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久保 真治
水素エネルギーシステム, 48(2), p.126 - 132, 2023/06
高温ガス炉は、安全性に優れる次世代の革新炉である。高温ガス炉より熱・蒸気・電気などを発生させ、これらを水素製造プロセスに与えることによって、水やメタンなどの原料から水素に製造することができる。高温ガス炉を用いた水素製造法として、メタンの水蒸気改質法や高温水蒸気電解法や水の熱分解法が挙げられる。本報では、水素製造のエネルギー源となる高温ガス炉および水素製造技術の概要、原子力機構における高温ガス炉および水素製造法の研究開発の現状と展望について解説する。
山下 真一郎
日本原子力学会誌ATOMO, 65(4), p.233 - 237, 2023/04
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、軽水炉の安全性を飛躍的に高めることが期待される事故耐性燃料(ATF)の早期実用化への関心が世界的に高まり、現在、世界中の多くの国々で研究開発が進められている。本稿では、2015年より、経済産業省資源エネルギー庁の支援のもとで進められてきている、国内のATF技術開発の概要を紹介する。
相馬 康孝; 加藤 千明; 上野 文義
Proceedings of the 18th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors, Vol.2, p.509 - 521, 2018/00
高温高圧水中におけるステンレス鋼のすき間内環境を調べるために、電気化学的手法によるその場観察を行った。小型(250m)のセンサーをすき間内に設置し、すき間内の局部的導電率、、分極抵抗、および腐食電位の測定を行った。これにより、バルク水導電率、バルク水溶存酸素濃度などの外部環境を変動させた際のすき間内環境の応答挙動をリアルタイムに分析した。その結果、すき間内の場所に依存してが1桁以上変動すること、はバルク水の溶存酸素濃度を脱気状態から30ppb程度までに上昇させただけで敏感に応答して増加すること、溶存酸素濃度32000ppbでははバルク水の100倍以上の値となること、並びにそれらの挙動はすき間形状に大きく依存することを明らかとした。
高温工学試験研究炉開発部; 核熱利用研究部
JAERI-Review 2004-026, 206 Pages, 2004/12
本報告は、2004年7月5-6日に大洗研において行われた水素製造技術に関するHTTRワークショップのまとめである。本ワークショップでは海外から5か国を含む国内外合わせて110名を超える参加者を得て行われた。ワークショップは5つのセッションに分けられ、報告と討論がなされた。「各国の原子力水素製造研究開発計画」のセッションでは、各国及びEUから現状と計画が報告された。「原子力水素製造に関する討論」のセッションでは、原子力水素製造が将来の水素社会において果たす役割について活発な議論が行われ、核熱による水素製造将来的には重要な水素供給源となりうることが確認された。「核熱エネルギーの利用」,「水素製造技術」,「熱化学法による水素製造」のセッションでは、熱化学法や高温水蒸気電解等による水素製造技術の報告が行われ、特に熱化学法の研究開発に関して活発な議論がなされた。その中で、原研が進めてきたIS法の研究開発が世界的に注目されており、仏国や韓国において新たな研究開発が展開されていることが示された。最後に来年秋に第2回目のワークショップを行うことが報告されて終了した。
椎名 保顕; 滝塚 貴和; 笠原 清司
日本原子力学会誌, 46(12), p.862 - 863, 2004/12
「水素製造技術に関するワークショップ」が、2004年7月56日、茨城県大洗町の日本原子力研究所(原研)大洗研究所で、同研究所の主催のもと、開催された。原研ではHTTR(高温工学試験炉)プロジェクトにおける研究開発推進のため、高温ガス炉技術の開発研究及び水素製造などの核熱利用技術の開発研究に関する専門家を集めたHTTRワークショップを定期的に開催し、核熱による水素製造技術の技術課題や研究開発の推進方法などについて議論することを計画している。本ワークショップはその第1回として開催された。参加人数は113名で、そのうち国外の参加者は6か国(米・仏・韓・独・加・英)21名であった。発表はすべて口頭で行われ、件数は17件であった。
