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報告書

高レベル放射性廃液からの発熱性核種の分離

宝徳 忍; 伴 康俊; 今田 未来; 北辻 章浩

JAEA-Technology 2025-009, 33 Pages, 2025/11

JAEA-Technology-2025-009.pdf:1.9MB

使用済燃料の再処理に伴って発生する高レベル廃液(HLLW)には、発熱性核種であるSr-90、Y-90、Cs-137、Ba-137m及びAm-241が含まれており、これらの分離回収は高レベル放射性廃棄物の減容・有害度低減につながる。さらに、分離回収した元素及び核種を精製することで、資源としての有効利用も見込まれる。本試験では、Srレジン及びPbレジンを用いたSrの抽出クロマト分離、リンモリブデン酸アンモニウム(AMP)を用いたCsの共沈分離、アルキルジアミドアミン(ADAAM)を用いたAmの溶媒抽出分離に関する技術開発として、Cs及びSr分離について硝酸溶液系でのコールド試験を行った。その結果を踏まえて、燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の使用済燃料溶解液を使用して各元素を分離するホット試験を実施し、分離した溶液中に含まれる各成分について分析した。Srの抽出クロマト分離では、Srの吸着条件及び溶離条件として硝酸濃度8mol/L及び0.02mol/Lを適用することにより、他の元素から大部分を分離した。CsのAMPによる共沈分離では、硝酸濃度3.1mol/LのHLLW試験液にAMPを添加することにより99.9%以上のCsを選択的に共沈させた。AmのADAAMによる溶媒抽出では、バッチ法による一回の抽出処理によってAmの81.4%を回収した。本手法を用いることによってSr、Cs及びAmはそれぞれ効果的に分離回収できており、その有効性を実証した。

論文

Optimising sodium incorporation into potassium-activated metakaolin-based alkali-activated materials

Chaerun, R. I.; 佐藤 淳也; 平木 義久; 吉田 幸彦; 佐藤 努*; 大杉 武史

Construction and Building Materials, 500, p.144270_1 - 144270_10, 2025/11

アルカリ活性化材料(AAMs)、特にメタカオリンを原料とするものは、その高密度な微細構造と化学的耐久性により、有害廃棄物の固定化に用いる持続可能なバインダーとして大きな注目を集めている。これらの非晶質アルミノケイ酸塩構造は、有害物質を効果的にカプセル化し、環境リスクを低減することができる。しかし、この非晶質ネットワークの安定性を維持することは容易ではなく、特にナトリウム(Na$$^{+}$$))を多く含む前駆体を使用する場合、過剰なNa$$^{+}$$が結晶化を促進し、マトリックスの完全性を損なうことが知られている。本研究では、主にカリウム(K$$^{+}$$))で活性化されたメタカオリン系AAMsにおけるNa+濃度が構造安定性に与える影響を体系的に検討した。その目的は、非晶質構造を保持し化学的安定性を維持できるNa取り込みの閾値を明らかにすることである。透過型電子顕微鏡(TEM)、ラマン分光法、熱力学モデリングを用いて、さまざまなNa:Kモル比におけるK-AAMsの構造進化を解析した。その結果、Na:K比が高い場合には、ナノポアの形成やNaに富むゼオライト相の早期結晶化が生じ、マトリックスの安定性が低下することが明らかとなった。一方で、非晶質ネットワークを維持し、アルミノケイ酸塩骨格を保つ最適なNa:K比が特定された。これらの知見は、高耐久かつ先進的な廃棄物固定化技術に向けたK-AAMsの最適化に有用な指針を提供するものである。

論文

Using X-ray absorption near edge structure to evaluate adsorption properties of rare earths and nitrogen by difference of their interactions

箕輪 一希*; 渡部 創; 中瀬 正彦*; 高畠 容子; 宮崎 康典; 伴 康俊; 松浦 治明*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 556, p.165496_1 - 165496_6, 2024/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)

X線吸収端構造(XANES)分析とカラム試験により希土類のアルキルジアミドアミン(ADAAM)含浸吸着材への選択性を考察した。さらに高レベル放射性廃液に含まれるマイナーアクチノイド(MA)の模擬物質として希土類を実験に利用する蓋然性の高さを、ADAAMの窒素原子と希土類イオンの相互作用により証明した。LaとCeはADAAM中のアミンの窒素原子と相互に作用することを証明し、N-K端におけるXANESスペクトルにて検討に供した希土類においてピークシフトが観察されたことから、ソフトな相互作用が希土類の選択性に関与することを明らかにした。また、ADAAM含浸吸着材において希土類の選択性に関する要因はMAのそれと同じであることから、希土類がMAの模擬物質として適していることを示した。

