。また、JMTR照射材との比較から照射温度の効果について検討した。323K照射した試料は、高温水中SCC試験で歪速度が通常の試験より小さい場合に、高いSCC感受性を示す可能性のあることが明らかになった。
塚田 隆; 實川 資朗; 芝 清之; 佐藤 義則*; 柴原 格*; 中島 甫
Journal of Nuclear Materials, 207, p.159 - 168, 1993/00
被引用回数:6 パーセンタイル:55.97(Materials Science, Multidisciplinary)高速実験炉「常陽」の燃料集合体として照射されたラッパー管材の水中応力腐食割れ挙動を調べるため、水中低歪速度引張試験(SSRT)及び電気化学的再活性化(EPR)試験を行った。試料は、温度425Cで8.310n/m(40dpa)まで照射された。SSRTによる結果では、200C、300Cの水中において破断面の一部に粒界割れが見られたが、60C水中及び300C大気中では延性破面となった。従って高温水中では粒界型応力腐食割れが生じたと考えられる。この材料は溶体化状態で使用に供されたものであるため、この割れ現象は照射誘起応力腐食割れ(IASCC)である。EPR試験では、再活性化挙動及び試験後の表面に選択的腐食が観察され、これらは照射により材料に誘起されたCr欠乏(照射誘起偏析)が原因であると考えられる。これらの現象について中性子スペクトル等の観点から検討を行った。
塚田 隆; 芝 清之; 近江 正男; 木崎 實; 松島 秀夫; 中島 甫
Proc. of the 3rd Asian Symp. on Research Reactor, 8 Pages, 1991/00
照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、原子炉炉心構造材料(ステンレス鋼等)にとって共通の環境劣化効果である。それは、中性子/線照射と化学環境の共働効果である。IASCCは近年、軽水炉炉心構造物及び将来の核融合炉のプラズマ対向機器の寿命又は機能を制限する因子として注目されている。本報では、IASCC研究のために原研ホットラボに設置した、低歪速度引張試験(SSRT)装置及び電気化学的腐食試験装置について、その概要を報告する。SSRT試験装置では、照射済み試験片及びセル内装置の安全かつ確実な取り扱いのため、オートクレーブの簡便な締め付け機構の開発等を行った。この装置を用いて高温高圧水中におけるIASCCの発生を確認した。また、電気化学測定は照射材の遠隔腐食試験に適した方法と考えられ、これをホットセル内で行う装置の開発を行った。この装置により照射材のEPR(電気化学的再活性化)試験を実施した。
橘内 裕寿*; 笠原 茂樹; 知見 康弘; 西山 裕孝; 茶谷 一宏*; 越石 正人*
no journal, ,
中性子照射ステンレス鋼の高温水中応力腐食割れ(SCC)機構の検討に資することを目的として、照射ステンレス鋼に特有な局所変形組織形成が表面の酸化皮膜形成に及ぼす影響を検討中である。本報告では、JMTRで中性子照射した後に0.1-2%のひずみを付与したSUS316Lの表面に発現した変形組織に着目し、走査型電子顕微鏡(SEM)及び電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いて、局所的な結晶方位の変化について観察・評価した。その結果、照射量及びひずみ付与量に応じて試験片表面にすべり線状の段状組織の形成が認められ、結晶粒界に局所的なひずみ蓄積が示唆される結果が得られた。発表では、すべり線状の組織に着目し、その発現形態・密度等と照射量・ひずみ付与量等との相関について議論する。
笠原 茂樹; 知見 康弘; 橘内 裕寿*; 越石 正人*
no journal, ,
BWR一次系模擬高温水中での低ひずみ速度引張(SSRT)試験の既往知見によると、BWR炉心で3dpa程度まで中性子照射された低炭素ステンレス鋼は照射誘起応力腐食割れ(IASCC)感受性を有するが、JMTR照射ステンレス鋼では照射量によらず粒界破面は生じないとされている。この相違の検討に資するため、BWRの起動時の温度履歴を模擬した条件で約3dpaまでJMTRで照射したSUS316LのSSRT試験を実施した。SSRT試験後の破面SEM観察の結果、粒界破面が確認された。既往のJMTR材を使ったIASCC感受性評価研究では、JMTRの起動時に予め昇温した後に照射を開始した供試材を用いており、照射開始時の温度履歴が粒界破面の発現に影響したことが示唆される。この結果を受け、照射開始時の昇温条件が異なる照射材の引張特性評価結果を踏まえた上で、IASCC感受性と引張特性パラメータの関連について検討した。
笠原 茂樹; 端 邦樹; 塙 悟史
no journal, ,
軽水炉の炉心環境下での水のラジオリシスは、炉内構造物用ステンレス鋼の亀裂進展の加速要因と考えられており、その検証の一環として照射下亀裂進展試験が行われてきた。本検討では、照射後試験データにより構築した亀裂進展速度傾向式CGR=f(dpa, K)を照射下亀裂進展試験結果に適用し、実測値と計算値の比較からラジオリシスの加速効果の検証を試みたが、実測値と計算値の残差が大きく、検証が困難であった。その原因の一つとして、CT試験片の板厚が小さいために試験時のK値が有効範囲を逸脱した可能性が挙げられた。会議では、照射下亀裂進展試験の実施に当たって留意すべき他の試験パラメータについて検討した結果についても報告する。