三輪 幸夫; 塚田 隆
Proceedings of Symposium on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia 2003, p.301 - 306, 2003/00
照射誘起応力腐食割れは、照射誘起偏析による粒界での化学組成変化に伴う耐食性の劣化が主要な原因と考えられている。しかし、照射誘起偏析による局所的化学組成変化は、熱鋭敏化での局所的化学組成変化と異なり、粒界でのCr濃度の低下に加えてNi及びSi濃度の増加を伴う。このような化学組成変化により高温水中での耐食性が劣化するか否かは不明である。そこで、照射誘起偏析より粒界近傍に生じる化学組成をバルクの化学組成により模擬した実験合金を溶製し、高温水中での腐食挙動及び室温の1N硫酸水溶液中及び1mol/lの硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード分極特性を調べた。その結果、溶存酸素を10ppm含む300C高温水中での腐食減量は、Ni及びSi濃度の影響は見られず、Cr濃度が低下するにしたがい低下することがわかった。しかし、溶存水素を1.3ppm含む高温水中では、Cr濃度の低下による腐食減量の低下は小さくなった。硫酸水溶液及び硫酸ナトリウム水溶液中でのアノード分極試験から、溶存酸素を含むpHが低い環境中ではCr濃度が低くNi及びSi濃度が高い場合に腐食電位が低くなり、Cr濃度のみが低い熱鋭敏化での場合と異なる腐食電位を示すことがわかった。一方、溶存酸素を含まない環境中では、合金の化学組成による腐食電位への大きな違いは見られなかった。硫酸ナトリウム中での不働態化電流密度はCr濃度の低下とともに増大し、Ni及びSiの影響が少ないことがわかった。
石田 紀久; 今吉 祥*; 頼経 勉; 布川 浩*; 落合 政昭; 石坂 雄一*
Journal of Nuclear Science and Technology, 38(7), p.557 - 570, 2001/07
被引用回数:18 パーセンタイル:76.34(Nuclear Science & Technology)改良舶用炉用に原子炉容器内に設置する制御棒駆動装置(INV-CRDM)を開発した。本装置により、原子炉システムの小型化,簡素化を図ることができるとともに、制御棒飛出事故発生の可能性を排除できる。本制御棒は、一次水中の高温高圧水(310,12MPa)条件下で作動する。駆動力は、水中で作動できるよう開発した同期モータによる。軸のラッチ及びスクラムのためのデラッチは、分割ボールナットを採用したラッチ機構による。駆動軸の位置検出器は、本INV-CRDM用に、ウイーデマン効果を利用し磁歪式細線を採用した検出器を開発し、その誤差が1.2mmであることを確認した。高温水中で作動するスラスト及びラヂアル軸受けを開発した。高温高圧水中下で、ラッチ,保持,スクラム,上下動の機能試験及び耐久試験を実施し、設計条件を満たすことを確認した。
楠 剛; 伊藤 俊雄*; 成合 英樹*
日本機械学会2000年度年次大会講演論文集, p.645 - 646, 2000/08
原子炉の受動的な安全設備として検討されている水張格納容器では、高温高圧の一次冷却材がプール水中に放出され、減圧沸騰による蒸発とプール水との直接接触による凝縮に起因した圧力振動を発生する。この圧力振動現象は、蒸気凝縮現象のバブリング、チャギング、凝縮振動(CO)等に対応されて考えることができる。フラッシング振動は、チャギリングに相当する。蒸気の供給よりも凝縮の効果が大きく、オリフィス出口部で形成された蒸気泡が完全に凝縮する。フラッシングは、COに相当する。蒸気の供給が凝縮の効果を上回り、オリフィス出口部で形成された蒸気泡の凝縮は不完全となる。フラッシング振動領域では、一次側が飽和状態の場合、プール側からの圧力波の伝播に伴い、配管内で蒸気の発生と凝縮に起因すると推定される大きな圧力変動が生じる場合がある。