論文

Mutual separation of Am and Cm using ADAAM (alkyl DiAmide AMine) and reduction of volumes for liquid waste generated via batch-wise multistage extractions

佐々木 祐二; 金子 政志; 伴 康俊; 鈴木 英哉*

Journal of Nuclear Science and Technology, 61(7), p.883 - 893, 2024/07

 被引用回数:4 パーセンタイル:62.70(Nuclear Science & Technology)

アルキルジアミドアミン(ADAAM)を使ったAm/Cm相互分離を行った。ADAAMは硝酸-ドデカン系で非常に高いAm/Cm分離比5.9を示した。1.5M硝酸-0.2M ADAAM条件を用いる多段抽出で抽出後の有機相中にAm 96.5%、Cm 1.06%回収できることを確認した。Am/Cm相互分離後に発生した水相、有機相体積削減のための付加的な多段抽出を行い、Am, Cmを2, 3段の水相に濃縮できることを確認した。

論文

Ion-pairing extraction and their reaction modeling of anionic M-Cl species with cationic NTAamide(C6) extractant and comparison with density functional theory calculations

木下 了磨; 佐々木 祐二; 金子 政志; 松宮 正彦*; 新奥 孝太*; 城石 英伸*

Hydrometallurgy, 222, p.106159_1 - 106159_12, 2023/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:17.79(Metallurgy & Metallurgical Engineering)

原子力機構が開発した金属イオンの抽出剤NTAアミド(C6)の適用性を、一般産業分野における利用も視野にいれて各種の金属について調べた。塩化物イオンと高い反応性を持つ20種の金属イオンの溶媒抽出を行い、抽出しやすさや反応性を確認した。これらの金属は塩酸溶液でアニオン種として溶存するが、NTAアミドは第3級アミンを持ち塩酸溶液でプロトネーションを起こしカチオン性となるため、イオン対抽出反応が起こる。金属イオンの分配比は硝酸系より塩酸系で高く、金属イオン:NTAアミドのモル比が1:1で有機相に抽出される。12族の3種の元素(Zn, Cd, Hg)を取り上げ、DFT計算でイオン対抽出のモデリングを行い、分配比を算出し、実測値と同じ傾向であることを確かめた。

論文

Extraction of Rh(III) from hydrochloric acid by protonated NTAamide(C6) and analogous compounds and understanding of extraction equilibria by using UV spectroscopy and DFT calculations

佐々木 祐二; 金子 政志; 伴 康俊; 木下 了磨; 松宮 正彦*; 新奥 孝太*; 城石 英伸*

Analytical Sciences, 39(9), p.1575 - 1583, 2023/09

 被引用回数:3 パーセンタイル:27.78(Chemistry, Analytical)

NTAアミドと関連化合物によって塩酸溶液からRhの抽出を行った。我々はここでRh-塩化物アニオンとプロトネートしたNTAアミドによるイオン対抽出を利用した。本抽出系で最大16のRh分配比を得た。調製時のRh錯体の存在割合が異なると、水分子-塩素イオンの交換速度が遅いために、Rh分配比は変化しうる。Rh-Cl錯体のUVスペクトルで504nmの最大吸収波長を持つときに最も高い分配比を示した。DFT計算から、この時水相に存在するRh錯体をRhCl$$_4$$(H$$_2$$O)$$_2$$$$^-$$とRhCl$$_5$$(H$$_2$$O)$$^2$$$$^-$$と推測した。NTAアミド濃度に対する抽出分配比の傾きの解析結果から、1:1反応で抽出されること、及び85mMのRhを有機相に抽出できることを確認した。

論文

Efficient separation of americium by a mixed solvent of two extractants, a diamideamine and a nitrilotriacetamide

鈴木 英哉*; 伴 康俊

Analytical Sciences, 39(8), p.1341 - 1348, 2023/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:46.16(Chemistry, Analytical)

