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中平 昌隆
JAERI-Tech 2003-083, 79 Pages, 2003/11
ITER真空容器は、二重壁構造となっており、二重壁内部に冷却水を使用することが想定されている。この二重壁の外壁と補強リブの溶接継手には、部分溶け込み溶接が採用される予定であるが、この継手の冷却水に接する部分に、溶接に起因する、長さ5mm以下,すきま0.5mm以下のすきまが生じる。冷却水の水質などの環境条件によっては、このすきま部にすきま腐食の発生が懸念されている。したがって、この溶接継手すきま部の、すきま腐食感受性を評価する必要がある。ここでは、すきま腐食臨界電位概念に基づき、 ITERの通常運転中の冷却条件である150Cの運転温度、200Cでのベーキング温度及び異常時点検用の乾燥後の通水プロセスなどの環境を模擬し、加速のために濃度を高めた複数の塩化物イオン環境下において、実機溶接すきま部のすきま腐食感受性を評価した。具体的には、SUS316L材から金属すきま試験片を作成し、上記条件のもとで、腐食すきま再不働態化電位(E)の測定を実施した。得られた塩化物イオン濃度依存性データと、当該環境の定常腐食電位の推定値から局部腐食臨界電位概念に基づき、ITER溶接部のすきま腐食感受性を評価した。
東島 智; JT-60チーム
プラズマ・核融合学会誌, 75(11), p.1297 - 1304, 1999/00
プラズマ中に不純物が混入すると、放射損失量増加に伴うプラズマ温度の低下をもたらすとともに、燃料である水素イオンを希釈する。また、水素リサイクリング量が多いと、プラズマ周りの中性粒子密度が増加し、閉じ込め性能が改善され難い。不純物発生量や水素リサイクリング量は相互作用する第一壁の状態に左右されるため、高性能プラズマを得るには、第一壁コンディショニングが不可欠である。JT-60Uにおいても不純物低減と水素リサイクリング制御を目的として、(1)ベーキング,(2)ヘリウムガスを用いたTDC,(3)ヘリウムガスを用いたGDC,(4)トカマク放電(Ohmic plasmas,NBI heated plasmas),(5)デカボランを用いたボロナイゼーション等の第一壁コンディショニング法を必要に応じて、組み合わせて実施している。本講演では、JT-60Uにおける第一壁コンディショニングの例として、(1)真空容器の大気開放後、安定なトカマクを得るまでに必要なコンディショニングと、(2)高閉じ込めプラズマを得るため、必要なコンディショニングを取り上げ、コンディショニングの目的、各手法と効果、今後の課題について述べる。
塚原 美光; 閨谷 譲; 砂押 秀則; 蔀 守正; 長島 章
JAERI-Tech 98-004, 20 Pages, 1998/01
本試験は大口径観測ガラス窓における新たな真空シールの構造基準をバイトンOリングの潰し代の大気圧による変形量、並びにJT-60Uと同等のベーキングにおけるバイトンOリングの塑性変形量のふたつの点で評価検討し、この構造基準の妥当性を確認するとともに最適なバイトンOリングの断面形状を選定することを目的とした。この構造基準において大気圧による面圧では現在ある全ての真空窓においてギャップが確保できることを確認し、ベーキングにおけるバイトンOリングの塑性変形にも異常の無いことを確認した。
関 正美; 小原 建治郎; 前原 直; 池田 佳隆; 今井 剛; 永島 孝; Goniche, M.*; J.Brossaud*; C.Barral*; G.Berger-By*; et al.
JAERI-Research 96-025, 55 Pages, 1996/06
低域混成波電流駆動(LHCD)用アンテナの定常運転のためには、アンテナの高耐電力特性と低ガス放出特性が必要である。定常LHCDアンテナ開発のために、強制冷却通路を持つ分散強化銅製のテストモジュールを原研が製作し、フランス・ガダラッシュ研究所で準定常入射試験を行った。短いコンディション期間の後、テストモジュールは200MW/mまでもの高耐電力性を示した。また、450度ベーキング処理を行った後のガス放出率は、300度において~2x10Pam/smであった。ガス放出率は、モジュール温度に強く依存するが、一方高周波電力には依存しないことが分かった。また、高周波入射により低減される枯化特性も見られた。さらに、水冷却で温度制御しながら150MW/mの高周波を入射したところ、1800秒間にわたり一定の低ガス放出率(~10Pam/sm)を観測し、連続入射の可能性を示した。このテストモジュールの開発・大電力試験を通じて、定常LHCDアンテナ用導波管製作の目処を得た。
前原 直; 関 正美; 菅沼 和明; 池田 佳隆
Fusion Engineering and Design, 30, p.253 - 259, 1995/00
被引用回数:2 パーセンタイル:28.03(Nuclear Science & Technology)JT-60UにおけるLHCD実験時に、48x4マルチジャンクション型ランチャーのガス放出特性評価を行った。その結果、プラズマ入射の初期段階においてガス放出率は、入射電力に対して強い依存性を示すが、RFコンディショニングが進んだ場合には依存性が弱まることが分かった。また約2週間のRFコンディショニングにより、プラズマ入射中の放出ガスの低減化を実現し、プラズマ入射電力、約6.5MW(1モジュールあたり:Pin~410kW)を達成した。十分にRFコンディショニングが進んだ状態でのモジュール内のガス発生量は、高周波電力Pin~360kWにおいて、~10[Pam/sm]のレベルであった。この値は、通常のSUS鋼製真空容器からのガス放出率と同程度の低い値である。これらの結果から将来の定常LHCD実験においても、ガス放出率が十分低いことが予想され、真空排気系の簡素化が期待できる。