小松 征彦*; 藤原 優行*
JNC TJ8430 2000-001, 55 Pages, 2000/03
ハル等を処理・処分する上で、発火爆発し易い活性金属粉(ジルカロイファイン)の安定化が重要な問題となる。安定化対策の一手段として、ジルコニウムファインを用いて、673873kにおける水蒸気酸化試験を行った。ファインの酸化安定化状態は、重要変化測定、SEM観察、X線回折、及び簡易な着火試験により調べた。得られた結果を次の通りである。(1)高温水蒸気中での酸化処理後のファインには、ZrO2酸化物とZrH2水素化物が形成された。温度が高くなるほど、ZrO2の形成割合が増加した。(2)重量変化から推定したZrO2形成割合は、673k7h処理後ファインで約24mass%、873k7h処理後ファインで約96mass%であった。(3)673k7h処理後ファインは試験前ファインと同様に発火したが、723k以上にて処理したファイン(ZrO2形成割合64mass%以上)は発火しなかった。
塚田 隆; 三輪 幸夫; 辻 宏和; 中島 甫
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1669 - 1674, 1998/00
被引用回数:3 パーセンタイル:31.82(Materials Science, Multidisciplinary)照射誘起応力腐食割れ(IASCC)は、ステンレス鋼等が中性子照射をある程度以上受けたときに高温水中で応力腐食割れ(SCC)を起こすようになる現象である。IASCCは、おもに軽水炉の炉内構造物の損傷要因として研究が行われているが、核融合炉の水冷却構造物の設計においても検討課題である。本研究では、添加元素を調整したモデルステンレス鋼をJRR-3Mにおいて中性子照射した試料及びJMTRにて低温(323K)で照射した試料について、高温水中においてSCC感受性を調べた結果を報告する。JRR-3M(513K)照射材の試験結果から各種添加元素の効果及び冷間加工の効果について検討した。また、JMTR照射材との比較から照射温度の効果について検討した。323K照射した試料は、高温水中SCC試験で歪速度が通常の試験より小さい場合に、高いSCC感受性を示す可能性のあることが明らかになった。
日野 竜太郎; 会田 秀樹; 関田 健司; 羽賀 勝洋; 岩田 友夫*
JAERI-Research 97-064, 48 Pages, 1997/09
原研で建設中のHTTRに接続することを目的とした水素製造プロセスの設計検討及び研究開発を進めている。このうち高温水蒸気電解による水素製造法について、これまでに実用的な12セル構造の円筒型電解要素を用いて実験室規模の試験を行い、950Cにおいて単位電解面積当たり約44Nml/cmhの速度で水素を発生させることに成功するとともに、電解試験手順などのノウハウと運転経験を蓄積した。その後、水素製造能力と耐久性の向上を目指し、金属電極支持方式の平板型電解要素を試作し、予備試験では950Cで約33.6Nml/cmhの速度で水素を連続的に発生させることができた。本報告では、上記試験の代表的な結果のほか、他機関で実施された高温水蒸気電解試験結果及びHTTR接続のために必要なR&Dについて述べる。
日野 竜太郎; 会田 秀樹; 関田 健司; 羽賀 勝洋; 岩田 友夫*; 宮本 喜晟
JAERI-Tech 95-049, 20 Pages, 1995/11
高温水蒸気電解法は、高温ガス炉を熱源とする水素製造法の一つとして期待が寄せられている。そこで、電解質支持方式の平板型固体電解要素を試作した。試作した電解要素は、厚さ0.3mmのイットリア安定化ジルコニア電解質の薄板に電極膜を64cmの面積で成膜してある。電解試験は850Cの電解温度で行い、2.4Nl/hの水素を発生させるとともに、試験結果から平板型電解要素は以前に試験した12セル構造の円筒型電解要素よりも優れた水素製造性能を有することが示された。本報では、平板型電解要素の概要、試験結果、試験を通して得られた課題について述べる。
日野 竜太郎; 鈴木 邦彦; 羽賀 勝洋; 根小屋 真一; 深谷 清; 清水 三郎; 小貫 薫; 高田 昌二; 茂木 春義; 数土 幸夫