原子力機構では再処理で発生した高レベル廃液中のマイナーアクチノイド(MA)を抽出分離する新しい技術として、SELECTプロセスを提案している。SELECTプロセスにおけるMA分離は、MA及び希土類(RE)の一括回収、MAとREの分離及びAmとCmの分離ステップから構成されておいり、各ステップにおいて3種類の実用的な抽出剤が用いられている。このステップ構成は水相の硝酸濃度調整を容易にしているが、CmとNdの分離係数が小さく、多くの分離段数が必要となる。そこで、本研究ではADAAM(EH)とHONTAの混合溶媒を適用したAmのみの分離を検討した。同混合溶媒は、高硝酸濃度においてAm及び軽ランタノイド(La, Ce, Pr及びNd)を抽出し、Cm, Y及び中重ランタノイドは水相に残存した。その後、低硝酸濃度条件で軽ランタノイドは同混合溶媒から逆抽出される。さらに、Amは0.2又は5mol/Lの硝酸濃度条件で逆抽出される。この混合溶媒を使用した方法では、分離係数の小さいCmとNdとの分離を回避することができ、さらにAmは1回の抽出操作及び2回の逆抽出操作でCm及びREから分離可能であり、SELECTプロセスの分離段数の削減が見込まれる。

論文

Theoretical elucidation of Am(III)/Cm(III) separation mechanism with diamide-type ligands using relativistic density functional theory calculation

金子 政志; 鈴木 英哉; 松村 達郎

Inorganic Chemistry, 57(23), p.14513 - 14523, 2018/12

 被引用回数:24 パーセンタイル:79.50(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

マイナーアクチノイドの分離変換技術開発の一環として、アメリシウム(Am)とキュリウム(Cm)の分離が課題となっている。本研究では、AmとCmの分離メカニズム解明を目的として、異なる二つのジアミド型配位子であるジグリコールアミド(DGA)とアルキルジアミドアミン(ADAAM)によるAm/Cm選択性の違いを、密度汎関数計算を用いて解析した。モデル錯体として[M(DGA)$$_{3}$$]$$^{3+}$$と[M(ADAAM)(NO$$_{3}$$)$$_{3}$$(H$$_{2}$$O)]の分子構造探索、錯生成反応ギブズエネルギー計算を行った結果、DGA配位子のCm選択性とADAAM配位子のAm選択性を再現することに成功した。さらに、Am/CmとDGA/ADAAM配位子の化学結合解析を行った結果、結合解離エネルギーの差がAm/Cm選択性の違いに影響を及ぼしており、f軌道電子の共有結合性の違いがAmとCmの分離メカニズムの一因であることが示唆された。

論文

Reduction and resource recycling of high-level radioactive wastes through nuclear transmutation; Isolation techniques of Pd, Zr, Se and Cs in simulated high level radioactive waste using solvent extraction

佐々木 祐二; 森田 圭介; 伊藤 圭祐; 鈴木 伸一; 塩飽 秀啓; 高橋 優也*; 金子 昌章*; 大森 孝*; 浅野 和仁*

Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference (GLOBAL 2017) (USB Flash Drive), 4 Pages, 2017/09

高レベル廃液中のPd, Zr, Se, Csは長半減期核種のPd-107, Zr-93, Se-79, Cs-135を有している。高レベル廃液から除去し、核変換により処分することで、環境負荷低減に役立てることができる。これら元素について、PdはMIDOA, NTAアミド、Csはクラウンエーテル、ZrはTODGA, HDEHP, Seはフェニレンジアミンで抽出可能である。それぞれ元素の回収条件について検討した成果について述べる。

論文

Properties of TNF-1 track etch detector

小倉 紘一*; 浅野 雅春; 安田 仲宏*; 吉田 勝

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 185(1-4), p.222 - 227, 2001/12

 被引用回数:33 パーセンタイル:88.75(Instruments & Instrumentation)

放射線感受性の高い素材の開発を進めているが、ジエチレングリコール・ビス・アリルカーボネート(CR-39)に感温材料で知られているN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を少量添加した共重合体(TNF-1)がLETで10keV/$$mu$$mの粒子を検出できることがわかった。また、このTNF-1は27MeVのプロトンも検出できた。このようなTNF-1はCR-39/NIPAAm(99/1)中に0.01%の酸化防止剤(ナウガード)を添加し、70$$^{circ}C$$で24h反応させて作製した。得られたTNF-1は透明な1mm厚さのプラスチック板であった。この論文では、このTNF-1を用いて宇宙線測定,中性子測定そして重粒子線による癌治療時のモニタリングなどのドシメトリーについて検討し、従来素材のCR-39(TD-1)と比較した。

