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安濃田 良成; 中村 秀夫; 久木田 豊; 田坂 完二
Journal of Nuclear Science and Technology, 25(2), p.143 - 152, 1988/02
自然循環による炉心冷却効果は、BWRの小破断LOCA過程や再循環ポンプ停止を伴う各種の過渡状態において、非常に重要である。この様な、原子炉容器内残存水量が減少した場合のBWR自然循環実験自然循環挙動を解明するために、ROSA-III装置を用いて実験を行なった。実験の結果、残存水量の減少に伴い自然循環のモードが、1)主循環モード、2)内部循環モード、3)開ループ(炉心露出)モードに変化することを明らかにした。さらに、内部循環モードに対する解析モデルを開発し、炉心露出限界を導いた。この解析モデルは、圧力7.35及び2.06MPa、炉心出力20%相当以下の準定常自然循環実験におけるシュラウド内二相混合水位及び炉心露出限界を正しく予測した。また、この解析モデルを用いて、実炉の自然循環挙動の予測を行った。
刑部 真弘; 小泉 安郎; 田坂 完二
Journal of Nuclear Science and Technology, 24(8), p.621 - 631, 1987/08
被引用回数:8 パーセンタイル:63.12(Nuclear Science & Technology)高圧条件下における25本ロッドバンドルを用いた準定常炉心露出実験において、低出力及び高出力露出パターンがみられた。この2つのパターンの境界を実験的に求めた。2つのパターンの相違は、ドライアウト点の下でのスラグー環状流遷移が原因であると考えられる。刑部のスラグー環状流遷移モデルはそれをよく説明した。次に、1168本ロッド炉心をもつ総合実験装置を用いた小破断LOCA実験を行った。ここでの過渡的炉心露出パターンは、上述の25本ロッドバンドルを用いた準定常実験に基づけば、低出力パターンと考えられた。この過渡的炉心露出パターンは、ボイルオフ及び流力的炉心露出パターンに区別できた。ボイルオフ炉心露出では、ドライアウト点は準定常実験と同様に気液混合水位によって支配されたが、流力的炉心露出では、ドライアウト点は気液混合水位では支配されず炉心内の多次元的ドライアウト過程が見られた。
刑部 真弘; 小泉 安郎; 与能本 泰介; 熊丸 博滋; 田坂 完二
Nucl.Eng.Des., 98, p.69 - 76, 1986/00
被引用回数:3 パーセンタイル:40.67(Nuclear Science & Technology)定常二相流試験装置を使った高圧でのボイルオフ実験を広いバンドル出力の範囲で行なった結果、2つのボイルオフパターンが観測できた。一方は、低バンドル出力でのボイルオフパターンで、おのおののロッドのドライアウト点が、あるバンドル高さ位置で生じた。これは、ドライアウト点が、平坦な気液二相流混合物レベルで決まるためと考えられた。他方は、高バンドル出力でのボイルオフパターンで、ドライアウト点はロッドにより高さ方向に大きく散らばり、明確な気液二相流混合物のレベルは観測できなかった。これは、ドライアウト点の下で、Slug流からAnnular流への遷移が生じているためと考えられた。さらに本研究では、Slug流からAnnular流への遷移予測モデルを提案した。このモデルでは、隣り合うロッド上の液膜の相互干渉がなくなったとき、初めてAnnular流が存在できると考えた。このモデルはTPTF実験結果をよく説明した。
刑部 真弘; 小泉 安郎; 田坂 完二
Journal of Nuclear Science and Technology, 21(11), p.882 - 884, 1984/00
被引用回数:15 パーセンタイル:91.37(Nuclear Science & Technology)小破断LOCA時には、ボイルオフによって炉心や蒸気発生器蒸発管が部分的に、高温蒸気雰囲気中に露出することが考えられる。この場合、二層混合水位がドライアウト点を決定する。この二相混合水位の評価のためには、ロッドバンドル中の二相混合物中の気相流速を知ることが重要である。このため、ロッドバンドルを組み込んだ垂直テスト部と、取りはずしたテスト部で、静止水中を上昇する空気流速を大気圧条件下で測定した。ロッドバンドルの空気上昇流速に与える影響をドリフトフラックス式を使うことによって説明するとともに、二流体モデルにおいて空気の上昇速度を決めるのに重要な相間摩擦係数を求めた。本実験で求めたロッドバンドル中の相間摩擦係数は、二流体モデルコードであるTRACで使われているものよりも小さな値を示した。
岡崎 俊二*
JAERI-M 9858, 78 Pages, 1982/01
軽水炉の設計基準事故を越えた事故シーケンスに炉心溶融事故がある。冷却材喪失事故進行の過程で、非常用炉心冷却系の機能か喪失し、炉心冷却材が沸騰喪失し、水蒸気中に炉心が露出し、遂には燃料溶融にいたる事故などがその例である。BOIL1コードは、この種の炉心冷却材沸騰喪失(ボイルオフ)とそれに続くヒートアップ、炉心崩壊の過程を解析するため、米国バッテレ・コロンバス研究所で開発され、ラスムッセン研究に使われた。本報告書は、原研計算機で使用できるよう変換整備したものを使用して行なったBOIL1コードの感度解析結果をまとめたものである。ボイルオフ事故過程を支配する最も重要な因子は、ジルコニウム-水反応で発生する熱であることが明らかとなった。また選択する炉心溶融モデルによって、特に溶融領域の拡大進展現象が異なってくることがわかった。