JAERI-Review 95-016, 115 Pages, 1995/10
HTTRの目的の一つは高温核熱利用の有効性を実証することである。HTTRに熱利用系を接続するのに先立ち、熱利用系及び構成機器の性能、熱利用系と原子炉システムとの整合性、安全性能などを検証する必要がある。そこで、HENDELを用いた炉外実証試験を提案し、これまで熱利用系の候補として挙げられてきた水素/メタノール製造システム(水蒸気改質システム)、熱化学法及び高温水蒸気電解法による水素製造システム、ガスタービン発電等について、R&Dの現状、技術的問題点、システムの概要などについて検討を行った。本報告はその検討結果を示すものであり、水蒸気改質システムは他のシステムより容易に設計・製作が可能であるため、HENDELに早期に設置し、炉外実証試験を通して、システム特性の把握、運転制御法の確立等を行うとともに、将来の核熱利用系に対して汎用性のある高温隔離弁、受動的冷却型蒸気発生器などの各種安全機器・技術を検証・高度化することができることを示した。
日野 竜太郎; 会田 秀樹; 関田 健司; 羽賀 勝洋; 宮本 喜晟; 岩田 友夫*
JAERI-Research 95-057, 42 Pages, 1995/08
原研で建設中のHTTRに接続することを目的とした水素製造プロセスの設計検討及び研究開発を進めている。このうち高温水蒸気電解による水素製造法について、これまでに実用的な12セル構造の円筒型電解要素を用いて実験室規模の試験を行い、950Cにおいて単位電解面積当たり約44Nml/cmhの速度で水素を発生させることに成功するとともに、電解試験手順などのノウハウと運転経験を蓄積した。その後、水素製造能力の向上を目指し、電解質自立方式の平板型電解要素を試作し、予備試験では850Cという低温域において約36Nml/cmhの速度で水素を連続的に発生させることができた。本報告では、上記試験の代表的な結果のほか、他機関で実施された高温水蒸気電解試験結果及びHTTR接続のために必要なR&Dについて述べる。
E.Achenbach*
JAERI-Review 95-008, 98 Pages, 1995/06
本レポートは、著者が原研の研究員招聘制度により2月2日~3月23日までの7週間、高温工学部に滞在したときに行った4回の講演をまとめたものである。著者が所属するユーリッヒ研究所(KFA)のエネルギープロセス工学研究所は、最近になって高温ガス炉に関する技術開発から燃料電池の技術開発へと研究項目を変更したが、多くの点で原研の研究と共通点を持っている。とくに、講演された、(1)原研の核熱利用システムとKFAの固体電解質型燃料電池(SOFC)に適用される水蒸気改質システムの研究、(2)原研における高温水蒸気電解とその逆反応であるKFAのSOFCに関する技術開発とモデル化、(3)原研の高温熱交換器とKFAのSOFCマニホールドにおける流量配分等のシミュレーション、(4)熱及び物質伝達の基礎研究については、相互に注目する分野である。本レポートは原研との今後の討議の下地として、そして原研の開発研究を促進・触発するものとして役立つものと考える。
日野 竜太郎; 宮本 喜晟
日本原子力学会誌, 37(11), p.1042 - 1049, 1995/00
被引用回数:2 パーセンタイル:28.03(Nuclear Science & Technology)高温水蒸気電解法は最高1000Cの水蒸気を電解して水素を製造する方法で、固体電解質型燃料電池の逆反応を利用する先進的な電解水素製造法である。原研では、高温ガス炉の熱利用系開発の一環として、12セル構造の実用的な円筒型固体電解要素を用いて実験室規模の試験を進めてきた。固体電解要素は多孔質セラミックス管表面にセルを直列に成膜したもので、電解質にはイットリア安定化ジルコニアを用いている。試験では、アルゴンガスに水蒸気を含有させて電解要素に導き、DC電源からの電力で水蒸気を電化させた。電解温度は850C~950Cの範囲の一定温度に調節した。水素発生量は電解電圧及び電解温度の上昇とともに増加し、950Cにおいて最高7Nl/hで水素を発生させることができた。実験データを基にして水素発生速度と電流密度の関係式を導出するとともに、80~100mA/cmの範囲の電流密度での電解条件で高いエネルギー効率を実現できた。