口頭

福島第一廃炉汚染水処理で発生する廃棄物の先行的処理に係る研究開発,8; 低温処理固化可能性検査手法の検討

谷口 拓海; 並木 仁宏*; 大杉 武史; 曽根 智之; 黒木 亮一郎; 菊地 道生*; 山本 武志*; 大塚 拓*; 金田 由久*; 大澤 紀久*; et al.

no journal, , 

セメントやAAMによる固化処理プロセス(低温処理技術)の成立性および固化体性能は、汚染水処理から発生する様々な廃棄物の物理化学的性状の影響を受け、廃棄物の性状によっては混練中の急結といった処理プロセス自体が成立しない事態も起こりうる。このため実処理に先立ち、対象廃棄物の低温固化処理に対する適用可能性を簡易に検査・評価する手法を検討した。試験概要及び得られた検討結果の一部を紹介する。

口頭

K系アルカリ刺激材料の固化体強度および長期安定性に係る物性試験

角田 あやか; 大曽根 理*; 平木 義久; 大杉 武史; 曽根 智之; 黒木 亮一郎; 工藤 勇*; Elakneswaran, Y.*; 佐藤 努*

no journal, , 

福島第一原子力発電所内の水処理二次廃棄物に対する、K系アルカリ刺激材料(AAM)の固化適用性検討に必要な物性データ取得のため、圧縮強度試験および$$gamma$$線照射による水素発生量の測定を行った。本試験項目において、K系AAM固化体は粉体材料の種類により異なる傾向を示すことが分かった。また、圧縮強度試験において、K系AAMは粉体材料の種類により他の固化材料と同程度の強度を有することが分かった。

口頭

SELECTプロセスにおけるADAAM及びB-TONAADA混合溶媒によるAm分離

鈴木 英哉*; 下条 晃司郎; 中村 聡志; 江森 達也; 黒澤 達也*; 柴田 光敦*; 川崎 倫弘*; 伴 康俊

no journal, , 

日本原子力研究開発機構では、分離変換技術の確立を目指し、溶媒抽出法による再処理及びMA分離のための新技術SELECTプロセス(Solvent Extraction from Liquid-waste using Extractants of CHON-type for Transmutation)の研究開発を行っている。本研究では、SELECTプロセスの更なる効率化を目指し、酸性アミド型の新抽出剤ニトリロ酢酸ジアセトアミド(B-TONAADA)とアルキルジアミドアミン(ADAAM)の2種類を混合した混合溶媒系による抽出試験を実施した。その結果、MAと希土類元素を含む水相中から、酸濃度を調整することで、効率的にアメリシウム(Am)を分離する方法を見出した。

口頭

XAFS及び多重散乱計算を用いた希土類とNTAアミドの錯体形成時における局所構造,化学状態の解明

箕輪 一希*; 渡部 創; 伴 康俊; 中瀬 正彦*; 渡邊 真太*; 松浦 治明*

no journal, , 

MA回収プロセスの最終工程であるMA相互分離プロセスで有効なアルキルジアミドアミン吸着材の吸着原理解明のためにXAFS測定, FEFF, FDMNESを用いて解析を行った。FEFFを用いたフィッティング解析より、酸濃度による錯体構造の違いはみられなかった。また、FDMNESによる窒素のXANESスペクトルの解析を行った結果、スペクトル中にRE(ADAAM)(NO$$_{3}$$)$$_{3}$$錯体情報が観測されることが分かった。

口頭

アルカリ活性材料(AAM)の浸漬に伴う鉱物組成変化の評価

加藤 潤; 藤原 健壮; 石寺 孝充; 大杉 武史; 石井 太郎*; 谷島 賢典*; 大内 祐司*; 久保田 満*; 能登屋 信

no journal, , 

福島第一原子力発電所の事故処理に伴って発生する放射性廃棄物を処分するにあたって、新たな固形化材が検討されており、その候補の一つとしてアルカリ活性材料(AAM)が注目されている。本発表では、処分後のAAMへの放射性核種収着挙動の評価に向け、水に浸漬した際の鉱物組成変化を分析した結果を報告する。

口頭

TODGA, ADAAM, DTBAを用いるアクチノイドとランタノイドの分離工程の検討

佐々木 祐二; 松宮 正彦*; 金子 政志*; 伴 康俊; 北辻 章浩; 上田 祐生; 熊谷 友多

no journal, , 

PUREX工程で発生する高レベル廃液(HLW)中のアクチノイド(An)/ランタノイド(Ln)の分離は、マイナーアクチノイド(MA)燃料の健全性の維持、廃棄物の効率処分、長半減期核種の核変換などにとって最重要の課題となる。一方、高レベル廃液中マトリックスLnに比べて回収に必要なAnは微量であること、HLW中に少なくともLaからGdまで一連のLnが共存すること等の要因から、An/Ln分離は極めて困難である。ここでは、TODGAとADAAMという2つの抽出剤と逆抽出剤のDTBAを組み合わせた分離工程を検討する。まずは、その概要と分離方法を紹介する。

口頭

Current status of R&D on minor actinide separation process with CHON Extractants in JAEA

松村 達郎; 伴 康俊; 鈴木 英哉; 津幡 靖宏; 宝徳 忍; 筒井 菜緒; 鈴木 明日香; 樋川 智洋; 黒澤 達也*; 柴田 光敦*; et al.

no journal, , 

原子力エネルギーを継続して利用していくためには、高レベル廃棄物の放射能毒性の低減化と減容化は重要な課題である。分離変換技術はこれらを解決する有効な方策であると期待されている。原子力機構では、高レベル廃液からマイナーアクチノイド(MA)を分離回収し、核変換システムに供給するためのMA分離プロセスの開発を進めている。このMA分離プロセスは3つの分離ステップから構成されている。An(III)・RE一括回収プロセスでは、高レベル廃液から高い効率でMAを回収可能なTDdDGA抽出剤を開発し、An(III)/RE相互分離プロセス及びAm/Cm分離プロセスでは、抽出剤としてそれぞれHONTAとADAAMを開発した。これらの抽出剤は、すべてCHON原則に合った構造で、プロセスから発生する廃棄物の低減化に寄与している。このMA分離プロセスは、高レベル廃液の模擬液及び実液による連続抽出試験によって、その分離性能を評価した。

口頭

マイナーアクチノイド分離のための新しい抽出法の開発

鈴木 英哉*; 伴 康俊; 津幡 靖宏; 筒井 菜緒; 樋川 智洋; 黒澤 達也*; 柴田 光敦*; 川崎 倫弘*; 松村 達郎

no journal, , 

現在、日本原子力研究開発機構では高レベル廃液中からマイナーアクチノイド(MA)を回収するための新しい分離技術であるSELECTプロセスの研究開発を行っている。SELECTプロセスにおいて、マイナーアクチノイド(MA)に対する高い分離能と高い実用性を持つ抽出剤(HONTA、ADAAM)が開発された。2種の抽出剤(HONTA, ADAAM)を混合して用い、MAと希土類元素(RE)との相互分離について検討した結果、非常に良好な相互分離を達成できた。さらに、本研究ではアメリシウム(Am)とキュリウム(Cm)の良好な分離係数が得られ、効率的なAmの単独回収にも成功した。

口頭

MA分離のための新しい抽出法の開発

鈴木 英哉*; 伴 康俊; 津幡 靖宏; 宝徳 忍; 樋川 智洋; 筒井 菜緒; 柴田 光敦*; 黒澤 達也*; 川崎 倫弘*; 松村 達郎

no journal, , 

日本原子力研究開発機構では、分離変換技術の確立を目指して、高レベル放射性廃液中からマイナーアクチノイド(MA)を回収するための新しい分離技術の研究開発を行っている。分離プロセスでは、性質の似ているランタノイドとMAとの相互分離が大きな課題となる。また、核変換用燃料を取り扱う上で、アメリシウム(Am)から発熱性のキュリウム(Cm)を除去することが望ましい。しかしながら、性質の酷似するAmとCmの分離は極めて困難である。本研究では、実用性の高い新抽出剤のADAAMを用いた新しいAm分離法を開発し、良好な分離を得ることに成功した。

口頭

福島第一廃炉汚染水処理で発生する廃棄物の先行的処理に係る研究開発,13; 炭酸塩スラリー含有固化体の照射特性

加藤 潤; 今泉 憲*; 大杉 武史; 曽根 智之; 黒木 亮一郎; 菊地 道生*; 山本 武志*; 大塚 拓*; 金田 由久*; 大澤 紀久*

no journal, , 

福島第一原子力発電所で発生する炭酸塩スラリーの模擬スラリーを含有するセメント及びAAM固化体を作製し、$$gamma$$線照射試験における水素ガス発生量を評価した。得られたデータは、既報で報告した廃棄物を含有しない固化体のデータと比較し、炭酸塩スラリーを含有することの水素ガス発生量への影響を評価した。

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