日野 竜太郎; 宮本 喜晟
日本原子力学会誌, 35(6), p.546 - 548, 1993/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.49(Nuclear Science & Technology)高温水蒸気電解による水素製造法は、反応プロセスが原理的に単純かつ高効率であり、材料腐食の問題が少ないという利点を有している。そのため、高温ガス炉を熱源する水素製造法として期待されている。しかし、高温水蒸気の電解特性、固体電解要素の耐久健全性などについては不明な点が多い。そこで、高温水蒸気電解に関する基礎的な電解特性、固体電解要素の取扱い技術等を蓄積すること等を目的として、イットリア安定化ジルコニアを電解質とした12セル構造の実用的な電解要素を用いて予備試験を行った。本試験により高温水蒸気電解までの運転手順をほぼ確立するとともに、963Cにおいて3.4NL/hで水素を発生させ、高温水蒸気電解を実現できる見通しを得た。
塚田 隆; 芝 清之; G.E.C.Bell*; 中島 甫
Corrosion 92, p.104-1 - 104-14, 1992/00
原子炉の炉心構造材料は、供用中に放射線(中性子線,線)及び化学環境(高純水)の複合環境効果により照射誘起腐食割れ(IASCC)等の劣化現象を生ずる。この現象は、軽水炉のみならず水冷却型核融合炉の設計においても研究課題とされている。本研究では、米国ORR炉において核融合炉近似条件でスペクトル調整照射を行った316型ステンレス鋼の高温水中応力腐食割れ挙動を低歪速度法により調べたものである。その結果、照射温度60C、200Cの場合には応力腐食割れは発生せず延性破断したが、330C、400Cで照射した試験片(試験温度300C)では粒界+粒内破断割れが観察された。割れ破面率によると照射後の高温水中腐食割れ感受性は、照射温度の高い程大きくなった。本研究の結果を軽水炉材料について行われた同種の試験結果と比較すると、割れ感受性の点で違いが見られ、照射条件の違い等が原因のひとつと考えられる。
木内 清; 早川 均*; 林 政範*; 菊地 正彦
Proc. of the Int. Symp. on Material Chemistry in Nuclear Environment, p.65 - 78, 1992/00
原子力基盤総合的研究(クロスオーバー研究)の重点課題である「原子力極限環境用材料の開発に関する研究」として実施している耐食合金開発に関する研究報告である。当該研究では、環境の腐食性の強い再処理硝酸環境及び重照射を受ける原子炉炉心高温水環境で使用される構造材料を念頭にした耐食合金開発を進めている。前者では、対象環境の酸化力に対応した3系統の耐食合金、R-304ULCの最適化、高Cr複合添加合金及び臨界安全対策を加味したチタン等のリフラクトリー金属材料の改良・開発原理の探索、試作評価試験を進めて、実用性の高い各合金を選定して、試作材の特性評価を実施している。後者では重照射に伴う低温鋭敏化機構の解析と、オーステナイト相の安定化、高純度化及び金属組織制御等の材料改善対策の検討を進めて、総合的な耐照射性の優れた合金系を選定した。
構造安全研究委員会
JAERI-M 90-089, 70 Pages, 1990/06
軽水炉構造材料の環境助長割れ評価は、一次系冷却材圧力境界の構造健全性にとって重要な研究課題であり、過去10年間にわたって広範囲の研究が行われて来た。本報告は、当該研究の現状を調査し、さらに圧力容器の欠陥評価のために重要な研究課題を検討したものである。例えば、き裂挙動に関しては、高温水環境中での下限界特性等を含めた系統的なデータセットが不足している。とくに環境因子に焦点を絞った一連の研究を実施することによる割れ加速機構やモデル化に関する一層の進展及び時空間解析(Time Domain Analysis)による、より定量的なき裂進展挙動予測が可能になるものと期待される。これらの知見は、実機のき裂評価や余寿命推定の精度向上につながるものである。